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俺達で「バキ死刑囚編」をつくろうぜ

1 名前:パオ:02/12/27 22:51 ID:U7nZCodg
もういいだろ、中学生日記みたいなイジメ漫画は・・。もう一度、東京ドームの地下から始めようぜ。
5対5で睨みあったあそこから。死刑囚が,強くて悪くてカッコいいのを。熱いヤツをさ。
俺達で,リレー小説形式で・・。では,ここからスタート。

 空間が双方のオーラで捻じ曲がる錯覚を光圀は覚えた。息苦しい静寂を破ったのは,小柄な老人の声であった。
 「ええじゃないか、ルールなんて・・。こっちの5人がそっちの5人を狙う。いつ何時,どの場所でも。
  勿論,逆も良し。今、この場からおっぱじめればエエ。そいつが実戦てもんだろ」
  無言で散っていく戦士10人。しかし、数十分後、異形2人が新宿メインストリートで睨みあっていた。
  魔拳・烈海王と毒ガス・柳龍光である。
  
 


2 名前:マロン名無しさん:02/12/27 22:58 ID:???
あぼ

3 名前:マロン名無しさん:02/12/27 22:59 ID:Ye0UVDP3
柳「おい、うしろ、うしろ…」
列「アイゴー!!アイゴー!!」

4 名前:マロン名無しさん:02/12/27 23:01 ID:???
・・・・なんだかんだがあった後




                示談で解決



=================終了================

5 名前:パオ:02/12/27 23:02 ID:U7nZCodg
魔拳・烈海王と毒ガス・柳龍光。決して背は高くない。
しかし烈のその肉体、柳のそのたたずまいに、道行く人々は異形2人に近づこうとしない。
「ここで・・始めるかね?」「私は構わんっ」激高する烈。構えが戦闘体勢に変わった。
「っ??」あまりの烈の動きに、驚愕する柳。対克巳戦で見せた、神域ともいえる中段突きである。
5mほど吹き飛ぶ柳。勝利を確信してその場を立ち去ろうとする烈の背後から、
思いもかけない声が掛かる。
「どこに行くのかね・・。まだ始まったばかりというのに。」

6 名前:パオ:02/12/27 23:04 ID:U7nZCodg
2・3・4>やっぱ無理かなあ。リレー小説。どっかで名スレあったんだけど・・。
     こういう感じになっちゃうかなあ。

7 名前:5の続き:02/12/27 23:15 ID:U7nZCodg
スピード。パワー。タイミング。角度。間合い。呼吸。全ての要素が超一級品の突きである。
ノーダメージに近い状態で立ち上がれる安い技でない。そう、巨凶一族を除けば・・。
一瞬、百戦練磨の烈が戦いを忘れるほどの衝撃。おもむろに柳は口を空けた。
「分からないかね?飛んだのだよ、君の突きに合わせて、自分自身で後ろへ・・。」
??馬鹿な?確かに古武術や中国拳法で口伝されている技だ。しかし、実戦で、しかも私相手に・・。
恐怖に刈られ再度襲い掛かる烈。しかし、急に極度に酩酊したように、天地が回る。
「ふふふ。毒ガスの異名、味わっていただこうか・・。」


8 名前:7の続き:02/12/27 23:27 ID:U7nZCodg
「くうっ」自分の意志が自分の手足に伝わらない。烈はいまだかってない恐怖と焦りに駆られていた。
「くくく・・。右手に毒手。左手に真空によるガス・・。合わせて毒ガス柳と呼ばれる・・。」
 毒手?中国拳法にもその名はある。数々の毒虫や毒蛇の毒をおのが手に練りあわすことで手に入れる殺手。
 それにやられたのか。しかし、毒ガスとは・・。
 見物人が周りを取り囲む。警察も来るだろう。「潮時だね、今回は・・。」
 屈辱で顔を赤くする烈。「待てっ。決着は着いていない」しかしそれを無視し走り去る柳。
 「第1ラウンドは私の圧勝だな」その一言を残して。烈の顔がゆがむ。
・・・・数分後、電柱に体を預ける柳がいた。烈の打撃は、内臓にもダメージを与えたのである。
 「くくく・・。訂正しよう。第1ラウンドは・・。イーブンだ」


9 名前:マロン名無しさん:02/12/28 03:43 ID:???
正直(・∀・)イイ!

10 名前:マロン名無しさん:02/12/28 06:53 ID:KPSVzQiI
向かい合う5人と5人。
しかし、突然、そのとき磯野満天が現れる。
満天「ボクも仲間に入れてください」
というか言わないかのうちに、「切れるパンチ」を10連発。
死刑囚も地下格闘戦士もみんなKO。
満天「よし。あとは勇次郎をプチッとひねりつぶすだけだな」

そして満天は去っていった。

11 名前:マロン名無しさん:02/12/28 07:56 ID:???
早々に地下闘技場を去るバキ。
だが、人気の無い路地裏まで来ると立ち止まった。
「ふぅ…今、ここでやるつもりかい?」
「やはり、気づいてたのか」
暗闇から姿を現したのは、あのガーレンをあっさりと倒してのけたロシア人、シコルスキーだった。

「キミが、あの闘技場のチャンプなんだって?」
そう言いながら、ゆっくりと歩み寄るシコル。
「はは、徳川さんもおしゃべりだなぁ…」
苦笑するバキ。その顔には、覇気が感じられない。
「…やっぱり今日は止めにしませんか――」

ビシィィッ…!

『か』の言葉とともに、ハイキックを繰り出すバキ。
だがその蹴りは、あっさりとシコルにガードされる。
「フフ…そう、それでいい。ヨーイドンでしか走れぬ者は格闘技者とは呼べないからな」
「早く帰って寝たいんだけど…仕方ないッ」
間合いを取り、構えるシコルスキーとバキ。

「さて、Round1といこうか!」

12 名前:マロン名無しさん:02/12/28 09:15 ID:???
>>1がんがれー

13 名前:マロン名無しさん:02/12/28 11:04 ID:???
バキを主人公でやってな

14 名前:マロン名無しさん:02/12/28 19:33 ID:KPSVzQiI
にらみ合う5人と5人。
そこで突然爆発が起きる。
10人全員がアボーン。
そしてサタンが現れる。
サタン「わっはっは。私が最強だぁ!」

サタン最強である。

15 名前:マロン名無しさん:02/12/29 01:13 ID:???
毒ガスじゃなくて猛毒柳じゃなかった?

16 名前:マロン名無しさん:02/12/29 15:49 ID:???
光圀じゃなくて光成じゃなかった?

17 名前:パオ:02/12/31 16:21 ID:???
小ミスゴメン。しかしまじめに書いてくれたのは11さんだけか。ネタは沢山あるんだが
かく気になれん・・。

18 名前:11の続き:02/12/31 16:41 ID:y9OKNxJ5
バキとシコルの気配が変わる。明らかに人の気配ではない、別の禍禍しいものに。
しかしシコルが急に、慈愛に満ちた表情でこう言った。「君には・・資格があるな・・」
一瞬、何のことだか分からないバキ。「実もある・・華もある・・さすがはチャンプだな」
恋を語る少女のように、優しげな表情で語るシコルス。毒気を抜かれ唖然とするバキ。
しかし、急に右目につぶてのような物が飛んできた。「くっ」右まぶたが引き裂かれるバキ。
幸い、眼球に異常はない。「指、だよ」シコルが呟く。「指で目をえぐりにいった」
ファイティングポーズは解かないまでも、圧倒的なアドヴァンテージを取られたバキ。
焦りで背中に冷たい汗が流れる。「さあ、楽しませてくれよ、チャンプ・・・」

 ・・・・バキとシコルが立ち会っている頃、徳川家に凶報が届いた。花山がドリアンに敗れたのである。
  

19 名前:マロン名無しさん:02/12/31 17:10 ID:HzNIsDbU
こずえ、死刑囚に輪姦される! 終

20 名前:18の続き:03/01/01 20:06 ID:uv0ICTcY
指で。肉を。引き千切る。連続で。間断なく。腕を。足を。胸板を。ほほを。削り取る。肉体を。
鋼の如き指の力で、溶けたバターをスプーンで掬うように、バキの肉体をえぐり取る。
たったそれだけの攻撃が、バキに今までに無い戦慄と恐怖を刻み込んでいた。ガードに意味は無い。
何故なら、ガード自体削り取ってしまえば良いのだから。「期待はずれだな、チャンプ・・。」
シコルスが呟く。右目を塞がれ、肉体を数百グラム削り取られているバキ。反撃の術は無いと思われた。
しかし・・。「???」シコルスが殺気に反応し、反射的にうしろに飛びのく。
「お目覚めかい、やっと」シコルに今までとは違う声色で答えるバキ。
「調子に乗りやがって・・」巨凶の血が目覚めたのである。バキ、反撃開始。


21 名前:マロン名無しさん:03/01/02 03:23 ID:???
(・∀・)イイ!ガンガッテ!

22 名前:20の続き:03/01/03 05:18 ID:md+AjmQM
戦況は圧倒的にシコル有利である。肉体はリンゴのように剥かれ、右目の視界は奪われている。
しかし、17歳の少年から発散される「気」のようなもの・・。それだけで、シコルは間合いを取らされたまま動けない。
不意に、バキが微笑んだ。悪魔のように。その瞬間、まるで顔面が爆発したような衝撃をシコルは味わった。(何をされた?)
上段前蹴り。空手の基本技、なんでもない技である。しかし、人間の反応速度を遥かに凌駕していた。シコルは棒立ちになる。
「ぐっうう」次は下段廻し蹴り。ローキックである。ポピュラーでありふれた技。だが、モーションすら盗めない、見えない技。
(こ、こんなバカな)シコルは動揺し、恐怖した。そこへバキのボディアッパーが突き刺さる。シコルは吹き飛び、地を舐めた。



23 名前:22の続き:03/01/03 05:45 ID:md+AjmQM
「立てよ、死刑囚」巨凶の血を引く者が、死を架せられた者に声を掛ける。「これで終わりじゃねえだろ?」
「くくく・・オーガの息子と聞いて来たが、随分甘い・・。何故、倒れた俺に攻撃しない?」ゆっくりと立ち上がるシコル。
「資格はあっても、まだ器が足りぬという事か・・。俺に敗北くれるのは。君は、キレイすぎる。闘い方も、生き方も」
そう言って、ゆっくりとファイティングポーズをとるシコル。しかし、余りの殺気の無さに、バキは毒気を抜かれてこう言った。
「偉そうな事言ってそんなもんかい?すぐあんたの国に送り返してやるよ」バキの体から鬼のオーラが再び放出される。
そこへ、シコルの右アッパーが飛んだ。テレフォン気味とも言える、大振りの素人じみたパンチである。バキはカウンターを狙った。
しかし、アッパーの軌道の途中、シコルの右拳が開いた。バキのカウンターがシコルアゴに突き刺さる。バキは悟った。
この打ち合いは自分の負けだと。シコルはパンチを狙ったのでは無かった。
・・・先程地を舐めたときに握りこんだ砂で、バキの残った左眼を潰したのである。

24 名前:23の続き:03/01/03 06:09 ID:md+AjmQM
バキは暗闇にいた。完全に閉ざされた世界。砂と、鉄指にてヒカリを奪われた。
しかし、格闘士としての本能が、巨凶の血が、気配を頼りに獲物を攻撃しようとするのを止めない。
だが、シコルスも超一流のオスである。手負いの獣に殺られるほどヤワではない。「勝負あったな」
シコルスの力まかせのパンチがバキの後頭部に突き刺さる。更に、プロレスでいうドロップキックを叩き込む。
巨凶のオーラが消えていく。為す術なく、その場にうずくまる。「トドメといこうか」シコルが笑った。
そして、近くに止めてあったスクーターをバキの体に叩きつける。何度も、何度も。おそらくバキの心音が止まるまで。
「そろそろ、頭つぶそうか」そう言ってスクーターを持ち上げようとした、その時。背後に殺気を感じた。
「モウイイダロ、アンタノ勝チダ」2メートルを超える巨漢がいた。例えるなら、2本足のライオンのような男が。

25 名前:パオ:03/01/03 06:18 ID:md+AjmQM
疲れた・・。でも、なんか気に入ってくれる人もいるみたいだから頑張ります。
とりあえず花山VSドリアンと達人VSスぺックです、次回は。両方とも決着つく。
でも、他の人も書き込んで欲しいな、19さんみたいに。荒らしは嫌。

26 名前:パオ:03/01/03 06:21 ID:md+AjmQM
ごめん、11さんみたいに、の間違い。19さんはネタレスだった。

27 名前:マロン名無しさん:03/01/03 09:35 ID:???
バオがんがれ

28 名前:24の続き:03/01/03 18:13 ID:sC20hcZZ
「モウイイダロ、アンタノ勝チダ」その男はそう言ってゆっくりとバキとシコルスに近づいてくる。
シコルスは動けない。今、倒した男と同じ気配を感じ、肉体が警戒したからである。スクーターを投げ捨てた。
その巨漢は、黙ってバキを肩口に担ぎ込む。そして、そのまま立ち去ろうとした。「待てよ、人の獲物だぜ?」
シコルスが問い掛けるが、巨漢は無視して歩き出す。シコルスらしくは無い。何故なら、普段の彼なら声より先に
攻撃を仕掛けるからである。巨漢のバキと同じ気配、しかしバキほど甘くないであろう殺気に気押されたのだ。
「おい、逃げるのかっ」シコルスは叫ぶ。「アンタニ敗北ヲ捧ゲルノハ俺ジャナイ、コイツダ」巨漢は静かに答えた。
「敗北ニハ3ツアル。殺サレル、心ヲ折ラレル、ソシテ・・受ケ入レル。俺ハアンタヲ殺シチマウ。ダガ、コイツナラ」
シコルスは獲物と巨漢を見送ってしまった。それが恐怖からなのか、何か別の物のせいなのか分からなかった。

徳川邸。集まった独歩、克巳、烈、そして渋川の顔色がその報告に変わる。「ドリアンじゃ」
光成がうめく。「花山は一命を取り止めた・・。しかし、再起不能じゃ・・」



29 名前:28の続き:03/01/03 18:36 ID:sC20hcZZ
勝てないだろう、誰が見ても。左手首より上は無くなり、火傷は全身を覆っている。
失血により常人ならとっくに気を失っている。内臓への打撃により喀血すらしていた。
しかし、それが何だと言うのだ。命など任侠道に入った時からとうに捨てている。
つまり、死人なのだ。死人が死を今更恐れるわけは無い。相手が最凶死刑囚といえども、
この侠の心を、矜持を折る事など決して出来ない。花山薫という侠は、そういう男である。

バキとシコルス、烈と柳の死闘があった同刻。新宿ゴールデン街の路地裏。人外の者2人。
睨み合っていた。日本一の喧嘩士と最凶死刑囚の一角、ドリアンが。この2人が同じ場所に
居て、平和な解決がある訳がない。「やるのかい?」花山がドスの利いた声で問う。
「くくく・・。最初は君か。ま、手頃なところだろうな」明らかに格下扱いをするドリアン。
それを聞き、花山の体が弾けたようにドリアンに突進する。


30 名前:マロン名無しさん:03/01/04 03:24 ID:???
花山、すぺっく戦だけはそのまんま残して欲しい。

31 名前:マロン名無しさん:03/01/04 05:23 ID:SIcMGkhV
31>ごめん、もうここまでいったら戻れない。ま、あくまでバキ好きのパラレルワールドと
  思ってください。そのかわりシコルと柳はカッコ良くなりますんで。

32 名前:パオ:03/01/04 05:25 ID:SIcMGkhV
ごめん、30さんへのレス。

33 名前:29の続き:03/01/04 05:48 ID:SIcMGkhV
体格は五分と五分。お互い常人が近寄れないほどの気を放つ。だが、2人の戦い方は対照的である。
突進する花山。己の肉体と腕力だけを頼りに全てを通してきた男。その男の拳が、獲物を捕らえる。
2メートルを超えるドリアンが、ゴムまりのように吹き飛んだ。ふらふらと立ちあがるドリアン。
髪の毛を掴み、更に追撃のアッパーを放つ喧嘩士。アゴのガキリ、という音。たった2撃だけで、
ドリアンほどの強者の戦闘力を奪う。「まだやるかい・・」低く、静かな声。しかし、次の瞬間、
思いもかけない事が起こった。花山の左手首がポトリと落ちたのである。


34 名前:マロン名無しさん:03/01/04 21:18 ID:???
(・∀・)イイ!俺の観たかった死刑囚編はまさにこんな展開だった。



35 名前:マロン名無しさん:03/01/04 23:14 ID:???
ドリアンの手の内から、蜘蛛の糸のように繰り出されたもの―――
アラミド繊維が、花山薫の左手首を落としたのである。

「黄金の腕も、これで終わりだナ……」

呟いた直後、ドリアンはふたたび吹っ飛んだ。左手がなければ右手で……
(この男、痛みというものを感じてないのカ!?)
花山の目はすでに常態ではなくなっている。



36 名前:マロン名無しさん:03/01/04 23:48 ID:???
花山の足がまた一歩、踏み出される。ドリアンは息を呑んだ。
「スゴイな、キミは……」
今花山は、ドリアンを路地に追い詰めた状態である。
三方を高い壁に囲まれ、花山を倒さねば前に進むことはできない。

(敗北につながるかもしれない戦いに、こんなにも早く遭遇できるとは)
もちろん、ドリアンは負けるつもりはない。

「おいっそこで何やってるっ」
突然、声が響いた。制服の警官が立って鋭い目で見ている。
巨漢の外国人と、片手を落とされ血まみれになったヤクザという組み合わせにも
気丈にもひるむことなく、警官は見据えてくる。

37 名前:マロン名無しさん:03/01/04 23:55 ID:LbWZ/bZh

「おまえ、まさか……脱獄死刑囚か!?」
ドリアンは小さく舌打ちした。警官が何人来ようが物の数ではない。
勝負に水を刺されたことが不快である。
「勝負はおあずけだ」
ドリアンは懐から手の平に乗るほどのガラスビンを取り出してふたを取り、
無造作に投げた。

朦朧とした状態で、花山は瞬時にそのビンの中身を悟った。
強酸だ。
避けることは可能である。が、その時には酸が後ろの警官にかかる。
そこまで考えた時には、もうビンは空中を飛び、目前まで迫っていた。

いくら強くても、人を見殺しにする任侠などなんの価値もない。
考えるより先に体が動いていた。避けずに手刀でビンを払う。
手はビンをかすめ、空中で回転した。ビンの口からこぼれた硫酸が、
視界を占領する―――



38 名前:マロン名無しさん:03/01/04 23:59 ID:LbWZ/bZh
(左手はなんとかつながるだろう……だが酸が目にかかったのはマズかったね。
下手をすれば、失明の恐れもあるよ)

医者の言葉を心中で反芻しながら、克巳は花山のベッドの脇を離れた。
廊下に出た克巳を独歩が発見し、声をかける。
「克巳」
「来るな」
克巳はにべもなく言った。

「今の俺の顔は……見ない方がいい!!」



39 名前:38の続き:03/01/05 16:45 ID:OkgGzdpN
明けて翌日。のどかな新宿の昼下がり。その華やかな町並みに不釣合いな異様な風体の男が歩いている。
道行く人々はその男を気にしながらも、決して目を合わせないよう視線をそらす。
「ツケラレテルナ」その男、スペックは呟いた。ほんの5分ほど前から、自分を等間隔で尾行する男がいる。
その距離がほんのわずかづつ狭まっていく。20m、10m、5m・・。スペックは喜んでいた。
「オレヲツケ狙ウヤツナンテ、何年ブリカナ」適当な空地であるコインパーキングに入っていった。
「アンタカ。アンタラノ方カラ仕掛ケテクルトハナ」ゆっくりと振り返って尾行した男に言った。
その視線の先には小柄な老人が立っていた。達人・渋川剛気その人である。
「こっちは2人やられとる・・。一人は再起不能かもしれん。たまたまあんたを見つけたんでな」
その異様な光景の2人に、遠巻きながら群集が集まり出す。スペックは懐から銀色の物を取り出した。
「日本モ最近ハ物騒ダナ・・。コンナ物ガ簡単ニ手ニ入ッタヨ」ロシア製ピストル、トカレフだった。

40 名前:39の続き:03/01/05 16:58 ID:OkgGzdpN
銃口をゆっくりと達人に向けるスペック。「スペック、ぬしゃあ・・」冷や汗が流れる達人。
自分一人なら銃弾を避けることは出来る。スペックの銃の腕が自分の技量を超えてない限り。
しかし、流れ弾で何人の被害者が出るか・・。「心配スンナ。アンタトノ闘イニハツカワナイ」
ほっとする達人。しかし、その銃口は下ろされず、ゆっくりと群集の方に向けられた。
「え、マジかよ」「テレビの撮影?」ざわめく群集。しかし、逃げようとする者はいない。
「セルフディフェンスノ出来ナイ国民ダナ」スペックは笑うと、トリガーを無遠慮に引いた。
パンパンパン・・。乾いた音がこだまする。その時、群集は初めて異常事態に気づいた。
逃げる者、その場に立ち尽くすもの、へたり込むもの、銃弾により地に伏せるもの。パニック。
「スペック、ぬしゃあ、ぬしゃあっーー」怒りに我を忘れスペックに飛び掛る達人。
全てはスペックの思惑通りの展開である。

41 名前:40の続き:03/01/05 17:10 ID:OkgGzdpN
そもそも、合気柔術という物、自分から仕掛けるものでは無い。相手の力を利用し、投げ、
関節を決め、敵を制する。勿論、達人クラスとなれば攻撃する術はいくらでもあるが、
自分自身が冷静であることが前提となる。だが今、達人は自分も己の技も怒りに忘れていた。
スペックが空になったトカレフを達人に投げつける。すんでの所でかわす達人。しかし、
そのあごへスペックのショートアッパーが滑り込んでいた。小柄な達人は宙に舞い、回転する。
いつもの達人が食らう技ではない。それ程、今の達人は冷静さを欠いていた。
「日本ノ警察ハ優秀ダカラナ。1、2分デケリヲツケナイトナ」スペックが構える。
オープンスタイルの、攻撃重視の構え。無呼吸連打の構えである。

42 名前:41の続き:03/01/05 17:25 ID:OkgGzdpN
構えから、一気に力を解放する。無呼吸連打。相手の体が屍と化すまで止まらない技。
アッパーでダメージを受けた達人の体は、じりじりと交替し、壁際に追い詰められる。
ガシガシガシ・・。肉を打つ音が響き渡る。しかし、達人は反撃しようとしない。
いつもの達人なら、このくらいのスピードは捌いて投げつけるはずである。
バキッ。(こいつら5人は、柳と近しい力を持つ)ドゴッ。(即ち、ワシと互角以上の力)
グキッ。(無傷で勝てるなんて思っちゃいない)ボコッ。(こんな打撃を返したところで倒せない)
ガキッ。(それに、ワシのせいで、罪な無き人たちが死んだかもしれん)達人は悔やんでいた。
こんな街中で始めてしまった事に。自分たち以外は狙わないだろうと思った甘さに。
その罪の償いの気持ちのため、わざと受けている、という部分もある。
しかし本当は待っているのだ。スペック最強、最速、最大、そして最高の打撃を。

43 名前:マロン名無しさん:03/01/05 17:36 ID:???
(・∀・)イイ!ガムバレ!

44 名前:42の続き:03/01/05 17:36 ID:OkgGzdpN
達人の技術が、スペックの狂暴な打撃を最小の力に軽減していく。それでも自由の女神を叩き割る
スペックの打撃である。ダメージは達人の小さな体に蓄積されていく。達人は賭けに出た。
「こんな豆鉄砲いくら食らってもワシは倒せんのう」打たれながらスペックに言った。
「ほれ、逃げたほうがいいんじゃないか?警察が来るぞ」警察など物の数では無い。
しかし、獲物を仕留め損なうのはスペックのプライドが許さなかった。スペックの攻撃が止まる。
そして、腰を落とし、右拳を構えた。先程の多撃必殺とは違う、空手の中段突きに似た構えである。
「一発デ決メテヤルヨ、ジイチャン」勝利を確信するスペック。しかし、スペックは知らなかった。
合気という技を。渋川剛気という男の奥深さを。

45 名前:44の続き:03/01/05 17:55 ID:OkgGzdpN
力を溜める。そして、拳に十分に力が乗るよう、そのまままっすぐ突き出す。基本に忠実な正拳突き。
勿論、スペックは空手など習っていない。本能的にこの構えが一番効果的と分かっているのだ。
ほんのゼロコンマ数秒。達人にとっては十分な時間である。拳が自分に向けて到達する刹那。
(こいつじゃあ)スペックの拳に、達人の掌が合わさる。スペックの力を反射し、自分の力を上乗せして返す。
合気。現在、達人しか出来ぬ技。スペックは地面と平行に吹き飛ぶ。5メートル先、後ろのベンツにぶつかった。
(何ガ起コッタ?)呆然とするスペック。自分の右手を見て驚愕した。拳も、ひじも、肩も、ぐしゃぐしゃになっている。
ゆらり、と達人が近づく。生まれて初めて味わう恐怖に、スペックはパニックになっていた。
「殺しはせん。しかし、これが敗北じゃよ」そういってふわり、と飛んだ。次の瞬間、達人のかかとが全体重をのせ、
スペックの喉元に突き刺さっていた。達人、勝利。しかし、疲労が極にたっしたのか、その場に座り込んだ。
「あーーしんど。あと4人か。柳ぃ、待っとれよお」−−−−−死刑囚、残り4人。スペック、リタイヤ。




46 名前:マロン名無しさん:03/01/05 18:12 ID:SW1Hztwm
ドリアンの前に突然として現れたのはなんと猪狩だった…
猪狩「やぁ、話は聞いている。君がドリアンかい?」
ドリア「…??誰だ?最初の五人の中にはいなかったはずだが?」猪狩「堅い事、言うなぁ。プロレスじゃあこんな事当たり前の乱入だよ。」
その瞬間ドリアンが猪狩目掛け左のストレート放った!その時

47 名前:46のつづき:03/01/05 18:26 ID:UXv91t3a
ドリアンの猪狩に向けて放った拳はすっぽりとグローブのような手に吸い込まれた。その手は猪狩の手ではなく2メートル以上はある大男の手だった…
猪狩「あんたが戦闘不能にしちまった花山の代わりだ!やるのはもちろん俺じゃあ無い!後ろのこいつさぁ」
猪狩は長い顎を伸ばしにんまりと笑う。後ろの大男は深々とキャプを被っていた。
ドリア「ルール違反だ…」
大男「この死合いにルールなんてねぇはずだぜぇ」
大男は言い終わる瞬間にドリアンにラリアットをブチこんだ

48 名前:47のつづき:03/01/05 18:50 ID:Mgdsw+vs
大男のラリアットを喰らったドリアンは一回転してコンクリートにはいずくばった。
大男「ラリアットを喰らうの初めてかい?」ドリアンは初めてのラリアットの痛みに酔いしれていた
(これが…)
猪狩「今日はこれまでだ…こいつには仕事があるんでな…」
ドリアンが起き上がった時にはもう二人の姿は無かった

49 名前:マロン名無しさん:03/01/05 19:57 ID:???
めっちゃ(・∀・)イイ!

50 名前:マロン名無しさん:03/01/06 00:57 ID:???
良スレsage
(*゚∀゚)=3

51 名前:48の続き:03/01/06 01:21 ID:???
もう、5対5等という事態では無かった。地下闘技場戦士の一人、花山薫は再起不能である。
最強のはずのチャンピオン、バキさえ敗れている。達人はスペックを破ったとはいえ、その際
民間人4人が重軽傷を負っている。死者が出てもおかしくない状況である。
光成は信じていた。バキを。花山を。独歩を。烈を。そして渋川を。しかし、現状は圧倒的な
死刑囚有利である。いや、これはもはや戦争であった。(脆すぎる)光成は思った。
確かに、地下闘技場戦士は格闘家としては最強であろう。しかし、型にはまり過ぎている。
空手という型に。柔術、任侠、中国拳法という型に。無手勝流のバキですら、死刑囚から見たら
枠にはまっているだろう。なんでもありの戦争。その闘いにおいて、死刑囚は圧倒的に慣れている。
(毒を以って毒を制す、か)光成は思った。民間人に被害が出ている以上、もはや猶予はない。
彼は決めた。警視庁の園田警視に依頼し、6番目の死刑囚、オリバを使うことを。

52 名前:マロン名無しさん:03/01/06 01:25 ID:qTNbQVwG
(・∀・)イイ! 今の板垣のヘタレバキより100倍イイ!

53 名前:マロン名無しさん:03/01/06 01:38 ID:???
なんで花山が負けてるんだよ、ダボがァ
泣けてくるよ

54 名前:マロン名無しさん:03/01/06 02:05 ID:qTNbQVwG
面白い。でも、最後までいくのか?このレベルのままエンディングを迎えたら
1は神。途中でバックれたり、つまらないネタスレになったらクズ。

55 名前:マロン名無しさん:03/01/06 05:10 ID:2F83gkgw
パオ〜〜〜〜
花山さんだけは再登場させてくれよぉ〜
あと、強化ジャックも待ってるぜーー!

ガンガレ。心底応援してる。

56 名前:マロン名無しさん:03/01/06 06:47 ID:K4afruOQ
オリバキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
スペック対達人はかなり感心しますた。
確かに合気ならばスペックを倒せるかもな、と。
あとドイルもカッコ良くして下さい。


57 名前:高二:03/01/06 10:05 ID:LmQ66Laq
>>46>>48
までは俺が描いちゃいました!f^_^;
>パオさん邪魔してすいません

58 名前:片平恒夫巡査(34):03/01/06 10:23 ID:BIh32MAV
避けると思ったか……ですって?花山がですか?
ん〜〜〜……
やはりアナタ方はわかってない 花山薫という人物を……

そりゃああいう状況になったら 普通は自分の身の安全を図るのが自然だわ
普通はね
でもこれは花山薫の話でしょ

手で払ったんですな 私をかばって……いや迷った様子は全然なかったですよ

警官の私が言うのもなんですが……
尊敬しますね 人間として……

「ドリアンを追え」と言ったんですよ 
ええ 目を焼かれていたことは確かです
それが花山薫なんですねェ…………

59 名前:マロン名無しさん:03/01/06 10:34 ID:2gZ18v/y
俺も割り込みたいけど、やめとく。レベル高いよ、ぶち壊したくない。

60 名前:松尾直人警部・補(38):03/01/06 10:35 ID:OdcCuJgc
動けなかった?いや、動かなかったんでしょう。我々をかばって。花山薫という男…男…いや、「漢」ですね…立ってたんですよ、硫酸を顔面に浴びて…仁王立ちってやつですか?圧巻というか日頃は敵対しているヤクザなのにね…いや、尊敬してるし感謝してますよ…

61 名前:一尺八寸 尽:03/01/06 11:03 ID:???
オレの考えた新キャラ死刑囚沢山いるんだが、バキの世界にあうかな?

62 名前:マロン名無しさん:03/01/06 11:48 ID:Y5j/Jspj
試しに何人か書いてみそ


63 名前:マロン名無しさん:03/01/06 14:45 ID:FUg4vmyt
スペックだけは、原作の花山戦が良かったから、モロすぎる気分。
マンガに直したら、丁度いい長さになる感じかもしらんけど。

64 名前:パオ:03/01/06 15:04 ID:tPcCXkz0
55さま 花山でますよ。おいしい役で復活。ただ、リレー小説だからどうなるか
     わかりませんが。
57、59さま どんどん参加して下さい。俺10日から仕事なんで書き込む量が減るかも
        知れないし。

    しかし、俺ががんばれといわれたのは初めてだな。辞典スレでは叩かれたし。

65 名前:51の続き:03/01/06 15:23 ID:tPcCXkz0
不思議な光景が広がっていた。達人とスペックの死闘から2日後。新宿公園の深夜。
2人の男が、ベンチに腰掛けた1人も男の前で睨みあっている。2人の男は一触即発である。
「退いてくれんか」「あの男は私がやるっ」その光景を見て、ベンチの男はニヤニヤと笑う。
・・・5分前の事である。睨みあっている男の1人と、ベンチの男が立ち合おうとしていた。
「決着をつけようかのお、柳」「3度目の敗北に生き残りはないぞ、渋川・・。」
始めようとする達人と毒手。しかし、その緊張を怒声が切り裂いた。
「待て、シブカワ。その男は私の獲物だっ。そいつは中国拳法を嘗めたっ」魔拳・烈海王である。
「くくく・・。これは面白い。では、私への挑戦権を賭けて2人でやりあってもらおうか・・」

66 名前:65の続き:03/01/06 15:35 ID:tPcCXkz0
「まさか2人で私を嬲り殺すつもりではあるまい。それに、私はお前達に勝っている・・。
 渋川、長年の決着を2対1でつけるかね?烈クン、中国拳法はそんな誇りのない物かね?」
挑発と解かっている。しかし、武道家2人が欲しいものを得ようとする時、話し合いはあり得ない。
「譲ってくれんか、烈さん。長年の因縁があってのう」「シブカワ、退くのはあんただ。譲る気はないっ」
何時の間にかベンチに腰掛けてタバコを吹かす柳。「両手に花とはこの事だな。やらないなら帰るぞ」
その一言で、達人と烈が臨戦体勢に入る。達人VS烈海王、死闘開始である。

67 名前:66の続き:03/01/06 16:07 ID:tPcCXkz0
勝てないだろう。達人は思った。自分は対スペック戦において、尋常でないダメージを受けている。
しかも、相手は万全の状態である烈海王。ベストの状態の自分ですら、勝算の見えない相手である。
正直、柳とは刺し違える覚悟でここに来た。だが、万が一烈に勝てても、連戦で柳に勝つとは思えない。
(ならばいっそ、味方同士で戦力を削りあうよりも烈に任せたほうが・・)迷い。達人らしくない。
そこへ烈の対克巳戦で見せた神域の突きが飛んできた。遠慮も迷いもない、絶望的な力を秘めた掌である。
達人はバックステップで突きの間合いをかわし、手首を決める。「なにいっ」烈がうめく。
そのまま勢いを利用し、空中へ放り投げる達人。空中でさかさまになる烈。烈のアゴを掴み、そのまま
叩きつけようとする達人。もがく烈。しかし、達人はアゴをとらえたまま離さない。
地上まであと5センチ。達人は勝利を確信した。確かに、いつもの達人ならそうかもしれない。
だが、今はダメージの蓄積によりスピードが鈍っていた。叩きつけられる瞬間。烈の右足が唸る。
烈の頭頂部が地面にぶつけられると同時、達人の顔面に烈の右つま先蹴りが決まったのである。
相打ち。この攻防だけ見れば達人の勝ちかも知れない。しかし、達人の勝利へのワンチャンスは潰えた。 





68 名前:67の続き:03/01/06 16:24 ID:tPcCXkz0
(恐ろしい男だ、シブカワ。中国拳法4000年の中でも、これほどの技量の持ち主はそうはいまい)
烈の視界が揺らぐ。相打ちに持ち込んだとはいえ、脳へのダメージである。闘いに支障はまぬがれない。
(もし万全な状態なら)そう一瞬思ったが、烈はすぐその考えを打ち消した。闘いとはこういうものである。
一方、達人。(ダメだ、こりゃあ)全てを賭けた投げであった。しかし、相打ちに持ち込まれた。
肉体のダメージは烈の蹴りにより臨界点を超えた。鼻血が止まらない。(だが、逃げねえよ。武道家だあ、俺は)
構えを取ろうとする達人。しかし、眼前に思いも掛けない光景が広がった。門である。(こりゃあ、アカンわ)
最大トーナメント対ジャック戦。危険への門。しかし、何故闘いの途中に。民間人を巻き込んだ為であろうか。
その時、烈の構えが変わった。今までの剛拳でなく、ゆっくり、ゆらりとした構えに。太極拳のようである。
達人の相手の力を利用する技に対応するために。(烈・・。お互いベストの時やりたかったなあ)その時。
ゆっくり、ゆっくりと、まるでコマ送りのように、烈のコブシが近づいてきた。


69 名前:68の続き:03/01/06 16:49 ID:tPcCXkz0
鍛えぬかれた烈のコブシが、ゆっくり近づく。後、30センチ、25センチ、20センチ・・。
達人はぼんやりと死刑囚が13階段を登るときはこんな心境かな、と思っていた。
もはや、達人の肉体は闘いの場において闘いを忘れるほど限界にきている。あと3センチ。
そこでピタリと止まるコブシ。本能的に手首を取る達人。「烈う。後は頼んだぞ。必ず柳を」
そう言った瞬間、爆発的なスピードを帯び、加速するコブシ。ワンインチパンチ。発剄とも呼ばれる技。
達人は吹き飛んだ。目を閉じる烈。しかし、達人はゆっくりと立ち上がる。そして言った。
「甘いの、烈。止めもさせんか。それでは柳に勝てんぞい」もはや、立てる状態でもあるまい。
烈は達人に向けて一礼をした。そして・・・。もう一度、神域の突きが放たれた。達人、リタイヤ。
ほんの数秒、倒れた達人を見る烈。複雑な表情。しかし、ベンチを振り返った時には鬼神の如き顔になる。
だが・・。そこに柳はいなかった。既に逃走していたのである。達人も烈も、柳の手の上で遊ばれていた。
闇夜に咆哮する烈。またも、またも・・。そのとき,既に柳は新宿公園より数百メートル離れたところにいた。
「くくく・・。中国拳法か。恐ろしいな。しかし、見切った」・・この一戦は、柳に自信を与えただけであった。

70 名前:パオ:03/01/06 17:11 ID:tPcCXkz0
疲れた。次回予告。ドリアン対克巳。→ドリアン対H。多分それでドリアン編は終わり。
誰かつないでくれればまた違うお話になります。

71 名前:マロン名無しさん:03/01/06 18:20 ID:BIh32MAV
えっ……ドリアン対範馬ファミリー!?

72 名前:マロン名無しさん:03/01/06 18:23 ID:u4UHFBe+
Hってなんだ?

73 名前:マロン名無しさん:03/01/06 18:27 ID:u4UHFBe+
まさか烈vs渋川とは・・・
板垣より全然(゚∀゚)イイ!!
今後に期待!!!

74 名前:マロン名無しさん:03/01/06 18:43 ID:???
バキvs梢戦に乱入に決まってるだろ!

75 名前:マロン名無しさん:03/01/06 18:56 ID:???
>>69
柳の逃走はよめんかった。
(・∀・)イイ!

76 名前:マロン名無しさん:03/01/06 18:58 ID:???
>>70
Hは花山のHか?

77 名前:マロン名無しさん:03/01/06 19:04 ID:???
>>75
逃走するにしてもヘタレてやったわけでないしね。

なんという良スレ!

78 名前:マロン名無しさん:03/01/06 19:29 ID:???
うーんでもォ、「こっちは二人がかりだぜ、カカカ」のない渋川さんなんてヤ!!

79 名前:マロン名無しさん:03/01/06 19:58 ID:Y0Z7CvPZ
達人が達人が達人が・・。面白いけど。
死刑囚編が終わったら第2回最大トーナメント編やってくれ、パオ。
そこでもう一度ベストの状態での達人と烈の闘いを頼む。

80 名前:マロン名無しさん:03/01/06 20:41 ID:Y0Z7CvPZ
セックス編はあるかな?

81 名前:マロン名無しさん:03/01/06 21:44 ID:RkamPdlE
猪狩はふと先日抱いた女の話を思い出していた…女「そういえば、社長の話してた男に似ている人を歌舞伎町の風俗店で見たって私の仲間が言ってたわよ?」
猪狩「やはりかぁ…(死刑囚といえど性欲はある…俺の考えは当たっていたか…)すまなかったねぇ、チップだぁ!!」
女「ああぁぁあん!!すごいぃ!!」
猪狩は囚人を見つけるために人間の性欲を利用した風俗店の集中している歌舞伎町に情報網をしいたのだ…そしてその作戦は成功した…

82 名前:マロン名無しさん:03/01/06 22:08 ID:dTee6pB6
風俗女:ナツミ(24)      え?最初?すごい大きい人だなぁって思いましたぁ。怖く?…はなかったです、何か抱擁感っていうか…そんな感じがあったかなぁ。プレイ?女刑事に虐められるっていうプレイなんですよ!すごく可愛くて…ふふふ!
え?協力ですか?いいですけどぉ………

83 名前:91のつづき:03/01/06 22:58 ID:RkamPdlE
歌舞伎町に妙に溶け込んだシコルがそこにはいた…フラリと行きつけの店に入ったのは少し酔いが回り気持ちも良くなっていた
シコル「ナツコをたのむ」
シコルはいつもの様に独房のあるソフトSMの部屋に入った、そこには女刑事の姿をしたナツコが座っていた
ナツコ「いやっしゃいませぇ、いつも指名してくれてありがとぅね!」
ナツコは自分の与えられた任務に怯えながら精一杯の演技をした歌舞伎町に妙に溶け込んだシコルがそこにはいた…フラリと行きつけの店に入ったのは少し酔いが回り気持ちも良くなっていた

84 名前:マロン名無しさん:03/01/06 23:01 ID:LmQ66Laq
>>83は失敗しました。91のつづきになってるし…本当にごめんなさいm(_ _)m

85 名前:81のつづき:03/01/06 23:03 ID:LmQ66Laq
歌舞伎町に妙に溶け込んだシコルがそこにはいた…フラリと行きつけの店に入ったのは少し酔いが回り気持ちも良くなっていた
シコル「ナツコをたのむ」
シコルはいつもの様に独房のあるソフトSMの部屋に入った、そこには女刑事の姿をしたナツコが座っていた
ナツコ「いやっしゃいませぇ、いつも指名してくれてありがとぅね!」
ナツコは自分の与えられた任務に怯えながら精一杯の演技をした

86 名前:マロン名無しさん:03/01/07 00:19 ID:UEKrZRlD
どーなるんだ??

87 名前:85のつづき:03/01/07 00:50 ID:3RaE4lvz
ナツコはシコルに独房を背に立たせ、手を後ろにしてオリと手が絡まる様に手錠を架けた。ナツコ「少し待っててね、今日はゲストがいるの!」シコル「誰だい?」ナツコ「楽しみにしてて!」
ナツコは走るようにしてプレイルームを出た、3分立たないうちにプレイルームの扉が開いた。ガチャ……
シコル「以外に早かっ…!!」
猪狩「よぅ、ゲストの登場だぜぇ拍手で迎えてくれよ…」猪狩と大男がニヤニヤと薄い笑みを漏らしながらプレイルームに入ってきた

88 名前:マロン名無しさん:03/01/07 01:12 ID:???
キタ Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!

89 名前:87の続き:03/01/07 05:22 ID:2FQ8y11x
シコルと猪狩達が意外な場所で対面していた同刻。新宿の夜の喧騒を、1人の外人が歩いていた。
夜遊びの女子高生やOL、夜の女達がつい振り返るほどの美形。すらりと伸びた手足、引き締
まった肉体。端正なマスク。その男は喧騒を抜け、彼には不釣合いな建物に入っていった。
「神心会館」。世界規模の空手団体。「武神」と呼ばれる男が一代で作り上げた、最強の空手集団。
およそ、その男のルックスとは似つかぬ場所である。「スミマセン、見学シタイノデスガ」
流暢で丁寧な日本語で、事務兼受付の女性に声を掛ける。一瞬、彼に見とれる事務員。あわてて
言った。「現在ですと、白帯から茶帯のクラスが練習しております。案内しましょうか」
「エエ、お願イシマス」ニコリと笑う美形。そのまま、彼女に案内される。道場に入る男。
丁寧に一礼も忘れない。「そうだ、お客様。お名前を聞いてませんでしたね」女性事務員が聞いた。
ニヤリと笑う男。その瞳に凶悪な物を宿して。「ドイルト申シマス」・・地獄の夜の始まりである。

90 名前:89の続き:03/01/07 05:32 ID:2FQ8y11x
館長室にて。愚地独歩は腕組をしながら考えていた。無論、死刑囚の事である。
柳、ドイル、シコルスキー、ドリアン。こちらは花山と渋川を既に欠いている。どうするか?
その時ドアがノックされた。「館長、お茶をお持ちしました」「おう、ありがとよ。」先程の
事務員である。「何か、変わったことはあるかい?」「いいえ、別に。そうだ、外人の見学者が
いらっしゃいましたよ」世界規模の空手団体である。外人見学者など珍しくも何とも無い。
「なんでえ、余程いい男なんだな、里美ちゃん。オイラとどっちがいい男だい?」おどける独歩。
しかし、次の事務員の一言で独歩の顔色が変わった。「館長には適いませんが・・・素敵な方ですよ。
ドイルさんとおっしゃる、イギリスの方です」・・・独歩愛用の湯飲みが床に落ち、パリンと割れた。

91 名前:90の続き:03/01/07 05:48 ID:2FQ8y11x
「ドイル?確かにドイルといったんだな?」独歩のあまりの語勢に、怯えながら答える事務員。
「え、ええ。今、高木指導員の茶帯以下のクラスを見学しておりますが・・。」涙目になっている。
椅子から飛び起き、館長室から駆け出す独歩。「いいか、その道場には誰も近づけさせるなっ」
まさか・・。いや、偶然の一致に決まっている。天下の神心会本部に乗り込んでくるなどある訳が・・。
道場に入った瞬間、独歩は立ち尽くした。血の海。地獄絵図。どんな言葉も間に合わぬ地獄があった。
30人余りの練習生が全員、鋭い刃物のような物で斬られている。しかも、急所をはずしながらも、大量の
出血を伴うように。ある意味神技とも言えた。視線が壁で止まった。血文字で大きくこう書かれていたのだ。
WELCOME TO HELL,NEXT YOU DOPPO OROCHI(ようこそ地獄へ。次はおまえだ、愚地独歩)  

92 名前:パオ:03/01/07 05:59 ID:2FQ8y11x
81〜87を書いてくれた方、ご協力多謝。少しづつ盛り上がってきて嬉しい限り。そうか、
新宿の風俗街か。気付かなかったなあ。所で、私は独歩とドイルを出しました。ドリアン編の
後のメインキャラはこの2人になる予定。期待しないで待っててください。
原作では柳、シコル、ドイルは雑魚キャラになりましたが、このスレではヘタレないようにしましょう。


93 名前:マロン名無しさん:03/01/07 08:25 ID:???
とりあえず、もうちっと改行を何とかしてくれ。
非常に読みにくい。

94 名前:マロン名無しさん:03/01/07 09:53 ID:uNw9qaGE
クソスレ UZEEEEEEEEEEEEEEEE
ツマラン小説 UZEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE
消え失せろパオ、ツマランスレ立てんじゃねーーーーーーーYO

95 名前:マロン名無しさん:03/01/07 10:33 ID:xoc77P4T
≫94 テメェが失せろ!!

96 名前:マロン名無しさん:03/01/07 11:21 ID:N/Gs7e4d
>>95さん、まぁまぁどうせ>>94は誰にも相手にされないひきこもりなのでシカトしていきましょうよ

97 名前:高二:03/01/07 11:37 ID:8HC9QZPk
>>87のつづき
シコルは一瞬にして猪狩達が敵だと本能で察知した。
シコル「誰だ?」
大男「まぁ、お前さんと変態プレイを楽しみにきた客では無いことはたしかだよ…」
猪狩「いや、ちょっと過激なプレイなら楽しみに来たはずだ。」
屈辱的なシコルの姿に猪狩と大男はニヤニヤと笑み浮かべていた
シコル「君達は今、私より優勢に立っていると思っているのか?だったら間違えだ、この様な玩具の手錠など……!!こ・壊れない!!?」
猪狩「特殊合金でな、象が踏んでも壊れねぇよぉその手錠は!」
シコルの顔から余裕が消えた

98 名前:97の続き:03/01/07 15:55 ID:pBAjY+9u
神心会は、2人の男を総力を挙げて捜していた。その数、400人。行方を追う2人の男の名。
1人は、最凶死刑囚の一角、ドリアン。そしてもう1人は病院を抜け出した男、花山薫であった。
愚地克巳は焦っている。おそらく、花山は己の誇りを取り戻す為、ドリアンを追っているのだろう。
だが、並みの人間なら瀕死の重傷である。左手首はかろうじて繋がっているだけだ。失血は多い。
強酸に拠り左目は完全に塞がり、開いている右目ですらぼんやりと見える程度であろう。
そんな状態で、まさかドリアンと・・。いや、花山なら闘いを挑む筈である。闘った自分なら分かる。
克巳はどうしても、ドリアンか花山を見つけなければならなかった。花山とドリアンが出会うより早く。
状況は既に克巳の知らない所で大きく動いていた。神心会はドイルに襲撃されている。猪狩とシコルは
一触即発の状態である。達人は戦線離脱。全ては不吉な方へゆっくりと動いていた。
その時、一人の門下生からの携帯が鳴り響いた。「若先生、いました。ドリアンです。応援頼みます」

99 名前:98の続き:03/01/07 16:14 ID:pBAjY+9u
ドリアンは意外な場所で見つかった。ドリアンと花山が最初に立ち会った場所、新宿ゴールデン街。
その場所に彼は留まっていた。大切な思い出を愛でるように。だが、思い出の場所も今は地の海である。
神心会十数人が倒れていた。中には手首、足首の無い者もいる。克巳は到着するなり、吐きそうになる。
「てめえはもう・・生かしちゃおけねえよ」激高する克巳。ドリアンが振り返る。つまらなそうに言った。
「君か・・。裏ルートから最大トーナメントとやらのビデオを手に入れたよ。武神・愚地独歩氏の後継者。
 確か・・。花山君程度にやっと勝てたんだったな。そんな君が、私相手にどうしようと?」
かっとする克巳。しかし、すぐに自分をいさめる。(安い挑発にのんな、克巳)そして、構えを取る。
愚地克巳最大最強の技、音速拳の構えである。

100 名前:99の続き:03/01/07 16:24 ID:pBAjY+9u
音速拳の構えのまま、じりじりとにじみ寄る克巳。(大丈夫だ、この技を破れる訳がねえ)
射程距離まであとわずか。火炎などの飛び道具にだけ気をつければいい。烈の敗戦から、
自分は確実に成長している。アラミド繊維を使おうが、音速の技には関係ない。一瞬で決める。
しかし、ドリアンは顔色を変えない。つまらなそうに克巳を見ているだけである。
あと、ほんの数センチで射程に入る。「音速拳か・・。既に破れた技を私に使うとは・・。」
射程ゼロ。構えから音速のコブシが放たれる。しかし・・。克巳の眼前で、信じられない光景があった。
音速で放たれたはずの拳の、手首をドリアンがしっかりと掴んでいたのである。
「ふん、音速とはいえ、当たった瞬間コブシは一瞬止まる。そこを捕らえればいい・・。」


101 名前:マロン名無しさん:03/01/07 16:48 ID:???
手首を万力のような力で締め上げられ、克巳の顔色が痛みで青くなった。
ドリアンは興なさげにつぶやいた。
「まったく、この程度の男に破れたとは……弱いわけだよ、花山薫……」


          ゴッ


最後まで言い終わらないうちに、ドリアンの顔がひしゃげた。克巳が、つかまれて
ない方の手で殴ったのである。
(バカなッ……この私が、捕らえ切れんとは)
体勢を立て直す間もなく、克巳の二本貫手が風切り音をたてて迫ってきた。
左目に激痛が走り、思わずつかんでいた手を離した。
(やられたっ……フェイントでもなんでもなく本気でえぐってきたっ……
 ちがう……烈海王に瞬殺された愚地克巳じゃない!!この男に、一体なにが)



102 名前:マロン名無しさん:03/01/07 16:49 ID:???
>>92
「このスレではヘタレないようにしましょう。 」
名言だ。額縁に入れておこう。

103 名前:パオ:03/01/07 16:59 ID:uNw9qaGE
102>そう、このスレ唯一のルール。それは「死刑囚を悪く、強く、カッコ良く」
   それさえ守ればどんな人も参加OK。

104 名前:パオ:03/01/07 17:14 ID:uNw9qaGE
ドリアンから余裕の表情が消える。明らかに格下と思える男が、実は花山に劣らぬ
獅子であった。ビデオで見た甘さは微塵もない。自分と闘う資格は十分にある。
「くくく。化けたな、愚地克巳。では、私も正体を明かそうか」ゆらりと構えるドリアン。
中国拳法?克巳の脳裏に不吉な物がよぎる。烈との敗戦の記憶である。「あんた、まさか・・」
「そう。私の闘いのベースは中国拳法にある。烈くんの前・・先代の海王だ」
克巳は一瞬で金縛りに遭う。もし本当だとしたら、俺は適わない。空手は、適わない・・。
その時、ゆらりとした構えからドリアンが高速で動いた。剄打、中国憲法の打撃である。

105 名前:104の続き:03/01/07 17:27 ID:uNw9qaGE
吹き飛ばされる克巳。その脳裏に、幼い頃聞いた父・愚地独歩の声が響いていた。
(俺はな、克巳。コブシの握り方ですら、これでいいのかと何十年考えてるんだよ)
(駄目だよ、親父。どれほど研究して練習しても、空手は中国拳法に適わない・・)
ドリアンの剄打が克巳に雨あられと突き刺さる。(このまま死んじまうのかな、俺)
「つまらん・・。少し見直したらと思ったら。遊びは終わりにしよう」ドリアンの拳。
顔面への剄打。脳と顔面を同時に破壊する技。まともに食らえば、死か、障害者。
だがその時、克巳の肉体が無意識に反応する。上段受けである。空手の基本中の基本。
「何っ、そんな技で私の剄打を」そう叫んだドリアンヘ、克巳の正拳アゴ打ちが突き刺さった。

106 名前:104の続き:03/01/07 17:40 ID:uNw9qaGE
上段受け。正拳アゴ打ち。裏拳顔面打ち。裏拳廻し打ち。手刀脾臓打ち。内受け。
横蹴り。廻し蹴り。前蹴り。外受け。・・そして、正拳中段突き。全て、基本。
空手に入門した際、一番最初に教わる基本。なんでもない技の数々である。
しかし、それが俺を救っている。海王と互角に闘わせてくれている。克巳は泣いていた。
派手な技ばかり追求する自分の愚かさに。独歩への感謝に。そして、空手の奥深さに。
(そうだ、俺が烈に負けただけだ。空手は中国拳法に負けちゃいねえ)
互角。全く互角の攻防。おもむろにドリアンが距離を取った。次の瞬間、克巳は炎に包まれた。


107 名前:マロン名無しさん:03/01/07 17:50 ID:NFtzRgXQ
「くおォッ」
ドリアンがうめき、揺らいだ。克巳が、異様に座った目でこちらを見つめている。
ドリアンは引きつり笑いを浮かべた。
「間をおかず攻撃してくれば、まだ何とかなったかもしれんものを……
 キミは最大にして最後のチャンスを失ったッッ」

構わず、正拳を繰り出す克巳。
「音速拳は効かんというのがわからんかッ」
手首をつかむ。克巳は動じない。つかまれた腕をこころもち持ち上げ、
拳を手刀に伸ばしてドリアンの手首を強打した。

「ぐあァッッ」
そのまま腕を下に、ぐいと伸ばす。
ドリアンの手首は二重に痛めつけられることになった。



108 名前:パオ:03/01/07 18:00 ID:uNw9qaGE
107さま>これ以上同じシーンを2人で書くとおかしくなるから、任せるね。
     でも花山を出したかった。

109 名前:107:03/01/07 18:02 ID:NFtzRgXQ
ひえー、ごめんなさい。でもまあ、つながらないこともない……かな?

110 名前:マロン名無しさん:03/01/07 18:15 ID:???
私は一向にかまわん!

111 名前:マロン名無しさん:03/01/07 18:17 ID:NFtzRgXQ
ドリアンの猛烈な前蹴りを浴び、克巳はふっとんだ。
地に転がった克巳は、新たな人間がやって来たことを気配で知った。
「花山……さんッ……悪ィ……おせっかいしちまって……」
「…………ッッ」
「俺らに構うな、ドリアンを倒せ。それがアンタの望みなんだろ……」

顔の半分に包帯を巻いた姿で、花山は明らかに迷いの表情になった。
これだけの数のけが人を放って闘いに没頭するなど、たとえ自分の誇りが
かかっている場合でも、彼の信条が許さないのだ。

克巳は苦しい息の下から言った。
「俺があそこまでドリアンを追い詰めたられことに対し、感謝しなきゃいけない人間……
 親父と、アンタだ」
「!!」
「これ以上は言わねーよ、恥ずかしいから……
 感謝してるから言うんだ。俺らのことはほっとけ。ドリアンを倒せ」

112 名前:マロン名無しさん:03/01/07 18:30 ID:NFtzRgXQ
「すでに私に敗れた身で、何ができるというのだ」
ドリアンは片手首を押さえながら言った。
「あれは負けではない……とでも言いたそうな顔だな。
 結果的にキミはあれで戦闘不能になったのだから……」

ドリアンと向き合って花山薫は立っている。
不思議と、先日立ち会った時のような刺々しさはその表情にはない。
静かに熱い。そう形容したくなるような目をしている。

(両者とも片目と片手をやられてる……でも、やっぱり花山の方が
 本復してないぶん圧倒的に不利だ)
かろうじて意識を保ちながら克巳は思った。

花山がゆっくりと拳を握る。
「一撃にかける気かね」
ドリアンが迎撃の構えになった。



113 名前:マロン名無しさん:03/01/07 18:44 ID:ZgIHuvk4
(この男のパンチは体験済みだ。パワーは桁外れだが、決して一発では私は
 ダウンしない。そして、今の奴では一発きり打てまい)
そう思ったドリアンは、はっとした。花山が何事かをつぶやいている。

「足の親指から始まる関節の連動……親指から手首まで……」
克巳も息をのんだ。
「同時8ヶ所の加速の成功が、この奇跡を生む……だったか……」
(俺の、音速拳の説明―――!!)

花山の右拳が繰り出される。
(拳が、消え……)
次の瞬間、ドリアンの腹の部分が拳大の大きさにへこみ、ワンテンポ遅れで

         ドンッ

という音がした。


114 名前:マロン名無しさん:03/01/07 18:55 ID:uoW+FKjN
声もあげず、ドリアンは崩れ落ちた。
「ハハ……信じらんねェ……」
克巳は泣き笑いの表情になった。
(拳が音速を超えたから、接触よりワンテンポ遅れで音がたったってのかよ……
 スピードが上がればそれだけ威力も増すわけだが……超音速拳か……)

花山はゆっくりと膝をつき、倒れた。
その頃になり、ようやく警官が集まってきた。
「あ、アンタら……今まで何やってたんだよ……」
克巳はうめいた。

とにもかくにも、ドリアン、リタイヤである。

115 名前:マロン名無しさん:03/01/07 18:58 ID:soXgT03/
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116 名前:114の続き:03/01/07 22:11 ID:wsBUsUUY
克巳は悩んでいた。自分自身の不甲斐なさに。花山・渋川は各々死刑囚を倒している。
自分は何をしているのだろう。ドリアンを追い詰めたとはいえ、実際に倒したのは花山である。
この2人に才能で劣っているとは思えない。いや、センスだけ取れば自分が上の自信はある。
だが、自分には何かが決定的に欠けている。才能・センス・体格・技術より大事なものが。
光成も、それを感じて自分を最初の5人に入れなかったのだろう。
自宅に戻る。独歩が厳しい顔をして待っていた。「おめえ、昨夜何してた?」鋭い視線を投げかける。
克巳は知らない。昨夜、ドイルによる殺戮があった事を。「ガキじゃねえぜ、親父・・」
死刑囚の事は言いたくなかった。言えば、自分が惨めになる。独歩のコブシが克巳の顔面を襲った。
「てめえがふらふら遊んでる間になあ、こっちゃあ負傷者32名だよ、32名っ」
独歩も克巳がドリアンを追っていた事は知っている。だが、克巳には館長代理の責任が有る。
「上に立つ人間がそんなザマでどうすんだっ。花山に助けられて恥ずかしくねえのか?」
その一言が、何かを吹っ切れさせた。誰でもいい。自分より上の人間を倒す。それが、強くなる近道。
「親父。あんた破門の身だ・・。いつまでも俺の上をチョロつくなよ。そろそろ、あんた超えなくちゃ、
 俺はあいつらに一生勝てねえ・・。立ち合えよ」克巳の眼光が危険な光に満ち満ちていた。

117 名前:高二:03/01/07 22:21 ID:zb/QJGlr
>>115のつつぎ
ドリアンがリタイアをする十五分ほど前…大男が静かな口調で話し出した。
大男「敗北が知りたいんだって?…俺は常に負け役を演じて来た、総合格闘技の世界ではいつもね。まぁ全てのプロデュースは横にいる人何だけど…」
猪狩は薄笑いを浮かべている
猪狩「おしゃべりはここまでだ…」
シコル「そうは…」
グシャァ!
喋らせもしなかった、大男はプロレスの技で言えばトーキックをシコルの顔面にメリこませたのだった

118 名前:マロン名無しさん:03/01/07 22:23 ID:ng63LeQK
↑↑は>>117でした!

119 名前:116の続き:03/01/07 22:25 ID:wsBUsUUY
「本気か、克巳?」独歩の声が一段低くなる。いつか、こんな時が来ると思っていた。
 いや、同じ道を歩く親子同士。いづれ子は親を追い越すものである。それはいい。だが、
「おい、こんなときだぜ・・。改めろよ」独歩の声が優しくなる。だが、克巳は拒否した。
「こんな時だからだ。あんた超えなくちゃ、バキに、花山に、烈に、達人に、死刑囚に勝てねえ」
 それを聞いてすっと独歩の目が細くなる。その筋の人間は、怒った時この表情になる。
「するっていと何かい、オイラそいつらより下と思ってんのか、おめえは」声がまた低くなる。
「ああ」即座に肯定する。「あんたはバキ達より下だ」・・克巳は、もう戻れない、と思った。
「面白え、立ち合いに親子もクソもねえぞ。今夜午前零時、道場だ」15時間後である。

 その頃、園部警視はあるVIPを出迎えていた。死刑囚でありながら専用機を駆る男、
 ビスケット・オリバが来日したのである。

120 名前:高二:03/01/07 22:39 ID:ng63LeQK
>>117のつづき

シコル「っっぐぁ…っ!!」
何度も蹴った…シコルの顔面を何度も何度も足の裏で最も固い踵(かかと)で何度も何度も…まるで子供が空き缶をグシャグシャに潰して遊んでいるかの様にも見えた。
そう…大男は楽しんでいるのだ

121 名前:マロン名無しさん:03/01/08 00:10 ID:???
うわぁ!
シコルタンここでもヘタレないでぇ(;´Д`)

122 名前:マロン名無しさん:03/01/08 00:26 ID:nRGZBIvz
大男って誰だろ?

123 名前:マロン名無しさん:03/01/08 01:51 ID:/oB8pL4o
>>122
ゴルドーじゃねえの?
しっかしこのスレおもしれえな。
オレは無理だけど職人さんがんばって書き込んでくれ

124 名前:マロン名無しさん:03/01/08 06:58 ID:xgohPs+X
>>121->>122

オリジナルのキャラなんスけど、一応現実の世界の人間がモデルです!

125 名前:マロン名無しさん:03/01/08 07:12 ID:???
オリキャラがあんまりでしゃばるのは面白くないと言ってみるテスト
俺の考えたキャラってこんなにスゲーんだぜ!見たいにならないことを期待。

126 名前:マロン名無しさん:03/01/08 09:16 ID:h45vRBO/
>>120のつつぎ
永遠かと思われるほど続いた大男の蹴りは突然止んだ…
シコル「…っっっぺっ!!」水を吐く様に血を吹くシコル、歯が二本ほど飛んだ。
シコルもただヤラれているわけではなかった

127 名前:マロン名無しさん:03/01/08 10:06 ID:Fnl+Hdsq
死刑囚編をつくるつもりが、自分が死刑囚の板垣と小泉と甚田

128 名前:マロン名無しさん:03/01/08 11:08 ID:HcYhAQ2E
ば、ばきわ〜〜〜〜〜〜〜???

129 名前:高二:03/01/08 11:49 ID:cnR7mT+k
>>126のつづき

少しずつ手錠を擦り減らしていたのだ、人知を越えた強靭なシコルの指でこそできる技だった。
猪狩「降参かい?」
シコル「……あまり私をナメない方がいいのではないか?」
猪狩「ふん、いつまでその虚勢をはっていらるか…見物だな」
そう猪狩が言い終わった一瞬だった
ピシッ!渇いた亀裂音の後、猪狩の顔面から血が吹き出した。ブシュユー!!
猪狩「ぐぁぁああ!!なんだっ!?」
ムクっと起き上がるシコル、空手の'一本突き'という拳の握り方をしている。大男はやっと今の状況が理解出来た、シコルが猪狩を斬ったのだ!

130 名前:高二:03/01/08 13:10 ID:cnR7mT+k
>>129のつづき

血だらけの猪狩。シコルはすでに解き放たれた野獣の様になっていた…静かにそして獰猛に…猪狩の記憶を飛ばすまでに三秒かからなかった約8発のパンチで十分なほど、糸の切れた操り人形の様にだらし無く倒れた。
シコルの狙いはすぐさま大男へ移った、構える二人…一気に緊張感が高まった。……もう何十分過ぎたのだろうか、いやまだ5分もたってはいない。しかし二人にはその5分があまりにも長く感じられた…

131 名前:マロン名無しさん:03/01/08 14:59 ID:???
読み応えあるね〜ズッシリくるよ

続きドーソ

132 名前:パオ:03/01/08 17:06 ID:/OR0BK4B
高二さん、シコルは任せた。俺は柳と克巳、オリバをね。皆さん、しばらくは
2つ3つの話が平行するけど、付いて来てね。

133 名前:116と130の続き:03/01/08 17:22 ID:/OR0BK4B
シコルと猪狩が激闘を続けている頃。魔拳・烈海王と毒手・柳龍光が立ち合っていた。
神域の突きを繰り出す烈。しかし、柳はその動きに合わせ、自分も後ろへ飛ぶ。そして、
着地と同時に烈にダッシュし、毒手と並ぶもうひとつの切り札・空掌、真空手を放つ。
烈の顔面を柳の手が覆い、一瞬にして身体能力を奪う。ポツリ、と柳が漏らす。
「・・・これで、49勝目か・・。」その瞬間、目の前の烈の肉体が消失した。
リアルシャドー。己にダメージすら刻み込む、究極のイメージトレーニング。
次、自分と闘うのは烈だろう。前回、眼前で繰り広げられた烈海王対渋川剛気。
そこで見切った烈の戦闘能力を元に、柳はリアルシャドーを繰り返していた。
結果は・・49勝1敗。勝率98%。圧倒的である。しかし、柳は納得しなかった。

134 名前:133の続き:03/01/08 17:34 ID:/OR0BK4B
どれほど圧倒的な勝率であろうと、余程の実力差がない限り、闘いの場においては
殺るか殺られるかの2つに1つである。そして、自分と烈の実力差。寸分違わず五分と見る。
ただ、自分の方が烈の闘いを見た分、有利というに過ぎない。「2%の不確定要素、か」
今までの12畳のフローリングの部屋から、豪華な居間へと移る。新宿の超高級マンション。
高級シャンパン(クリュグ)を豪快にラッパ呑みする。一本7万である。キャビアを口へ運ぶ。
スプーン一杯500円である。「あんたも遠慮せずにやれよ。あんたの家だ」そばの老人に声を掛ける。
友人ではない。宿を探していた柳の目に止まった、哀れな金持ちの老人、いけにえである。

場所は移り警視庁情報管理室。二人の男がパソコンに向かっていた。
園部警視正と、死刑囚ビスケット・オリバである。



135 名前:134の続き:03/01/08 17:49 ID:/OR0BK4B
「勤勉なんだな。日本についてすぐ死刑囚のデータ収集とは」オリバは笑って答える。
「敵を知り己を知れば、って奴ダ」ウィンクするオリバ。死刑囚とは思えぬ、魅力的な笑顔。
 しかし、と園部は思う。オリバの腕周りを見る。成人男子のウエスト並みのボリューム。
 身長は高くない。175cmあるかないか。しかし、その体に張り付く筋肉は異形の域である。
「私はね、ソノベ」ぞくっとした殺気が始めて放たれる。やはり怪物は怪物である。
「自分以上の自由をむさぼる人間を、決してこの地上に許さない」地上最自由と呼ばれる誇り。
 その時、園部の元へ若い警官が走ってきた。「大変です、スペックが脱走しましたっ」
 園部は怒り、その警官を殴る。「何をやっとるんだ、貴様らっ」オリバがゆっくりと言う。
「行こうカ。園部。最初の獲物がスクラップの負け犬とは物足りガ、仕事ダ」
 陽気から妖気。オリバの目が、ハンターのそれに変わっていた。 

136 名前:135の続き:03/01/08 17:57 ID:/OR0BK4B
新宿アルタ前。手負いのスペックが暴れ狂っている。「ジジイハドコダ、ジジイハッ」
渋川は既に入院している。敗北による精神崩壊。しかし、銃で狙われぬように、
常に群集のに紛れ込む判断力は残っている。逃げ惑う群集。まるで虎が徘徊しているようだ。
園部とオリバが到着する。警官隊はスペックに壊滅状態にされている。オリバは言った。
「俺に任セナ。スグ終わル」そういって、ゆっくりスペックに近づくオリバ。
両手を大きく広げて、まるで長年の友人に再会するように。・・スペックが気付き、反応した。

137 名前:136の続き:03/01/08 18:13 ID:/OR0BK4B
「誰ダテメエハッ。ジジイハドコダッ」怒り狂い、オリバに突進するスペック。
 それでも、オリバは笑顔で両手を広げ、スペックにまっすぐ近づく。射程距離。
 スペックの左のストレートが何発もオリバへ決まる。利腕は達人に壊されたといえ、
 ヘビー級プロボクサー以上の破壊力である。それでもオリバは微動だにせず、前へ進む。
 そしてついに抱きついた。笑顔のまま。まるで友人同士のハグのようである。次の瞬間。
 ゴキ、ベキベキッ。スペックの背骨の砕かれる音が鳴り響いた。崩れ落ちるスペック。
 しかし、それを無理に捕まえると、方向を返る。オリバの視線の先には、園部がいた。
 「君は、ツマラン」ぶんっ、と右コブシが唸った。吹き飛び、転がり回るスペック。
 止まったのは園部の目の前である。(20メートルは飛んだぜ。人間じゃねえっ)
 一瞬、唖然とする群集。次の瞬間、拍手と歓声に包まれる。四方に礼をするオリバ。
 まるで、女王に敬礼するナイトのように丁寧に。(だが、目立ちすぎる・・。)
 

138 名前:マロン名無しさん:03/01/08 18:17 ID:GjmqpZQj
>>137のつづき

一方その頃…
こちらの均衡を破ったのは大男の左のミドルキックだった。
両手でブロックするシコル、しかし予想遥かに越える蹴りで後方に吹き飛ばされてしまった
そこから間髪入れず飛び出すシコル、まるで飢えたライオンが大型草食動物の喉元に噛み付く様だった
大男も俊敏な鰐(ワニ)の様に地面を這うような動作からタックルを狙いに行った

そしてその瞬間、偶然と偶然が重なったのだ

139 名前:高二:03/01/08 18:17 ID:SaBpK1E3
>>137のつづき

一方その頃…
こちらの均衡を破ったのは大男の左のミドルキックだった。
両手でブロックするシコル、しかし予想遥かに越える蹴りで後方に吹き飛ばされてしまった
そこから間髪入れず飛び出すシコル、まるで飢えたライオンが大型草食動物の喉元に噛み付く様だった
大男も俊敏な鰐(ワニ)の様に地面を這うような動作からタックルを狙いに行った

そしてその瞬間、偶然と偶然が重なったのだ

140 名前:パオ:03/01/08 18:18 ID:/OR0BK4B
今、気になってバキのコミックスを読み返した。「園部」ではなく「園田」だった。
次から直すんで、脳内変換してください・・。園田ファンの人、ごめんなさい。

141 名前:高二:03/01/08 18:20 ID:SaBpK1E3
>パオさま

すいません!ズラすのわすれてました!汗!読んで下さってる方々読みにくくして本当にごめんなさいm(_ _)m

142 名前:マロン名無しさん:03/01/08 18:36 ID:???
大男のモデルは誰?

143 名前:パオ:03/01/08 21:11 ID:/OR0BK4B
高二さま 全然いいですよ。でも、オリジナルキャラは一人にしてね。
     あんまり多いと収集つかなくなるから。
     後、皆さんに勝手なお願い。柳龍光は私に任せて下さい。
     柳は、死刑囚編の次のシリーズのメインになる予定です。

144 名前:139の続き:03/01/08 21:31 ID:/OR0BK4B
道場。克巳が正座して瞑想している。午後11時30分。約束の時間まであと30分。
成り行きとはいえ、親父と立ち合うことになった。はやる気持ちを抑える。
いつか、この日が来ると思っていた。養子となった日から。今日、俺は親父を超える。
ふ、と背後に気配を感じた。気のせいだろう。また目を静かにつぶろうとした、その時。
僅かな気配は急に膨れ上がり、巨大な殺気となる。慌てて後ろを振り向こうとする克巳。
その顔面に、強烈な前蹴りが炸裂する。「甘えな、甘すぎるっ」独歩であった。


145 名前:144の続き:03/01/08 21:44 ID:/OR0BK4B
「親父、あんたなんて卑怯・・。あんたが指定した時間だろうがっ」克巳が叫ぶ。
 痛烈なダメージである。愚地独歩の蹴り、並みの人間なら即死しかねない。しかも、不意打ち。
「甘えな、おめえ駄目だよ。とても立合いなんぞ出来る男じゃねえっ」独歩のコブシが唸る。
 正拳、貫手、エンピ、各種の蹴り。空手の頂点にいる男の技が次々と決まる。克巳、虫の息。
 克巳は最初の不意打ちの蹴りで甚大なダメージを受けている。サンドバッグになるだけだった。
「話にならねえ。卑怯もヘッタクレも無えんだよ。やったもん勝ち、それが立合いだ」菩薩拳を構える。
(また、俺は同じ過ちを)胸に究極の突きが決まる。克巳の意識は無くなった。
「加減はしてある。そんな大怪我じゃねえ。だが、立合いにあって加減される、それが今のてめえだ」
 独歩の声が道場に響く。次に克巳が目覚めたのは、翌朝早く、病院のベッドの上だった。

146 名前:145の続き:03/01/08 22:01 ID:/OR0BK4B
午前7時。目覚めた克巳。(そうか、親父に負けたんだな、なすすべなく)
実力では自分が上と思っていた。しかし、全く相手にならなかった。
所詮自分は空手選手、スポーツマンに過ぎなかった。独歩はまさしく武道家。
その差。実力うんぬんの前の覚悟と決意の差。自分に超えられない壁。
克巳は泣いた。自分の無力さ、甘さが許せなかった。(もう、迷わねえ。何が何でも勝つ)
病院を抜け出す。体が痛い。しかし、傷ついたプライドはそれ以上に痛かった。
飢えたトラのような目で歩く克巳。ふと、見覚えのある言葉が目に付いた。看板である。
〔本部流柔術道場〕くっきりと毛筆で書いてある。克巳は迷う事無く門を空ける。
「なんだ、独歩の所の小僧」早朝稽古の本部以蔵と花田がそこにいた。異常な目の光に本部は気付く。
「なんのようだ?様子がおかしいが」既に、本部は臨戦体制にあった。克巳は低く言った。
「道場破りだ。看板、もらいに来た」


147 名前:パオ:03/01/08 22:06 ID:/OR0BK4B
時間軸が無茶苦茶になってきましたが、気になさらず。(高2さん、早く決着付けて、そのシーン)
バキとジャック、ドイルを早く出さねば。あと、最強キャラも・・。

148 名前:マロン名無しさん:03/01/08 22:25 ID:FhYJL5Bk
1000行くまでには終われそうですか?

149 名前:パオ:03/01/08 22:45 ID:/OR0BK4B
148様>多分大丈夫。ネタバレすると、(あくまで私の勝手な予定ですが)次は〔最強トーナメント編〕を
   予定しております。バキ、オリバ、烈、柳、ジャック、達人、独歩、克巳8人の予定。
   上手く次のシリーズになったら、別スレ立ててもいいかな?

150 名前:マロン名無しさん:03/01/08 23:06 ID:???
つーか次のシリーズ考えてる時点で板垣より上。

151 名前:マロン名無しさん:03/01/08 23:08 ID:iyVKjsZy
トーナメントはやめとけ。
文章が獏さんの餓狼伝みたいだな

152 名前: ◆4vujFLoJ8E :03/01/08 23:12 ID:???
>>1
すごい大作ですが、やっぱりメモ帳なんかにコツコツと書き溜めていたものを
こうやって一気に放出していらっしゃるのでしょうか(W

153 名前:マロン名無しさん:03/01/08 23:14 ID:JF2sMsQj
トーナメントは止めて欲しい。
もう一個死刑囚のパラレルワールド書いたら?

154 名前:パオ:03/01/08 23:19 ID:/OR0BK4B
151様>夢枕信者です。トーナメント駄目かあ。いやね、バキ側が人数余るんですよ、今のままだと。
    オリジナルキャラは(高2さんには申し訳無い意見だが)最低限板垣氏への礼儀として
    出さないつもりですし。 
152様>思いつき。そこまで暇じゃないですよ。唯、今のバキを読んで惜しいな、
    こうなったほうがいいな、と思っていた事を書いてるだけ。

155 名前:パオ:03/01/08 23:24 ID:/OR0BK4B
153様>トーナメントは止めます。もう一つやる気力は無いな。ていうか、他に人に任せて
    俺は消えてもいいかな。ま、反響があるうちは頑張ります。
  
   皆さんおやすみなさい。明日は、克巳対本部戦と余裕があればもう一つ書きます。

156 名前:マロン名無しさん:03/01/08 23:26 ID:FhYJL5Bk
明日もがんがれバオ。

157 名前:パオ:03/01/08 23:31 ID:/OR0BK4B
156>ありがとう。でも、明後日から仕事なので書く量が減ったらごめんなさい。
  辞典スレの時の叩かれようとはエライ違いで嬉しいな。
  スレを立てた責任上必ず完結させます。では皆さま、本当におやすみなさい。

158 名前:マロン名無しさん:03/01/09 00:03 ID:RY39JHCY
バオUZEEEEEE。あれほど叩かれてまだ存在してるのか。真性キティ氏ね

159 名前:マロン名無しさん:03/01/09 00:08 ID:vxoNUmy4
気にするなバオ↑こういうのはどこにでもいる

160 名前:マロン名無しさん:03/01/09 00:48 ID:???
いや、まじで面白い。
頑張ってください。


あと、挿し絵みたいなの描ける人いたら
ところどころでアップしてもらえるともっと面白いなぁ。

161 名前:高二:03/01/09 02:11 ID:SBQKPTC6
>>146のつづき

シコルと大男の戦いに偶然が重なった。そしてこれが決着の大きな鍵となるのだった。
シコルのパンチをかわし大男のタックルが片足に決まったかの様に見えた。しかし偶然にもシコルはタックルをかわしていたのだ
まるで目の前で大男が消えたと錯覚してしまうシコル。
タックルをかわされバックを獲られたと錯覚し焦る大男。
二人の思考が交差するシコル「(ど・どこだ!?右?下?左?上か!?)」
大男「(し・しまった!!後ろは無防備だ!やられる!!)」

162 名前:マロン名無しさん:03/01/09 05:03 ID:???
>>161
大男の名前くらい出した方が良いかと。
あと、オリキャラ相手にそんなにてこずるのもどうかと思う。

163 名前:146と161の続き :03/01/09 10:25 ID:tI9JQTp+
笑う本部。「小僧、道場破りの意味、判っているのか?殺されても文句はいえんぞ」
しかし克巳の眼光は変わらない。「本気らしいな。面白い。花田、下がっていろ」
道場の隅に離れる花田。しかし、親交のある克巳の異常に既に気付いていた。
本部と克巳が道場の真中で睨み合う。本部が克巳に言った。
「それで、何を合図にはじめっ・・ぐぎゃあっ」本部の言葉は彼自身の悲鳴により遮られた。
克巳の正拳が顔面にめり込んでいたのである。鼻血が噴水のように飛び散る。前へ倒れる本部。
だが、克巳のヒザ蹴りがそれを許さない。あごに命中し、今度は後ろへ反り返る本部。
「あんた、三流だ・・。愚地独歩にゃ遠く及ばねえ」道場にうずくまる本部を、冷酷に見下ろす克巳。

164 名前:163の続き:03/01/09 10:40 ID:tI9JQTp+
ふらふらと立ち上がる本部。まだ、戦闘意欲が失われた訳ではない。
「あの小僧が化けたものよ・・。しかし覚悟は出来・・みぎゃああああっ」
克巳の右手人差し指が、本部の左目を貫いている。指の第二関節までずっぷりと。
「話にならねえ・・。しゃべる前に仕掛けろよ。けっ、道草だったか、ここに来たのは」
左目を貫かれたまま、本部は右手首とひじの関節を取る。遅ばせながらの反撃。しかし・・。
「遅えな。達人ならあんたの3倍のスピードであっという間に極めてるぜ・・」
その時、道場を切り裂く本部の悲鳴。「ぎへへえがあぎゃあっっ」既に言葉になっていない。
別に、克巳はその場から動いていない。何一つ技を出していない。しかし、花田は汗が止まらない。
(かき回してやがる・・。目玉に突っ込んだ指を、めちゃくちゃに・・。)

165 名前:164の続き:03/01/09 10:50 ID:tI9JQTp+
「克巳、てめえ、なんて卑怯っ」 思わず叫ぶ花田。克巳はチラリと花田を見て言う。
「卑怯?甘え事いってんじゃねえ。聖者でも相手にしてるつもりか。おめえの前に
 いるのは武道家だぜ」 冷たい目で花田を見る克巳。ビクリとする花田。
「おめえも、いつ掛かって来てもいいんだぜ・・」 赤く、暗い克巳の目。花田は思った。
(克巳は、向こう側へいっちまった・・)向こう側。いうなれば死刑囚の側である。
 克巳が本部へ視線を戻す。本部は、最後の力をふりしぼり立ち上がろうとしていた。 

166 名前:165の続き:03/01/09 11:05 ID:tI9JQTp+
5秒ほどかかり、ようやく立ち上がる本部。しかし、待っていたのは克巳の洗礼である。
中段前蹴りが水月に突き刺さる。中足の返った、教科書通りの美しい蹴り。芸術品のようである。
「とどめだ・・」克巳の足がゆっくりと上がる。花田が叫ぶ。「止めろ、勝負はもうっ」
克巳のカカトがうずくまる本部に高速で下ろされる。一瞬、ビクンとなり、動かなくなる本部。
克巳がその体にペッ、と唾を吐きかける。そして、そのまま道場を出ていった。
花田は見送るしかなかった。恐ろしかったのである。看板に目もくれず外に出る克巳。
(クソの修行にもなりゃしねえ・・・、そうだ)克巳はあることを思い出した。
近い、ここから。アイツの下宿が。克巳はそのまままっすぐにその家に向かった。
その場所。その家、松本家。範馬刃牙の下宿先である。

167 名前:パオ:03/01/09 11:12 ID:tI9JQTp+
ファンの方、おまたせしました。本部、ついに登場です。ラスト近くにも再登場します。
解説者として。それと、やっとバキ出せるか・・。こいつ書きづらいんですよ。
達人と花山はモデルとなった人物のファンなんで書きやすいけど、バキは優等生すぎて・・。
平直行(バキのモデルとなった人)も嫌いだし。

168 名前:マロン名無しさん:03/01/09 11:49 ID:m5cWuQSt
普通に考えて克巳のやってることは犯罪

169 名前:マロン名無しさん:03/01/09 12:26 ID:RY39JHCY
昨日このスレ発見した。良スレ過ぎ。ところで、達人と花山のモデルって誰?

170 名前: ◆mooN.KttY. :03/01/09 12:33 ID:???
>>169
達人(塩田剛三)
http://www.bab.co.jp/hiden/video/other/shi1.html
花山(花形敬)
http://www.toei-video.co.jp/data/garou/sub2.html

171 名前:169:03/01/09 12:43 ID:RY39JHCY
170>ありがとう。達人はともかく、花山もモデルがいたんだ。バキって深いな。
   それはともかく頑張れバオ

172 名前:マロン名無しさん:03/01/09 13:31 ID:FyyL7yaR
四代目姉ゴ・極道の女「みゆき」の指令「わたひをどこまで怒らす気やぁ!」
しぶしぶ動くふりの正木、寺田、白石、宮原。

敦賀の男は女連中の影の素行に気づいてる。

外人好きのみゆきさん、一応、地元の男にもやらせてんだ。

リクエストはボンジョビの「TOKYO ROAD」



173 名前:マロン名無しさん:03/01/09 13:53 ID:FyyL7yaR
おにょれ〜、

174 名前:マロン名無しさん:03/01/09 13:56 ID:FyyL7yaR
「みゆき外人部隊の実戦配備の暁にわ・・・・。」

実戦配備まで、養育費が続くのか、とっても楽しみなバキ。

女刑務所編、キボーン。

175 名前:マロン名無しさん:03/01/09 14:07 ID:FyyL7yaR
>>174

思わぬところで、とばっちりのもう一人のみゆき。

「しょ〜もない映画監督」のパパリンに亡命先を手配。

176 名前:マロン名無しさん:03/01/09 14:11 ID:FyyL7yaR
当分、受難が続く敦高・商業課女子OB会、
洋子を通じて、サクボン2号に出動依頼。

でも男はみんな、冷めている。

177 名前:マロン名無しさん:03/01/09 14:40 ID:???
ひょとして高二の大男のモデルってボブ・サップ?

178 名前:マロン名無しさん:03/01/09 16:03 ID:FyyL7yaR
敦賀市中の父親が「おやぢの一番長い日」状態。
「殴る男がズレている。」

10〜30代の女連中で産婦人科の中絶堕胎手術の同意書に
無断で名義借りが一部の男に集中している。

セコム敦賀支社の男連中の素行調査したほうかいいぞ。

10代で火遊びした助平は別にいる。

179 名前:マロン名無しさん:03/01/09 16:09 ID:FyyL7yaR
50〜60代のお姉さん連中の一番の悩み。

「なんで、おまいらは身内でさかりたがる〜?」

別々の里親に預けたのが、全部「裏目」。

敦賀の男連中からのリクエストは
クレイジーキャッツの「はい、ご苦労さん。」

180 名前:マロン名無しさん:03/01/09 16:10 ID:???
sageでやれよ

181 名前:マロン名無しさん:03/01/09 16:18 ID:FyyL7yaR
女刑務所・女囚アマゾネス編、キボーン。

182 名前:パオ:03/01/09 21:52 ID:tI9JQTp+
172〜181は一体なんだ?頼むから荒らすな。1000レスまでで終わるか微妙だし。
ところで170さんありがとう。一応、俺が知ってるメインキャラのモデルを挙げます。
バキ→平直行(元総合格闘家、現正道会館総合部師範) 達人・花山→170さん参照
独歩→大山倍達(極真会館総裁・故人)と中村日出男(拳道会総帥) 克巳→松井章圭(極真会館現館長)
本部→堀辺正史(骨法主宰) 猪狩→アントニオ猪木(レスラー)
烈・ジャック・オリバ・死刑囚→詳細不明。オリバは有名ビルダー、死刑囚は凶悪犯罪者がモデルらしい。 



183 名前:166の続き:03/01/09 22:14 ID:tI9JQTp+
ふつふつと体の底から力が沸いてくる。一歩歩くたびに、黒い沼に沈んでいく感じ。
それと背反する浮遊感、万能感。自分は明らかに人として間違った方へいっているだろう。
しかし、楽しくて仕方ない。ドリアン・独歩から受けた傷の痛みも何時の間にか感じない。
克巳は気付いてなかった。本部という生贄を食った後、自分がバキや烈と同じ境地に立った事を。
即ち、脳内麻薬エンドルフィン。屈辱と敗北の果て、才能だけでは立てない所に立ったのである。



184 名前:183の続き:03/01/09 22:24 ID:tI9JQTp+
所変わって松本家。バキは、数日前のシコルス戦の傷は大分癒えていた。まるでピラニアの大群に
食われたようなシコルスの鉄指。梢江の献身的な看病と異常な新陳代謝により、ほぼ全快に近い。
(お礼に梢江ちゃん誘って遊園地でも)そう思った時。バキの警戒センサーが大きく反応する。
(この感じっ・・。まさか、親父?いや、死刑囚かっ)この家の人間を巻き込む訳にはいかない。
玄関へ急ぐ。そこで立ち止まる。いる。戸の向う側、わずかな距離に。シコルス?柳?ドイル?
思い切って飢えたトラの待つ向う側へ戸を開ける。 「えっ克巳さん?」 ほっとするバキ。
しかし、バキの肉体は警戒状態を解かない。(克巳さんじゃ・・ない?・・のか?)
そこに、バキの知るスポーツエリート愚地克巳はいなかった。明らかな凶暴なケモノ。
克巳はゆっくりと言った。「すぐ近くの空地だ、バキ・・。今の俺はおまえにだって勝てるっ」

185 名前:パオ:03/01/09 22:29 ID:tI9JQTp+
すみません、明日仕事なんでもう寝ます。忙しくとも一日一バトルは必ず書きますんで。
明日は、バキ対克巳と、ジャックかドイルを出します。では、おやすみなさい。

186 名前:マロン名無しさん:03/01/09 22:56 ID:???
>>182
スペックの顔はチカチーロ(ロシアの猟奇殺人鬼)がモデル。

187 名前:マロン名無しさん:03/01/10 00:04 ID:???
あ、そーなんや。
ちょっとオカ板いってこよ

188 名前:マロン名無しさん:03/01/10 00:33 ID:rQlQNJ4D
なんだか変な展開になってきた・・・
克巳がまるで別人のようなッ!

189 名前:マロン名無しさん:03/01/10 10:38 ID:78ZxDKg6
みんなはっきり言ってあげようよ。

高 二 つ ま ん ね え っ て 。

SSとも呼べんようなオナニー文あげてんじゃねえ!氏ね!

190 名前:bloom:03/01/10 10:40 ID:FvNiKWYD


http://www.agemasukudasai.com/bloom/

191 名前:マロン名無しさん:03/01/10 10:41 ID:???
口には出さず、心の中でヒソーリ同意。

192 名前:マロン名無しさん:03/01/10 12:07 ID:???
久我さんマダー?

193 名前:マロン名無しさん:03/01/10 12:49 ID:???
死刑囚対死刑囚(オリバは含めず)を見たいと言ってみるテスト。

194 名前:マロン名無しさん:03/01/10 13:37 ID:???
「俺は空手家でなくていい」のセリフはどっかで使ってもらいたいな。

195 名前:184の続き:03/01/10 19:35 ID:KZPQOHQH
つかまえた、と克巳は思った。届いた。花山薫に。そして、愚地独歩に。
肩を並べることが出来た。最大トーナメントで花山に実質敗れるまで、挫折を知らなかった自分。
その自分の傲慢を叩き直してくれた花山。立合いという物の恐ろしさを教えてくれた愚地独歩。
その2人に、ようやく追いつく事が出来たとはっきり言える。今の俺なら。甘さを捨てた自分なら。

脳内麻薬物質を操る怪物2人。もう、20分以上全力で殴り合っていた。人の限界をとっくに超えている。
バキのコブシが克巳の顔面を叩き潰す。克巳の蹴りがバキのアバラ骨を砕き折る。
克巳のエンピがバキの前歯を叩き折る。バキのカカトが克巳の鎖骨を蹴り潰す。
人の形をした、人在らざる物の噛み合う姿。凄惨な地獄の修羅の様。
しかし、不思議なことに2人とも笑っている。永く、待ち望んでいたように。



196 名前:195の続き:03/01/10 19:50 ID:KZPQOHQH
幸福と不幸。どちらの状態であれ、終りは必ず訪れる。今の2人は、間違いなく幸福だった。
全力を出した自分。限界を超えた自分。お互いに感謝の気持ちが沸く。しかし、肉体の限界は近い。
「克巳さん・・。それやっちまったら、アンタ空手選手じゃないよ」微笑みながら克巳に言うバキ。
克巳も答える。幸福そうに。最後の一撃を構えながら。
「いいんだ・・。俺は空手家でなくなってもいい。おまえに勝ち、親父を超えられるのならば」
本部の左目を奪った人差し指一本拳。俺は、バキの目玉を抉る。俺が俺で在り、俺自身を超える為に。
「俺も・・。持てる全てで答えるよ。その前に・・、ありがとう、克巳さん」 心から礼を言うバキ。
バキも構える。一番最初に空手で覚えた技、中段正拳突き。・・・。全てを賭けた一発勝負である。

197 名前:196の続き:03/01/10 20:09 ID:KZPQOHQH
静寂が支配する。今までの激闘が嘘のような静けさ。憎しみでない、信頼。
お互いを信じてるからこそ、次の一撃に全てを賭けられる。バキと克巳。
びひゅう。克巳が先に動く。静かに、正確に、だが神速で、バキの左目を狙う。
ボタボタッ、とバキの左目から血がしぶく。だが。範馬刃牙。・・克巳が言った。
「流石だ、バキ・・。やっぱりおまえは凄いよ」満面の笑顔の克巳。
バキの右拳が一瞬早く克巳を貫いていた。一方、克巳の指はほんの少し届かなかった。
バタリ、と倒れる克巳。座り込むバキ。30分が過ぎる。ようやく克巳が口を開く。
「超え甲斐があるな、おまえも、親父も・・。」 そう言ってよたよた去って行く克巳。
バキは仰向けになり、空を見続けた。(ヘリコプター、か・・)空中で静止している。
「な、なにっ」 バキは驚き叫んだ。パラシュートも付けず、飛び降りようとしている者。
その瞬間、鳥は一斉にその場から羽ばたいた。温度が数度上がった気がする。
・・・・範馬勇次郎。オーガ、降臨。

198 名前:197 の続き:03/01/10 20:36 ID:KZPQOHQH
「お、親父っ・・何をしに来たっ」目の前の父に驚愕し、飛び掛ろうとするバキ。
しかし、限界を超えた肉体がそれを許さない。そして、オーガの実力を知る故の恐怖も。
「バキ・・。敗れたなキサマっっ」オーガの気迫がビリビリと地を伝う。魂を削る様に。
「死刑囚如きになんというザマ・・。仮にも範馬勇次郎の血を引く者が。恥を知れいっっ」
地上最強のビンタがバキを襲う。吹き飛び、壁に激突するバキ。ケタが違いすぎる。
「おまえ如きでは一生オレの足元にも及ばねえ・・。身の程を知れいっっ」 バキが立ち上がる。
「親父、俺はアンタを倒すために生きてきた・・。逃がさねえっ。ここで俺とやれっ」
クククク、と嘲笑う地上最強の生物。そして口を開いた。
「バキ、その言葉に意気を感じていい物をやろう・・。オレからのスペシャルプレゼントだ」
何時の間にか着陸したヘリの中から、異様な筋肉をまとった男が降りてくる。
・・・ビスケット・オリバ。地上最自由と呼ばれる男が。

199 名前:198の続き:03/01/10 20:53 ID:KZPQOHQH
「なんだ、親父、このデブは」そんな軽口を叩きながらも、バキの警戒センサーは針を振り切れている。
オリバ。この男からオーガクラスの力を感じる。おぼろげに、しかし確実に分かった。俺は勝てない。
「ビスケット・オリバ。オレの友人。この世で、オレに最も近い力を持つ男だ」 勇次郎は言った。
バキは驚愕する。親父がそこまで認める実力者。自分以外を認めぬ筈の男が友と呼ぶ男。
「キミが勇次郎の息子カ。フム・・」落ち着いた印象。知的な香り。その下に眠るであろう底無しの力。
勇次郎が言う。「こいつに勝つことが出来たら、本気でやってやろう・・」そして笑う。続けて言った。
「だが、残念ながら勝てねえぜ・・。オレの読みじゃテメェはな」 オリバはクスクスと笑っている。
「ざけんじゃねえっ、勇次郎っ」 バキが最後の力で飛び掛る。しかし、オリバが立ち塞がった。
ドスン。腹にハンマーが突き刺さる錯覚。オリバのボディブロー。崩れ落ちるバキ。勇次郎ははバキに言った。
「慌てんじゃねえ。今のオメエじゃ食い甲斐もネエ。こいつはプレゼントと言ったろう」


200 名前:199の続き:03/01/10 21:07 ID:KZPQOHQH
「コイツは強えぜ。オレはオメエじゃ100%勝てねえと思っている」
 バキが勇次郎の言葉をさえぎった。ふらふらながらも立ち上がる。
「分かったよ、親父。コイツを倒してアンタの前に立つっ」飛び掛ろうとするバキ。
 だが、勇次郎がたった2本の指で頚動脈を押さえ、バキを失神させる。
 薄れる意識。しかし、勇次郎の言葉ははっきりと耳に残った。
(オメエにはもっと相応しい場所があるだろうが)、と。・・・相応しい場所?

 徳川邸。光成が子供のようにはしゃいでいる。目の前の和紙に書かれた文字を見てである。
 (もし、これが出来りゃ、最大トーナメント以上だ) そこにはこう書かれていた。
   第一試合・愚地独歩 対 愚地克巳   第二試合・柳龍光 対 烈海王
 ・・・・そして、第三試合。 ビスケット・オリバ 対 範馬刃牙 
 ・・・・1週間後。闘いは聖地に始まり、聖地に帰る。 

201 名前:パオ:03/01/10 21:23 ID:KZPQOHQH
やっと終りが見えてきた。今回は特に疲れた。読みづらかったらスミマセン。
地下闘技場の前に全て決着つけるつもりです。ジャックも、ドイルも。
シコルどうしよう。高2さんの担当だしなあ。引き継ぐにも大男の正体が分からない。
2日見ないけど、止めちゃったのかなあ。学校忙しいんですね、きっと。
一生懸命書いてる人に中傷は止めてください。マジで。暖かく見守ってください。
あと、勇次郎はヘリから飛び降りて何故平気なのか?答えは、オーガだから。反論ある?


202 名前:マロン名無しさん:03/01/10 21:25 ID:???
大男の正体はラジャ・ライオンってことで。

203 名前:パオ:03/01/10 21:55 ID:KZPQOHQH
202様>それでどう話を作るんですか。斗羽でも出すの?あと、ひとつクイズ。
   どこかにバキ以外の有名漫画のセリフをパクッた所があります。どれ?
   正解の方先着3名様、その方の希望する対戦カードを全て終了後に番外編で書きます。
   例えば、独歩対松尾象山とかでも可。でも、バキ対蛸江とかは駄目。バトルね。

204 名前:マロン名無しさん:03/01/11 00:37 ID:oxhOpk3i
198の冒頭、克巳が死刑囚だったのかって一瞬マジで思った

205 名前:マロン名無しさん:03/01/11 01:39 ID:toFJOvg7
克巳の
「聖者でも相手にしてるつもりか。おめえの前にいるのは武道家だぜ」
というセリフ。
「ワンピース」の赤髪のシャンクスがこんなことを言ってたような。
もし正解なら、梢江に邪魔された「刃牙VS花山」をお願いします。


206 名前:マロン名無しさん:03/01/11 04:02 ID:???
ちょっと文体似過ぎw
でも時間忘れて読んじゃったよ。ガンガッテ

207 名前:マロン名無しさん:03/01/11 09:21 ID:???
>>189>>191は、どう見ても(・∀・)。

高二がんがれ!漏れは期待してるぞ!!

208 名前:マロン名無しさん:03/01/11 11:41 ID:???
高二はせめて書き溜めてから貼って欲しいな。
1回1回ブツ切りじゃ読みにくいったらありゃしない。
あと本部かっこ悪すぎ(wどうせなら彼もそれなりにかっこ良くかいてほしかった・・。

209 名前:マロン名無しさん:03/01/11 12:56 ID:4HcnQp7Z
「雅美にまさ、真由美、そんなにツオい?私、体育で本気出したことない。」

敦賀市内で一番口をとがらせているのは筆跡まね上手のみゆき。

四代目姉ゴ・みゆきの父親は、スティーブ・マックィ〜ン。

外人好きの父親は、やっぱり外人好き。



210 名前:マロン名無しさん:03/01/11 13:21 ID:4HcnQp7Z
>>209

オートバイじゃなく、西浦のヨットハーバーから、クルーザーで
「大脱走」を計画中。

みゆきは、全部、自分でやれる。

211 名前:マロン名無しさん:03/01/11 14:01 ID:4HcnQp7Z
みゆきは「代紋〜TAKE2」のストーリースタッフにユニット参加しとるだろ。
カップヌードル、出前一丁のCM原案もみゆきだ。

ちなみに「代紋〜TAKE2」の総合プロデューサーは母ちゃんだ。

212 名前:マロン名無しさん:03/01/11 14:07 ID:4HcnQp7Z
もんもんとしてるユニット組集めて、パイ投げ合戦でもさせたら?

下手なケーキ屋に任せると、パイに石入れるケーキ職人がいるけど。

213 名前:マロン名無しさん:03/01/11 14:18 ID:4HcnQp7Z
今、一番のたうってるのは、血の気が多い器用ビンボー。

バントブームにはバンド組んで、免許とれば、車にのめりゼロヨン。
独立したくて、マルチビジネスにはまる。


もしくは自分の得意分野から出れないタイプ。

214 名前:マロン名無しさん:03/01/11 17:33 ID:4HcnQp7Z
「わたひをどこまで怒らす気やぁ!」

みゆきの母ちゃんの「しま」が怒り、しぶしぶ動くふりの正木、白石。

寺田は「大脱走」


215 名前:マロン名無しさん:03/01/11 18:07 ID:4HcnQp7Z
当分、受難が続く敦高・商業課女子OB会


216 名前:マロン名無しさん:03/01/11 18:26 ID:4HcnQp7Z
洋子を通じて、サクボン2号に出動依頼。

でも男はみんな、冷めている。


217 名前:マロン名無しさん:03/01/11 18:29 ID:4HcnQp7Z
私生児量産しまくりのキャリアウーマン。

「みゆき外人部隊の実戦配備の暁にわ・・・・。」

実戦配備まで、養育費が続くのか



218 名前:マロン名無しさん:03/01/11 18:43 ID:4HcnQp7Z
「雅美にまさ、真由美、そんなにツオい?私、体育で本気出したことない。」

敦賀市内で一番口をとがらせているのは筆跡まね上手のみゆき。

「ボクシングやりたい女の子いる? 」 真由美

219 名前:マロン名無しさん:03/01/11 18:45 ID:4HcnQp7Z
「わたひをどこまで怒らす気やぁ!」 みゆき

みき、寺田は「大脱走」

220 名前:マロン名無しさん:03/01/11 19:00 ID:4HcnQp7Z
「最強の女聖闘士決めるべ」 石井雅美の母ちゃん(車田)

221 名前:マロン名無しさん:03/01/11 19:38 ID:4HcnQp7Z
金日成:石井雅美の母ちゃん(車田)

222 名前:マロン名無しさん:03/01/11 19:40 ID:4HcnQp7Z
金日成:石井雅美の母ちゃん(車田):美人女優 りょう

223 名前:パオ:03/01/11 19:41 ID:+Zcrp/Bx
また変なのが(209〜220)。もう突っ込まないが、せめて面白いのにしてくれ。
ツマランし意味が分からん。
あとごめんなさい。今日風邪で熱あるんで、今日だけ休ませてください。すいません。
柳VS烈以外全部出来てますんで。柳は強いです。オリバと同じ位の脳内設定です。
でも、高2さん止めちゃったのかな。止めたんならシコル欲しいな。実はシコルは
死刑囚の中で柳に次いで強くなる予定だった。あと、克巳対本部は本部が勝つ予定だった。
しかし、本部が勝つどころか善戦する所も想像できなかったのでああなりました。
文体はわざと夢枕さんに似せてあります。その方が分かり易いと思って。
205サン、正解なので花山対バキをやります。全部終わった後、別設定で。
あと、高2さん。コテハンのネタ職人は叩かれ、嫌われ成長するものです。ガンガレ。
俺など辞典スレでどれだけ叩かれたことか。自分の態度が悪かったんですが。
薬飲んで寝ます。もし、このスレを楽しみにしてる人がいたらごめんなさい。
明日は多めに書きますので、このスレ見捨てないで下さい。

224 名前:マロン名無しさん:03/01/11 19:56 ID:4HcnQp7Z
危険物取り扱いの資格を取れない人間に危険物は持たせられない。
危険物取り扱いの資格を取れたら危険物は持たせられる。

225 名前:マロン名無しさん:03/01/11 19:56 ID:4HcnQp7Z
「なんで、クローンつくったらダメなの?」

「あんた、ペット飼っても、自分で面倒見れないでしょ!!」



226 名前:マロン名無しさん:03/01/11 21:13 ID:YBZtuahE
高2さんはえらいよ。
意味不明なバカより100倍。

227 名前: :03/01/11 22:16 ID:jEl3Vmot
職人さんがんばれ!
マジ面白いっす。


228 名前:マロン名無しさん:03/01/11 23:00 ID:RYODy4Bg
荒らしても良いですかー?

パオ「良いでーす」

229 名前:マロン名無しさん:03/01/11 23:17 ID:???
つーかもうパオ一人でちゃっちゃと終わらしてくれ。
(一応声援です)

230 名前:パオ:03/01/11 23:23 ID:VBvoRaih
すいません。漫画喫茶にきて、なんとか続き書こうとしたんですが、やはり熱で・・。
実は、パソコン持ってないんで、家か会社からすぐ近くのマンキでいつも書き込んでます。
だから、トリップも付けられない。そのせいで、辞典スレ他で何度ニセパオを見たことか。
物語はやっと真中くらいっす。そこで、明日は2本だてをやりたいと思います。
一本は、死刑囚編です。これは明日の夜に書きます。高2さんを待てるのは明日一杯くらいです。
申し訳ないですが、シコルだけ決着つかずに終わるわけにはいかないので、俺が引き継ぎます。
もうひとつはおまけっす。折り返し地点なので記念に。読み切りっす。昼までに書きます。
タイトルは「本部以蔵最強への道(仮)」。6、7レス位で終わります。ネタレスっす。
期待しないで待ってて下さい。では、家に帰ります・・・。

231 名前:205:03/01/11 23:45 ID:kV2+3gG0
>>パオさん
ありがとうございます。
トーナメントの続きもマジ期待してます。

232 名前:パオ:03/01/12 02:06 ID:RNuIVYHU
>>231
ありがとうございます
これからも応援してください

233 名前:マロン名無しさん:03/01/12 02:31 ID:???
#の後につける文字さえ覚えておけば漫喫でもトリップ付けられるよ。

234 名前:パオ ◆Wl83vWrcMI :03/01/12 02:34 ID:RNuIVYHU
>>233
トリップ付けました

235 名前:CILTY:03/01/12 03:45 ID:RvirnCt5
このスレすげー!
パオさんには夢枕ワールドのキャラ総登場の話なんかも作ってもらいたいですね。
九十九乱蔵、有堂岳、松尾象山、久我重明、フリードリッヒ・ボックなどなど。
とりあえず、このスレの充実と完結を応援してます。

236 名前:マロン名無しさん:03/01/12 12:20 ID:/lw6qpfC
死刑囚編をつくるつもりが、自分が死刑の板垣(敦賀の方ね。)、小泉、甚田。

「ザーメンまみれの板垣は嫌だ!!」スレ、キボーン。

237 名前:マロン名無しさん:03/01/12 12:25 ID:/lw6qpfC
小野寺と上原あけちゃんも死刑確定だな。

238 名前:パオ:03/01/12 12:25 ID:ZN7k2T0h
232.234>また語りが出た・・。いや、別にいいけど。かたるなら続き書いてくれ。
     ネタかけねえなら荒らすなよ。ま、いいや。
     とりあえず短編ネタをやります。死刑囚編と別のお笑いものです。
     その後、ジャックを出します。今日、明日はできるだけ書きますので
     お楽しみ下さい。

239 名前:マロン名無しさん:03/01/12 12:40 ID:/lw6qpfC
一見、誰でもアクセス出来るようで、ごく一部しか見てない。
同世代は誰も見てない。

見れるのは、年寄りと次世代ベイベーのオペレーターだけじゃないの?

240 名前:番外編:03/01/12 12:40 ID:ZN7k2T0h
「本部以蔵最強への道 その@」
究極の柔術家(自称)本部以蔵。彼は最近悩んでいた。たった一人の弟子、花田が最近、
自分を「解説者」としか見ていない気がするのである。一発カマしてやることにした。
「花田よ、武道家たるもの常に最強を目指さねばいかん。今の私ならマイククインにも勝てるっ」
今まで勝てなかったのかおまえは。花田は思ったが、ついに師匠が立ち上がってくれた。
「行きましょう、先生。武者修業に。最強への道を登りに。」花田が嬉々として叫んだ。
「えっ、マジで・・。じゃあ、まず柔道の畑中あたりから・・」声が小さくなる本部。
「何言ってんスか、そんな雑魚。すぐそこで強え奴見ましたよ」半泣きになる本部。
・・・その男はそこにいた。「地上最強の生物」と言われる男が。

241 名前:番外編:03/01/12 12:51 ID:ZN7k2T0h
「本部以蔵最強への道 そのA」
凶悪なオーラを放ちながら、その男は立っていた。周りを制圧する威圧感を放ち、
セブンイレブンで「スーパー写真塾」を立ち読みするオーガ。
コンビニの姉ちゃんは泣きそうになっている。コイツのせいで客が来ないのである。
「オーガ、立合いだ。うちの先生がキサマを倒すっ」おしっこを少しもらす本部。
「あ、あの範馬さん、こ、これには訳が・・。」 お約束通り10秒で半殺しになる本部。
オーガは怒っていた。大好きな「アイドル盗撮コーナー」を邪魔された為である。

半死半生、骨を数本折られた本部。しかし、ここはバキ世界、しかもネタレスである。
30分寝たら全快した。本部はゆっくりと花田に言う。
「花田よ、最強は一歩一歩近づかねばならん。ていうかオーガは無理。最初は、愚地独歩だ」
花田は驚愕した。(コイツ、自分ってもんが全く分かってネエっ」



242 名前:番外編:03/01/12 13:02 ID:ZN7k2T0h
「本部以蔵最強への道 そのB」
「あのー、先生。いきなり独歩氏は無理かと思うんスが・・」
「何で?柔術対空手って基本じゃん。渋川さん勝ったじゃん?」・・もう何も言うまい。
 のしのしと神心会に急ぐ2人。ついに向かい合う独歩と本部。花田の目は虚ろである。
「独歩、今のお主なら1分以内に殺せる・・」吹き出しそうになる独歩。
 花田は、今まで生きてきてこんな哀しいキメ台詞を聞いたことが無かった。
 予想通り逆に1分でボコられる本部。独歩に土下座しながら、
「いやー流石は独歩さん。お強いでゲスなあ。よっ、日本一、いや、世界一っ」
 親父・・。1分以内に殺すって、ホメ殺しかよ・・。

 トボトボと帰る負け犬2匹。前方にある男が近づいてくるのが見えた。
 ・・・・日本一の喧嘩士、花山薫である。

243 名前:マロン名無しさん:03/01/12 13:02 ID:3de0Ot/x
  ∋8ノノハ.∩
   川o・-・)ノ <先生!こんなのがありました!
__/ /    /   
\(_ノ ̄ ̄ ̄\
||ヽ|| ̄ ̄ ̄ ̄||
 ...|| ̄ ̄ ̄ ̄||
http://freeweb2.kakiko.com/saitama/

244 名前:番外編:03/01/12 13:11 ID:ZN7k2T0h
「本部以蔵最強への道 そのC」
花山はまだこちらに気付いていない。しかし、本部の顔付きが変わる。
(オヤジ、まさかここでやる気か?)花田が懲りずに師匠を見直した。
足捌きのスピードが上がる。神速。しかも、無音。(スゲえ・・。達人並だ)
本部について来て良かったと思った。例え周りからどれほどバカにされても。
フッ、と本部の姿が消える。驚愕する花田。(ど、どこだっ、オヤジっ)
・・・。本部は電信柱の陰に隠れていた。そしてこう言った。
「バカ、花田早く隠れろっ、おヤクザさまが通るぞっ」 花田は改めて師を見損なった。

家に帰って気まずい2人。「あのー、花田君?」無視してジャンプを読む花田。
由奈ちゃん萌えとか思いながら。既に信頼関係は無くなっている。
そこへ、本部がマジ顔でゆっくり言った。

245 名前:番外編:03/01/12 13:26 ID:ZN7k2T0h
「本部以蔵最強への道 そのD」
「花田よ、さっきの意味が分からんか?武人足る者、刀は常に鞘におさめ・・」
「ていうかさあ、本部、アンタダメダメじゃん?最初と言っている事全然違うし」
 タメ口と呼び捨て。もはや師弟の会話では無い。本部はヤバい、と思った。
 花田は最後の弟子である。他の弟子はとっくに呆れて出ていった。なんとかせねば・・。
「くくく・・。花田よ、今までの奴は全て前座。その男に比べればな」
 一世一代の本部節が冴え渡る。最後の弟子を逃してなるものか。
「その男、まるで黒ヒョウ。あの、オーガですら不意打ちでしか倒せなかった男・・」
 それを聞き驚愕する花田。(あの、範馬勇次郎が?) 本部はほくそえむ。よし、釣れた。
「花田よ・。黒ヒョウと呼ばれる男と、虎と恐れられる男・・。その一騎打ちを見たくないか?」
 虎って誰?ああ、師匠良く酔って暴れるもんナ。別に恐れられていないけど。
 どこか釈然としないが、花田はそれを我慢して聞いた。 「先生、その男は・・」
 本部はゆっくりと言う。 「その男の名。それは・・ジャガッタ・シャー・・」
 最後まで聞かず、花田は道場を出た。そして、盗んだバイクで走り出す。

 これより数年後。本部以蔵は地上最強の「解説者」と呼ばれるように成る。

246 名前:パオ:03/01/12 13:35 ID:ZN7k2T0h
つまんなかったですね、すいません。ネタ文は難しい。死刑囚編に戻ります。
今日一日だけ高2さんを待つ。それがリミット。それ以降は自分がシコルをやります。
あと、本物のパオはこのスレではトリップつけませんから。別にいいけど。
今から少し書いて、夜に続きを書きます。

247 名前:200の続き:03/01/12 13:53 ID:ZN7k2T0h
究極の三連戦。愚地独歩対愚地克巳。柳龍光対烈海王。そして、オリバ対バキ。
松本家に戻ったバキ。バキはどこか他人事の様に考えていた。理由は分かっている。
自分は、勝てないからである。今のままでは確実に。あの男、ビスケット・オリバに。

数時間後の夕刻。場所は新宿ののあるスナック。外人がよく出入りする、すすけた店。
ガタイの大きな外人客の中でも、その2人は目立っていた。巨漢と筋肉の化け物。
止まり木が悲鳴を上げている。外人客が多いための、特別あつらえの椅子がである。
その2人・・。ビスケット・オリバとジャック・ハンマーである。


248 名前:マロン名無しさん:03/01/12 14:04 ID:xVD5O3YP
いや、ネタも面白かったよ。息抜きでたまーにやってください。

249 名前:247の続き:03/01/12 14:09 ID:ZN7k2T0h
「もう一人の勇次郎の息子カ。君に誘われるとはナ。闘わないのカイ?」
 オリバが魅力的な笑顔を浮かべて言う。それに比べ、ジャックはニコリともしない。
「アンタハ勇次郎ノ側・・。敵ダカラナ。日本ニ来タト聞イテカラ狙ッテイタ」
 現在、ジャックは光成の世話になっている。彼から聞いた情報である。
「いつでもいいんだヨ、ボーイ。日本に来てから運動不足で堪らナイ・・」
 温度が数度下がった気がする。他の客が鎮まりかえる。しかし、ジャックが言う。
「アンタヤルノハ俺ジャナイ。バキガ・・。弟ガ、地下闘技場デヤル・・。」
 オリバがグラスのブランデーを一気呑みした。そしてゆっくりと首を振る。
「あのボーイカ。とてもとても・・。とても勇次郎の息子とは思エン。無理ダ」
 初めて2人が視線を合わす。火花が肉眼で見えるような錯覚を覚えるほどの、殺気。
 オリバが大きく笑った。そして、すぐ近くのテーブルを指差す。大きな丸型の、
 頑丈そうな木のテーブル。真中から鉄の足が伸びている。
「男2人が呑むだけってのモ、味気無いデス。どうだ、アームレスリングってのハ?」
 ジャックがそれを聞き、テーブルに向かう。そして、ゆっくり右腕を出した。


250 名前:249の続き:03/01/12 14:22 ID:ZN7k2T0h
観客が鎮まりかえった後、湧き上がる。「デブに1万」「俺はでかいのに1万だ」
一斉に賭けが始まる。オリバがジャックの右手を包み込む。お互い準備OKである。
「マスター、やり方分かっているナ。審判を頼ム」オリバがバーテンに言った。
2人の手をバーテンが押さえる。外人客が多いからだろう、案外なれた審判振りである。
「レディ・・ゴーっ」試合開始。2人の筋肉が異常に張る。普段の状態で既に異常な2人がである。
・・・。動かない。最初の状態の真中から、ピクリとも動かない。既に30秒過ぎているのにである。
しかし、ジャックは驚愕していた。オリバの顔を見て。オリバは汗ひとつかいていないのである。
それに対して自分は顔だけでなく全身に汗が溢れている。 ( コ、コノ男・・・)

251 名前:マロン名無しさん:03/01/12 14:25 ID:???
このスレ面白いです。
もしよければ、私も外伝的な短い物を一つ書き込みさせていただきたいのですが、よろしいですか?
(内容としては、死刑囚の強さをアピールするものでして、オリジナルキャラはでてきません)

252 名前:250の続き:03/01/12 14:37 ID:ZN7k2T0h
観客はざわめき始めていた。既に1分が経過している。真中から2人の手は動いていない。
全くの互角。頑丈なテーブルがギシギシと悲鳴を上げる。厚さ10センチもあるテーブルがである。
「人間じゃネエ、こいつらっ」騒ぐ観客。腕相撲は一瞬の勝負である。全ての力を一瞬に注ぎ込む。
人間の能力上、1分以上全力を出せることはありえない。筋肉が堪えられないからである。
「違ウ、互角ジャネエ」ジャックは焦った。相変わらずオリバは汗ひとつかいていない。
しかも、わずかずつ、ほんの数分の1ミリずつ、自分が押されていくのが分かる。
「コ、コンナハズハ・・」ジャックは腕相撲なら世界で5本の指に入る自信があった。
しかし、ケタが違う。以前の自分より骨延長でパワーアップした自分を上回っている。
少しづつ押され始めるジャック。・・・客にも分かるほど差がつき始めていた。

253 名前:252の続き:03/01/12 14:45 ID:ZN7k2T0h
既に2分経過。ジャックは汗まみれ。しかし、オリバは涼しい顔である。
その時。ふっとオリバの右手から力が抜ける。あっという間にジャックが押し切る。
「スゲー、あのでかいの逆転したぜ」 周りの客がジャックを称える。
しかし、ジャックには分かっていた。この勝負は自分の負けだと。勝ちを譲られたと。
満面の笑顔でジャックを称えるオリバ。「素晴らしイ。君の勝ちダ」 ジャック、屈辱。
その時、ジャックは信じられない言葉をオリバから聞いた。耳を疑うような言葉である。
「今度ハ、左で勝負したいナ・・。私は左利きなんだヨ」 ジャックの完全敗北である。
ジャックは確信した。残酷な事実を。衝撃とともに。
(駄目ダ、バキ・・。オマエハ、イヤ俺タチハ、コノ男ニハ勝テナイ・・・)

254 名前:パオ:03/01/12 14:50 ID:ZN7k2T0h
251様>大歓迎っす。ぜひぜひ。ただ、他の文と区別がつくようにしてください。
    (名前の欄にタイトル入れるとか) 待ってます。
    あと、トリップつけたニセパオ。あなたもパオを名乗るならネタを書きなさい。
    パオってのは住人を楽しませる為に存在するの。辞典スレから心入れ替えたもん、俺。

255 名前:死刑囚外伝:03/01/12 15:18 ID:???
東京・千代田区・警視庁庁舎

オペレーション・ルームは、殺気をはらんだ沈黙に包まれていた。
学校の教卓を思わせる粗末なつくりのテーブル、その後ろに立つ背広姿の男がゆっくりと
あたりを見回す。
「計画については以上だ。何か質問はあるか?」

テーブルに向き合う形で並べられた椅子、そこに浅く腰掛けた男達の中から手が挙がった。
「被疑者が抵抗した場合、通常の突入と同様に処置して宜しいですか?」
背広の男は、首を横に振り、まるでその質問があらかじめわかっていたかのような落ち着きぶりで答える。
「いや、今回に限り、無警告の発砲を許可する。相手が相手だからな」
その回答を聞いた男達の間から、言葉にならないどよめきが沸き起こった。
普段なら決して許されない無警告の発砲、それがいとも簡単に、責任者からゴーサインが出たのだから。

「もちろん報告書はあくまで規則どおりのものを上げてもらう。だが、実際には見つけ次第撃て、
ということになるだろうな」
背広の男は、表情を変えずに淡々と続けた。実際、彼はかつての同僚である園田から半ば脅迫に近い
忠告をうけとっていたのだ。
『奴に警告は無駄だ、逮捕しようなんて考えるんじゃねえぞ』と。

わかってるさ。

背広の男は内心で園田に答えた。
お前が死刑囚にどれほどてこずっているはよく分かっている。逮捕なんて無理だって事も、な。
だが、俺たちSATに出動命令が出た以上、必ず奴を確保する。
たとえ奴が死体になってしまっても。

背広の男は、きっと顔を上げた。
「では、さっそく出動してもらいたい。30分後には、奴を警視庁(ここ)に連れてくるんだ!」

256 名前:死刑囚外伝:03/01/12 15:23 ID:???
今、対決編と結末をコピペしようとしたら、このスレの設定と思い切り矛盾しているところを
発見してしまいました(鬱
その部分を練り直して貼り付けることにします。

ああ鬱だ・・・・・・・。

257 名前:パオ:03/01/12 15:27 ID:ZN7k2T0h
256様>設定変えても構わないですよ。好きなようにやればいいっす。
    それをいったら俺の本部の短編は設定変えすぎだし。
    マタ夜に続き書きます・・・。

258 名前:マロン名無しさん:03/01/12 17:06 ID:NoUyVDKh
本部ワラタ。パオは本部に恨みでもあるのか?
高二はいいやつだと思うが、パオと力の差があり過ぎ。もっとテンポ良くしてくれ。

259 名前:死刑囚外伝:03/01/12 17:12 ID:???
>>255
東京・港区・某高層マンション・20分後

マンションから少し離れたコインパーキングに、一台のセダンが滑り込むように進入した。
青い塗装の、一見何の変哲もないセダンは、コインパーキングの一角、あらかじめ管理会社と
交渉してあけてもらったスペースにその鼻面を押し込み、エンジンを止める。
同時に、隣に駐車していた「秋田パイプワークス」と赤くステンシルされた白いバン-それは、配管工事
を目的としたバンにしては屋根に林立するアンテナがひどく目立っていた-のスライドドアが開き、
2人の男がセダンを目指して駆け寄ってきた。

セダンの後部座席のドアが開き、黒装束に身を固めた大柄な男がのっそりと降り立つ。
男は、駆け寄ってきた部下に低い声で尋ねた。
「被疑者の様子は?」
部下の一人が同じく小声で答える。
「変化ありません。リビングに居座ったままです」
部下の報告を聞いた男は、無表情にうなずいた。
ややあって、神託を伝える祭主のような口調で、厳かに部下へ告げる。
「命令が出た。突入だ」

2人の部下は、さして驚いた様子を見せなかった。
マンションに潜伏中の被疑者-いや、死刑囚というべきだろう-の人となりを事前にレクチャーされていれば、
突入による確保(あるいは排除)以外の選択肢などありえないとわかっていたからだ。
そうした部下の態度に、内心でいくらかの満足を覚えた男は、先ほどと同じく低いが決意のこもった声で
部下に告げた。
「5分後に突入する。死刑囚が抵抗した場合は無警告で発砲してよい」
部下の一人は、はじかれたように駆け出していった。
もう一人の部下はすばやくバンの中に舞い戻り、無線のマイクを手に取った。


260 名前:死刑囚外伝:03/01/12 17:14 ID:???
>>259
東京・港区・某高層マンション・4分30秒後

死刑囚の一人が潜伏している部屋は、不気味なほど静まり返っていた。
男は、あらかじめフロアで待機していた5人の部下とともに、エレベーターホールから
潜伏先のドアを見つめていた。
男達は、難燃性のBDU(バトル・ドレス・ユニフォーム)に身を包み、ゴーグルをかけ、顔が隠れるように
しっかりとフェイスマスクを鼻のあたりまで引き上げていた。
いずれも、突入オペレーションを数限りなくこなしてきたことをうかがわせる、微塵も動揺のない姿勢で、
そのときを待ちつづけていた。

突入開始まであと30秒。

男は、ゆっくりと左手を肩の高さまであげた。
行動開始。
合図を正確に理解した男達は、あらかじめ定められた手順に基づき、静かに素早く動き出した。
先行する2人は、各々の銃を負い革で背中に廻し、柄の短いハンマーと馬鹿でかいワイアーカッターを
それぞれ携えている。
残り3人は、2人を援護する位置で油断なくドアに銃を向けていた。

残り15秒。
5人の部下は、完全に気配を絶ち、配置についた。
男は、一瞬耳につけた無線のヘッドセットに手をやる。中止を求める符牒は聞こえてこない。
屋上からザイルで降下し、窓の外に取り付いた第2班の4名も、問題なく配置についたということだ。

残り5秒。
男は、もう一度左手を上げた。頭の中でゆっくりと数える。
4、3、2、1・・・・・・・・
「突入!突入!突入!」

リビングで、窓ガラスが割れるけたたましい音が木霊した。

261 名前:死刑囚外伝:03/01/12 18:21 ID:???
>>260
東京・港区・某高層マンション・ゼロアワー(その1)

部屋の明かりが一瞬にして消え、豪奢なマンションの一室は漆黒の闇に落ち込んだ。
あらかじめ電力会社とマンションの管理者に話を通しておき、突入寸前にマンション全体の
通電を止めさせたのだ。

『突入!突入!突入!』

命令がヘッドセットを通して伝えられた瞬間、窓の外にザイルで降下した第2班の男達は、
ためらうことなく行動に移った。
4LDKの外部に面したリビングと寝室、その窓の両脇にそれぞれ1人ずつ取り付いた男達の
うち2人が、さっとザイルを一振りしてベランダに降り立ち、 手にしていた銃の台尻で窓ガラスを打ち割る。
続いて間をおかず、待機していた残りの2人が腰に手をやり、ジュースの缶に似た何かを掴むと、
その先端に取り付けられたピンを引き抜き、割られたガラスの隙間から部屋の中に放り込んだ。

数十リットルの水を、一度に蒸発させたかのような音が木霊し、目指すリビングと寝室の中は白昼を
はるかに越える閃光に充たされた。
同時に、リビングの中から踏み潰されたような悲鳴が聞こえてきた。

閃光手榴弾-欧米では、通常フラッシュ・バンと呼ばれる-は、殺傷能力こそ皆無であるものの、
その強烈な閃光で、部屋の中にいる人間を無力化するための兵器だ。
その閃光をまともにみてしまった人間は、どれほどの化物であったとしてもしばらくは身動きが取れない。

よし、奴はもう役立たずだ!
リビング突入チームの2人は、勝利を確信しつつ、窓ガラスをこじ開けて中に踊りこんだ。


262 名前:死刑囚外伝:03/01/12 18:21 ID:???
>>261
東京・港区・某高層マンション・ゼロアワー(その2)

ハンマーが音を立ててうなり、ドアノブが一瞬にして弾け飛んだ。
間をおかずにもう一度ハンマーが振りかぶられ、今度はドアノブのあった場所に叩きつけられる。
たった2度の打撃で、堅牢であったはずのドアは、もろくもその鍵を打ち砕かれ、だらしなく内側に傾いだ。
ハンマーを構えた隊員がさっと後じさり、それと入れ替わりにドアに取り付いた隊員が、ワイアーカッターを
隙間にねじ込んでドアチェーンを切断にかかる。
直径1センチのワイアーですら切断可能なワイアーカッターの前には、ドアチェーンなどなきに等しかった。
2、3度こじるようにカッターを操作するだけで、あっさりとチェーンは弾け、ドアは完全に無力化された。

ワイアーカッターを降ろした隊員が後ずさると同時に、突入チームの3人がドアに取り付いた。
ドアを蹴り開け、中に・・・・・・・・・

がきん。

隊員達の顔が一瞬強張った。
ドアが内側から何かで押さえられているらしく、ほんの少ししか開こうとはしなかったのである。
すぐに気を取り直した突入チームの一人が、先端に鏡を取り付けた細長い金属の棒をドアの隙間に
差込み、ドアを塞ぐ物体の正体を確かめにかかった。

「隊長、クローゼットです!」
隊員は、押し殺した声で報告した。
何時の間にか、クローゼットが玄関に動かされており、それがドアを押さえていたのだ。
報告を受けた隊長は、少し眉根に皺を寄せた後ですかさず指示を出した。
「工作チーム、こじ開けろ」
命令を受けた突入チームが後ろに下がり、ハンマーとワイアーカッターの隊員がドアをこじ開けようと
取り付いたその時だった。

リビングから何か重いものがぶつかる音と複数の悲鳴、そして銃声が立て続けに彼らの耳に飛び込んできた。


263 名前:死刑囚外伝:03/01/12 18:22 ID:???
>>262
東京・港区・某高層マンション・ゼロアワー(その3)
寝室に突入したチームは、素早く内部をチェックした。
部屋は暗かったが、マンションの外から漏れてくる明かりをいかせば内部の様子は手に取るように
分かる。暗視ゴーグルをかけていればなおさらだ。
いかにも金満家の寝室らしい、不必要なまでに豪奢な数々の調度品に埋め尽くされた寝室には、
誰もいなかった。
正確に言えば、生きている人間は。
「クリア!」
台尻でガラスを叩き割った隊員が、部屋の半分を確認した後で叫ぶと、フラッシュ・バンを投げ込
んだ隊員も返すように叫んだ。
「クリア!」
ダブルベッドの上には、この部屋の主-隊員達にレクチャーされた情報に拠れば、80歳の会社役員
とのことだが-の愛人と思しい20歳台の女性が横になっていた。
全裸の彼女は、首をあらぬ方向に捻じ曲げてベッドの中に放置されており、生命を絶たれてから
少なからぬ時間が経過していたことが容易にみて取れた。
生きていたときには、その肢体と容貌から、さぞや多くの男を手玉にとって来たであろう彼女は、今、
物言わぬ死体となって突入チームを見つめている。

敵は取ってやるぜ。

その姿に、一瞬だけ婚約者の姿を重ねた隊員は、内心で舌打ちをしてリビングに続くドアを
蹴り開け、リビングに飛び込んだ。


264 名前:死刑囚外伝:03/01/12 18:36 ID:???
>>263
東京・港区・某高層マンション・ゼロアワー(その4)

ベランダからリビングに突入したチームは、一瞬我が目を疑うこととなった。
だだっ広いリビングの中には、誰もいなかったのだ。
「まさか!」
一人が、明らかに予想外の事態に、動揺を隠せないような表情を浮かべていた。
「落ち着け、どこかに隠れているだけだ!」
もう一人が、ささやくような声で返した。
フラッシュ・バンを喰らってまともに物が見えるはずがない。きっとどこかに隠れているはずだ。
テーブルの上には、先ほどまで人がいたと思しき痕跡-高価そうな酒の空き瓶や食事を盛り
つけた皿の山-がはっきりとみて取れる。先ほど寝室から「クリア!」と聞こえてきたから、
間違いなくここにいるはずだ。

彼は、銃口を左右に間断なく向けながら、必死で自分に言い聞かせていた。
落ち着け、いくら奴が不死身だといっても、そんなのはただの噂だ。
銃弾をぶち込めば絶対に死ぬ。早いか遅いかの違いだけだ。待ってろよ。

そのとき、リビングの隅に置かれた3人がけのソファが、わずかに動いたような気がした。
その気配を感じ取り、2人がソファに注意を向けようとした矢先、リビングと寝室を繋ぐドアが
大きな音を立てて蹴り開けられた。



2人がドアのほうに気を取られたその瞬間、ソファがいきなり宙に浮き、2人目掛けて空中を
突進してきた。

265 名前:死刑囚外伝:03/01/12 18:52 ID:???
>>264
東京・港区・某高層マンション・ゼロアワー(その5)

寝室からリビングに突入したチームは、信じがたい光景を目の当たりにした。
部屋の隅にあったソファがいきなり宙を舞い、ベランダの近くでリビングの内部をチェックしていた
リビング突入チームの2人に襲い掛かったのだ。
リビング突入チームの2人は、パニックに取り付かれて、手にしていた銃-ヘッケラー・ウント・コッホMP5をソファ目掛けて乱射した。
だが、ソファにはなんの効果もなく、そのままの勢いを保ってリビング突入チームの2人を押しつぶ
しながら窓ガラスをぶち破り、ベランダを飛び越え、虚空へと姿を消した。

もちろん、リビング突入チームの2人と一緒に。

眼球が零れ落ちそうなほど見開かれた寝室突入チームの2人は、凍りついたように立ち尽くして
いた。
信じられない、これは、いったい・・・・・・?
彼らの視界の隅、先ほどまでソファがあったあたりで、何かが動いた。
彼らが訓練どおりに体を動かすよりもはるかに早く、その何かはリビングの床を這い、もっとも手近にいた方の隊員に飛びかかった。
飛びかかられなかったほうの隊員が銃を向けたときには、その何かは仕事を終えていた。
するり、と細長い影が、その何かから伸び、それが隊員の首をへし折ってしまったのである。

その何か、が人であり、細長い影が人の腕であることを認識したとき、銃を向けた隊員のすぐ近くに
までその人物は迫っていた。
「遅すぎるよ、若いの」
その人物が死刑囚-柳であることをはっきりと認識したとき、銃を向けた隊員は同僚と同じく、首をへし折られてリビングのフロアにぐずぐずと這いつくばった・・・・・。

266 名前:死刑囚外伝:03/01/12 19:44 ID:???
>>265
東京・千代田区・警視庁庁舎・オペレーションルーム・40分後

「部長、死刑囚確保チームより入電です」
「繋いでくれ」

ブツッ・・・・・・ザザザザザザザ・・・・・・・・

『こちら死刑囚確保チーム。司令部、聞こえますか?』
「聞こえる。首尾はどうだ?柳龍光は確保したか?」
『ああ、作戦の首尾ね・・・・・』
「どうした、柳は捕まえたのか?それとも射殺したのか?」
『作戦は失敗ですよ』
「なに?」
『玄関から突入したチームは、クローゼットにドアを押さえられてたので素早く中に入れませんでした』
「・・・・おい、それはどういうことだ。柳はどうしたと聞いてるんだ!」
『一方、リビングと寝室から突入したチームは、閃光手榴弾、ですかね?それを投げ込んで柳の動きを
封じたと思い込んでいたんですが、それがとんだ誤りというやつでして。うかうか踏み込んだところで
待ち構えていた柳に皆殺しにされました』
「・・・・・・・・・・・・」
『まあ、わざわざ悲鳴をあげて見せて油断を誘った柳の作戦が功を奏したというところですか。
窓から突入してきたチームを皆殺しにした柳は、あろうことかその銃を奪って人質の爺さんを盾にし、
クローゼットを片付けて玄関から突入してきた6人を射殺しました。簡単な仕事でしたよ』
「おい、お前、まさか・・・・・・」
『そう、そのまさかです。今無線機のマイクから話をしているのは、柳龍光ですよ』
「柳ィ!貴様ァ!」
『SATですか?こんな連中に私がやられるはずがないでしょうが・・・・。もっと人を選ぶことですな、
警視庁も! ハハハハハハハハハハハハ!』

267 名前:253の続き:03/01/12 23:54 ID:ZN7k2T0h
花山組傘下、峰青会。渋谷の夜を支配する暴力団。その組織は団結が強く、昨今隆盛を極める
中国マフィアすら彼らを無視出来ない。ある意味、裏の警察ともいえる存在である。
構成員は末端まで含めると100人位といった所であろうか。以外にも数的には大した事はない。
もっと大きい組織はこの界隈には幾らでもある。それでも、ここらでbPをほこるのは、
その類稀なる戦闘力からである。今時の経済ヤクザではない、バリバリの武闘派。
花山組傘下である。日本一の喧嘩士の組の直系である。自然と弱い者は残れない構造に成る。
しかし、今の状態は・・・。花山組若頭、木崎がその惨状を見、吐きそうになる。地獄。
幾多の修羅場を潜り抜けた一流のヤクザがである。組員が木崎に問いかける。
「組長にご連絡を・・」木崎は組員を殴り飛ばした。「バカヤロウっ、報告できるかっ」
花山薫は都内の病院に入院中である。全治4ヶ月。ドリアンからの勝利の代償は余りに大きい。
木崎は現在、花山組の全権を任されている。それだけの器量を彼は持つ。
しかし、目の前の惨状は彼の器量すら超えている。(どうすりゃいいんだ、大将・・。)
・・・・。転がっている。武闘派ヤクザの体が、血まみれに。18名。事務所内に。
先日の神心会の再現。新聞沙汰にはならなかったが、木崎は裏情報を仕入れていた。
壁の只一言書かれた血文字を睨み付ける。・・・DOIL。ドイル、そう書かれていた。
(ヤクザじゃ、勝てねえ・・。人数使やあどれだけ殺られるかワカラねえ・・。)
木崎はその足で徳川邸へ向かう。そこには、あの男が客分としているという。
・・・ジャック・ハンマー。この男をヒットマンとするなら。



268 名前:パオ:03/01/13 00:03 ID:bvG7+cRh
死刑囚外伝作者さん、乙。力作ありがとうございます。すいません、267は正直失敗。
長いし読みづらい。せめて2レスに分けなければイケマセンデシタ。申し訳ない。
今日はちょっと疲れたんで終わり。明日は、ドイルを決着できればいいなあ。
ところで、高2さん現れませんでしたね。シコルは私がやります。ゴメンネ、高2さん。
実は鬼カツミンはそのままシコルの役割でした。
ジャックに喧嘩売って、敗北を知りつつもジャックは止めを刺さない。挫折を知るシコル。
そこから立ち直りエンドルフィンを手に入れ・・。ってなカンジ。もう一度話を作ります。
ではおやすみなさい、皆さん。

269 名前:バキスレの567は俺:03/01/13 05:46 ID:Co3Zm3dD
なんだけど言いっ放しでは卑怯な気がしたんで、俺も頑張ってみますた。w


ドリアン編『-1-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)


GHQによる東京の占領統治にも、ようやくメドが立ってきた1945年11月。
8月の終わりにマッカーサーが厚木に降り立ってから、まだ2ヶ月少ししか経っていないが、9月には早速GHQは横浜から東京日比谷に本部を移した。 当然、諜報部も日比谷の第一ビルの中にあった。

そこは日比谷からはかなり離れた場所にあった。
「シンジュク---新しい宿、という意味らしイゼ」
「お笑いだナ。こんな穴倉にはとっととおさらばシテ、愛するワイフに早く逢いたいヨ」
「今頃、イイ男でもくわえこんでたりしてナ」

かつて戦中は日本の政府要人達のシェルター代わりに利用されていた、一部の人間しか知らない場所である。
彼等は一応、GHQの諜報部の一員ではあったが、一般の占領米兵には知らされておらず、組織名すら存在しなかった。
何をする組織なのか。
アメリカにとっては、戦後の日本占領統治は重要な意味を帯びている。 日本は極東に位置し、地理的に共産圏の防波堤と考えられていた為だ。
朝鮮半島は共産国の進出により、キナ臭い雰囲気になってきていた。 アメリカは是が非でも日本の占領統治を完遂させなければならなかった。

占領軍が東京に入ってから、事件にこそならなかったが、MPによる一般人への暴行やレイプは多数報告されていた。 軍規の乱れは占領統治に深刻な陰を落し兼ねない。 そこでMPを監視する任務を担っていたのが、この組織であった。

軍規違反が明らかになった米兵は禍根を残す前に、直ちに帰国させられた。
組織自体は極秘であり、また、軍規違反を犯したからといって軍法裁判に掛けられる事もない。 ただ、命令により配置転換、という形で処理された。
軍法会議などに掛ければ、事件が明るみになるからである。

「ドリアン、お前ちょっとジープでひとっ走り、日比谷の本部までこの書類を持って行ってきてくれなイカ? 急ぎの書類なんダ」
「OK」

270 名前:バキスレの567は俺:03/01/13 05:47 ID:Co3Zm3dD
ドリアン編『-2-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)


先程まで黙々と書類を整理していた男が席を立った。 背が高い。 2M近くあるのではないか。
鍛えた身体ではないが、ナチュラルな筋肉に包まれており、華奢ではない。 新兵としてこの組織に選抜された男である。 こういう極秘組織というモノは上官以外は新兵の方が、実は都合が良い。 軍内部の余計なしがらみや思惑がないからである。

(丸一日ぶりの下界ダ・・・)
思わずドリアンは落ちかけた夕日に向かって背伸びをした。 最近、MPによるトラブルが多い為、少しうんざりしていたのだ。 日比谷までのドライブはジープだと大した距離ではないが、気分転換には丁度良い。

しばらくジープを走らせていると、MPの文字の入ったジープが1台停められていた。 気になってドリアンは少しスピードを落した。

その瞬間、ドリアンの耳に米兵達の大声で叫ぶ声が入ってきた。 笑い声と泣叫ぶ声が交錯する。 車を停めて、声のする路地の方へ入って行ったドリアンは、そこで信じられない光景を見た。

2人の米兵が母子をレイプしていたのだ。
毎日のように同様の事件の書類を整理していたドリアンであったが、現場を見たのは初めてであった。
泣叫ぶ母子の側には血だるまになっている父親らしき男が転がっていた。 男は既に意識はなさそうである。
「な、何という事を・・・」
ドリアンに気付いた1人のMPが「お前も来い」と手招きをしている。
「貴様らッッ!!すぐに2人から離れるんだ!!!!」
「喧しい!終わったらお前にもヤラせてやるから、ちょっと待ってロ!」

もう1人のMPが少女の髪の毛を引っ張り上げながら言った。 あらわになった少女の太ももには血がしたたっていた。 既に気絶しているようだ。
その時、ドリアンの中で何かが弾けた。

271 名前:バキスレの567は俺:03/01/13 05:56 ID:Co3Zm3dD
ドリアン編『-3-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)


少女をレイプしている方の大男の襟を掴み、力任せにぶん投げた。
その男も190近い大男であったが、体格ならドリアンも負けてはいない。 半分程水の入っていた用水桶が粉々になった。
「若造ッッ!てめぇ、タダで済むとは思っていないだろうナ」
小さい方のMPがそそくさとズボンを上げ、タックルを仕掛けた。 しかし、ドリアンは地に足が生えたようにビク
ともしない。 腰に食らい付いているMPの背中に右肘を力一杯に落した。
膝まずきそうになったMPを倒さないように膝蹴り。 襟を掴んで、渾身のパンチを喰らわせた。
頬骨の折れる凄まじい音と共に、MPは吹っ飛んで気絶した。

用水桶の水を被ってずぶ濡れになったMPが立ち上がってきた。
MPはボクサーのするファイティングポーズをとっている。
「若造、お前も運がなかったナ」
ドリアンの耳には聞こえない。
「俺はジャップの島に来る前は、西海岸ではちょっとは名の売れたボクサーでね」
軽いステップを踏むMP。 無造作に近付くドリアン。 MPのジャブがドリアンの顔面に的確にヒットする。
しかしドリアンは全く動じない。 パンチを当てながらも後退するMP。

苦し紛れにMPが放った右ストレートはドリアンの右頬をかすめて空を切る。 無意識に避けたのだろうか、
それとも元ボクサーのストレートが見えたのだろうか。 いずれにしても次の瞬間、ドリアンの両腕がMPの襟を
引き付ける。 そのままドリアンはMPの顔面に頭突きを喰らわせた。

グチャッ!という凄い音がした。
一発でMPの鼻は曲がり、血が吹き出した。 それでもドリアンは頭突きをヤメない。 MPの眉間から下の骨は
グチャグチャである。 気絶しているのに、頭突きをヤメない。

MPの折れた歯がドリアンの額に刺さっているが、お構いなしに頭突きを続ける。
既にMPは死んでいた。
我に返ったドリアンはMPの死体を無造作に転がした。 ドリアンは持っていたドル紙幣の全てを、
気絶している少女の側で呆然と座り込んでいる母の手に握らせた。

272 名前:バキスレの567は俺:03/01/13 05:59 ID:Co3Zm3dD
ドリアン編『-4-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)


ドリアンは黙ってその場を後にした。
ジープに戻ったドリアンはガスのメータと、後ろに積んであるガソリンの量を確認した。 MP達が乗っていたジープに積んであったガソリンも一緒に自分のジープに後部座席に置いた。 上官から渡されていた書類はMPのジープに無造作に放り投げた。
(もう軍には戻れないナ)
ドリアンはエンジンをかけ、今ある燃料で到達できる一番遠い港に向かった。 何故かさっぱりしたような気分であった。

翌日、ドリアンは脱走という軍法規違反と殺人の容疑で追われる身となった。


ドリアンは上海に来ていた。
目指すは中国拳法の総本山、少林総嵩寺。 上海から1000キロ以上離れた場所にあった。 そこは治外法権の地であり、そこで修行する者達は皆、敬虔な仏教徒であるという。
そこには『ポセイドン』の称号を冠する武術家がいて、遠くシルクロードの時代より地上最強の代名詞だと聞いていた。

自分の生まれ育った国、アメリカを捨てた男である。 アメリカに背を向けたのだ。 つまり自由な訳だ。

ドリアンは幼い頃より、腕っぷしで誰かに負けた事はなかった。 特にスポーツや武術をやった事はない。
ハイスクール時代、一度マフィアに囲まれた事があったが、それでも負けなかった。 一度知り合いのマフィアに頼んでジョー・ルイスの試合のチケットを貰った事があった。 会場で見たルイスのパンチは全てハッキリと見えた。
無敵の世界ヘビー級チャンピオンにさえ負ける気がしなかった。

ドリアンは自分に特別の能力を与えた神を呪った。 考えてもみて欲しい。 何も特別な訓練も受けていない自分が、世界最強のチャンピオンよりも強いという現実。 闘うまでもない程の差を感じるのだ。
(これが孤独というヤツかナ・・・)
やがて、ドリアンはつまらぬ勝利に飽き、闘う事をヤメた。 最強は自分だけが知っていれば良い。 そう思ってごまかしてきた。

しかし、本当は負けたかったのだ。 自分の力を全て出し尽し、そして敗北を受け入れる。 その甘美なイメージが若いドリアンの胸を掻きむしった。 追い求めても遠く霞む蜃気楼、『敗北』。

273 名前:バキスレの567は俺:03/01/13 06:03 ID:Co3Zm3dD
ドリアン編『-5-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)


ドリアンは上海から5日間一日200キロ以上を歩き通し、果たして少林寺に辿り着いた。
山の麓から数えたら、一体何千段になるだろう。 この山の上の寺に自分に『敗北』を与えてくれるかも知れない武術家がいる。
そう思うと居ても立ってもいられず、麓から駆け上がって来たのだ。 今しがた上って来た階段を遥かに見下ろし、ドリアンは汗を拭った。

「どちら様でしょうか?」
15〜6歳の少年僧だろうか。 ボロボロの衣服に2M以上もある長身、風体異常極まる西洋人。 野菜の入ったカゴを持った少年がいぶかし気に見つめている。

少年に構わずドリアンは中に入って行く。 何百人もの修行僧が掛け声と共に拳や蹴りを一糸乱れず繰り出していた。

ドリアンはまず近くにいた青年修行僧をいきなり横殴りに殴った。 青年は堪らず吹っ飛んだ。 修行僧達の動きが一斉に止まった。
失礼は承知である。 しかし、これが一番シンプルで分かりやすい意志の伝え方だと思っている。


「最強の男に会いたい。『ポセイドン』の称号を持つ武術家がいると聞いた」

高僧だろうか、修行僧達とは違う色の服を着ている男が、いつの間にか目の前にいた。 高僧は手のひらと拳を合わせて礼をした。
凄い身体をしている。 ダブついた服の上からでも十分に察せられた。
僧は礼の後、上着を脱いだ。 凄まじい筋肉である。
ドリアンは思わず「美しい」と呟いた。 少年の頃より1日たりとも休まず、何十年と錬り上げられた筋肉の鎧は、
ミシミシと音をたてんばかりに張り詰めている。

274 名前:バキスレの567は俺:03/01/13 06:05 ID:Co3Zm3dD
ドリアン編『-6-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)


身長はそれ程高くない。 年齢は50歳くらいであろうか。 とても老境に差し掛かろうかという人間の
身体ではない。
その僧が中腰に構えた。 中国拳法の構えである。
「私は劉海王。お前の会いたがっているポセイドンとは、恐らく私、『海王』の事だろう」
「貴方を倒せば、私は海王になれるだろうか?」
「なれない」
「なぜダ」
「寺が崩壊するからだ」
「では、どうしたら海王になれル?」
「我が寺に入門すれば、あるいは、海王を継ぐ事も可能かもしれない」
「海王とは一体何なのダ? 拳法のチャンピオンの事ではないのカ?」
「お前は此処にいる大勢の者達が修行している様を見たであろう。
一糸乱れぬ稽古はまるで『海』のようではなかったか? 私はその長だ」

「なるほど。では入門させて頂きたイ」
「それは構わんが、私を倒す事は出来んぞ。 同門対決は禁止されている」
しばらくドリアンは考えて、納得したようだ。
「俺が海王を継ぐ事は不可能のようダ。 ならば、貴方を倒し、寺を破壊しよウ」
「来なさい」



275 名前:バキスレの567は俺 :03/01/13 06:14 ID:sNRE04eM
ドリアン編『-7-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)


ドリアンは目の前にいる男の構えを見て驚いた。 自分に向けた拳が、まるで巨大な大砲の弾のようだ。
今まで感じた事のない恐怖を感じて、全身が総毛立つ。 自分が海の巨大な津波に押しつぶされるような
錯覚を憶えた。
(それで良い。それでこそ海王だ)
ドリアンは構えというモノを知らない。 圧倒的な威圧感を発している劉の構えを見て、ドリアンは
それを真似し、同じ中腰に構えた。

(何と素晴らしい天憫か・・・)

劉がドリアンの間合いに入る。 いつ入ったのかも分からない。 ステップは踏んでいない。
足が滑るようにして入ってきた。 ドリアンの本能が反応、一気にアドレナリンが全身を駆け巡る。

手、肘、脚、拳、足、指先、凄まじいスピードで繰り出される恐るべき劉の連撃。 そのどれもが
必殺の攻撃だ。 何と、それをことごとくかわすか、ブロックするドリアン。 たまに劉の攻撃も
カスるものの、致命的な攻撃にはならない。 ドリアンの顔が笑っている。
「ハハハハ!! 身体が勝手に反応すルッ! 見えるぞ! 海王ッッ!!!」

地面を滑るように後ろに下がり、劉は一旦、ドリアンとの距離をとった。
「海王よ! 俺は素晴らしイ! 俺は武術の神に愛されているらしいゾ!」
「そうらしいな。 お前のような天憫は見た事も聞いた事もない」

そういうと今度は劉はゆっくりと構えた。 高僧も修行僧も2人を遠巻きに取り囲むように
している、全員が呆然としている。

劉は力の入っていなさそうな手足をゆっくりと動かす。 ドリアンもその動きに合わせ、
ゆるやかに舞う。 太極拳である。 劉の足が石畳を滑る。 そして何とドリアンの足も
ゆっくりと滑っていた。
期せずして、オオッ、というどよめきが起こった。

276 名前:バキスレの567は俺:03/01/13 06:16 ID:sNRE04eM
ドリアン編『-8-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)

お互いの間合いは接近し、もはや身体と身体が触れ合う程の距離である。
瞬間、「ダンッ!!」と劉の両足が石畳を踏み抜いたかと思うと、同時に肘が発勁のように
ドリアンの脇腹に突き刺さった。
モロに喰らったドリアンが、身体をくの字に曲げたまま吹っ飛ぶ。

「素晴らしいッ ッッ!! グッッ!! 全くッ、反応ッ、出来なかっタ」
脾臓に強烈な肘撃ちがに入った。 ドリアンの顔が苦痛に歪む。
(良かった・・・本当に良かった・・・中国に来て本当に良かった・・・)

「どうした、西洋人よ。もう終わりか?」
「ははは、まさカ。 今度は俺から行くゾ」
ドリアンは最初に劉が構えた中腰になった。 そして石畳を滑るように間合いを詰める。
ステップは完全に盗んだらしい。

今度はドリアンの連撃が繰り出される。 肘、手、足、あらゆる攻撃が劉の急所をめがけて、
吸い込まれるように飛んでくる。
「甘いッ!!」
劉がそう言うやいなや、ドンッ、という音と共に劉の拳がドリアンの胸に突き刺さる。
うずくまるドリアン。 息が吸い込めない。 しかし、それを表情には出さない。

「入門を許そうじゃないか。 今、殺してしまうのは惜しい」
声の出ないドリアンは静かに頷いた。 入門する、という事らしい。
(何故今殺さない。 何故徹底的に俺を痛めつけない。 今『敗北』与えておかないと、
すぐに俺はお前を超えるぞ・・・)



277 名前:バキスレの567は俺:03/01/13 06:17 ID:sNRE04eM
ドリアン編『-9-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)

ドリアンの修行はわずか3年にも満たなかった。 その間、「膨大な学問」とも表現される
中国拳法を、ものすごいスピードで吸収して行った。 劉が直接指導する事はなかった。
ドリアンの場合、身体が知っているらしい。 何を学び、どれだけ吸収すれば良いのかを。

3年程の間に荒削りだった才能は見事に開花し、既にドリアンの表演は劉のそれを超えていた。
ナチュラルだった筋肉は、今や鋼鉄のごとき、である。 指や拳は岩をも砕き、
打岩も既に完成させていた。

ドリアンが『海王』を継ぐ事に異論を挟む者はいなかった。

ある朝、ドリアンの表演を見ていた劉が呼んだ。
「私についてきなさい」
寺の中の階段を劉はどんどん降りて行く。
(ほう、こんな所もあったのカ・・・)
階段を降り切ったところは広い天然の洞穴になっていて、更に奥に進めるようになっていた。
「此処は海王を名乗る資格のある者しか知らない場所だ。 並んでいる石像は仏教の神々だ」
「素晴らしいナ・・・」
「お前にも彫ってもらう。 彫る為の道具はすでに身に付けておる」
「何の為ニ?」
「完成したら、お前は海王だ」
そう言って劉海王は洞穴を後にした。



278 名前:バキスレの567は俺:03/01/13 06:18 ID:sNRE04eM
ドリアン編『-10-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)


翌朝、劉はわずかな食事を持って、地下の洞穴に向かった。 洞穴につながる階段の扉を開けて、
劉はすぐに異常に気が付いた。 突風が吹いたのだ。 洞穴の奥には山の中腹に向かって巨大な
横穴が完成していた。
横穴の一番奥、朝日の逆光の中にドリアンは立っていた。

(一晩でこれを・・・・)

「劉海王、俺は素晴らしイ。 俺はまさに武術の神が造り上げた存在ダ。 何人たりとも
この俺に『敗北』を与える事は叶うまイ」
それを聞いた劉の表情が一瞬悲しそうに曇った。
「私はまだお前に・・・」と言おうとして、劉は言葉を飲み込んだ。

「ドリアン、お前は海王を継いでどうする?」
「どうもしなイ。 俺はアメリカに戻ル。 今の俺ならアメリカという国にさえ負ける気がしなイ」

「私の生きている間に再び『海王』を継げる者が現れるかどうか・・・」
「ハハハ。 それは貴方が長生きすれば良いだけの事ダ」

「劉海王ッッ! 海王の名は貰ったゾ!!」
ドリアンは朝日に向かって飛び下りた。
劉海王の目にうっすらと涙が浮かんだようであったが、それを見た者はいない。


279 名前:バキスレの567は俺:03/01/13 06:22 ID:???

  完 全 な 荒 ら し だ な 、 俺 。

これも入れて11個連続カキコ。w
パオの苦労が分かったよ。 許せ。
偉そうな事を言って申し訳ありませんでした。

280 名前:バキスレの567は俺 :03/01/13 06:42 ID:???
>>275
×:天憫(てんびん)←調べたら、こんな言葉はありませんでした。w
○:天稟(てんぴん)=天から授かった資質。生まれつき備わった優れた才能。天賦。

何と12レス連続カキコ!

281 名前:マロン名無しさん:03/01/13 09:51 ID:???
>>269-278
いや、おもしれぇよ。ほんと。
板垣がそん位キャラを掘り下げてくれれば死刑囚編もヘタレなかっただろうな・・・。
正直、あんたの書いたドリアンならバキキャラの誰にも負けないような気がする。


282 名前:マロン名無しさん:03/01/13 11:20 ID:???
しかしそんなドリアンも、板垣の手にかかれば独歩にボコられて終わり。

283 名前:マロン名無しさん:03/01/13 12:57 ID:dS0dD6sO
>>269-278
ドリアン編、おもしろかった。
出来れば、他の4人や、オリバの過去とかキボンヌ。

284 名前:パオ:03/01/13 13:18 ID:H7wT9S3s
バキスレの567は俺さま、お疲れ様です。大変面白かったです。
かなりの腕のネタ職人とお見受けしたので、また是非面白いのをひっさげて
ご登場ください。お待ちしております。

285 名前:267の続き:03/01/13 13:40 ID:H7wT9S3s
徳川光成。温和な笑顔と小柄な体格。しかし、その外見とは裏腹に、日本の首領とも言われる男である。
そんな男の前で、花山組若頭の木崎は恐縮している。自分の無理な願いを通してもらう為である。
「・・・わかった。ジャックにはワシから頼んでおく。お主も花山不在で大変じゃのう」
ほっとする木崎。たった一人の男に組員総出、それは出来ない。しかし放置は面子に傷が付く。
「だがな、木崎。もう既にある組織が動いておるよ。ある意味アンタらより恐ろしい奴らじゃ」
ヤクザより恐ろしい組織?・・・木崎は分からなかった。その組織の名は・・神心会。

(泣くな。強い男になれ。そう、あのオロチ・ドッポのように) 記憶。幼い自分と、父の姿。
日本に来てから度々頭をよぎる。何年も忘れていたのに。元々、ドイルは裕福な家の出である。
しかし、幼い頃の父の破産により、彼の人生は転落する。10歳で人殺しを覚え、そのまま暗黒街へ。
(コノ国ニハナニカガアル。俺ノ人生デ大事ナ何カガ) 笑うドイル。楽しみなのである。
・・・そこへ2人の男が彼の前に現れた。彼を追う組織、神心会、加藤と末堂である。 


286 名前:285の続き:03/01/13 13:58 ID:H7wT9S3s
「おまえ、もう生きてこの国出れねえぜ・・。神心会にあんな盛大に喧嘩売ったんだからよっ」
加藤が叫ぶ。末堂は既に戦闘態勢である。だが、ドイルはがっかりした顔である。
「君タチカ・・。愚地独歩氏ハドウシタ?」末堂の声が低くなる。 「不足かい、俺達じゃ?」
しかしドイルはその質問には答えない。代わりに、加藤達には理解不能な事を言った。
「小サイ頃ノ俺ハ女ノ子ミタイダッタ。テディベア、ッテぬいぐるみガ大好キデ」 加藤が叫ぶ。
「てめえ、何いってやがるっ、俺達、いや神心会を舐めてんのかっ」 構わず続けるドイル。
「パパガ良く言ッテタ。愚地独歩ノ様ニ強クナレッテ。ソシテ俺ハ強クナッタ・・」声が少し途切れる。
「愚地独歩ヨリッ。君達ナンテ比較ニナラナイ程、強クッ」 一気にドイルから殺気が発散される。
ビクリ、とする加藤。しかし、構わず末堂は突進する。闇社会で生きてきた加藤の方が、殺気に敏感なのだ。
「待てっ、末堂っ」 その言葉を無視し、末堂のワンツーフックがドイルに突き刺さった。  


287 名前:286の続き:03/01/13 14:11 ID:H7wT9S3s
左ジャブ、右ストレート、そして返しの左フック。見事な三連動作。その間0.5秒。
顔面無しの神心会ルール。おそらく、末堂は自分でボクシングを学んでいるのだろう。
そこから一瞬の間をおかず、髪を掴んで首相撲へ。膝蹴りをダースの単位で叩き込む。
2メートル、百数十キロの末堂の打撃。しかも神心会全日本大会優勝者の攻撃である。
加藤は勝利を確信した。しかし・・。「ぎゃあっ」末堂の悲鳴が上がる。
ドイルの指捕りが、末堂の右手小指を捕らえたのである。そのまま手首の関節を取る。
動けなくなる末堂。加藤が驚く。(効いてないのか、今の攻撃が。しかも、関節技まで・・)
加藤はドイルの前に動けない。ドイルがつまらなそうに言った。
「コンナ程度カ、神心会ノ実力・・。愚地独歩氏モ、コンナモンカイ?」

288 名前:287の続き:03/01/13 14:29 ID:H7wT9S3s
「ば、馬鹿野郎っ、愚地館長はなあ、俺達の10倍は強えよっ」動けぬまま叫ぶ末堂。
それを聞いてドイルは笑う。大抵の女性が惹かれるような美しい笑みである。
「良カッタ。憧レノ愚地独歩ガ、コンナ程度ナラ、日本ニ来タ意味ハ無カッタ」
ドイルの指関節がカキン、と鳴る。それを合図に右手首横から、鋭利な刃物が飛び出す。
「ジャア、君達ニ、モウ用ハ無イナ・・」 手首の刃物がゆっくりと末堂の首に向かう。
頚動脈。静かに、しかし何の迷いもなく、そこへ向かう。・・・サクン。一瞬止まる時間。
・・・噴水の様に飛び出る血液。加藤が叫ぶ。 「ド、ドイルてめえっ」 ドイルは言った。
「選ベ。友人ヲ見捨テテ俺ト闘ウカ、友人ノ命ヲ取ルカ。スグ手当テスレバ、助カルゾ・・」
出血で薄れいく意識の中、末堂の手が動く。行け、と。俺に構わず奴を殺れ、と。
「ば、馬鹿野郎っ。そんな選択、決まってるだろうがっ」 迷わず末堂に駆け寄る加藤。
一瞬、うらやましそうな顔になるドイル。しかし、やがて言った。
「ソレガ君達の限界ダ。ソノ甘サガアル限リ、俺ニハ決シテ勝テン・・」 そして、ドイルは消えた。

289 名前:パオ:03/01/13 14:36 ID:H7wT9S3s
また後で書きます。ドイル編は今日で終わらせたい。ていうか、今週中には
本編は全て終わらせたい。後、番外編をちょこっと書いて終わり。
次は修羅の門にしようか、それともバスタードにしようか。
あと、明日からシコルス書きます。高2さんに申し訳ないけど、大男はすぐ消える予定。

290 名前:288:03/01/13 18:20 ID:Woxopcxq
目の前に惨劇が広がっている。神心会を襲撃して以来、ドイルの中にたぎる物が収まらない。
花山組の敵対する暴力団、夾正会。その本部が、赤い。地の海。
別に、ドイルにとって誰でもどんな組織でもいいのである。一時的にたぎりを止められれば。
(フン、ツマラネエ。ヤハリ、愚地独歩・・) 子供の頃、父に聞き、憧れたヒーロー。
その男を自分が殺る。天国にいるパパ驚くかな。おまえは独歩より強くなったって。
(我ナガラ古風ダナ。挑戦状ナンテ) まっすぐ、神心会の本部のポストに投函した。
別に変装も何もしていない。しかも、昨日の末堂の事など、ドイルの記憶には残っていない。
英文でその挑戦状にはこう書かれていた。
 親愛なる愚地独歩氏へ。 今夜2時、あの道場へまた参上。 一人で待たれたし。
独歩はその手紙を見て笑う。 (丁度いいや。地下闘技場の前に、全部終わらせねえとな) 

291 名前:290の続き:03/01/13 18:36 ID:Woxopcxq
「遅えじゃねえか。5分遅刻だぜ」 独歩が笑う。しかし、笑顔と裏腹に油断は微塵も無い。
「愚地独歩氏。逢イタカッタ。パパガアンタミタイニ強クナレッテ、子供ノ頃良ク言ッタ」
「へえ。オイラ海外でも有名だからな。だが、ファンの息子がこんな事やっちゃ、洒落になんねえ」
 神心会襲撃の事である。それに答えず、ドイルは独歩に質問する。
「愚地独歩・・。強イッテ、ドウイウ事ダロウ?」「なんでえ、そりゃ」独歩は問い返す。
「子供ノ頃、俺ハ泣虫ダッタ。今ノ俺ハ、世界デ誰ニモ負ケナイガネ」 死合には不釣合いな会話が続く。
「デモ、マダ強イッテ事ガ分カラナイ・・。アンタ殺ッタラ分カルカナ」 ドイルの気配が変る。
 手首、肘、ひざ、かかとから鋭利な刃物が飛び出す。戦闘準備完了。独歩は言う。笑いながら。
「下らねえな・・。来なよ。強いって事、教えてやるよ」 静かに拳を作る。赤子が最初に形どる拳。
 独歩も戦闘準備完了である。彼の最大・最高の拳、菩薩拳。

292 名前:291の続き:03/01/13 18:58 ID:Woxopcxq
(俺ノ刃物・・。地上最強ノ武器。今マデ何人ノ敵ヲ屠ッテキタカ」 絶大な自信。
「行くぜ」 独歩が短く言う。ドイルはその拳をかわし、カウンターを狙う。刃がかすればいい。
 だが、独歩の菩薩拳はドイルの想像の上を行く。菩薩拳の発動、そこまでは見えた。
 しかし、そこからフッ、と消え、そして・・。何時の間にか、ドイルは道場の壁に吹き飛んでいた。
「っっ??」 独歩がドイルに向かって言う。のしのし近づきながら。
「体に武器仕込んでなあ、てめえより弱いヤツいたぶってなあ、強者きどるんじゃねえよっ」
 そのまま顔面に前蹴りを叩きこむ。体は昨日の末堂とかいう奴よりずっと小さいのに、ダメージは
 はるかに独歩の蹴りの方がデカい。何故? 「どうでえ、50年空手に捧げつづけた男の蹴りは?」
 距離をとるドイル。いや、避難と言った方が正しいか。そして、懐のナイフを4本投げつける。
 同時投げ。しかも顔、首、心臓、腹と場所をズラしてある。一本は確実に命中するはず。
 しかし・・。一瞬、息吹をする独歩。その後、右腕が内から外へ、左腕が外から内へ旋回する。
 両腕が一回転する頃、全てのナイフは床に落ちていた。一瞬見とれるドイル。
 「マ・ワ・シ・受ケ・・。見事ナ・・。」 




293 名前:292の続き:03/01/13 19:17 ID:Woxopcxq
ドイルの心の一番奥の方で、何かがギシギシと音をたてる。それが折れたら、自分はどうなるんだろう。
にじみよる独歩。仕留めに入るつもりである。エンピ、貫手、正拳、カカト。殺人フルコースが次々と決まる。
心のギシギシは更に強くなる。独歩がドイルを見下ろし言う。
「強さなんてモンはなあ。血ヘド吐いて、てめえの体、死ぬ程痛めつけて、やっと手に入るモンなんだよう」
独歩の下段廻し蹴り。ドイルはついにひざをつく。更に独歩が続けて言う。
「てめえより強え相手と闘い続け、勝ち続けてだ。おめえは何だ。体に武器巻いて強えつもりか、色男」
(駄目だ、パパ。僕この人に勝てないよ) 心に浮かんだ言葉を、ドイルは必死に振り払う。
 独歩がドイルの首根っこを掴む。かかった、とドイル。襟に仕込んだカミソリ。独歩の右手は赤く染まる。
「ヤハリ、勝ツノハ俺ダ、愚地独歩」 カチッ、とボタンが入る。ダランと下がった右腕が高速で跳ね上がる。
 スプリングを内蔵した右腕が独歩を襲った。 



294 名前:293の続き:03/01/13 19:30 ID:Woxopcxq
どんな人間も、ダランと下ろした状態からKOパンチは放てない。腰が入らないからである。
しかし、ドイルのスプリング入りの右腕はこの常識を打ち破る。通常、ありえない高速。
ほぼ死角から放たれる必殺の拳。だが、独歩は受けていた。空手で一番強固な十字受けで。
「なかなか良いパンチ打つじゃねえか。でも、どうせこいつも仕掛け入りだろ?」ニヤリと笑う。
ドイルの心の中のギシギシは更に激しくなる。(駄目ダ。負ケタク、負ケタクナイっ)
ドイルは最終ボタンを使った。爆薬による前方への発火。胸から火柱が立つ。火に包まれる独歩。
だが、流石は独歩、致命傷は避けている。怪しい気配に気づき、わずかに後ろに飛んだのだ。
しかし火薬の量はハンパでは無い。独歩は失神してしまった。

・・・。数分後、独歩が目覚めるとドイルは逃走していた。独歩はため息をつく。
(手痛いダメージ貰っちまったな・・。克巳との死合いに間に合うか・・。)


295 名前:294の続き:03/01/13 19:39 ID:Woxopcxq
神心会近くの公園のベンチ。ドイルがタバコを吹かしている。既に足元に何本もの
タバコが落ちている。あの立合いより1時間経つ。俺は、勝ったのか、負けたのか。
確かに、最後の最後で立っていたのは自分だ。しかし、内容は惨敗である。
しかも、今までに無い心の軋みを覚え、独歩にトドメを刺さずに逃げ出してしまった・・。
答えは出ない。足元のタバコの量が増える。そこへ、声を掛けられた。
「タバコ、一本恵ンデモラエルカイ?」 2メートルを遥かに超える巨漢。
花山組から依頼された狩人、ジャック・ハンマーである。

296 名前:295の続き:03/01/13 20:01 ID:Woxopcxq
黙ってタバコを渡すドイル。口に咥えるジャック。何故かライターが見つからない。
ドイルは咥えたタバコを少し突き出す。そのタバコに、ジャックが自分のタバコを咥えたまま
合わせ、吸った。火がジャックのタバコにも点いた。しばらくタバコを楽しむ2人。
「ジャック君ダロウ、トーナメント準優勝者ノ。裏ルートのビデオデ見タ」ゆっくりと言うドイル。
「アア。色々アッテナ。アンタヲ狩リニ来タ」 ジャックもゆっくりと答える。
「愚地独歩ニネ、言ワレタヨ。オマエハ強クナイッテ。子供ノ頃、パパニ強クナレッテ言ワレ続ケタノニ」
答えないジャック。ドイルは続ける。「勝チ続ケル事ト、強イッテ事ハ、違ウノカナ」 ゆっくり立ちあがるドイル。
それに続き立ちあがるジャック。 「教エテクレナイカ、ジャック。強イッテ事、敗北ト言ウ事。全力デ闘ウカラ」 
・・・・。間合いを保ち、相対するジャックとドイル。


297 名前:296の続き:03/01/13 20:16 ID:Woxopcxq
ジャックの拳がうなる。チョッピングライト。身長差を活かした打ち下ろしの右。
しかし、それを内側に捌き、ジャックの右手首を極め、そのまま腕に飛びつく。
飛びつき腕十字固め。更に、ドイルの場合続きがある。カカトから刃物が飛び出す。
ジャックの顔面を襲う刃。だが、ジャックはその刃を強靭な歯で噛み砕いていた。
「クッッ」ドイルがジャックを倒し、逆十字を極めようとする。もがくドイル。
しかし、ジャックの巨体はビクとも動かない。純粋な、圧倒的なパワーの差。
「フフ、有難ウ、ジャック、ソシテ愚地独歩。ソロソロ教エテクレ。強イト言ウ事ト、敗北ヲ」
うなづくジャック。そして、彼の空いている左腕がうなり、拳がドイルの側頭部を捕らえる。
空中に舞上がるドイル。心の奥で何かがポキンと折れる。しかし、ドイルは笑っている。
(強イナ、ジャック、ソシテ愚地独歩・・。デモ、コレガ敗北カ。全然大シタ事ナイ・・)



298 名前:バキスレの567は俺:03/01/14 06:49 ID:gdcbD7IE
ドイル編『-1-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)

1991年5月、ある日の深夜、バッキンガム宮殿の門の前に1人の男が立っていた。
深夜で人通りもほとんどないが、衛兵の数が異常に少ない。
その男は助走もなしに、高い兵を飛び越えた。

男は幼年時代はどこにでもいる泣き虫であったが、軍人であった父の影響を受け、小学校
を卒業する頃には他の少年達を圧倒するようになっていた。

1982年4月、イギリスはフォークランド諸島において、領有権を主張するアルゼンチンと
戦争状態に突入。
海軍に所属していた少年の父も軍艦シェフィールドの乗組員として戦争に参加した。
フォークランド紛争はイギリスの圧勝と言われているが、ドイルの父の乗った軍艦シェフ
ィールドはアルゼンチンのエグゾセミサイルを被弾する。
少年の父はその際、名誉の戦死を遂げる。

訃報を聞いた母は翌日には家を出て行った。 出て行く母を少年は止めるではなし、ただ
見送った。 テレビではちょうど首相のサッチャーがイギリスの正当性を主張する演説を
行っていた。

バッキンガム宮殿に難無く潜入した男は、ある部屋に侵入。
その部屋は寝室であり、寝室では女王という名の老女が静かな寝息を立てていた。
この間、1人の警備員にも出会っていない。 その事はドイルを大いに落胆させた。

「お前はッ----!! 誰ッ---!!」
曲者の侵入に気付いた女王が叫ぶ。 しかし、女王が叫んだにも関わらず、警備の者は
誰一人駆け付けない。

「ドイル」
静かに答えた。

299 名前:バキスレの567は俺:03/01/14 06:50 ID:gdcbD7IE
ドイル編『-2-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)

「貴女はローマ法王と並ぶ、世界で最も偉大な人間の1人ダ。 それなのに、この宮殿の
警備ときたラ・・」
女王は何も答えない。
「私が身体に爆弾でも巻いていたらどうすルつもりダ・・・」

ベッドから降りた女王はサイドボードの開きを開け、中からブランデーを取り出した。
「ブランデーはいかガ?」
女王はブランデーを注いだグラスをドイルの前に差し出した。 2フィンガー程注いだ
ブランデーを一気に流し込む。
「私も頂こうかしラ」
女王はブランデーを自らグラスに注ぎ、女王もまた一気に流し込んだ。

「さて、話はドコまでだったかしラ?」
「いや、貴女の警備ガ・・・」
ドイルは何だかどうでも良いような気がしてきた。
「警備の事は明日、関係者に伝えておきましょウ。 それよりも貴方の話を聞かせて
ちょうだイ」
そう言われたドイルは思わず笑ってしまった。

ドイルは”結果的には”愛国者であった。
父の影響を強く受けたドイルは、少し前までイギリス空軍に所属していて、その間に
挙げた戦果は甚だしかったからである。
数々の軍事作戦に参加し、殺傷した人間は、民間人を含めて数え切れない。

「女王陛下がこれ程面白い人物だったとは知らなかったヨ」


300 名前:バキスレの567は俺:03/01/14 06:51 ID:gdcbD7IE
ドイル編『-3-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)

「まず、貴方は何者?」
「私は軍人だった。 それも極めて優秀ナ。 つい最近除隊したが、貴女が知らない
ような僻地での作戦にも数多く参加していル」
女王は少女のように興味津々に話を聞いている。
「どうして、貴方は軍人になったのかしラ?」
少し答えにくい質問だったのだろうか、ちょっと考えてドイルは答えた。
「死の危険のある任務があると聞いたから、かナ」

実はドイルは今晩女王を殺そうと思って、宮殿に侵入したのだった。 何故か。
女王を殺せば、イギリス中、いや世界中の警察、賞金稼ぎなどに追われると思ったからだ。
自分に本物の死の危険が迫る。 それを全て蹴散らし、自分が最強である事を証明する。
そういう状況に持って行くには、女王陛下の暗殺は、まことに都合が良かったのだ。

ドイルは小さい頃から、運動神経は良かったが、特に腕力が強かった人間ではない。
しかし、ケンカに負けても、次の日にそれ以上の仕返しをした。 ドイルは子供の頃から
『敗北した事』がなかった。 いや、正確には『敗北を受け入れた事』がなかった。

ドイルはアスリート達にはまるで魅力を感じなかった。 彼等など、背後から近付き、
ナイフで首をかっ斬ればそれで終わり。
勝つ負ける以前に、彼等の前に立とうとも、死ぬ危険性を感じないからである。



301 名前:バキスレの567は俺:03/01/14 06:52 ID:gdcbD7IE
ドイル編『-4-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)

ドイルは軍を自ら除隊した。 戦果を上げる度に昇進し、危険な任務ではない、つまらぬ
役を押し付けられるようになったからだ。
ドイルが軍に在籍していたのは、単に危険地帯の任務につけるから、という1点であった。

ドイルは除隊して一般人となり、IRAのアジトを探していた。 やがて、軍隊時代の知り
合いを通じて、アジトの場所が判明した。 住宅地と国道から少し離れた3F建ての小さな
廃ビルであった。 メンバーは民家から地下道を通じて出入りをしているらしい。
大勢の人間が廃ビルに出入りしていれば怪しまれるからであろう。

ドイルは廃ビルの敷地に潜入。
別にIRAに対して特別な感情を持っている訳ではない。 しかし、死の危険を味わうには
格好の獲物と言えた。
日も落ちかけた薄暮の中、一人の兵を見つけた。 背後から全速力で走って近付く。
足音がしないので、兵士は気付かない。 いきなり跳躍。 空中で反転し、いきなり銃を
持った兵士の前に立つ。
びっくりして動けない兵士の頸動脈をナイフで一閃。 叫び声を上げるよりも早く、真っ
赤な血が噴水のように吹き上がる。

「私はイギリスの兵士だ!!! このアジトを今から殲滅するッ!!!」

子供のケンカではない。
相手は子供の頃からイギリスへの憎悪を募らせているIRA兵士である。 IRAとしても、
大きな作戦の直前だったのだろう。 こんなに人数がいたのか、と思う程のIRA兵士達が
一斉に銃の安全装置を外す。

ゲームの幕開けであった。


302 名前:バキスレの567は俺:03/01/14 06:53 ID:gdcbD7IE
ドイル編『-5-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)

廃ビルがにわかに戦場と化す。
ドイルに気付いた兵士がいきなり銃を放つ。 しかし、ドイルは兵士が引き金を引くより
早く横に移動する。 動きが早すぎて銃口を定められない。
薄暮の中、ドイルを確認した兵士が大声で伝える。
「相手は1人だ! 携帯はナイフのみだ!」

廃ビルの敷地内を縦横に走り回るドイル。 メンバーをおよそ25〜30人と目算した。
ドイルの姿を目に止めても、動きが早いので、銃を構えられない。 あちこちで悲鳴が
上がる。 わずか2分程の間に、約10人が倒れたようだ。 しかもドイルが携帯している
武器はわずかにナイフ1本。

ウージーを水平乱射するも、ドイルが飛び跳ねるので、弾が当らない。
ウージーやM-16を携帯するメンバー達の急所が、まるで生き物のようなドイルのナイフに
据え物のようにスパスパと斬られてゆく。

ゲリラ戦を得意とする彼等であったが、こんな特殊なゲリラを相手にした事はない。 
しかも、兵士達は味方の位置を完全に把握している訳ではないので、誤射を恐れてなかなか
連射を続ける事が出来ない。

その中で、廃ビルの屋上に暗視スコープを装着した男がいた。 このアジトのメンバーの
中で、最も腕の立つ狙撃兵であった。
男は先ほどからドイルの動きを追っている。 確かに動きは早いが、離れた所からなら目
で追えるのだ。 男はドイルが疲れて、休みを入れるチャンスを狙っていた。

「化け物メ・・・」


303 名前:バキスレの567は俺:03/01/14 06:53 ID:gdcbD7IE
ドイル編『-6-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)

狙撃兵はこの敷地の地理は完全に把握していた。 ドコに壊れたブロックがあるのか。
ドコにドラム缶が転がっているのか。 兵士に見つからずに一息入れるなら、ビルの裏の
廃車の場所しかない。 男の銃の照準はまさに廃車の陰、1点に向けられていた。

「よもや作戦実行の前に、メンバーがこれ程の被害を受けるとは思ってもみなかったよ」
男は苦し紛れに小さく呟いた。
この敷地にいるメンバーは実はIRAの中でも特に優秀なメンバーが揃っていた。 王立劇場
占拠の為に、今回アイルランド中から選りすぐられたメンバーだったのだ。
その時、男の照準にドイルが入ってきた。
「来たな、ボーイ」

ドイルがタバコに火を付けた。 なるほど、薄暗い今の時間なら、タバコを吸っても、
メンバーに気付かれる事はないだろう。
ドイルがゲームを初めてから5分と経っていなかった。

「わずか4〜5分の間に、ナイフ1本で25人、いやそれ以上か。 恐るべき戦闘力だな」
男はゆっくりと照準を足に合わせた。 止まっているので頭蓋を打ち抜く事も可能であっ
たが、ドイルを確保する為に足を狙った。
1発の銃声が響き渡る。
「ガッッ!!」
弾はドイルの太ももを貫通したが、男は照準を外さない。 あれだけの動きを見せた男
である。 下手をして逃げられては堪らない。

ドイルはすぐに車の下に転がるように廃車と壁の間に移動した。 この場所を離れたいが、
屋上からは丸見えだ。
「クソッ、もっと早くビルに侵入するべきだったカ・・・」

絶体絶命であった。



304 名前:バキスレの567は俺:03/01/14 06:59 ID:/Tx1xuCd
ドイル編『-7-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)

まだ逃走のチャンスは残されていた。 背後の壁を飛び越えれば良いのだ。 しかし、足
を撃たれた今となってはジャンプ出来るかどうか分からない。

メンバーの1人が廃車にゆっくりと近付く。
「そこから出てこい」
ドイルが両手を上げて廃車から出てきた。 完全に無手なのを確認して、別のメンバーも
応援に来た。 2人のメンバーの銃口が向けられている。
「アレッ?」
と、おどけた声を出して、手首を返すドイル。
ナイフの柄尻にヒモが結んであり、ヒモのもう一方の端が輪になっており、中指に掛けら
れていた。 次の瞬間、2人のメンバーの脇の下と首筋の動脈がそれぞれ斬られていた。
しかし、同じ瞬間、照準を外していなかった屋上の狙撃兵の撃った銃弾がが足に命中した。
すぐに次の銃弾が肩に、さらにもう一度足へ。 ドイルは計4発の銃弾を喰らった事になる。

生き残ったIRAメンバーは屋上の狙撃兵を含めてわずかに3人であった。
ドイルの意識が遠のいた。

「その後、どうなったノ?」
女王が聞き続ける。
「出血多量で気絶して、気付いたら軍立病院のベッドにいタ。 特殊部隊が助けてくれた
らしイ。 アジトの一室に繋がれていたそうダ」
女王が感心して頷く。
女王がベッドの横にある時計をみて驚いた様子を見せる。

「あら、もうこんな時間。 残念ネ、もっと話を聞いていたかったワ」



305 名前:バキスレの567は俺:03/01/14 07:00 ID:/Tx1xuCd
ドイル編『-8-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)

女王は老獪であった。
「警報を押したワ。 警報はね、この部屋のあちこちにあルの。 何故っテ? だって、
隠しカメラだと、私の寝顔を観られちゃうでしョ」
「知っていたサ。 あのサイドボードからブランデーを取り出した時だロ?」
ドイルは知っていて、SSが突入してくるのを待っていたのだ。 ただし、なかなか
突入しないので、不思議に思っていたところだった。

「そう、気付いていたノ。 サイドボードの警報はこの部屋にいくつかある警報の中でも
特別なのヨ。 だから警備室の者達はすぐ近くにいるけど、入ってはこないワ。 その
替わり宮殿の中も外も包囲されるノ」
「ん? どういう意味ダ? 部屋の外の通路にわずかに人の気配はするヨ・・・3、いや
4人かナ? かなり気配を消す訓練を受けているSSのようだガ・・・」
女王の身の危機である。  何故SSが突入してこないのか意味が分からない。

「貴方みたいな、変わった方は私の命は狙わないワ。 暴漢というモノは、武器をまず
見せるノ。 貴方は何も携帯していなイ。 だから、私の命の危険は少なイ。 素手で
襲ってくれば、気付いた警備員がすぐに取り押さえる、という訳」
何とものんびりとした女王の言葉に、ドイルは苦笑いを隠せない。

「なるほド。 俺は信用されているらしいナ。 ますます貴女が気に入っタ。 貴女の
言う通り、命は奪わない事にしよウ」
「ありがト。 作り話にしてはとても面白かったワ。 最近は、刑務所内で出版される
小説もあるそうヨ。 書いてみると良いワ」

ドイルはクスクスと笑った。 女王の事が本当に気に入ったのだ。

306 名前:バキスレの567は俺:03/01/14 07:00 ID:/Tx1xuCd
ドイル編『-8-』(板垣が原作で描かなかった部分を想像してみる)


「でも、まだ俺の『作り話』には続きがあってネ。 ほら、こういう訳で武器は携帯
する必要がなくなったのサ」
「カチッ、カチッ」と音がしたかと思うと、両肘・両手首4箇所から刃物が出現した。
「まァ!!」
びっくりした女王が思わず声をあげる。
ヘリコプターの音が聞こえてきた。 外は包囲されているのだろう。
「外は何人くらいいるだろウ?」
「女王が警報を押したのヨ? きっと何百人もいるワ!」
女王の声が先程までとはうって変わり、少し震えているようだ。

ドイルは窓を開け、バルコニーに出た。 両手を上げて狙撃を制する仕種をした。
下を見ると宮殿内は大勢の警官隊で敷き詰められていた。
ドイルは考えていた。
恐らく此処にいる警官隊は俺に『敗北』を与える事は出来ないだろう。
自分に『敗北』を与える最も相応しいモノは・・・。

「やはり電気椅子しかないだろうな」
そう呟くと、ノーモーションで柵を飛び越えた。 空中で全身の武器を装出する。
着地したドイルは凄まじいスピードで警官隊がいる方向へ突っ込んで行った。

此処にいる警官隊を皆殺しにすれば、確実に死刑が下されるだろう。
「俺にとっての『敗北』はもはや『死』でしかないんだろうな・・・。 もっと素敵な
『敗北』もあると思ったが、それは叶わぬ夢だったようだ・・・」

凄まじいスピードで警官達を血祭りに上げながら、ドイルはそんな事を考えていた。



307 名前:バキスレの567は俺:03/01/14 07:06 ID:???
と、ドリアン編に懲りず早朝連続カキコ。w
ダラダラと冗長なネタで、また頑張ってみますた。

ちなみに、ドリアンにとっての海王、みたいな良い感じの
『試し割りキャラ』がいないのが辛かった。
オリキャラはやっぱ、ルール違反だと思うし。

※軍事・特殊部隊ヲタの人達、許せ。

308 名前:マロン名無しさん:03/01/14 10:06 ID:cTjdb3AE
高2現われねーな。バオ、シコルも描いてくれんか?

309 名前:297の続き:03/01/14 11:16 ID:6CGQZKgc
30分後。ドイルは目覚めた。ベンチでジャックがタバコを吹かしている。
「オイ、ソレ俺ノタバコダゼ。待ッテテクレタノカイ?」ドイルが笑いながら問い掛ける。
「オマエノ寝顔ガアンマリ可愛イラシカッタンデナ」その答えに、ドイルは照れながら笑う。
ジャックとドイルは何も言わず座っている。ドイルが、「アリガトウ」と小さな声で言った。
ジャックは聞こえない振りをする。ドイルが立ち上がった。 「行クノカイ?」 とジャック。
「アア。パパニ逢イニ行ク。辿リ着ク場所ハ違ウカモ知レナイケド」 少年の様な顔のドイル。
ジャックは瞬時に理解した。ああ、こいつは死刑を受け入れるんだな。寂しそうな顔でジャックは言う。
「元気デナ。・・・死ヌ奴ニ言ウ台詞ジャネエカ」 ドイルは微笑むと、後ろを振り向かず歩き出す。

 ・・・・残されたジャック。ぼんやりと何か考え事をしている。最後のタバコを吸い終わった。
 (・・・ヤッパリ、タバコハ体ニ悪イナ・・。) 何故かそんな言葉が浮かんできた。

310 名前:309の続き:03/01/14 11:36 ID:6CGQZKgc
ドイルは歩いている。どこか、大きな警察署へ出頭する為に、である。
その顔にもはや邪気は無い。目に暗い光も無い。殺気も無い。あるのは少年の様な微笑である。
「ぐくくっ」 ドイルの目の前で、男が苦しそうにうずくまっていた。駆け寄るドイル。
以前の彼からは考えられない行動である。「オイ、大丈夫カッ」 しかし、男は不気味に笑った。
「ドイルさん、ですね・・」 グサリ。気付くと腹に出刃包丁が刺さっている。何度も、何度も。
花山組敵対組織、夾正会。ドイルに本部を襲撃された暴力団。そのヒットマンである。
一日前のドイルなら考えられない。しかし、今のドイルではヒットマンの牙に気付きすらしなかった。
(ザマアネエヤ、オ似合ノ死ニ方ダ・・) 意識が遠くなるドイル。不意に、眩しい光を感じた。
(パパ・・) 錯覚であろうか。父親の手を広げて笑っている。まるでドイルを迎えに来た様に。
(神サマッテノモ甘イナ・・。俺ミタイナ極悪人ニ・・) 涙が一筋流れた後、絶命した。

「園田。ドイルッテノモ下ラナイナ。高ガ、ヤクザ如キニ殺ラレルトハ」 オリバが憤慨する。
 しかし、園田は答えず、ドイルの顔を見つめていた。
(殺害現場なんて星の数ほど見たが・・初めてだ、こんな幸せそうな死に顔は・・・)
           ドイルリタイア。死刑囚、残り2名。柳、シコルスキー。


311 名前:パオ:03/01/14 11:48 ID:6CGQZKgc
バキスレの567は俺さま、お疲れ様っす。相変わらず見事な出来映えです。広い知識に驚愕。
ホント言うと、ドイル編は昨日終わらすつもりでしたが、サーバが重くて書き込み出来ませんでした。
僕如きが板垣氏に対してなんですが、書いてて死刑囚がヘタレるのも分かってきた・・。
バキ達が異常な強さってのもありますが、死刑囚ってヤッパ弱いよ。特にドイル。こいつの話が一番苦労した。
結局、「武器」に頼るキャラなんでヘタレるのも分かる。お話のほうはまあまあの出来と思いますが・・。
シコル編と決戦前編は明日、明後日中に。夜はまたネタをやります。真面目なのばっかりは疲れるの、スゴク。
タイトルは「地上最強の生物対地上最規格外生物」。ネタなんで内容に怒らないでね。では、営業に戻ります。

312 名前:マロン名無しさん:03/01/14 11:57 ID:???
バオさん>すごくいいです、おもしろい。ドイルはあっけなかったけど…でもドイルだし。
仕事に差し支えないようがんばってください。




次はバスタードきぼん

313 名前:パオ:03/01/14 12:13 ID:6CGQZKgc
312さま ありがとうございます。ドイルはバトルよりラストシーンが書きたかった。
     バスタードやるとしたらレスの3分の1はエロになるな・・。
     バキセックス編は絶対書かないが、バスタの女の子はかわいいからね。蛸は嫌い。
     ごめんなさい、本当にいきます。メシ食い終わったし。

314 名前:氏ね:03/01/14 15:17 ID:6CGQZKgc
このスレ文字ばかりでウゼエ。とっとと倉庫へ逝け

315 名前:パオ:03/01/14 15:21 ID:6CGQZKgc
自分で煽ってみた。最近レス少ないんで。スマン

316 名前:番外編:03/01/14 15:41 ID:6CGQZKgc
地上最強の生物対地上最規格外生物 @ 
 光成は地下闘技場の観客席で興奮していた。この闘技場史上、最強最高のカードの為である。
 片や、地上最強の生物、範馬勇次郎。オーガと呼ばれ、たった一人で戦局を左右できる男。
 今まで、彼と互角に闘えた人間などいない。それ程、数々の対戦相手と圧倒的な差があった。
 (しかし、この男なら・・)その男、歳は既に80に手は届こうとしている。しかし、その伝説は
 枚挙に暇がない。中国拳法の奥義一切合財をわずか1年で極めた。熟睡しながら敵を槍で撃退した。
 そして極め付けは、宇宙空間を「生身」のまま泳ぎ、その後大気圏突入・・・。
 正に、「地上最規格外生物」。その姿を見んと、バキを始め強豪が多数、闘技場に観戦にきた。
 「白虎の方角より、範馬勇次郎、入場っ」実況が高らかに宣言する。 オーガ、入場。
 オーガは入場するなり観客を威嚇する。「シャアアッツッツ」凍りつく観客。渋川は思った。
 (やばいぞい、瞬間催眠と言うか、緊縛術というか・・、一般観客は金縛りになりよる)
 横にいる本部を見る。本部は白目を剥いて失神している。(パンピー以下か、お主・・・)
 しかし、その緊縛を、地上最規格外生物の一喝が解き払う。
 「わしが男塾塾長、江田島平八であるっ」 範馬勇次郎 対 江田島平八、スタート。


317 名前:番外編:03/01/14 15:45 ID:6CGQZKgc
残り夜書きます。マジで314ごめんなさい。実は52も俺。自作自演はもうしません・・。

318 名前:312:03/01/14 17:35 ID:???
SS系のスレはレスが少ない傾向なので、気にしない方がいいかと。
俺もスレ立ち当初から居たけどレスは初めてだし。







みんなでレスしてバオさんを励まそう!

319 名前:マロン名無しさん:03/01/14 19:43 ID:???
ヽ(´ー`)ノガンバ

320 名前:マロン名無しさん:03/01/14 20:08 ID:???
死刑囚がヘタレねぇんじゃ普通のバトル漫画と変わんねぇYO!
というのが最初の感想だったんですがどんどんはまってしまいました。
かっこいい死刑囚も見ごたえありますね。バオさんサイコー。
死刑囚外伝のバキスレの567は俺さんもサイコー。


321 名前:マロン名無しさん:03/01/14 22:08 ID:Mic0xZSO
ただ倒すだけじゃ終わらない所が、死刑囚編の難しさだと思う。
「敗北」がテーマなだけに、結末にも凝らなきゃいけないし。
なんかちょっと、板垣の苦労がワカッタような気がしなくもない。

322 名前:番外編 316の続き:03/01/14 22:12 ID:fBAJRtxr
地上最強の生物対地上最規格外生物 A
 「久しぶりじゃのう、勇次郎」 塾長が豪快に笑う。「おまえが花の男塾を退塾して以来だ」
 何時の間にか、男塾塾生が大挙観覧席に集まっている。「あの、勇次郎って奴、男塾に在籍していたのかっ」
 叫ぶ虎丸。近くの王大人が言う。桃、伊達が腕組をしてそれを聞く。
 「江田島殿に聞いたことがある。男塾の歴史の中で1号生で総代を務めた唯一の男。しかし、ある理由で、
 退塾になったと聞く・・。それは、教官殺し・・。しかも6人・・」 驚愕する桃たち。
 勇次郎がゆっくりと言う。「江田島のオヤジ、久しぶりだな・・。アンタと闘りたかった・・。喰うぜっっ」
 塾長。「わはは、言うのう。ここにいるのは只の男と男。存分にくるがよい。わしが男塾塾長江田島平八であるっ」
  その言葉が終わらないうちに、オーガ塾長に突進する。


323 名前:番外編 322の続き:03/01/14 22:26 ID:fBAJRtxr
地上最強の生物対地上最規格外生物 B
 勇次郎の強烈なロー。休まず両足へ鬼の連撃。カミソリのように塾長の皮膚が削れていく。
 「じ、塾長っ」叫ぶ富樫。信じられない事に、塾長が膝を折り、腹ばいに倒れたのである。
 「あっけねえな、オヤジ・・。これが俺の目指した男とはナ。もう足が往かれちまってる、立てねえぜ・・」
 「ふふふ・・。勇次郎、貴様はわしの足を壊したつもりだが、わしにはもう一本足が残っている・・」
  なんと、塾長は腹ばいになりながら空中に浮いている。一物がそそり立ち、塾長の巨体を支えているのだ。
 「ば、馬鹿なっ」叫ぶオーガ。「わしの肉体は全身全てが武器っ!己の常識で人を計ると痛い目を見ることになるっ」
  一物を支点にグルリと回転する塾長。そしてオーガに頭突きを叩き込む。 「わしが男塾塾長江田島平八であるーー」 
 笑うオーガ。しかし、

324 名前:番外編 323の続き:03/01/14 22:46 ID:fBAJRtxr
地上最強の生物対地上最規格外生物 C
 呆気に取られる観客。嬉々とする本部。「拳法の世界には自分の肉体を・・アーダコーダ・・」
 長々と続く解説。その横で、富樫と虎丸が驚いている。夢のコラボレーションである。
 笑う塾長。「わはは、強くなったのう、勇次郎っ」屈辱で顔が赤くなるオーガ。そして気配を消す。
 王大人が叫ぶ。「御殿手っ。琉球王家の秘伝武術っ」 本部は哀しそうな顔をしている。出番を取るな。
 正中線に一切のブレが無く、それゆえ全くスキが無い。まっすぐ懐に飛び込むオーガ。そして、鬼の連撃。
 何十発も人の反応速度を超える速度で叩き込む。そして、ついに勇次郎の背中に浮かび上がる、忌むべき物。
 「お、鬼の貌っ」観客が騒ぐ。筋肉で出来た異形の面。ついに、オーガフルパワー。なす術無く打たれる塾長。
 (今宵・・。これを使えるとは思えなかったぜ。感謝っ) 勇次郎の動きが変わる。必殺の一撃。塾生がわめく。
 なんの仕掛けも無い。悪魔の肉体でただただブン殴る。ただそれだけの技だが、威力は全てを超えている。
 ブン。風を引き裂き、勇次郎の右拳が塾長の心臓上の胸板に突き刺さる。大量に喀血する塾長。止まる時間。
 王大人がゆっくりと呟く。「・・・・死亡、確認」   


325 名前:番外編 324の続き:03/01/14 23:09 ID:fBAJRtxr
地上最強の生物対地上最規格外生物 D
 「塾長おおっ」塾生が泣き叫ぶ。誰からか、あの歌を歌い出す。男の魂を揺さぶる歌、男塾塾歌。
 ・・「日本男児の生き様は・・色無し、恋無し、情けあり」・・何時の間にか、大鐘音。男塾のエール。
 ・・「男の道をひたすらに、歩いて明日を魁けん・・嗚呼男塾男意気、己の道を魁よ」・・・心に響く。
 (けっ、下らねえっ)立ち去ろうとするオーガ。「・・・どこへ行く、勇次郎・・」 「?!何いっ!」
 「わしが男塾塾長、江田島平八であるっっ!!」 強烈な横殴りの拳を叩き込む。吹き飛ぶ勇次郎。
 「て、てめえっ、確かに心臓が止まったはず・・」塾長は笑う。「貴様には分かるまい、男塾魂、男意気」
 ・・・この世で王大人の「死亡確認」ほど信用できないものは無い。しかも、相手は怪物の塾長である。
 「ならもう一度・・。地獄へ送ってやるよっ!!」再び現出する鬼の貌。異形の筋肉。あのブン殴りの構え。
 「じ、塾長っ!もう一度あんなの食らったら・・」わめく富樫。しかし塾長は、腰を落とし、妙な構えを取る。
 ・・ひゅうー、すはー、ひゅうー、すはー・・ 妙な呼吸音。しかし、それを見た烈海王は驚愕して叫ぶ。
 「あ、あれはまさか、中国拳法の最高の奥義、千歩気功拳っ!体内の気を練り込み、それを相手に叩き込むっ」
 恨めしそうな顔をする本部。俺の見せ場を取るな。でも烈は怒ると恐いし・・。
 「面白え、最終決戦って訳かっ」叫ぶオーガ。「行くぞっ、勇次郎っっ!」

326 名前:マロン名無しさん:03/01/14 23:18 ID:dGEuv9FQ
いや、面白いですね、「バキ」VS「男塾」。
勇次郎VS塾長の他にも、バキVS桃(主人公対決)。
花山VS伊達(組長対決)。末堂&加藤VS富樫&虎丸(かませコンビ対決)。
本部VS雷電(解説対決)とかも書いて欲しいっす。

327 名前:番外編 325の続き:03/01/14 23:30 ID:fBAJRtxr
地上最強の生物対地上最規格外生物 E
 「これが真の千歩気功拳じゃあーー」塾長の右手から人間と同じ位の大きさのコブシが飛び出す。
  気。巨大なオーラの塊がコブシとなってオーガを襲う。しかし、オーガは自分からそのオーラの塊に突っ込んだ。
 「ぐぐぐううっ!」甚大なダメージを受けるオーガ。だが、鬼の貌が泣き、必殺のブン殴りがオーラの中心を貫く。
  オーガのブン殴りがオーラの塊を霧散させ、そのまま塾長の胸板に到達する。しかし、その拳にもはや威力は無い。
  相打ち。相殺。差し違え。千歩気功拳の威力がオーガを止め、攻撃を許さなかったのである。・・立ちすくむ2人。
 「勝負は預けておくぜ、オヤジ」オーガが背中を向ける。塾長はその場に片膝をつく。・・竜虎相打つ。決着つかず。
  オーガの体がふらつく。(く、この範馬勇次郎が・・。情けねえ。しかし、俺は退かぬ、媚びぬ、省みぬっ!!」
  ・・・一人残された江田島平八。(またわしの首を取りに来るが良い、範馬勇次郎、いや、オーガよ)
  そして、闘技場全体に響くように、大きく決め台詞を吐く。
             「わしが男塾塾長、江田島平八である!!!!」


328 名前:マロン名無しさん:03/01/14 23:35 ID:???
お見事でした、番外編。
夢のコラボレーション、いいっすねぇ!

329 名前:パオ:03/01/14 23:41 ID:fBAJRtxr
んー。出来はイマイチ。ほかの漫画のキャラを使うのは少し反則だよね。ま、ネタ小説って事で。
パオの中では、塾長と勇次郎なら圧倒的に塾長です。力も、スケールも、魅力も。
でも、塾長に勝たすとオーガファンが怒るからなあ。また、闘技場決戦前にネタをやろうかな、と。
後、みなさん暖かいエールありがとうございます。正直ここの書き込みはツライ。
達人対烈あたりまで楽しかったけど・・。みなさんの「面白かった」「がんばれ」と言うので救われます。
そうじゃなければとっくに逃げてるかも。なんとか最後まで頑張ります。
次のバスタードはやるかどうかわかんないけど。では、おやすみなさい。

330 名前:パオ:03/01/14 23:53 ID:fBAJRtxr
あ、すいません。地上最強の生物対地上最規格外生物Bの最終行、
「笑うオーガ。しかし、」は只の編集ミスです。読み飛ばしてください。
あと、桃も一号生で総代だった。小ミス連発すいません。
あと、「男塾」を知らない方がいたらすいません。色々な意味でスゴイ作品なので、
是非読んでください。俺の中でジャンプ作品ベスト5に入ってます。
あと、ジャックハンマーのモデルはダイナマイトキッドと言う名レスラーでした。
ダラダラとすいません。家に帰って寝ます。おやすみなさい。


331 名前:バキスレの567は俺:03/01/15 00:20 ID:???

道場の中は、一種異様な空気であった。 表情は皆一様に暗い。
その沈鬱な空気を破るように克己が口を開いた。
「以前、俺は、我が神心会は更なる高みを目指し、『中国拳法』をパクりまくる、と言った。
事此処に至っては、その言葉、撤回したい」

黒帯研究会の者達の間に動揺が走る。 克己が続ける。
「俺はもしかするとあの男はヤバいのではないか、と思っている」
確かに色グロの中国人のお陰で神心会は多大な損害を被っていた。 口にこそ出さなかったが、
此処にいる皆の共通した意見でもあった。

この一部始終を扉一枚を隔てた場所で聞いていた男がいた。 今日も道場で汗を流そうと、
道場を訪れていた烈海王である。
「いつまでも居られるわけもない・・・、か」
烈は、かつてドイルに言った言葉を思い出していた。

「いや、誤解しないで欲しい。 黒帯研究会は続ける。 神心空手を高める為に、あらゆる
格闘技の要素を取り入れる、という主旨は変わらない。 さぁ、どうぞこちらへ」



332 名前:バキスレの567は俺 :03/01/15 00:20 ID:???
練習生などが着替えをするロッカールームから一人のアジア人が出てきた。 全身から奇怪な
オーラを漂わせている。 いや、全てが奇怪すぎた。
我々は彼を知っている。 東京ドーム地下。 しかし闘技場ではない。 選手控え室である。
そこでの前代未聞にして空前絶後のパフォーマンスを我々は忘れてはいない。

「ジャガッタさんだ」

克己が恭しく礼をする。 ジャガッタは既に戦闘体勢である。 一体、この体勢のドコを攻撃
すれば良いと言うのか。 膝の辺りまでに縮んだ身体。 全てが規格外であった。
何しろ、相手の視界にいないのである。 まさに常識外れと言えた。

「控エ室デノ出来事ハ、私ニトッテハ不幸ナ台風ノ様ナモノデアッタガ、オ陰デ、我ガ『ムエ
カッチュアー』ハ、進化ヲ遂ゲタノダ。 オーガニハ感謝シテイル」
足下のジャガッタに対して、克己はあくまでも低姿勢だ。



333 名前:バキスレの567は俺 :03/01/15 00:21 ID:???
「サッカーボール・キック・・・ではどうだろうか」 
あまりの異様な雰囲気に臆したのだろうか、空気に耐えられなくなった黒帯の1人が思わず呟いた。
サッと克己の顔から血の気が引いた。
次の瞬間、その黒帯の胸に克己のマッハパンチが炸裂する。
道場の端の壁まで吹っ飛ぶ黒帯。

後にその黒帯は神心会を退会、その経緯についてこう語っている。
「全てが恐ろしかった。 何かとてつもない世界が目の前に広がったような気がしたんです。
いや、正確には目の下かな。 考えてもみて下さい。 人が伸びたり縮んだり、あれはもう格闘技
じゃない」

「ええ、克己さんの突きを喰らった後、ぶっ倒れた私はジャガッタと目線が合ったんです。 偶然。
彼の目線は膝下ですからね。 ハハハ。 その時彼が私に背を向けたんです」

「何だ、知ってらしたんですか。 ええ、異様でしたよ。 こう・・何と言うのかな。 『Z字』、
というのかな。 うっすらとね、ジャガッタの背中に浮かんでいたんですよ」

「え? 男として? 別に憧れはしませんよ。 私は男である前に、人間ですから」


334 名前:ぎゃく ◆xk.9FGYAkU :03/01/15 05:12 ID:???
ワラタ

335 名前:パオ:03/01/15 10:58 ID:2/L9wvEO
567は俺さま、ありがとうございます。上質なネタを書ける方がいる、という事はこんなに
心強いものかと本気で思います。
あと、すいません。今日の午前午後は何かとあって・・。夜にシコル編を書きます。半分位かな。
326様>男塾対バキはどうだろう。書いてもいいけど、片や肉体のみの攻撃のバキ、それに対して
    男塾側は気だの武器だのがメインですからね。しかもコマだの碁石だの虫だの。噛合うかな。
    ホントは塾長対オーガは倍くらい長かった。ネタも5つくらい削ってあります。例えば、
   ・前座のガイア対羅刹。試合開始早々、ガイアは砂にまみれ姿を消す。羅刹はそれに対抗して
    奥義、土錘竜で砂へもぐる。そのまま2人とも姿を現さず、試合終了。
   ・本部の解説のことごとく上を行く雷電。本部は雷電を涙目で睨み付ける。そして一言。
    (こいつとは、いずれ決着を付けねばなるまい・・。喧嘩じゃ適わないから、解説で)
   ・・・下らないな、ホント。しかし本部はおいしい。ネタの時の主人公だな。
  すみません、長々と。では、また夜に書きます。

336 名前:マロン名無しさん:03/01/15 14:17 ID:+yGzKr3+
バオさん、バキスレの567は俺さん、一言言わせてもらう。

   (゚∀゚)  君   達   面   白   す   ぎ  (゚∀゚) 

俺もなんか書きたいけど、この2人がレベル高くて恥ずかしいよ。
邪魔しちゃ悪いし。

 

337 名前: :03/01/15 19:02 ID:xcjculhe
ちょっとつっこみ
スペック編
>ジジイハドコダッ
ってスペックのほうがかなり年上なはずじゃ・・・

338 名前:161と310の続き:03/01/15 22:16 ID:wo23b11E
シコルスキーと大男の対決は続く。「コノママジャ、埒ガ開カナイナ・・」シコルスは呟く。
彼にはこの後、パーティの予定が沢山あるのだ。いつまでもレスラー達に構っている場合では無い。
ブン、と彼の右足が唸る。金的蹴り。大男は一瞬ガードするが、その上からでも十分な威力である。
うずくまる大男。シコルスの鉄指がのど仏に食い込む。「ぐげえっ」小さくうめく大男。
シコルスより一回りも大きい男だが、今はうずくまった為、シコルスの下に顔がある。
シコルスが大男のこめかみの横に、両手の人差し指を置く。丁度、指で大男の顔をはさむ形である。
「レスラーは気楽だな。ルールに守られて、本当にガードしなくちゃいけない目や金的がお留守だよ」
そのまま鉄指がシュッ、と大男の顔の中心に滑る。大男の両目は血まみれになる。

シコルスはそのままその場所を離れた。(そういえば、大男の名前も正体も分からなかったナ)
シコルスはそう思ったが、もう別にどうでもいい事だった。あの大男が自分を襲うことはもう2度と無い。
彼は、一生光の射さない暗闇の世界をさまよう事になるのだから。


339 名前:バキスレの567は俺:03/01/15 22:25 ID:???
我々は人間の身体が鍛えれば鈍器、否、ハンマーにだってなり得る事を知っている。
しかし、この男はどうだろう。
ただただ小さく、そしてコンパクトになる事を至上の命題とした体術。 既に『ムエ
カッチュアー』が追い求めた理想は遥か彼方に凌駕している。

「見たかよ、お前ら。 鞄だぜ。 人間の身体は鍛えれば鞄にも入る、って事だ」

再度恭しく礼をする克己。 もはや黒帯研究会の中にもジャガッタの実力を疑う者は
いなかった。 
「まさしく『骨』の最終理想形」
そんな形容詞が皆の頭に浮かぶ。
「今日の研究会はこのへんで終わりにしよう。 ジャガッタさん、どうもありがとう」
「アア、コチラコソ。 マタ呼ンデ頂ケルノダロウナ」

「もちろんです」

340 名前:バキスレの567は俺:03/01/15 22:26 ID:???
神心会応接室。 克己の前のソファーに深々と座る男。 背中の部分には柔らかそう
な素材で出来た特製のクッションが添えられている。

「Tボーンステーキの骨を食う男がいるらしい。 私に言わせれば、そんな行為は腸を
傷つけ、下手したら肛門さえ出血しかねない暴挙。 私はコレ」
男が左手に持った袋には『徳用煮干し』と書かれている。 先ほどから口中が空になる
閑もないほどのペースで食べ続けている。

「二皮くらい剥けたんじゃないッスか? 文之進さん」
 
克己の心からの賛辞である。 しかし文之進は表情をピクリとも動かさない。 相変わ
らず煮干しを食べ続けている。
「君の研究会である男が世話になっていると聞いた」
するどい視線が克己を射ぬく。
「私も世話になりたい。 出来ればジャガッタ氏との立ち会いを所望する」

稲城文之進が加わり、『黒帯研究会』はいよいよ『骨研究会』の様相を呈してきた。


341 名前:バキスレの567は俺:03/01/15 22:27 ID:???
黒帯研究会が再び異常な空気に包まれていた。 
黒帯達の前に現れた男。 見た目は普通の男である。 普通の人間と若干違う所があると
すれば、先ほどから壁に寄り掛かって座り、腰のあたりにクッションを敷いている所くら
いか。

座ったままの男が口を開いた。
「かつての格闘技が『骨』を鍛え、岩のごとく変化させるモノだとしたら、私、稲城文之
進の創始した拳法は『骨』を『粉』に変化させる武術とでも言えようか」
「粉?」
黒帯全員の頭に疑問符が浮かぶ。 黒帯達の疑問に気付いた克己が稲城の後に続ける。
「誰か、この方に突きを当ててみろ。 この方の骨は、あらゆる攻撃に対して、粉砕する、
という特質を持つ。 骨が『粉』と化すんだ」
「どちらの骨が?」
当然の疑問を挟む黒帯。 「何を言うかと思えば」と、少し失望したように克己が続ける。
「稲城さんの骨に決まっているだろう」

「ど、どういう意味ですか?」
「つまり、これ以上壊しようがない、という意味さ」


342 名前:338の続き:03/01/15 22:34 ID:wo23b11E
シコルスキーはそれから、自分のしたい事をして過ごす。
いや、彼の場合、元々好きなように生きてきたが、ロシアと新宿では娯楽の量が違いすぎる。
好きな時にメシを食い、好きな時に酒を呑み、好きな時にオンナを抱く。勿論、金など1円も無い。
だが、金など無くとも彼には有り余る力がある。その力で全てのわがままを通す。欲しい物を奪う。
彼はこの新宿の新しい王であった。なんの背景も持たぬシコルに、警察もヤクザも手出し出来ない。
「コノママ新宿ニ居座ルノモ良イナ」そう思った。この新宿で王として。
・・・そして数日後。バキがオーガ、オリバと空地で対峙した日の夜。いつも通り豪遊した帰り道。
(尾ケラレテイルナ・・)数日遊んでいたといっても最凶死刑囚である。危機に対するセンサーは万全である。
(ククク・・面白イナ。酒ニモ女ニモ飽キテ来タ所ダ)・・・わざと自分から路地裏の人気の無い道に入る。
シコルスは振り返り、尾行してきた男に聞く。東京ドーム地下で見た男だが、名前は知らない。
「名前ハ何ト言ッタカナ・・・?」 尾行の男はゆっくりと答えた。 「・・・柳、龍光・・・。


343 名前:バキスレの567は俺 :03/01/15 22:34 ID:???
神心会本部医務室。
「こっ、これは酷いレントゲンですね。 可哀想に、誰のでしょうか」
確かに酷いレントゲンであった。 全身のあらゆる骨という骨が骨折。 正確には『粉砕
骨折』していた。 通常、ダンプカーに衝突しても、こうはならない。

「これが生きている人間のレントゲンだとしたら、君は信じられるかね?」
もう一度、レントゲン写真を見て、「まさか」という表情をする医師。

「イヤ・・・その、今夜はお疲れのようですので」
「ウム・・・。 最近飛躍したモノを見過ぎていてね。 克己君から預かったんだが、
生きている訳がないよな」
「お察しします」

タンパク質とカルシウムでしか人体を語れない医者には、これ以上は理解不能の世界であった。
写真の下には『全身粉砕骨折』の身体の持ち主、稲城文之進の名前が入っていた。

344 名前:342の続き:03/01/15 22:57 ID:wo23b11E
柳は笑う。「君は、パズルの最後のピース・・。98を100にする為の。私の役に立って貰おうか・・」
シコルスキーは意味が分からない。柳は、シコルスの向こうに、数日後の烈海王戦を見ているのだ。
「何ノ事ダカ分カランガ・・。用ハ、俺ト闘リタイッテ事ダロ?」 戦闘態勢に入るシコルス。
柳は笑う。シコルスを馬鹿にする様に。「くくく。これは実験だよ、モルモット君。君と私では・・」
右手の皮手袋をはずす。毒手開放。 「ランクが違いすぎる・・。哀しいほど、圧倒的に、ね・・・」
その言葉を聞き、怒りで突進しようとするシコルス。しかし、一瞬肉体が躊躇した。なぜ?
「頭と心は前に出ようとしても、肉体は分かっているね。君と私の差を・・」 柳が哀れみを込め言う。
無理やり体を動かし、柳に飛び掛るシコルス。両手の鉄指が柳を襲う。
・・・指で。肉を。引き千切る。連続で。間断なく。腕を。足を。胸板を。ほほを。削り取る。肉体を。
柳の体が真っ赤に染まっていった。



345 名前:344の続き:03/01/15 23:17 ID:wo23b11E
(くくく・・。生きが良いナ。これでなくては仮想・烈海王には成らん・・)血まみれで笑う柳。
「ナンダ、コンナモンカイ、柳サントヤラ。コノママ命迄、削ルゼ」 勝ち誇るシコルス。
(しかし、余り調子に乗られても、な) 柳がニヤリと笑う。その後、シコルスの手首を取る。
 刹那の間の動き。速い。そして、そのままフワリ、とシコルスの体が宙に浮く。空中で1回転する。
 そのまま地面に叩きつけられるシコルス。(ナ、何ヲサレタっ) 状況が掴めないシコルス。
 ・・・渋川流の体術。達人の投げである。柳がシコルスの顔面へ、容赦の無いつま先蹴りを入れる。
 鼻血を撒き散らすシコルス。いたぶる様に柳がシコルスに言った。
 「少しは分かっていただけたね、ランクの差・・。まだ実験の途中だから、おねんねは困るよ・・」
 ・・・シコルスの体から震えが止まらない。駄目だ、この男は違いすぎる・・・。

346 名前:345の続き:03/01/15 23:34 ID:wo23b11E
心の奥に暗闇が広がる。侵食していく、シコルスの矜持、自分自身の力への信頼を。
(マダダ。ダメージハ、奴ノ方ガ大キイ筈・・)心の闇を振り払うかの様に立ち上がる。
もう一度、俺の鉄指のラッシュを食らわせれば・・。そう思った時、柳の左手が顔に被さる。
空掌。真空手。相手の身体能力を酸素によって奪う技。・・・シコルスは体から力が抜けた。
「立ちたまえ、シコルス君。空掌は軽く打った。動けるはずだ・・」 ふらふらと立ちあがる。
何で俺の名前を知ってるんだ?・・そんなどうでもいい疑問が湧き上がる。勝負は着いている。
いや、勝負と言って良いものかどうか。余りの力量の差。柳の意図通り、これは実験であろう。
「良く立ってくれたね。実は、実験したいのは次の攻撃だ。君くらいの身体能力の持ち主が必要だった」
・・・シコルスはぼんやりと思った。俺の無敗が終わるんだな、と。


347 名前:346の続き:03/01/15 23:52 ID:wo23b11E
心が折れる音。それをシコルスはハッキリ聞いた。ほんの30分ほど前のことである。
「最初に礼を言っておくよ、シコルス君。君のお陰で、烈海王との死合い、100%私が勝つだろう」
シコルスはそれが、何の事か分からない。ただ柳の「実験」を待つだけである。既に闘志は無い。
「行くよ、シコルス君」 そう言った後、柳は信じられない速度でシコルスとの間合いを詰めた。
そして、シコルスの厚い胸板に、柳の左手の突きが入る。そのままシコルスは吹き飛び、気絶した。
・・・烈海王の「神域の突き」である。克巳を、そして達人、渋川剛気を屠った技である。
「くくっ、完璧だ。烈の動きは完全にコピーした。奴の戦闘力も全て見切った。負ける要素は無いっ」
そして、チラリとシコルスを見た。 (毒手を使うまでも無かったか)・・そして柳は闇へ消えた。

心を折られた。これが敗北か。惨めで無様な敗北である。これが、本当に俺の求めた敗北だろうか?
シコルスはジャックに言われた言葉を思い出し、バキの所へ向かおうとした。真の敗北を知るために。
    敗北ニハ3ツアル。殺サレル、心ヲ折ラレル、ソシテ・・受ケ入レル。

348 名前:パオ:03/01/16 00:06 ID:uDOsEDiG
567は俺さま。お疲れ様です。レギュラー化して頂いてるようで嬉しいです。
336さま、そうおっしゃらずどんどん参加して下さいな。 
337さま。そうでしたね。でも小ミスは他にも沢山あるっす。ごめんなさい。
とりあえず、明日バキ対シコル、うまく行けばもう一戦。それでシコル編は終わり。
夕方以降の書き込みになります。あと、高2さん。オリキャラの大男瞬殺ごめん。
だってモデル分からないんだもん。では、失礼します。おやすみなさい。

349 名前:マロン名無しさん:03/01/16 03:59 ID:???
最凶死刑囚対決キタ━━━(゚∀゚)━━━━ !!

350 名前:マロン名無しさん:03/01/16 09:59 ID:???
嗚呼…
ここでもシコルはヘタレてる…


それはともかく、おもろいからがんばれ

351 名前:マロン名無しさん:03/01/16 10:14 ID:???
ガン(・∀・)ガレ

良スレばんざーい ヽ(゜ρ゜)人(゜ρ゜)人(゜ρ゜)人(゜ρ゜)人(゜ρ゜)ノ

352 名前:マロン名無しさん:03/01/16 10:35 ID:???
アニオタ編、引きこもり編も書いていい?

353 名前:岡田克彦ファンクラブ:03/01/16 18:18 ID:???



岡田克彦ファンクラブからのご案内です。ご高承のとおり、岡田克彦氏の卒業した早稲田大学政治経済学部
と、ひろゆきの卒業した中央大学文学部は比較にならないほど差があります。中央大学文学部のような
ヘボい大学に共通しているのは、文化水準が低いという事です。18歳から22歳をヘボい大学で過ごすという
ことは、感受性において致命傷と言えます。2ちゃんねらーの大半は岡田克彦氏に比べて、著しい低学歴で
頭が悪いだけでなく、感受性も愚鈍で腐っているという、取り返しのつかない状態なのです。
せめて、http://www.geocities.co.jp/MusicHall/5933/で、岡田氏の作品に触れましょう。



354 名前:マロン名無しさん:03/01/16 18:53 ID:QZkZNn/u
来週は本部の弟子が登場
加藤にリベンジを果たす

355 名前:番外編:03/01/16 19:07 ID:g8B5KU+T
すみません。夜11時くらいに続き書きます。
ところで、柳強いなあ。我ながら。チャンピオンで本部にボコられる姿見たから余計そう感じる。
烈対柳どうしよう。実は克巳対独歩、バキ対オリバは結果も内容も決まってるけど、
これだけ何も決ってない。俺の脳内の柳が強すぎ。どうしよう。
下らない事ダラダラとすみません。パオはパソコン持ってないんで、たまにAGEとかないと、
スレ自体発見できなくなるんです。下のほうにあると。無駄なレス消費ごめんなさい。
次のネタ文は「ドラゴンボールバキ」を予定してます。変わったらゴメン。煮詰まってないんで、まだ。


356 名前:パオ:03/01/16 19:12 ID:g8B5KU+T
パオでした。すみません。ところで、352、353、354、お願いだから荒らさないで。
辞典スレの二の舞は嫌。その分、最後まで頑張りますんで。
ほんとに、応援レスをくださる皆さん、ありがとうございます・・・。
タイピングが遅いんで辛いの。日本で5人くらいはパオの駄文を楽しみにしてくれてるかも
しれないんで、頑張れます・・。

357 名前:バキスレの567は俺:03/01/16 23:12 ID:???
>>352
もちろんそれもアリさ。
面白いと思うのだったら、迷わずそうすべきだ。

358 名前:マロン名無しさん:03/01/16 23:35 ID:GLTdXhy+
ところで、死刑囚編の次はバスタード書くとか言ってたけど、どんなの書くの?
・・・・・・エロ?

それはともかく、死刑囚編期待してるよ。
ただ、シコルヘタレ化はほどほどにしてくれ、頼む。

359 名前:347の続き:03/01/17 01:29 ID:McVvunIO
前日までの王としての風格と自信は、今のシコルスには無い。
「敗北」・・。柳龍光から受けた心の傷、大きな空洞。自分自身の力への懐疑の念。前日迄は存在しなかった物。
繁華街を歩くシコル。夜明け近く迄、フラフラと彷徨う。「バキ」と言う名は頭に浮かぶ。だが、所在は判らない。
新宿とは巨大な水槽によく似る。様々な魚達。その魚の中で、自分は絶対の強者、王であるはずであった。
しかし、全ては幻想だった。敗北、いや、「心を折られる」という事は、それまでの全てをゼロにしてしまう。
バキと言う男なら、あの巨漢が言った通り「受け入れられる」敗北を与えてくれるかも。自分が求めていた敗北を。
柳龍光に受けた物とは違う、暖かい敗北を。・・・彼は、徳川光成邸へと向かった。

「今、何ト言ッタオマエっ!!オリバと闘ウノヲ辞メルダトっ!!」 ジャックが叫び、バキを殴り飛ばす。
松本家。バキの下宿先。ジャックが殴ったバキを見下ろす。久し振りに出逢う兄と弟。しかし、修羅場。
必死にバキを庇う梢江。バキの目は暗く沈んでいる。 「ダメだ、兄さん・・。アイツには勝てないよ・・」
ここにも心を折られた者が1人。オーガ、そしてオリバの圧倒的な力に。闘わなくても、勝てないと判る・・。
そこへ電話が鳴った。相手は徳川光成である。


360 名前:359の続き:03/01/17 02:01 ID:McVvunIO
「バキかの。実はウチに面白い奴が来ての。お主に是非逢いたいと。ジャックと来てくれんか。
 誰かって?それは来てのお・楽・し・みっ」・・そこまで光成は言うと、電話はプツリと切れた。
「兄さん・・。徳川邸へ来いってさ、一緒に」 ジャックの目を見ることが出来ずにバキは言う。
(コンナ時ニ、何ノ用ダ、ジジイ) ジャックが舌打ちをする。バキが自信を無くしてる時に・・。
 自分もオリバの強さは判る。前日夕方、オリバと腕相撲を闘い、実質敗れている。圧倒的に。
(ダガ、コイツナラ) 自分が闘ってもオリバに勝てるかは判らない。いや、むしろ分は悪いだろう。
 だが、バキなら。自分より、範馬勇次郎の血を色濃く受け継ぐこの男なら。勝てると信じている。
 しかし、今のバキは、弟は。・・・。負け犬の目。闘わずして逃げようとする臆病者の目である。
 「行こうよ、兄さん・・」 バキは虚ろな目のまま立ち上がる。2人で徳川邸へ。ジャックは思う。
 (コイツハモウ、駄目カモ知レンナ・・。恋人ト平穏ニ暮ラスノヲ選ブノカ・・) 



361 名前:360の続き:03/01/17 02:11 ID:McVvunIO
(・・・コイツモ、目ガ死ンデヤガル) 徳川邸。ジャックはシコルスの目を見て暗い気持ちになる。
 何があったのだ。数日前、バキに勝利した時の目の輝きは少しも無い。2匹の負け犬が見合う。
「シコルス君が、バキと闘りたいそうじゃ・・」 バキの目の弱さに驚きながらも光成が言う。
 自嘲気味に笑うバキ。「俺、もうその人に負けてるぜ・・。それに、闘うのは辞めたんだ・・」
 信じられない言葉に驚く光成。無言のジャック。しかし、シコルスがバキを殴り飛ばして言った。
「教エテクレッ、本当ノ敗北ヲ。君ニシカ出来ナイッ」 その目から大量の涙が溢れている。
 哀願。今まで、闘い続けた事で育てた自我。勝ち続けた事で得た自信と矜持。しかし、全て壊された。
 あの凶なる男、柳龍光に。闘う事すら許されず、「実験」で。笑いながら、いたぶる様に。
 ・・・・バキは、目の前のロシア人に今の自分と同じ者を感じた。負け犬同士。倒れた者同士。
 そして、立ち上がった。シコルスの涙に応える為に。何より、失った大事な物を取り返す為に。
 ・・・・シコルスキー対範馬刃牙、最終ラウンド、スタート。


362 名前:パオ:03/01/17 02:25 ID:McVvunIO
すみません、今日はここまでで・・。明日はシコルス編は決着付けるように
努力しますんで。バトル無くてスイマセン・・。
後、次にやると言ったバスタは白紙にさせて下さい。正直ツライ・・。タイピングが。
死刑囚編は最後までやるけど、次やり切る自信が無いっす。ネタはあっても気力が無い。
色々考えたんすけどね。バスタ、ワンピの空島、バロンゴング、スラムダンク、その他色々・・。
ココのネタは疲れる。異常に。辞典の時のネタの10倍位。達人対烈までは楽しかったけどなあ。
すいません、泣き言を。では、明日。

363 名前:マロン名無しさん:03/01/17 10:20 ID:HF5OlNhN
>>ばお
あれですね。本編だと場木とジャックが兄弟ってことを
あんまり前に出してないから、こういう場面は新鮮ですね。
続き頑張ってくださいー。

364 名前:361の続き:03/01/17 15:49 ID:YjoK5Fkt
(強クナッテヤガル・・コイツラ・・闘イナガラ・・) ジャックは目の前の死闘に驚嘆する。
 光成は目を奪われたまま声も出ない。それ程、目の前の決闘は激しく、神々しい。
 光成邸の中央、広大な敷地の庭。そこで2匹の獣が噛み合っている。2匹とも、もう負け犬では無い。
 闘いの中でお互いを高め合う。(MIX UP・・) ジャックの脳裏にそんな言葉が浮かぶ。

 闘いの始まりは2分ほどの対峙からであった。お互いをただ、見詰め合う。似た者同士。負け犬2匹。
 片や邪悪な強さに成す術無く敗北した者。片や強大な力に闘わずして逃げ出そうとした者。
 その2分の対峙の間に、2人は目の輝きを取り戻しだす。負け犬から、戦士の目へと。
 そして、ついに動く。バキがシコルスに初撃を仕掛けた。 「行くぜ、シコルスキーーっ」

365 名前:364の続き:03/01/17 16:32 ID:YjoK5Fkt
バキが右ストレートを放つ。シコルスがそれにあわせ左ストレートを放つ。ライトクロス。
お互いのダメージは寸分変らず五分。それをきっかけに殴り合う。滅茶苦茶に。
足を止めあったまま、顔面・レバー・ストマック・テンプル・ジョー。何度も何度も。
互いのパンチが急所を貫き合う。防御一切無し。あるとすれば、自分の肉体への信頼だけ。
コブシによる体力の削り合いである。流血が周りに散る。汗と血、つば、涙が飛ぶ。
バキのワイルドパンチがシコルスの鼻を叩き折る。しかし、シコルスはカウンターでバキの
ボディに力任せのアッパー。肋骨がミシミシと悲鳴を上げる。極限の殴り合い。
(ヤメロ、バキ。オマエニハ6日後のオリバトノ決戦ガ・・)兄が弟に声を掛けようとする。
だが、言葉に成らない。必死で相手を壊そうとし、相手に答えようとする姿が言葉を止める。
バキとシコルスキー。最早、肉体は限界に近いはず。しかし・・光成が驚嘆する。
(早くなっておる。バキ達の攻撃が、決闘開始のときより、ずっと・・)

366 名前:365の続き:03/01/17 17:00 ID:YjoK5Fkt
ミックス アップ。
極めて高いレベルの者同士が、寸分変らぬ互角の闘いを成したとき、稀に見られる現象。
互いが互いを高め合い、限界を眼界で無くす。明らかに、バキとシコルスキーは強くなっていた。
決闘前よりずっと。お互いを打ち、打たれながら。決闘中に強くなっていく。レベルを上げる。
(ナンテ・・ナンテ、ウラヤマシイ・・)ジャックは思う。そんな相手に巡り合い、闘えるなんて。

パンチのみの闘いから、次第に総力戦へと展開していく。バキのローキックがシコルスを捉える。
「グクッ」一瞬バランスを失うシコルス。そこへバキの低空タックルが決まる。マウントポジション。
馬乗りの形。当然バキは上、シコルスは下である。そして眼下のシコルスをバキは殴りつける。
顔面へ何度も打ち下ろされるパンチ。(勝負、アッタカ)ジャックはバキの勝利を確信する。しかし。
シコルスの鉄指がバキの太ももに食い込む。メリッ。第二関節まで。一瞬、痛みで体が止まるバキ。
その隙を付き、シコルスはバキの下から体を抜く。態勢を取り戻そうとするバキ。再び馬乗りを狙う。
だが、一瞬早くシコルスのヒジ打ちがバキの顔面へ決まる。後ろへ反り返るバキ。馬乗りから脱出成功。
そして2人とも再び立ち上がり、何のギミックも無い殴り合い。永遠に続くかと思われる様なツブシ合い。

367 名前:パオ:03/01/17 17:07 ID:YjoK5Fkt
続き後で書きます。今日中にシコルス編は終わらせますんで。

368 名前:366の続き:03/01/17 19:27 ID:4UKMBVHW
最早、お互いガードを上げる余力も残っていない。ただ、攻撃のみ。バキが殴り、シコルスが蹴る。
そんな単純な繰り返しの作業が続く。・・・決闘が始まり1時間もの間、互いの肉体を削り合う。
ジャックが気付いた。シコルスは、目や金的など、後に後遺症を残す様な急所は狙っていない。
最凶死刑囚が、である。クリーンな攻撃で決着を付けようというのだろうか。シコルスがバキに言う。
「以前、俺ハ君ニ言ッタナ・・。君ノ生キ方、闘イ方ハキレイ過ギルト」 バキは次の言葉を待つ。
「ダガ、分カリカケテキタ・・。真ノ敗北ヲ得ル為ノ唯一ノ方法。タダ、全力ヲ尽クスダケデ・・」
そこで声が途切れる。バキが代りに声を掛ける。 「シコルスキーさん・・。決着を付けましょう・・」
その言葉を聞き、シコルスは笑った。勝つにせよ、負けるにせよ、大事な何かがわかる気がする。
そしてあの技を放つ。シコルスの全てを掛けた、鉄指のラッシュである。

369 名前:368の続き:03/01/17 19:42 ID:4UKMBVHW
・・・指で。肉を。引き千切る。連続で。間断なく。腕を。足を。胸板を。ほほを。削り取る。肉体を。
・・・憎しみはない。ただ、純粋に決着を付けようとする意思があるだけである。どちらが強いのか。
俺か、バキか。自然と笑みがこぼれる。相手を見下すような、いつもの笑いではない。純粋に、満足。
バキの体が血に染まる。そして、シコルスが最終攻撃に移る。バキの体を掴み、投げる。柔道の払い腰。
そして、そのまま鉄指をバキののど元へ密着させる。。体が落ちると同時に、全体重を鉄指に賭け、
のどを潰す。・・・。しかし、バキは読んでいた。鉄指を掴み、体が地面に落ちてもなお、指を離さない。
バキののどは潰れない。丁度、白刃取りの様に指を挟み込み、死守したのである。・・・シコルスは笑う。
「流石ダナ、チャンプ。俺ノトッテオキヲ。・・・。今度ハ、俺ガ君ノトッテオキヲ破ルヨ。アルンダロ?」
バキはうなづき、そして構えた。右手を前に出し、左拳を腹の脇に。そして、静かに深呼吸をひとつ。
バキのとっておき。・・・剛体術の構えである。

370 名前:369の続き:03/01/17 20:01 ID:4UKMBVHW
「一撃必殺カ・・。見タイナ。地獄デ自慢スル為ニ・・」 シコルスはそう言い、笑う。
ジャックはその笑顔を見て確信する。こいつは死刑を受け入れる、と。次の日の夜、ジャックは
もう一人、この涼しげな笑顔を持つ者と闘う事になる。ヘクター・ドイルである。
剛体術。インパクトの瞬間、体の全関節を固定させる。成功すれば体重全てを拳に載せる事が出来る。
バキの体重65キロ。例えるならば、65キロの鉄球を、高速で相手に叩きつける威力となる。
「ちりゃあああっ」 裂帛の気合。乾坤一擲のバキ。剛体術の発動。左拳が放たれる。
一方、シコルス。避け様としない。どころか、大きく両手を広げ、天を仰ぐ。全て受け止める気概。
一瞬、バキはシコルスを美しいな、と思う。ゴルゴダの丘のイエズス・キリストの様な神聖さ。
左拳がシコルスの水月に突き刺さる。一瞬、微笑むシコルス。そして、大量の喀血。静かに倒れる。
シコルスを受け止めるバキ。何故か涙が止まらない。そして、心の底から言った。
「ありがとうございます、シコルスキーさん・・。あなたのお陰で、強くなれた気がします・・」
応えてシコルス。少年のような笑顔。その顔を見れば、彼を凶悪な死刑囚と誰も思わないだろう。
「礼ヲ言ウノハ俺ダ・・。コレガ敗北カ、本当ノ・・。トテモ暖ッカクッテ、気持チイイ・・」

371 名前:370の続き:03/01/17 20:18 ID:4UKMBVHW
「本当ニ行クノカイ?」ジャックが聞く。死刑を受け入れる。その覚悟を聞いたのだ。
「アア。地獄ヘノ土産モ貰ッタシナ」シコルスが笑う。バキは無言。泣きそうな顔である。
「ソンナ顔スルナ、バキ。君ニ逢エテ本当ニ良カッタ。アリガトウ・・」そして立ち上がる。
徳川邸から歩き出すシコルス。少しづつ、姿が小さくなる。その後姿に、バキが叫んだ。
「シコルスキーさん、俺、絶対にオリバに・・」勝ちます、最後の言葉が何故か出て来ない。
シコルスは振り返らない。だが、後姿のまま、まっすぐ右手を横に伸ばし、コブシを作る。
そして・・。そのコブシから、親指がピン、と立った。まるで勝てよ、と言っているように。
バキは誓った。その背中を自分は一生忘れない。そして、必ず、オリバを、そしてオヤジを・・。

ゆっくり歩くシコルス。肉体が歩く度に軋む。それ程の激闘だった。そしてそれが誇らしい。
幾万の勝利より誇るべき敗北がある。そんな当たり前のことをあの少年は教えてくれた。
2キロ程歩いた所で、目の前に壁が現れた。巨大な肉の壁。 「シコルス君、見〜つけたっ」
その壁は陽気に笑う。しかし、シコルスの肉体に柳と出会った時のような衝撃が走る。
その肉の壁の名は、ビスケット・オリバ。死刑囚のハンターである。

372 名前:371の続き:03/01/17 20:27 ID:4UKMBVHW
(コイツガ・・オリバ) 徳川邸でバキ対オリバの事は聞いている。だが、それ以前から、
 この男の異名は知っていた。ミスターアンチェイン。地上最自由。オリバが笑う。
「君たち死刑囚を狩るのを約束してんだガ、どいつも逃げ足が速くてネ。君で一人目ダ」
シコルスの体は満足に動かない。だが、肉体は分かっている。万全な状態でも勝てない。しかし。
「アンタ、東京ドーム地下デ闘ルンダロ、範馬刃牙ト」シコルスはオリバ睨みながら言う。
「バキハ、俺ノ恩人デアリ友人ダ。ソシテ、今ハ俺ト同ジク体ガボロボロ・・。」そこで声を止める。
「コノママジャ・・余リニモハンデガアリ過ギル・・」 そして、勝てない闘いを選んだ。

373 名前:372の続き:03/01/17 20:49 ID:iNLdDVS1
シコルスは生まれて初めて、自分以外の者の為に闘おうとしていた。
しかも、絶対に勝てない闘いを。自分に敗北と暖かさを教えてくれた男の為に。
「君ガ?私ヲ?どうする気だイ?」 オリバは陽気に笑う。その下の底無しの狂気。
(一発ダ。コノ一発ニ賭ケル)今の自分ではとても長くは闘えない。全てをこの鉄指に。
狙いは心臓。勝てなくても良い。少しでも、ダメージを与える事が出来れば・・。
オリバの間合いに踏み込む。迎撃のパンチを出すオリバ。それをかわし、鉄指を心臓へ。
ズプリ。ブ厚い筋肉を突き破る鉄指。ズブズブと入る。しかし、ある地点でピタリと止まる。
「残念だナ。心臓にはプレートを仕込んであル」そして強烈なオリバのボディブロー。
崩れ落ちるシコルス。(スマン、バキ。一傷、与エタカッタガ・・)胸倉を掴むオリバ。
「最後に何カ言いたイ事はあるかイ?」 オリバはシコルスに囁く。シコルスは微笑む。
「オマエハ必ズ負ケル。強サハオマエノ方ガ上ダロウ。ダガ、モット大キナ、暖カイ物ニナ」
フンっ、と鼻で笑うオリバ。そしてシコルスの顔面へ巨大なコブシを叩き込む。
シコルスは目を閉じる。死への恐怖は無い。あるのは、バキへの感謝だけである。
     (アリガトウ、範馬刃牙・・。ソシテ、必ズ、コノ男ヲ倒セ・・・)
                    シコルスキーリタイア。死刑囚、残り 柳龍光。

374 名前:パオ:03/01/17 20:50 ID:iNLdDVS1
今回特に見辛くてスンマセン。出来も余り良くないし。次回は頑張ります・・。

375 名前:マロン名無しさん:03/01/17 23:00 ID:???
こうやって見るとオリバっておっかないなあ。
本編だと妙におどけてたりする印象があるけど、ギャグを一切抜きにしたこういうのを見ると「笑いながら人殺しが出きる制御不能の男」っていうイカレっぷりが際立ってる。
板垣はそういうのを和らげるために柔道編とかチンポを出したりしたんだろうか。

376 名前:マロン名無しさん:03/01/17 23:24 ID:???
闘いを通じて友情が結ばれる、ていう刃牙の原点に戻った話だったね。よかた。





板垣はバキの闘う理由を忘れてるんかな?

377 名前:マロン名無しさん:03/01/18 01:49 ID:???
このスレ初めて見た。
ヤバイ、感動。
そうなんだよコレなんだよ俺の見たかった死刑囚編は!!

378 名前:マロン名無しさん:03/01/18 03:08 ID:???
シコルがヘタレてきたときはどうなるもんやら、と心配したが、
よくあそこからシコルの立場たてなおしたな。感服。

379 名前:マロン名無しさん:03/01/18 07:45 ID:???
勇次郎VS鬼丸美輝(もしくは真紀子さん)を
書いてください!

380 名前:パオ:03/01/18 12:23 ID:k3YQgNwI
よかった。シコルス編、自信無かったけど皆さんに好評みたいで。感動っす。
続きは夜7時以降に書きます。今日、明日で決戦前編を書きます。
今日は愚地親子と柳の地下闘技場決戦前を書く予定。特に柳に注目して下さい。

381 名前:マロン名無しさん:03/01/18 16:34 ID:Flt5wgG1
ちょっとクサイよね。
シコルスキーがいい人すぎる。
板垣バキからは想像できないやりとりだけどこのスレ内では納得いった

382 名前:マロン名無しさん:03/01/18 21:21 ID:85WawQ8B
【決戦前・愚地独歩】
決戦まで後2日。愚地独歩は、縁側でカップ酒を呑みながら物思いに耽っていた。
明後日、俺は息子の克巳と死合う。地下闘技場。申し分ない、最高の舞台である。
(あの克巳となあ)一気にカップ酒を空にする。様々な思いが胸に去来する。
5歳で養子に来た時のこと。初めて空手着を着せた日のこと。拳の握り方を教えた日のこと。
少年部の大会で初めて優勝した日のこと。20歳で壜切りを達成した時のこと。・・・。
(俺は、全盛期を過ぎつつある)そんな実感が一日毎に強くなる。その前に。克巳に。
(伝えなくちゃいけない事がある)真剣勝負の中で。父として、武道家として。
ふと空を見ると、月が大きい。決戦に日には満月になろう。(克巳よ・・俺のコブシを)
受継いでくれ・・。そんな思いを振り払った。(死合だよ・・。俺もまだ甘えよな)
親子である前に、男である。武道家である。闘技場に立てば、憎むべき敵である。
だが、それでも。・・。どれほど考えても、答えは出ない。分かるのはただ一つ。
(俺の、最後の真剣勝負になるな)・・・独歩は何本目かのカップ酒を空にした。

383 名前:373・382の続き:03/01/18 21:39 ID:85WawQ8B
【決戦前・愚地克巳】
地下闘技場決戦前日まで、克巳は山に篭ると決めていた。清澄山。父・愚地独歩が若き頃、
1年以上に渡り山篭りしていた場所である。無論、当時とは時代が違う。喧騒を避けるには、
父よりも更に頂上近くに篭らなければならなかった。寒い。既に6日になる。孤独。
(オヤジは良く1年以上も・・)そんな疑念を振り払う。これこそが俺と独歩の差。
常に死と隣り合わせに生きてきた、独歩、花山。それに比べて俺の脆弱さは・・。
自然に抱かれ、自然の厳しさを知る。明かり一つ無い夜に、気が狂いそうになる。
やがて、3日ほど過ぎると、自然に「許された」気がしてきた。自然と一体化した感覚。
(これか)今まで、山篭りなど馬鹿にしてきた。しかし、心身が研ぎ澄まされるこの感覚。
俺は、答えなくてはならない。愚地独歩に。武道家として、弟子として、そして息子として。
今なら、10メートル先にいる小虫の気配すら察知できる。どんな拳でも避けられる気がする。
(オヤジ、必ず) 捧げることが出来る。今までの恩返し。俺に出来る精一杯。師匠超え。
空を見上げる。星が東京と比べ物に成らないほど多い。月が綺麗だ。月を見るなんて何年振りか。
(オヤジも今頃、この月を東京で見ているんだろうか) ふとそんな事が思い浮かんだ。



384 名前:383の続き:03/01/18 22:02 ID:85WawQ8B
【決戦前・柳 龍光】
一体誰がこんな物を?柳はそれを読んで首を傾げた。果たし状。決闘の申し込み状である。
そもそも、自分は定住していない。その日の気分で好きな家、好きなマンションに泊まり歩く。
ここ最近はある金持ちの老人の家である。友人ではない。勝手に我物顔で住んでいるだけだ。
高級シャンパン 「クリュグ」を喉に流し込む。既に、シコルスで「実験」は終わった。
(行くか、暇潰しにはなるだろう) 誰が、身の程知らずにも自分に挑戦したか興味がある。
場所は以前、渋川と烈が自分の前で決闘した場所である。到着したが、まだ誰の気配も無い。
程無く。50がらみの筋骨逞しい男が日本刀を持って現れた。左目を包帯で巻いている。
柳はタバコを吹かしながら聞いた。「どこのどなたさんで・・・?」 男はゆっくりと答える。
「それがし・・・本部以蔵と申す者です」 聞いたことのある男だ。柳はすぐ思い出した。
「ほう。本部流柔術か・・その元締めがいったい・・」 柳は本部にタバコを投げつける。
 日本刀でタバコをまっぷたつにする本部。そして、殺気を込めこう言った。
「ワルいね・・・遊んでもらうよ」 


385 名前:384の続き:03/01/18 22:22 ID:85WawQ8B
対峙する2人。柳と本部。互いの殺気でゆらゆらと周りの景色が揺れる様だ。
「夜の公園で武術家2人・・勝負でしょう」本部が日本刀を上段居合の型にする。
「ナルホド・・そもそも柔術は剣術から進化したもの、ならば剣に精通するのも
 必然というワケだ・・」 柳はあくまで余裕を崩さない。絶対の強者たる自信。
 居合の型から一気に斬りかかる本部。しかし、柳はそれをなんなくかわす。
 剣ははベンチに当たり、そのままバキンと砕け折れる。チラリとそれを見る柳。
「勿体無いね・・かなりの業物と見たが・・」折れた刀の破片を拾って言った。
 本部は言う。「刀一本くらい安い物だ・・。あの柳龍光を討つ武名に比べれば・・」
 そして懐から更なる得物を出す。鎖分銅。鎖の先端に鉄の塊を付けた危険な武具。
「柔術とは戦場格闘技・・。剣だけでは無い・・武器全般に長ける」得物を振り回す本部。
 柳はため息を一つつく。そして、ゆっくりと口を開く。
「もう何十人に同じ台詞を言った事か・・。君と私では・・。ランクが違いすぎる・・」
 

386 名前:385 の続き:03/01/18 22:39 ID:85WawQ8B
本部の鎖分銅が柳を襲う。顔面。しかし、柳は首を少し傾けるだけで軽く避ける。
鎖分銅は後の木に当たり、太い枝を破壊する。顔に当たれば粉々になるだろう。
だが、柳は動じない。逆に本部が気圧され出す。生き物の様にうねる鎖分銅。
柳を1秒の間無く襲い続ける。しかし、かすりすらしない。本部はある事に気付く。
(動いていない・・?一歩も・・)柳は最初の場所から動かず、攻撃をかわしていた。
(ラ・・ランクが違う・・)背中を走る恐怖。この男に手を出してはいけなかった。
柳はゆっくりと懐に手を入れる。(け、拳銃?)本部の脳裏にそんな言葉が浮かんだ。
懐から出したのはタバコであった。やっくり火をつける。鎖分銅をかわしながらである。
柳は哀れみを込めて本部に言う。無表情にで。興味の無いおもちゃを見る目で。
「蟷螂の斧、だね、君の鎖分銅は・・。つまらん。そろそろ、終わりにしようか・・」

387 名前:バキスレの567は俺:03/01/18 22:54 ID:???

「ハロー、ミスター克己」
一体『黒帯研究会』とは何の目的で発足したものであったか、そんな事を独り考えている時に
電話がなった。 反射的に電話を取り継いだが、何やら先方は自分の事を知っているらしい。
しかも外人だ。
「はい、もしもし、神心会本部、代表愚地克己です」
外人に対しては低姿勢に越した事はない。 変に居丈高に振る舞っては、後で後悔する事になる。
これは克己がトーナメントで学んだ事である。

「私は世界一のタフガイダ。 君のところで全身が壊れている男が世話になっていると聞いタ」
「ええ、稲城氏の事でしたら、今、ウチの研究会の臨時講師をやって頂いていますが」
「そウ、稲城ダ。 急な話だガ、彼と立ち会いたイ」
「え?」
「『世界一の壊れない男VS世界一壊れた男』、何とも魅力的なカードではないかネ?」
「しかし、『カード』と言われましても、闘技場などではなく、あくまでも研究会でして。
しかも、場所も狭い道場、観客も黒帯が10数名ですから・・・」
「君は私の職業を御存じカ? とにかく、『舞った』ままでは終われないのだヨ。 でハ、
明日の便でそちらへ向かウ」

取りつく島もない。 フィルスはとにかく稲城と闘いたいらしい。
不明な点は多々あるが、いずれにしても風雲急を告げているのは間違いなかった。 克己は
嫌な胸騒ぎを感じ、電話を切った後もなぜか低姿勢を崩す事が出来なかった。

388 名前:386 の続き:03/01/18 22:57 ID:85WawQ8B
ひゅん。柳の右腕が唸る。右太ももに走る激痛。(スローイングナイフ?)
一瞬、本部の頭をそんな言葉が浮かぶ。違う。投げたのは本部の刀の破片である。
鎖分銅から一瞬力が抜ける。その隙を逃す柳ではない。鎖を取り、一気に奪い取る。
元より、鎖分銅を使ったのは柳と距離を置く為である。接近戦でこの男に敵はない。
静かに本部へ近づく柳。まるで死神の様に。本部は恐怖の余り、糞尿を漏らす。
「心配しなくて良い。毒手も空掌も使わない。そんな価値、君には無いからね・・」
最早、自分の目の前に柳がいる。ガクガクと震える本部。腰が抜け、へたり込む本部。
「君には、これで十分だ・・」 ジュッ。肉の焼ける臭い。熱さで絶叫する本部。
柳は本部の残った左目に、タバコを押し付けたのである。そして柳は歩き出す。
「大げさな・・。軽く焼いただけだ。すぐ治療すれば大事無い・・」そう言い残して。
しばらく歩いて、柳は気付いた。さっきの闘い、柳は一つだけミスをしたのである。
(しまったな。あれが最後のタバコだったか・・) 烈海王との決戦まで、あとわずか。

389 名前:パオ:03/01/18 23:21 ID:85WawQ8B
風邪でふらふらっす。今日はここまでで。闘技場決戦までは展開がおとなしいっす。
ところで、柳の決戦前を今のバキとダブらせたのは、わざとです。正直、今週の
バキを読んでチャンピオンを買うのを止める事にしました。ヒドイね。今。
バロンゴングが終わった時、本当は購買を止めようと思ったんですが、
グラップラーの時に楽しませてもらった「恩」とあの時の面白さにいつか戻るかも、
という「期待」で買ってましたが、限界。ギブ。コミックスも要らん。
今更本部を暴れさせて誰が喜ぶんだよ。2ちゃんねら位だろう。一般人無視かよ。
昔の熱いバキに戻ってくれ。頼む。・・・無理っぽいな、でも。
すいませんダラダラと。では、明日。

390 名前:マロン名無しさん:03/01/18 23:33 ID:t+SnqYb6
うん、わざとだと思った>ダブらせ
もちろんこっちの方が好きですよ。
本部の活躍なんて本当に今さらって感じですから。
続き期待してます。がんがって。

391 名前:バキスレの567は俺:03/01/18 23:36 ID:???
「良いじゃないか、愚地君。 私は闘うよ」
「うわッッ!」

突然下の方から声がしたと思ったら、足下にいたのは稲城文之進であった。
稲城はどこででも座り込んでいる。 相変わらず腰にはクッション、左手には煮干し。 今気付
いたのだが、良く見ると、足が変な方向に曲がったまま固まっている。 これではマトモに
立てないのも無理はない。
最近はクッションを腰に敷いたまま、曲がった足で器用に移動している。

「まさか、背骨も・・・?」
言葉にする寸前で克己は思いとどまった。 想像するだに恐ろしかったからである。
ただでさえ、現在、神心会には『背骨』に関しては一家言ある、という男がいる。
外人に対して低姿勢な克己は、気付かぬふりを決め込もう、と思い至った。

粉砕骨折した全身の骨をむりやり煮干しカルシウムで繋ぎ止める。 おかしな方向に曲がって
くっ付いてもお構いなし。 くっついても、また殴られて粉砕骨折。 またくっついても、
またまた殴られて粉砕骨折。 粉砕骨折と治癒とをひたすらに繰り返す日常。
あらゆる攻撃に対して、『粉砕骨折』という、恐るべき対処をみせる肉体。
それはまた、日に30袋の徳用煮干し完食という矛盾のみを条件に存在する肉体でもあった。

『世界一のタフガイ』と聞いて、よもやリチャード・フィルス以外の人間はあり得まい、と
タカを括った自分に腹が立つ。 稲城氏こそ『世界一のタフガイ』なのではないか。
克己はふとそんな考えが浮かんだが、やはり言葉にするのは憚られた。

何はともあれ、稲城に対しては、ひとまず低姿勢になる克己であった。

392 名前:マロン名無しさん:03/01/19 00:10 ID:8LkB3+vN
パオは本当に本部がきらいなんだなあ・・・。
今の柳戦は不自然すぎるにしても本部は本来かなりの実力者なんだが・・・。
本部好きとしては心苦しいものがあるよ。

393 名前:マロン名無しさん:03/01/19 03:35 ID:???
俺はこれからも読み続けるが、バトル漫画としては
バキにはもう期待してないな。とっくにネタ漫画化してる。

それはともかく、バキスレの567は俺氏。
世界観壊れれすぎだ(w
ワラタからいいけど。

394 名前:パオ:03/01/19 12:46 ID:cq3kN/nx
379様 「勇次郎VS鬼丸美輝(もしくは真紀子さん)を書いてください!」
    すみません。上記の鬼丸と言うキャラ知りません。ネタ漫画教えていただければ
    書くかも知んないです。
392様 いや、本部好きですよ。でも、今の不条理さが嫌いなだけ。本当に嫌いならネタとはいえ
    主役にしないっす。
393様 バキは読み続けますが、お金は出さないです。喫茶店読みで十分。
 相変わらず567は俺さんは上手いなあ。最悪俺が消えてもこの方に任せれば大丈夫かな・・。
 また夜に続き書きます。中途半端すみません。


395 名前:一尺八寸 尽:03/01/19 14:17 ID:6JYS4fpG
辞典スレって何?

396 名前:マロン名無しさん:03/01/19 15:53 ID:Bq9IRRn+
バオお疲れ。シコル編ヨカタ。最後までがんがれ。

397 名前:バキスレの567は俺 :03/01/19 17:46 ID:???
「ハロー、私はミスター・ギバープダ」
「え? ギバープ? あの・・」
「ハハハ。 アメリカン・ジョークだヨ。 私はマイク・クインダ」
「ああ、先日は闘技場で」
また外人か。 克己の外人恐怖症はトーナメント以来である。 あの時克己は色グロの中国人に
手痛い目に合わされている。 もっとも西洋人ラガーメンに対してさえ基礎体力で上回る克己で
あったから、恐れる必要はないのかもしれないが、用心に越した事はない。

「そうダ。 私はあそこで『ミスター・ギバープ』という有り難くないニックネームを頂いタ」
「そうですか・・・。 しかし、あれは仕方ありませんよ。 完全に極められていましたから」
決して低姿勢は崩さない。
「確かにそうダ。 ただし、忘れてもらっては困ル」
「何を・・・」
「私はあの闘技場を無傷で退場した極めて数少ない1人ダ。 誇れる事だとは思わないかネ?」
「はぁ・・・」
話が見えてこない。 最近、克己はただそれだけで恐怖を感じるようになっている。
「私はあの後、トーナメントのビデオテープを極秘に取り寄セ、テープが擦り切れる程に研究しタ」
「何を・・・」

「一体、誰が私の相手に相応しいかを、ダ」
克己の中に恐怖が巨大な暗雲となって立ちこめてきた。 「これはヤバい」 本能がそう判断した。
ヤバい、と感じる本能は、時に強さよりも重要である場合がある。 克己は電話の前で低姿勢を
更に強めた。 思えばトーナメント以来、成長したモノである。

空手の本来の姿は低姿勢ではなく、売られたケンカは買う、というモノである。 しかし、克己は
その点において、空手家でなくても良い、と思っている。



398 名前:バキスレの567は俺:03/01/19 17:48 ID:???
マイク・クインは饒舌であった。 
「トーナメント内で深刻なダメージを受けた者。 対戦相手として、これをまずピックアップしタ」
「え? 除外した訳ではなくて?」
ますます話が見えてこない。 一体、マイク・クインは何を考えているのか。

「もちろんダ。 私が2度もギバープする事などは、許されないのだヨ」
「はぁ・・・」
「次にトーナメントの上位組はノーダ。 なぜなら既に傷が癒えている可能性があル」
「はぁ・・・」
「そこである男に白羽の矢が立っタ。 しかもその男は現在、君のところで世話になっていると
聞いタ。 願ったり叶ったり、という訳サ」
「稲城さん・・・ですか?」
克己は「またか」と心の中で呟いた。 しかしそれを態度には出さない。 今の彼は『真の低姿勢』
を身に付けていた。 『真の低姿勢』とは相手に悟られる事なく、何となく良いヤツ、と感じさせる
事である。

そして『真の低姿勢』を身に付けたなら、厄介事には近付けない。 近付く事が出来ない、と克己は
信じている。 しかしながら、『真の低姿勢』を身に付けているにも関わらず、一向に厄介事が
減らないのはどうした事か。
悩む克己は更に低姿勢になるのだった。

「ミスター稲城と闘いたイ。 明日、東京に向かウ」

まさに風雲急を告げる。
『世界一壊れた男稲城文之進』に対戦オファーが相次いでいる。 全身が粉砕骨折している、という
現実はそれ程までに魅力的なのか。 それ程までに闘いたい、という欲求を刺激されるのか。

風雲は暗雲となって『黒帯研究会』を包み始めていた。

399 名前:ぎゃく ◆xk.9FGYAkU :03/01/19 19:39 ID:???
今のバキの展開はどうあれ本部や加藤は強くても全然いいと思うんだけどな。
そもそも最初に5vs5にしたのが失敗だったわけで。それがなかったら今の展開は自然だと思うんだけど。
でもちょいとバオさんの本部の扱いはひどいんじゃないかと。
てか2chねら以外にはそこまで評判悪くない>最近のバキ
バキがセックス→最強 の部分はかなり納得行かない人が多いだろうけど。

400 名前:マロン名無しさん:03/01/19 20:44 ID:???
ちょっとスレ違いっぽいが相槌を打ってみる。
なんかパオさんの本部は本部らしくないんだな。正確に言うと
本来の本部らしくない。ネタレスはともかくとして本来本部は、
そこそこ格好良く登場し、相手と五分で戦い始め、実力及ばず押されるが、
取って置きの技で一矢報いられそうで、やっぱり一矢報いられなくてやられちゃう、て
キャラなんだよな。(VS勇次郎やVS金竜山など)
負け役には違いないがそれなりに魅せ場はあるというか。
それがこのスレの本部にはまるでない。むしろ2ch内でネタキャラ扱いされている
「本部」になっているというか。それが非常に残念。SS自体はすごく面白いんだけどね。

401 名前:388の続き:03/01/19 21:54 ID:6lmTKyxt
【決戦前・範馬刃牙】
目の前に背中がある。バキは、その背中に見覚えがある。その背中を見ていると、堪らない寂しさと、
感謝、そしてそれ以上の感情が沸いてくる。自然と涙が溢れ出す。だが、その背中に声が掛けられない。
「泣クナ、バキ。オマエト出逢エテ良カッタ。死刑囚デナク、戦士トシテ死ヌ事ガ出来ル・・」
背中を向けたまま、その男が語る。その男はそして歩き出す。周りは果てしない暗闇に包まれている。
バキは声を振り絞る。ようやく、あの時、どうしても出なかった言葉をその背中に言うことが出来た。
「・・・・さん、俺、絶対にオリバに勝ちます。必ず勝ってみせますっ」 涙ながらの誓い。約束。
背中の男の歩みが止まる。そしてゆっくりバキへ振り返る。花束の様な美しい微笑を浮かべながら。
「・・ソノ言葉、待ッテタゼ・・」 しばらく見詰め合う2人。やがて男は前を向き直り、また歩き出す。
バキは追おうとする。だが体が動かない。「来ルナっ、オマエハマダ、来ル所ジャナイ・・」
「・・・さん、俺、まだあなたに話したい事が沢山・・」 必死に男を止めようとするバキ。
男はだが止まらない。バキではまだ行けぬ、しかし必ずいつか行く場所を目指して。
「必ズ勝テ、範馬刃牙・・。オリバニ、ソシテ父親ニ・・。オマエナラ、出来ル・・」
暗闇の中を男は歩く。更なる暗闇へ向かって。バキは必死で呼び止める。だが止まらない。
「待ってくれ、・・・さん、シ・・さんっっ」 ・・・そこで目が覚めた。



402 名前:401の続き:03/01/19 22:16 ID:6lmTKyxt
「ドウナル事カト思ッタゼ、バキ。丸3日も寝テタンダカラナ」 ジャックが顔を覗き込む。
丸3日。俺はそんなに寝ていたのか。あの日から。あの激闘の時から。彼の最後の姿から。
「本当に大丈夫、バキくん・・。体?」 梢江が心配そうに言った。微笑むバキ。
あの男との闘いの後、バキはすぐに倒れた。そして松本家へ。あと決戦まで3日しかない。
「バキくん・・、何か哀しい夢、見ていたの?」梢江が尋ねる。「寝てる間、ずっと泣いてた」
ジャックは無言である。バキは梢江に優しく言った。 「いや・・。いい夢さ。とっても・・」
「兄さん、スパーリングの相手・・してくれないか?」ジャックは驚く。そして怒鳴りつける。
「馬鹿ッッ。3日の睡眠デ随分回復シタトハイエ、アノ闘イノ後ダっ。試合マデ体ヲ休メロっ」
しかし、バキは立上がり兄へ言った。「約束したんだ・・とても大切な人と。大事な約束を・・」
弟の目を見る兄。そして、ゆっくりと言った。 「スパーリングトハ言エ・・、手加減無シダ」
バキは目を閉じ、そして誓った。 (シコルスキーさん・・。必ず、約束は守ります・・) 
                        ビスケット・オリバとの決戦まであと3日。

403 名前:パオ:03/01/19 22:23 ID:6lmTKyxt
すみません、本部は少しやり過ぎでしたね、反省。
今まで、過分なほど好意的な意見が多かったので、こういう意見が来ると
気が引き締まります。やるぞ、最後まで。
で、すみません、今日飲みにいくんで、ここまでで・・。すいません。
2行前と言ってること違うな。だから辞典のとき叩かれたのに(笑)
明日、オリバと烈の決戦前をっやります。その後、ネタやるかもしんないす。
「ドラゴンボールバキ」はすみません、人様に出せるレベルじゃないす。
ただ、ドラゴンボールの配役をバキのメンツで、ってだけなんすけどね。
スペック→ナッパとか。 すいません、明日はさぼらず書きます・・。

404 名前:マロン名無しさん:03/01/19 22:41 ID:67qP4Z2F
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405 名前:マロン名無しさん:03/01/19 23:59 ID:uxz/S4+W
昔、似たようなスレあったよな。
うpできる人いますか?

406 名前:マロン名無しさん:03/01/20 07:13 ID:???
俺は、パオ本部支持だな。あんなもんだろ、本部は。
まぁ、ちょっと悲惨すぎるとは思うけど。

ジャック、弟思いな奴になったな。

稲城編がどうなるものやら、板垣漫画ぐらい予想がつかん(w

407 名前:379:03/01/20 09:25 ID:???
>>394
バキと同じくチャンピオン連載中の
『無敵看板娘』の主人公です。
愛称は『大戦鬼』
鬼丸流葬兵術(即興)の使い手

範馬の血が流れているとしか思えない
程の強さです。
真紀子さんは美輝の母親で美輝より
強いです。
あと、美輝の弱点は"電車にはねられると
ケガをする"ことです。

ギャグ漫画ですけどね。

408 名前:402の続き:03/01/20 16:37 ID:z4JTnM9Z
【決戦前・烈 海王】
中国拳法の総本山、少林総嵩寺。上海から1000キロ以上離れた場所。
烈は、この場所へ戻っていた。自分が創られた場所。青春の全てを修練に捧げていた場所。
光成から、闘技場で柳龍光と仕合ってみんか、と言われてすぐ。徳川家専用機にて。
あの凶手、柳龍光に勝つ為に。もう一度原点へ帰る為に。そして、ある事をする為に・・。

特別修練場に男が2人。一人は烈。もう一人は、100歳を超え、なお筋骨逞しい、劉海王。
劉が烈を見据え言う。「烈 小龍に戻ると・・」烈は小さく頷く。視線はまっすぐ劉に。
「海王の名・・、返すと言うのか」劉が問い質す。責めてはいない。本心を聞いたのだ。
「私は一度敗れている・・。そして、また中国拳法4000年の歴史を汚すかも知れません」
バキとのトーナメントでの敗戦と、6日後の柳龍光戦との事を言っているのだ。
「東京で私闘をします。海王では無く、一拳士、一格闘士として」 劉は応えて言う。
「それ程の相手か・・。お前が敗北を覚悟する程の・・。烈・・、構えなさい」
劉の目が師から拳士へと変わる。そして言った。「一撃勝負だ・・烈・・海王・・」 

409 名前:マロン名無しさん:03/01/20 16:54 ID:5XAk60+e
>>1が次スレ立てる前に終わらすスレ
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/hneta/1041298224/l50

410 名前:408の続き:03/01/20 16:58 ID:z4JTnM9Z
構える烈海王、そして劉海王。全く同じ構え。「神域の突き」の構えである。
一撃勝負。これを劉に言われた時、烈は一瞬迷った。師に拳を向ける事を。
だが、師の目を見て迷いは消える。言葉では足りぬ何かを伝える気なのだ。
少し前までは静謐な空気。しかし、2人の拳雄の気迫がそれを断ち切る。
烈、劉が同時に踏み込む。「フンッ!!」「ハッ!!」2人の気合が交錯する。
互いの突きが、互いの胸を貫き合う。そして・・相殺。互角。いや、わずかだけ。
劉が崩れ落ちる。支える烈。ほんの少し、烈の突きの威力が上回ったのである。
「見事なものよ・・、魔拳、烈海王」劉は微笑む。そして言葉を続けた。
「おまえは誰にも負けんのだよ・・。それだけの物を、ワシはお前に伝えてある」
烈は師の言葉に何も言えない。ようやく、言葉をひとつなんとか搾り出す。
「老師・・、私はもう、海王の名を・・」劉はその言葉を阻む。「ならぬっ!!」
そして、烈に向かい、聖人のような優しい顔で信じられぬ言葉を告げた。

411 名前:410の続き:03/01/20 17:14 ID:z4JTnM9Z
「烈よ。中国拳法4000年は敗北の歴史でもあるのだ・・」 劉はゆっくりと言った。
烈は驚く。師からそんな言葉を聞くとは・・。劉はさらに言葉を紡ぐ。
「ある時はその時代の権力者に。ある時は体格で勝る西洋人に。数多く敗北してきた」
聞きたくない。そんな言葉を師から。烈は思った。しかし、師の真剣な眼差し。
「しかし・・、いや、だからこそ」 劉の目が更に優しくなる。だが言葉は熱い。
「中国拳法は遥かな高みに立ち・・、今に受け継がれてきたのだ、先人達より・・」
言葉は続く。「烈小龍、いや、烈海王よ。名を返すことは許さん、おまえは・・」
一旦途切れる言葉。次の言葉を待つ烈。そして、もう一度言葉を繰り返す。
「おまえは誰にも負けんのだよ・・。それだけの物を、ワシはお前に伝えてある」
その言葉を聞き、烈は静かに一礼をした。名を背負い、闘う覚悟を決めたのだ。
そして師の前を去った。もう一度この寺で、己を鍛えなおす為に・・。

412 名前:411の続き:03/01/20 17:35 ID:z4JTnM9Z
それからの烈の4日間の修練は、鬼気迫るものであった。
門下生に混ざっての基本稽古。最高位「海王」の名を持つものが、である。
そして、打岩。以前、バキに敗れたときに割れた、黒曜石の打岩。再度挑んだ。
勿論、2年前に成した時より大きい岩で、しかも短時間で、である。
「・・。見事な・・」劉はその打岩を見て嘆息する。2年前より遥かに大きい。
しかも、この世には在り得ない、といわれる完全球の形をなして、である。

4日間の修行を終え、徳川家専用機に乗り込む烈。見送る門下生と劉海王。
必勝を皆に誓い、少林総嵩寺を去った。・・その時、劉を門下生が劉を呼ぶ。
「劉様、大変でございますっ、劉さまぁっ」劉はその異変を聞き、そこへ急ぐ。
・・そこには。あの、新しい完全球の打岩があった。だが、粉々に割れている。
劉は思う。 (不吉な・・、烈、お前はどんな魔物と闘おうというのだ・・)
                    柳 龍光との決戦まで、あと2日。

413 名前:412の続き:03/01/20 19:46 ID:aWEDci1T
【決戦前・ビスケット・オリバ】
決戦2日前。しかし、オリバの生活は何も変らない。好きな時に食らい、呑み、抱く。
絶対の強者の余裕。最初から、バキを敵とすら思っていない。只の、暇つぶし。
高級ホテルのロイヤルスイート。オリバともう一人の男がシャブリを呑んでいる。
範馬勇次郎。「地上最強の生物」と呼ばれる男。バキの父。その男にオリバが言う。
「獅子は、深い谷底へ我が子を突き落とス、と言う諺が日本にあるらしいガ・・」
勇次郎は、黙ってシャブリの注がれたグラスを空にする。オリバは笑って続ける。
「グランドキャニオンに落とすとハ。酷い父親だナ、オーガ・・」 勇次郎は応える。
「アンチェイン、おめえ、油断すると負けるぜ・・。腐っても俺の血ィ引いてる・・」
オリバの陽気な笑いが消える。殺気。2人の間に不穏な空気が流れる。
「フフフ。信頼してんだナ。オーガ、可愛い息子さン、壊すゼ・・」 消える殺気。
勇次郎はそれを聞き、心底楽しそうに笑う。兇悪で魅力溢れる笑顔。
(俺の処まで来れるかな、バキ・・。コイツ、限りなく強えぜ・・。)
                       範馬刃牙との決戦まで、あと2日。


414 名前:パオ:03/01/20 19:59 ID:aWEDci1T
379様>この漫画かっ。チャンピオンは月に2回くらい買うけど、この漫画読んでない。
    読むのはバキ・ななか・ラーメン・エイケンとあと2本くらい。他読んでない。
    無理っす。マイナー過ぎっす。ごめんなさい。
バトル無しの地味な展開すいません。その分、地下闘技場編はバトルばっかです。
全部のバトルがしかも長くなると思います。バキ×シコの2倍以上。頑張ります。
だからこのスレ見捨てないで下さい。結構書くの辛いんで。
烈×柳だけは、どちらを勝たすかさえ決ってない。サイコロで決めよう。また明日。

415 名前:パオ:03/01/20 20:11 ID:aWEDci1T
あと、一つクイズっす。難しいよ。 烈に劉が言った台詞の
「おまえは誰にも負けんのだよ・・。それだけの物を、ワシはお前に伝えてある」
これ、実際にある伝説的な武道家が、これまた有名な武道家にいった台詞です。
言われた人はバキのある選手のモデルです。さて、言った方の武道家は誰?
多分、正解は出ないと思いますが、正解者先着1名様、その方の好きなバトルを一つ
本編終了後やります。バキの誰か対男塾の誰か、とかでもOKっす。修羅の門でも可。
では、また明日、宜しくお願いします。失礼します。


416 名前:バキスレの567は俺 :03/01/21 02:04 ID:???
>>パオ
>中国拳法の総本山、少林総嵩寺。上海から1000キロ以上離れた場所。

何か、気を使わせちゃってすまん。w
俺の『黒帯研究会編』もパオに負けないよう、がんがって更新しますでつ。

417 名前:パオ:03/01/21 08:43 ID:hy6mBhaR
バキスレの567は俺さん、いつも最高に面白いネタをありがとうございます。
後、個人的にお礼を。バキ本スレで「面白いけど、解放が足りない」というご意見、
ありがとうございました。この助言が無いと、シコルスは只の暴れん坊、ドイルは
武器基地外になる所でした。多謝。
夜にまた書きます。闘技場編の第一試合直前までは行きたいです。
スレが下ると、漫喫で書込む俺はこのスレ発見できなくなるんでageます。ゴメン。

418 名前:マロン名無しさん:03/01/21 13:27 ID:kjwtYrGm
シコルスキーがかっこよかったので、ageとこう。良スレ。

419 名前:マロン名無しさん:03/01/21 15:09 ID:/Oi9/IWO
age

420 名前:マロン名無しさん:03/01/21 18:39 ID:???
マジ期待age

421 名前:412の続き:03/01/21 19:42 ID:hy6mBhaR
時はきた。決戦当日の朝。6人の戦士は各々の思いを秘め、東京ドームへと向う。
絶対の自信を持ち、鼻歌交じりでピクニック気分の余裕を見せる男、オリバ。
偉大なる父に万感の思いを寄せ、その背中を超えんとする男、愚地克巳。
悠久の歴史と師への敬愛、そして背負った名の重さに必勝を誓う男、烈 海王。
己が技をただ高めるため、最高の舞台すら踏み台にせんとする男、柳 龍光。
父として、師として、己がコブシと魂を息子に伝えんとする男、愚地独歩。

そして、範馬刃牙。亡き友との絆。兄と恋人への思い。今までの闘いの日々。
全てその肉体に包み込み、決戦の場へと向おうとする。自分の全てを賭けて。
シコルスキーとの破ってはならない約束。オリバを倒し、父親の前に立つ。
その誓いを果すために・・・・。


422 名前:421の続き:03/01/21 20:08 ID:hy6mBhaR
松本家を出ようとするジャックと刃牙。その後姿を、松本梢江が呼び止めた。
「バキ君、やっぱり・・連れて行って・・」 真剣な表情の梢江。困惑するバキ。
決戦前日。バキは梢江に、今回は地下闘技場に連れて行けない、と告げた。
今回の相手は今までと訳が違う。笑って人を殺せる男が相手である。
無事に帰れるか分らない。何より、「鬼」となる自分を梢江にだけは見せたくない。
「鬼」。範馬の巨凶の血の目覚め。オリバと同じく、笑って人を殺せる自分。
過去の闘い。烈も、ジャックも、すんでの所で殺さずに済んだ。だが、今回は・・。
「イイジャナイカ、バキ。連レテ行ッテモ・・」ジャックが言った。「兄さん?」
思わぬジャックの言葉に、兄の顔を見る。ジャックは優しい顔で、言葉を続ける。
「歩イテイクンダロ、ソノ子トズット・・、ナラバ、連レテ行クベキダ・・」
梢江はジャックにぺコリと頭を下げ、バキを見る。更にジャックは続ける。
「ソノ子ガソバ二居ル限リ、大丈夫ダ・・」 兄は弟の心配を見抜いていた。
そして弟に教える。愛する者が居る限り、人殺しをし、笑う鬼には決してならぬと。
バキは頷く。そして、最も信頼する2人と決戦の場へと向った。


423 名前:422の続き:03/01/21 20:34 ID:hy6mBhaR
東京ドーム地下闘技場。既に客のボルテージは最高潮である。今か今かと騒ぐ観客。
「バキだよ、バキ。この世でバキより強い奴、いねえって」「オリバって何者?」
「独歩がこの試合で引退するって、ホント?」 観客の熱気に空調も効き目が無い。
究極の3試合。6人の最強レベルの強者たち。勿論、この3試合に注目しているのは、
観客だけではない。無理矢理退院した渋川、花山、本部たちの猛者も見守っている。
・・・すっ、と闘技場が暗くなる。主催者である徳川光成が、マイクを持って現れる。
光成に声援が飛ぶ。「光成さ〜んっ」「待ってました、ご老公っ」 光成が叫ぶ。
「地上最強の激闘をっ、史上最高の死闘をっ、みんな見たいかっ!!!!」
観客が一斉にオーーッ!、と答える。「ワシもじゃ、ワシもじゃみんなっ!!」
実況が叫ぶ。「選びに選ばれた究極の6人、選手入場ですっ!!」


424 名前:423の続き:03/01/21 21:11 ID:hy6mBhaR
青龍、白虎と、交互に戦士が入場する。実況が絶叫して選手を紹介する。
「まさに筋肉のカベっ。極限のパワーの前には如何なる技も通用しないっ!!
 地上最強のハンターにして犯罪者、ビスケット・オリバだあっ!!」
「偉大なる父を超えるときは今っ!!空手界の最終兵器がついに本気を出すっ!
 神心会と空手の未来を担う男、愚地克巳だあっ!!」
「神の左手、悪魔の右手っ!我々は今夜、本物の死神を見る事になるっ!!
 生ける生体兵器、毒ガス、柳 龍光だっっ!!」
「中国拳法4000年の歴史を体現する天才っ!その神業は鬼神の領域っ!!
 拳技の頂点を極める男、魔拳、烈 海王だっ!!」
「50年もの間、惜しまず空手に全てを捧げ続けた真の武道家っ!!
 偉大な男は息子に何を伝えようと云うのかっ!!武神、愚地独歩だあっ!!」
そして、一層声援が大きくなる。花山たちが熱い視線を入り口に送る。
「最大トーナメントの優勝者にして不敗の王者っ!!我々は君を待っていたっ!!
 キングオブキングス、我らが英雄、範馬刃牙だああああっ!!!!」
最強の6人が揃う。最上段の目立たぬ席より、凶悪な視線を送る男が居た。
「ククク・・俺を別格とすりゃあ、この6人には、文句の付け様がねえな・・」
観客、渋川たち猛者、そして地上最強の生物が見守る中、祭りが始まる。

425 名前:マロン名無しさん:03/01/21 21:19 ID:+RpjNJnj
「あいつが飲めるものは俺達にも飲めるはず〜。」

わけのわからんドリンク剤を対抗意識燃やして飲みつづけ、下腹に
力が入らず、喧嘩どころの騒ぎじゃないわ、ってカンジ?

おめえらが飲んでるスペシャルドリンクより遥かにヘビィなもの、
毎日飲んでる。マネする「模倣犯」のバカが出るから情報も出せん。

426 名前:マロン名無しさん:03/01/21 21:22 ID:+RpjNJnj
おめえらが飲んでるのは、水割り。

俺が飲んでるのは原液の濃縮タイプ。

427 名前:パオ:03/01/21 21:23 ID:hy6mBhaR
今日はここまでっす。明日は多分ネタをやります。何も決まってないけど。
でも、よくここまで来たなあ。絶対100レス行かないと思った。
最初スレを上げた時、満天やサタンに死刑囚が全員やられるは、梢江は犯されるは。
一応、大体の粗筋を決めてたんすけど。既にその時点でリレー小説では無いな。
でも、達人対スペック辺りから皆さんの反応が良くなって来ましたね。嬉しかった。
今は少し辛いけど。でも、あと少しなんで頑張ります。また明日。

428 名前: :03/01/21 21:43 ID:NojpP+t6
ろうやま

429 名前:マロン名無しさん:03/01/21 21:51 ID:NojpP+t6
ろうやましはん


430 名前:マロン名無しさん:03/01/21 23:16 ID:???
>>パオ
何時も楽しんでるよ。ありがとう。

431 名前:マロン名無しさん :03/01/22 02:16 ID:???
>パオさん
本日初めてこのスレを見て、そのまま一気読みしてしまいました。面白すぎます。
今回の更新、>422にグッときますた。バキと梢江が爽やかで愛おしいです。
本当にこんな主人公とヒロインだったら、諸手を上げてふたりを祝福するのに…
(現実を思い出し、激しく欝
後わずか、頑張ってください。

432 名前:マロン名無しさん:03/01/22 09:42 ID:???
いいんだけど最初を最強トーナメントに重ねる必要はなかったのではないかと。
一回戦ごとに選手紹介して柳登場の時には客が「ざわ、、、ざわ、、、」したり。
オリバはまだしも柳がトーナメントのように入場してる姿が想像出来ないかも。
いやおもしろいんですけどね。

433 名前:マロン名無しさん:03/01/22 11:18 ID:???
>>415

> 「おまえは誰にも負けんのだよ・・。それだけの物を、ワシはお前に伝えてある」
> これ、実際にある伝説的な武道家が、これまた有名な武道家にいった台詞です。
> 言われた人はバキのある選手のモデルです。さて、言った方の武道家は誰?

渋川のモデルとなった塩田剛三に植芝盛平が言った台詞?

434 名前:424の続き:03/01/22 17:21 ID:cdn8FePs
今回は出場者が6人。出場選手全員に、それぞれ専用の控え室が与えられた。
第一試合、愚地独歩対愚地克巳まで、あと20分余り。ここは、独歩の控え室である。
「とうとうここまで来ちまったよ、夏江」 妻の夏江は黙って微笑んでいる。独歩は続ける。
「あの克巳となあ・・」 克巳を養子にしてから、いつか必ずこの日が来るとは思っていた。
しかし、実際に来てみると・・。 「克巳の力はもう俺より上だろう。だがよ・・」
右手を菩薩のコブシに握る。左手を神心会の基本の握りに固める。両手を見詰めながら言う。
「まだ、一番大切なモノを・・伝えていなかったよ、オイラ・・」 そして爽やかに笑った。
夏江は黙って頷く。そして独歩は立ち上がった。いよいよ、闘いが近い。

克巳控え室。克巳は静かに瞑想している。そこへ、加藤と末堂が来訪した。克巳は目を明ける。
「なんだ、2人とも。親父のセコンドじゃねえのか」笑って茶化す克巳。加藤は応える。
「これからぁアンタの時代だ、大将。そばで見させてくれ、アンタがあの武神を超えるのをよ」
そういって加藤は、克巳の腹へ力の込めた下突きを入れる。加藤の精一杯のエールだろうか。
「克巳さん、あれは?」末堂がまっさらの道着を指差す。新品は動き辛い。それを言ったのだ。
「今日は、これじゃないと駄目なんだよ・・」克巳は言う。加藤は道着の胸を見て思った。
(そうか、克巳さん、その道着しかないよな・・) きっと、末堂も同じ事に気付いたろう。
・・・そしてついに始まる。 「青龍の方角より、愚地独歩、入場っっ」

435 名前:434の続き:03/01/22 17:53 ID:cdn8FePs
独歩が青龍のゲートをくぐる。そして、闘技場へ。(ここをくぐるのも・・最後に・・)
なるのかもな、とふと思う。いや、考えまい。今は、闘いに全てを尽くすのみである。
(見事な面構えじゃのう、独歩。今のお前なら、もしかしてワシより)渋川が嘆息する。
闘技場の真ん中で、克巳を、息子を待つ独歩。静かに目を閉じる。・・そして。
「白虎の方角より、愚地克巳選手の、入場ですっっ」 実況が叫ぶ。観客の大声援。
克巳。視線をまっすぐ前に、ゆっくりと中央へ向かう。観客が克巳の道着の胸を見て騒ぐ。
「あ、あれ見ろよ、いつもの神心会の道着じゃねえっ」 観客の一人が大声を出した。
いつもは、道着の胸の染め抜きは、<本部 神心会> である。しかし、今日の克巳の胸には。
・・・【愚地流】、そうくっきりと左の胸に染め抜かれている。 「・・克巳、てめえ・・」
不意に独歩の胸を熱いものが込み上げる。闘技場でなければ、不覚にも泣いたかも知れない。
親子が向かい合う。睨み合いではでは無い。万感の思いを2人で確かめ合っているのだ。
「父さん・・、2回目ですね、立合い・・」前回、全く相手にされずに負けた事を言っている。
独歩はゆっくりと横に首を振る。言葉を搾り出す。 「いや・・、初めてだよ、今回が・・」 
・・・開始線に戻る2人。両者とも、試合前とは思えぬ穏やかな顔。・・そして、ついに。
ドンっ。太鼓が鳴った。審判が叫ぶ。 「はじめいっっ」
・・・第一試合。 頂点空手対決。 愚地独歩 対 愚地克巳、開始。

436 名前:パオ:03/01/22 18:10 ID:cdn8FePs
425〜429みたいな、たまに上がる意味不明のレスは何だろう。お願いだから止めて。
430様、431様。ありがとうございます。でも、烈対柳戦の前にどっちを勝たすか
       サイコロを振って決めますが、それ次第でもうひとつ増えるかも。
       上手く行けば次が最終章なんですが。
432様 424みたいなアオリが書きたくて。たまに遊ばないと結構辛いんです。
433様 すごい、正解っす。でも、ご希望のバトル書いてないっすね。うーん。
 続きは夜か、明日以降になってしまいます。しかもネタの方かも。
 3連戦は丁寧に書きたいんで、すいません・・・。

437 名前:433:03/01/22 18:38 ID:???
たまたま知ってる名前を出しただけです(w
当たってりゃラッキーくらいのノリで書いた答えなんで
「好きなバトル」は考えてませんでした。
うーん、どうすっかな。「タフ」は守備範囲っすか?
キー坊のオトンかガルシアあたりをバキワールドに
絡めてみたいなー、とか思ってみたり。
まあゆっくり考えてみます。本編頑張ってください。

438 名前:パオ:03/01/22 21:34 ID:77aa79MO
437様>あ,タフでもいいですよ。男塾,修羅の門でもいいっす。僕が知っててある程度
    メジャーなものなら。
   すみません,今日はちょっと書けないです。また明日。

439 名前:マロン名無しさん:03/01/23 13:02 ID:???
ageッ!

440 名前:マロン名無しさん:03/01/23 14:14 ID:JRlUiNUi
一歩一歩、思いを確かめるかのように、中央へ向かう独歩と克巳。神妙な顔のまま。加藤は思った。
(多分、世界で一番重い一歩一歩なんだな)と。2人が中央まで進む。そして、ゆっくりと構える2人。
通常、この闘技場ではありえない。相手の構えを待ったりするなど。しかしそれが自然で美しかった。
猫足立ちになり、空けた2つの掌を胸の前に出す独歩。前羽の構えである。一方、愚地克巳。
腰を落とし、左足を前、右足を後。左手刀を胸の前に斜めに置き、右拳を腹の横、下突きの構え。
神心会の一般的なフルコンタクト用の構えでは無い。2人とも、伝統派の様な美しい構え。見事に。
数秒、場内が静寂に包まれる。それを切り裂いたのは、独歩と克巳の激しい気合である。
「せいりゃあっ」「せいっっ」その怒号に緊張が解かれる。最初の攻撃は独歩の蹴りであった。
何の予備動作も無い。殺気も構えの時と変わらない。しかし、独歩の右上段蹴りが克巳を襲う。
克巳はその蹴りをなんとかかわす。しかし、その蹴り。50年の歳月が磨いた発動の読めぬ蹴り。
(流石だ、オヤジ。今の俺には真似出来ねえ)無拍子の蹴りは50年の賜物である。ならば俺は。
今度は克巳の蹴りが独歩を襲う。右中段への廻し蹴り。(ふん、甘えぜ克巳。・・なにっ?)
中段をガードする独歩。しかし、その蹴りは膝を基点に角度を急激に変え、独歩の顔を襲う。
「っくくっ」 独歩はそれをスウェーでかわす。ほんの数ミリで、である。神業の見切り。
そしてまた2人とも間合いを取る。まるで真剣での居合斬りのような攻防。観客は騒ぐ。
「すっげえー、こいつら何物だっ」・・今の攻防を完全に見えたのは勇次郎と渋川位だろう。
観客や片目の花山、本部には技の終り位しか見えなかった。故に、観客たちの度肝を抜いたのである。

441 名前:パオ:03/01/23 14:18 ID:JRlUiNUi
1レスだけですみません。夜は5レス位は書きます。愚地対決の半分は書きたいな。

442 名前:マロン名無しさん:03/01/23 18:20 ID:cx5lqwP6
>本部には技の終り位しか見えなかった。

ついに解説すらできなくなったなw

443 名前:441の続き:03/01/23 21:10 ID:NTWdEGP4
(嬉しいじゃねえか、克巳よう)独歩は内心ほくそえむ。自分のノーモーションの蹴りに対し、
克巳はそれ以上の技術で答えた。(じゃあ、まずは空手対決といくか) 独歩がゆらりと動く。
独歩の下段蹴り。克巳はフルコンタクト空手の基本、スネ受け。克巳、中段下突き。独歩外受け。
独歩水月への前蹴り。克巳捌きでいなす。克巳右上段振り打ち(フック)。独歩払い受け・・・。
最初はお互い、手の内を探り合う様に一発ずつ、しかし、段々とベースアップしてくる。
克巳。中段前蹴り、手刀廻し打ち、外受け、正拳上段打ち、右下段蹴り、体捌き、裏拳アゴ打ち。
独歩。貫手水月突き、廻し受け、中段下突き、鎖骨手刀打ち、上段横蹴り、内受け、後ろ蹴り。
正拳。手刀。裏拳。エンピ。孤拳。腕刀。掌底。貫手。平拳。足刀。カカト。ひざ。すね。
空手で武器とされる有りとあらゆる部位で、独歩と克巳は相手を攻撃し、自らを防御する。
「まるで空手のエッセンスを全て詰め込んだような試合じゃの」本部は言う。加藤は頷く。
全くの五分五分の展開。まるで空手の教科書のような美しい技の応酬。見惚れてしまう程である。
しかし。少しづつ、ほんの少しづつ、互角の均衡が崩れ始める。 
克巳の攻撃が独歩を守勢に追い込み始めたのである。いまや、圧倒的に克巳の攻撃時間の方が長い。
(こんなもんかよ、オヤジ・・)克巳は余裕を持ち始める。克巳の上段廻し蹴りが独歩を捕らえる。
「ぐあああっ」 吹き飛ぶ独歩。ダメージは小さいが、克巳が独歩を上回っている事の証明である。
(か、勝てるぜ、大将・・) 加藤が心で叫ぶ。スピードもパワーも完全に克巳が上である。
 騒ぐ観客、加藤、末堂。しかし百戦錬磨の渋川は別の事を考えていた。
(ここからじゃな。あの息子さんが本当の武道家の恐ろしさを知るんは・・) 




444 名前:443の続き:03/01/23 21:34 ID:NTWdEGP4
克巳の中段前蹴り。独歩の体が一瞬くの字に曲がる。更に顔面へ体重を載せた縦拳。
鼻血を噴出し、吹き飛ぶ。「なんと、愚地独歩、開始4分でダウ〜ンっ」 解説が叫ぶ。
転がる独歩。悠々見下ろす克巳。そして言った。「オヤジ、愚地流は俺が継ぐぜ・・」
しかし、独歩は笑う。「克巳・・。やっぱ駄目だわ、おまえ・・。愚地流の器じゃねえっ」
ゆっくり立ち上がる。そして、闘技場が震えるような息吹きをひとつ。みるみる顔色が良くなる。
息吹き。空手独特の呼吸法。丹田に意識を集中し、呼吸を整える。達人クラスの息吹きであれば
疲労や蓄積したダメージすら軽減させることが出来る。独歩は言う。
「なんで、倒れた俺に攻撃しねえんだい?俺ぁ、まだピンピンしてるぜ?」 克巳は答える。
「もう、どちらの力量が上かの答えは出ています。続けても無意味、俺の方が上だっっ」
克巳は構えすら解いてしまう。それを見た花山。たった一言だけ。「甘えな、相変わらず・・」
「確かにおめえの方が上だ、技も、力も・・。スポーツ空手ならな・・」独歩の声が低くなる。
「やる気か、息子に、独歩・・」 本部が唸る。渋川の視線が鋭くなる。独歩は言った。
「教えてやるよ・・。勝ってナンボの愚地流。ホンモンの武道空手を、な・・」 
 克巳は、目の前の独歩が急に大きく見える錯覚に襲われた。


445 名前:444の続き:03/01/23 23:08 ID:NTWdEGP4
ゆっくりと、手をダランと下ろしたまま克巳に近づく独歩。顔に笑みさえ浮かべている。
迎撃態勢をとる克巳。独歩に、右下段蹴りを放つ。独歩は構わず前に出る。その時。
克巳の目の前で、パンッ、とはじける音がした。「ね、猫だましだとお?」 加藤が呆れる。
しかし、人間の構造上、一瞬だけ目を瞑る反射を避けられない。そして独歩には一瞬で充分。
独歩の右の掌が、唸りを上げて克巳の耳を襲う。「ぐっっ」克巳はバランスを崩す。
強烈な平手で耳を塞がれると、その衝撃で耳下の三半規管がダメージを受け、平衡感覚を無くす。
猫だましと鼓膜への掌打。たった2発であれほど優勢だった克巳が追いやられる。本部が言う。
「今までのはこれからの攻撃の為の下準備だ。克巳は・・終わりかもしれんな・・」
「くああああっっっ」克巳がバランスを失ったまま突進し、攻撃をしようとする。しかし、独歩。
ブンっ。右足のカカトで克巳の左足の甲を叩き潰す。ヒビでも入ったのだろう。動きが止まる克巳。




446 名前:445の続き:03/01/23 23:08 ID:NTWdEGP4
「ツブす気なのか、独歩・・」渋川が呟く。武道空手の本当の恐ろしさはここからである。
独歩の中段前蹴りが克巳の水月を貫く。胃液を吐き散らす克巳。加藤が叫ぶ。
「なんでだ、鍛え抜かれた克巳さんの腹筋を簡単に貫くなんて・・」 本部がそれを聞き応える。
「足先蹴りだ。鍛え抜いた刃物の様なつまさきで貫く。その鋭さゆえ、当った所は全て急所となる・・」
克巳の髪を持ち引きずり起こす。そして、右手の中指、人差指、親指の腹をあわせ、狐状の手形をつくる。
その尖った先端でこめかみを打つ。ふらふらと倒れる克巳。「鶏口突きか。エグいのう」渋川がうめく。
倒れた克巳にも独歩は容赦しない。顔面、頭部に向け何度も蹴り上げる。サッカーボールキックである。
「怖ええ・・」加藤と末堂が思わずうめく。夏江は先ほどから目を背けている。克巳は既に目が虚ろ。
「究極の空手家対決〜っ、父、愚地独歩の圧勝か〜っ」 実況が場内に響く。独歩は克巳を見下ろす。
「まさか、こんなんで愚地流を継ごうってんじゃねえよな。まだ、闘れるんだろ、克巳ィ?」
克巳は立ち上がる。無理矢理に。「あ、あたりめえだ、オヤジっ」声を上げ、強がる克巳。
そこへ独歩の金的蹴りが股間へ舞い上がる。両手の下段十字受けでガードする克巳。
だが、開いた顔面に右ヒジが突き刺さる。後ろへ吹き飛ぶ克巳。「・・つ、強え・・」
末堂は思わず呟く。加藤は首を振る。もう駄目だ、という様に。やはり武神は違う。
しかし、この猛攻をチャンスと見る男がただ一人いた。当の愚地克巳である。
(オ、オヤジは・・。勝負を焦っていやがる・・) 


447 名前:パオ:03/01/23 23:12 ID:NTWdEGP4
また明日。読み返したけど、出来よくないな・・。

448 名前:マロン名無しさん:03/01/24 02:05 ID:FNL3Ta8C
何言ってンだ。さいこーにおもしれーぞ。
続きよろしゅー。

449 名前:マロン名無しさん:03/01/24 04:17 ID:???
>>448 同意
めちゃくちゃいいすよ。
この試合も、その後の試合も大変だろうけどがんばって


450 名前:マロン名無しさん:03/01/24 12:40 ID:CHtLH/q/
>>447
これは、おもしろい。

451 名前:マロン名無しさん:03/01/24 17:45 ID:???
おもしろいだけに展開が遅いのがつらい。生殺し。
まぁマイペースでがんばってください。期待age

452 名前:446の続き:03/01/24 18:05 ID:iqlWfkH4
独歩と克巳の激闘は続いている。観客はヒートアップし、場内は熱気と喧騒に包まれている。
しかし、ここバキ控え室。闘技場の熱気とはまるで正反対の、沈んだ、冷たい空気が漂う。
「バキくん・・」梢江がバキに声を掛けようとするが、出来ない。ジャックは無言である。
バキは・・・。控え室の隅で、床に座り込み、膝を強く抱えたまま、ブルブルと震えている。
・・選手入場の時、ビスケット・オリバと目が合った。バキはオリバを強く睨み返した。だが。
オリバは、バキの視線を物ともせずニカリ、と笑ったのである。絶対の自信と強者の余裕。
いや、バキはオリバのその笑いを見て分かってしまった。こいつは俺を対戦相手と見ていない。
いうなれば、エサ。おもちゃ。善悪のまだ分からない子供が、虫の手足を千切る様な気なのだ。
最初から「敵」と思ってないのである。自分に快楽を与えてくれる、娼婦のようなもの。
(か、勝てる訳ねえじゃん・・、あんな怪物に・・) バキは恐ろしくて涙さえ流している。
父への憎悪も、母への思いも、兄への信頼も、友との約束も。そして、自分の歩いてきた道も。
そのリアルな感覚の前では消し飛んでしまう。「死の恐怖」、である。
オリバという男は、おそらく想像を絶する人間を殺してきただろう。笑いながら。躊躇なく。
自分も、あと2時間もしたらその一人になるかも・・。そう思うと震えが止まらない。
最強に近い力を持つ、と言っても17歳の高校生である。(駄目だ、勝てない、棄権・・)
ふと、そんな言葉がバキの頭に浮かんだ。

453 名前:452の続き:03/01/24 18:34 ID:iqlWfkH4
梢江とジャックは、バキと距離を置き、バキの異常を心配している。
梢江は涙さえ溜めている。バキの力になりたいのだ。その梢江に、ジャックは優しく言った。
「梢チャン・・。バキノ・・、弟ノ近クニイテヤッテクレ。バキニハソレガ一番ダ・・」
梢が頬を赤くする。「えっ、私なんかじゃ・・ジャックさんが・・」 ジャックは首を振る。
「イヤ、君ジャナキャ駄目ダ・・。世界中デ今、君ダケシカ・・、バキヲ直セナイ・・」
梢江はコクンとうなずく。そして、バキの近くへ寄り添う。ジャックは黙って控え室を出た。
近付いた梢江にバキは気付かない。それ程、バキはオリバに怯えている。そのバキを・・。
梢江は両手で体を包み込んだ。抱き締めた、と言う程強くでは無い。羽のように軽くか弱く、
しかし、赤ん坊を抱くように慈愛深く。清潔なせっけんの香り。花のような梢江の香り。
(・・・母さん?) 恐怖から醒め、我に帰るバキ。小さな体で自分を包んでくれる梢江。
そして梢江に言った。「もう大丈夫だよ、梢江ちゃん・・。ごめん、ありがとう・・」
ジャックはドアの裏でポツリと言った。「心配カケヤガッテ。梢江チャン大切ニシロヨ・・」
だが。ジャックの顔付きが変わる。(コノ声ハ・・オリバ?) 声だけでは無い。殺気がある。
控え室の先からオリバともう一人の男の声がする。おそらく尋常な事態では無いだろう。
ジャックはその場に駆けつける。嫌な予感がする。・・バキ控え室から70m程先。そこには。
睨み合っていた。今にも一戦始めんと。ビスケット・オリバと柳 龍光が。 


454 名前:453の続き:03/01/24 19:13 ID:iqlWfkH4
「ホントはナ、柳さんヨ。あんたラ死刑囚を捕獲するのガ私の仕事なんダ。悪いネ・・」
オリバの顔がハンターのそれに変わる。柳の殺気も徐々に増大していく。
「私をあんな4人と一緒にして貰っては困るね・・私を捕獲?笑わせてくれるな・・」
ジャックはその修羅場を止めようか一瞬躊躇した。2人が潰し合えば、バキと烈が・・。
だが、それは許されまい。そんな気がした。ジャックは叫ぶ。 「ヤメロッ、2人トモッ」
オリバがジャックを見て言った。「フン、モウ一人ノオーガノ息子カ。劣性の方ノ・・」
柳は無言。しかし、全身から妖気を発散し、周りを威圧する。ジャックは戦慄する。
(オリバダケデ無ク、コイツモ・・)おそらく、自分より強い。ジャックは2人をいさめる。
「アンタラ、スグ試合ダロ、体力ヲ削ッテドウスル・・」 だが、2人は事も無げに言った。
柳。「烈との試合?フン、もう終わっている・・何がどうあっても私の勝ちは動かん・・」
オリバ。「バキ君ガどうやったラ私ニ勝てるんだイ?」 2人とも勝利を確信しているのだ。
睨み合うオリバと柳。しかし、柳がふっ、とその視線を外し、オリバに言った。
「あんたが第三試合勝ったら立合ってやろう・・。私は私の高みを目指すため、常に強者が
 必要だ・・どの道、闘うつもりだった。第三試合の勝者、そして範馬勇次郎とな・・」
それを聞いてオリバが笑う。そして言う。「では、3日後ダ。いいナ」 柳はうなずく。
2人が去った後、ジャックは呆然としていた。バキ、烈、お前達はこんな奴等に勝てるのか。
・・・その頃。独歩対克巳戦はいよいよ佳境を迎える。  


455 名前:454と446の続き:03/01/24 19:35 ID:iqlWfkH4
父・独歩は勝負を焦っている。いや、急いでいる、と言った方が良いか。克巳の脳がフルで動く。
克巳の天才は何も技と力だけでは無い。戦術、戦略。そして相手の観察。戦闘頭脳も優れている。
独歩の攻撃が克巳を容赦なく襲う。克巳は、完全に防戦一方。しかし克巳の計算通りでもあった。
(この攻撃を凌ぎ切れば、俺が勝つ)はっきりと確信した。要は、スタミナの差。
20歳の克巳と55歳の独歩では基礎体力が違う。例え、鍛えぬいた独歩でも、である。
だから先程から勝負を急いでいる。早く決めたいのだ。そして、もうひとつ。
克巳の肉体が先程から痛みを感じなくなって来ている。いや、むしろ回復すらしている。
脳内麻薬エンドルフィン。バキとの死闘で達した境地。ついに、克巳正真正銘の100%。
(このまま仕留め切れなんだら、独歩よ)渋川は思う。攻撃の止まったときが最後だと。
独歩の攻撃は相変わらず凄まじい。突き、蹴り、エンピが克巳を間断なく襲う。しかし。
少しづつだが、独歩の攻撃のスピードが落ちてきている。肩で息をするようになっている。
(あの独歩が・・年は取りたくないな・・)本部が呟く。そしてついに、克巳が。
「タ〜イム、リミットッ」 急激に攻撃に転じた。独歩の防御が間に合わない。
そして大技が決まる。神心会秘技、正拳四連突きである。

456 名前:パオ:03/01/24 19:42 ID:iqlWfkH4
皆様、暖かいお言葉ありがとうございます。愚地対決は次回決着します。
今回1レスの文字数多くて読みづらいかもしれません。すみません。
昨日、烈と柳どっちを勝たすかサイコロ振りました。丁なら烈、半なら柳。
結果は・・うーん、お楽しみに・・。   また明日。

457 名前:ぎゃく ◆xk.9FGYAkU :03/01/24 20:44 ID:???
兎読んでますか(・∀・)?

458 名前:パオ:03/01/24 21:17 ID:k7yKjdp+
457様>ジャッカルが好きです・・。兎ってのは別冊近代麻雀に連載されてる
    傑作麻雀マンガです。オリバの「劣性か」という台詞はこの漫画の
    中の台詞です・・。知らない人の為に。ちなみに私のコテハン
    「パオ」は麻雀の責任払いから取ってます。
    後、今回特に間違いが多いな。梢江の江をたくさん忘れてる。
    あと、「正拳四連突き」じゃなく「正中線四連突き」ですね。
    次回直します。また明日。
    

459 名前:マロン名無しさん:03/01/24 21:23 ID:???
ひとつアレなのは、ジャックがヘタレすぎ。

460 名前:マロン名無しさん:03/01/24 22:38 ID:???
いくらなんでも柳>ジャックはないだろう。いくら柳が死刑囚のなかで唯一の
本格的な暗殺拳の使い手だといっても。柳過大評価しすぎ。

461 名前:マロン名無しさん:03/01/24 23:50 ID:AmqoxyQ8
>>460
まあまあ。
原作そのまんまの強さで書いたら、何の意味もないだろ?
勇次郎やオリバとかみたいに元々強いキャラならともかく、柳やシコルじゃあなあ。
そのあたりは、執筆者の胸先三寸ってことで大目に見ようや。
ま、確かにジャックがいくらなんでもヘタレすぎなのは、どうかと思うがな。

>兎
漏れも好きだ。
ただ今の血筋云々の話はあんまし気に入ってない。
それにしても、DDの血を、範馬の血に変換しても、あまり違和感ねえな。
スレ違いスマソ。

462 名前:マロン名無しさん:03/01/25 05:56 ID:???
良スレ発見。
しかし、発見したのが遅すぎたため
何となく、自分が書き込みづらい。

パオさんがんばれ

463 名前:マロン名無しさん:03/01/25 11:06 ID:???
いや、元々死刑囚はオーガクラスと思われてたし、
今の柳で考えるより1、6巻あたりの柳で考えると
柳>ジャックは自然に思える。
折れはね。



464 名前:マロン名無しさん:03/01/25 12:44 ID:???
ジャックはジャックで兄弟思いの見せ場はあるからいい。
死刑囚が普通に強い。
こんなバキが読みたかった。

465 名前:マロン名無しさん:03/01/25 13:52 ID:???
だって板垣だし
あんな性格ひんまがったエゴの固まりのような人間に、まともな展開期待すんなよ

466 名前:オペラ信者 ◆yGAhoNiShI :03/01/25 15:15 ID:???
俺は山崎渉(^^)の信者です。

467 名前:マロン名無しさん:03/01/25 17:10 ID:7N1lMEmq
正中線四連突き。克巳の鉄拳が一呼吸で、独歩の人中・喉仏・水月・金的に突き刺さる。
金的はコツカケという、睾丸を体内に引上げる技術でガードは出来ている。人中と喉仏は、
スウェーでほんの少しダメージを軽減出来た。空手の頂点に居る独歩ならではの反応である。
しかし、水月。鳩尾への鉄拳はまともに食らってしまった。崩れ落ちる独歩。
克巳は機を逃さない。先程のお返し、サッカーボールキックが次々に決まる。本部がつぶやく。
「あの時の・・克巳だ・・」 克巳は本部と立合った時の様な、ドス黒い感覚に包まれている。
独歩は立ち上がろうと何度も試みる。しかし、克巳がそれを許さない。立ち上がろうとする度、
克巳の足払いが独歩の手足を襲い、転倒させる。そしてまた、顔や腹への容赦ない打撃。
観客がざわめく。「なぶり殺しだっ」「克巳ー、卑怯だぞー」「独歩、死んじまうぜっ」
渋川が首を振る。「老いたのぉ、独歩・・。いや、息子が成長したんか・・」 花山は無言。
何十発も眼下の独歩に蹴りを入れる克巳。(これで、俺が、愚地流の・・)急に疑問が沸く。
このまま続ければ確かに自分の勝ちだろう。しかし、本当にこれが、父が望む愚地流の継承、
そして、俺の望んだ独歩超えだろうか・・?その疑念に捕らわれ、一瞬攻撃の手が止まる。
独歩はその隙を逃さない。手足を丸めながらも、克巳の水月へ後ろ蹴りを放ち、立ち上がる。
「甘えな・・。もう少しで、金星だったのにな・・」 ふらふらに成りながら笑う独歩。
「オヤ・・父さん。空手というのは」 そこで声を止め、構える。克巳最高の技、音速拳。
そして言葉を続ける。 「やはり・・お互い立って・・闘うものと・・思います」

468 名前:467の続き:03/01/25 17:39 ID:7N1lMEmq
目の前の父を見る。そして、観客席の母を見る。克巳は思った。これが正しいと。
例え、甘いと笑われようと、勝ちを逃そうと、自分も独歩も空手家である。
お互い立って決着をつける。愚地独歩に、嬲り殺して勝つような真似は自分に出来ない。
堂々と立ち技で勝つ。この、音速拳で。克巳は覚悟を決めた。渋川が克巳を見て言った。
「息子さん・・邪気が消えたのう」 独歩はその構えを見て一瞬目を細める。しかし。
「克巳よ・・いい空手家になりやがったな・・でも・・やっぱ、おめえは、大甘だっ」
独歩は思いっきり後ろへ飛び退いた。克巳との間合いを大きく取ったのである。そして。
その場で前に向かって前蹴りを蹴り込む。勿論、克巳には届かない。蹴ったのは砂である。
闘技場の砂が克巳に大量に降り掛かる。虚を衝かれ、ひるむ克巳。砂で視界が一瞬見えない。
砂が消え、視界が戻る。克巳は目を疑う。少し前、目の前に居たはずの独歩がいない。
次の瞬間、克巳は側頭部に強烈な衝撃を覚え、ダウンした。独歩の飛び蹴りが決まったのだ。
三角飛び。砂で克巳が視界を無くした瞬間、思い切り横に飛ぶ。そして、闘技場の柵を蹴り、
その反動で克巳の横へ飛び、コメカミへ蹴り込む。独歩の秘技のひとつである。
だが、独歩もまたその場に崩れる。ダメージが尋常では無いのだ。倒れ込む2人の空手家。
本部が言う。「もう無理だ、2人とも・・」しかし、観客から期せずして大コールが起こる。
「ドッポ、ドッポ、ドッポ」「カ〜ツ〜ミッ、カ〜ツ〜ミッ」 闘技場が声援に揺れる。
2人の空手家の目がカッ、と見開かれる。そして、先に克巳が立ち上がり、独歩に言った。
「まだ・・出来るんでしょう、父さん」 独歩は笑って答える。「たりめーだ、馬鹿っ」
独歩も立ち上がる。そして再び、2人の空手家が向かい合った。

469 名前:468の続き:03/01/25 18:03 ID:7N1lMEmq
加藤が、目の前の勝負を見て言った。「なんだよ・・この子供の喧嘩みてえのは・・」
空手の頂点に立つ2人。それまでの攻防は頂点対決に相応しいものであった。しかし、今は。
ただ、殴り合い、蹴り合う。お互い一発ずつ、交互に。技を受けるほうは全くガードしない。
克巳の上段廻し蹴り。独歩はそれをぐっ、と顔面で受ける。独歩の水月前蹴り。克巳は、
捌こうとしない。そのまま鳩尾で受け止める。まるでどちらかタフかを競う、酒場の殴り合い。
しかし、そんな意地の張り合いが何故か美しい。一発一発が何かを語っているように。
交互に十数発殴り、蹴り合った所で2人ともとうとう限界が来た。闘技場に座り込む。
今度は、観客から先程の大コールは起こらない。何か、2人の厳粛な雰囲気が、声を阻むのだ。
克巳がポツリと独歩に言う。「父さん・・次の一撃で・・決着にしましょう・・」
そして立ち上がり、構える。独歩は、その構えの拳の形を見て、嬉しそうに笑って言う。
「やっぱ天才だ、おめえ・・」 そして独歩も立ち上がり、克巳と同じ構えを取る。
愚地独歩が50年、空手に全てを掛けて辿り着いた拳、菩薩の拳。それが、独歩と克巳、2つに。
克巳。「正直、この拳を出来るかは分からない・・。でも、愚地流を継ぐためにはこれしかないっ」
独歩。「面白えっ。50年賭けた菩薩のコブシ、小僧に出来るか試してみやがれっ」
・・・頂点空手対決、最終局面へ。



470 名前:パオ:03/01/25 18:11 ID:7N1lMEmq
続きはまた後で。
ジャックについては考えてます。但し、柳最強は最初から決めてたんで・・。

471 名前:マロン名無しさん:03/01/25 18:32 ID:TLY1mDqj
で、いつ小説同人を出すの?
誰かまとめてくれないかなぁ。
ついでに挿絵もあるとうれちいなぁ。
真・バキって感じで

472 名前:マロン名無しさん:03/01/25 18:34 ID:???
菩薩音速拳!?

473 名前:マロン名無しさん:03/01/25 20:43 ID:z6gTYJVn
睨み合う2つの菩薩。だが、まだ突きの間合いではない。少しづつ間合いが狭まる。
ミリ単位での移動。10センチ進むのに10秒を費やす。観客は固唾を飲み見守っている。
丁度1分後。ついに突きの間合いに入る2人。しかし、そのままお互い2人とも動かない。
本部はうめく。「お、恐ろしくないのか、2人とも・・」渋川、花山でさえ汗を大量に流す。
その光景。まるで、手の届く距離からピストルを向け合っている様。トリガーに指を掛けて。
そのまま、10秒、20秒。そして、30秒に達したとき、渋川が言った。「動くぞ・・」
その瞬間。独歩、克巳の懐から右手の菩薩が消える。風が遅れて唸る。音速を超えた証。
そして・・。お互いの心臓に、菩薩が突き刺さっている。2人とも、そのまま動かない。
夏江が泣きながら言う。「独歩ちゃん・・克巳・・」 そして、数秒後。克巳がひざをつく。
爆発する観客。「うおーー、やっぱり独歩の勝ちだあっ」 だが、渋川はゆっくり首を振る。
独歩が克巳に言った。空手家として、父としての顔で。「見事だな、克巳・・」言葉は続く。
「安心したよ。確かに渡したぜ、愚地流・・。バトンタッチだ・・。」そしてゆっくり倒れる。
仰向けに倒れた独歩。失神している筈だが、何故か顔は幸せそうである。泣いている克巳。
そして観客、加藤、末堂が騒ぐ。渋川、花山、本部、徳川は黙って拍手をする。
審判が大きく叫んだ。「勝負ありっっっ」


474 名前:473の続き:03/01/25 21:10 ID:z6gTYJVn
「勝負ありっ」 だが、その言葉は観客の大声援にほとんどかき消された。
それほど、観客はこの勝負に心酔したのである。渋川達も満足そうだ。本部が言った。
「菩薩拳そのものの練度は独歩の方が上だろう。だが、リーチの差と、ダメージの差・・」
加藤がその言葉をさえぎる。「そんな解説、どうでもいいっ!一生ついてくぜ、克巳さんっ」
渋川が本部に言う。「無粋な男じゃのう、お主・・」末堂は闘技場の2人を見て泣いている。
闘技場の2人。独歩は先程気付いた。何も言わず見つめ合う2人。いや、言えないのである。
克巳は涙を流しながら、「押忍っ」と十字を切った。それが精一杯だったのである。
そして・・。独歩を背負って歩き出した。独歩は照れて嫌がる。克巳は独歩に言った。
「昔はよく・・父さんにおんぶしてもらったっけ。そのお返しですよ」 独歩は悪態を突く。
「けっ、まだジジイじゃねえや」 だが、少し最後が涙声に聞こえたのは気のせいだろうか。
観客は、独歩と克巳を出口まで拍手で送る。出口で夏江が出迎える。泣き笑いの顔で。
「今晩・・帰って、おソバ茹でたげる・・」 夏江は、それしか何故か口に出なかった。

・・暖かい気持ちに包まれる闘技場。勇次郎以外、幸せな気持ちになったであろう。しかし。
急にズンッ、と重力が増した感覚。一気に温度が十度も下がったような。一人の観客が叫ぶ。
「お、おいっ、いつの間にか闘技場の真ん中に・・」 今まで、出口の独歩達に注がれた視線。
それが一気に闘技場の真ん中に集まる。渋川がうなる。「い、いつの間に・・来やがった・・」
そこにその男がいた。・・・死刑囚最強最悪の男、柳 龍光である。

475 名前:マロン名無しさん:03/01/25 21:16 ID:PGv5eihV
まじで泣けた。次もたのむ。

476 名前:パオ:03/01/25 21:26 ID:z6gTYJVn
今日凄いことがありました。信じてもらえないかも知れないけど事実。
今日、独歩克巳の最初の方をマンキで一生懸命打ってたら、隣の席の若者がチラチラと見る。
全て打ち終わってから、なんだよ、とその若者の目の前のパソを見たら2ちゃんねる。
しかも漫画板。しかも、このスレ。・・マジビビッた。
結局、その若者には話しかけられなかったが、無茶苦茶恥ずかしかった。このマンキ行けんな。
ツマンネーんだよ、ぼけっと怒られるかと思った。最近評判良くないし・・。
ひょっとして予想以上に見てもらってるんだろうか。・・頑張ります。では、また明日。


477 名前:マロン名無しさん:03/01/25 21:30 ID:???
よすぎ、アンタ最高!!
俺はバキを最近知ったばかりだけど、こっちの方がいい

んでね、DB知ってるんならこっちにも来てくれると嬉しい
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/rcomic/1041073034/

478 名前:マロン名無しさん:03/01/25 22:02 ID:???
>>477
何故そのスレ?

>>476
その若者のかきこみがそのうちあるかも。

479 名前:ぎゃく ◆xk.9FGYAkU :03/01/25 22:33 ID:???
(・∀・)イイ!!

480 名前:マロン名無しさん:03/01/25 23:06 ID:???
>ツマンネーんだよ、ぼけっと怒られるかと思った。最近評判良くないし・・。
>ひょっとして予想以上に見てもらってるんだろうか。・・頑張ります。では、また明日。

えっ?どこで評判良く無いって?ホントに面白いっておもってるぞ。少なくとも俺は。
みんな邪魔しないように最低限の書き込みにしてる感じだし。

481 名前:マロン名無しさん:03/01/26 00:14 ID:vnK454RP
場の空気を一瞬で塗り替えた柳が最高だ。
そう、俺が見たかったのは、まさしくこの柳だった。

482 名前:マロン名無しさん:03/01/26 06:22 ID:wdqbXlQ9
>>476
となりの席の若者よ、マジで書き込んでくれ、その時何を考えていたのか、めっさ気になる。

483 名前:マロン名無しさん:03/01/26 11:28 ID:PRjp6XwE
バキスレの567は俺さんはもう来ないのだろうか。稲城、楽しみにしてたのに。

484 名前:マロン名無しさん:03/01/26 19:22 ID:???
決着自体は最高で、文句のつけようがないが…本部は解説すら許されないのか(w

485 名前:マロン名無しさん :03/01/26 23:36 ID:???
>>481
同意。
僅かな分量の文章からも十二分に感じられるその禍禍しい魅力、最高。

烈ファンでもある俺としては、次の対決は非常に楽しみだ。

486 名前:474の続き:03/01/27 13:21 ID:OI+i0NoJ
柳はただ、腕を組んで立っているだけである。だが、完全に闘技場は彼の支配下に置かれていた。
一人の男を除いて。その男は柳を見て、闘技場に来て以来、始めて興味を示す。「ほう、面白え・・」
渋川は柳を見て驚愕する。(ぬしゃあ、わしと立合った時より、更に・・) そこへジャックが現れた。
花山が声を掛ける。「アンタ、バキはいいのかい?」 ジャックは闘技場の柳を凝視しながら言う。
「アイツハモウ、俺ノ手ヲ必要トスル男ジャナイ・・、ソレニシテモ・・」 次の言葉は言えなかった。
範馬勇次郎の気配に似ている、と。闘技場の柳はゆっくりと語り出した。
「呆れたね・・。いつからここは安手の劇場になったのやら・・」 静かで深く、優しさすら感じる声。
しかし、死神が死を告げる時は、こんな声を出すので無いだろうか。優しい声の裏の底無しの恐怖。
柳は言葉を続ける。「高々、肉体の壊し合いの武術に・・情だの、絆だの・・下らないね・・」
そこで、視線を客席最上段に向ける。「君もそう思うだろう・・範馬、勇次郎氏?」 ざわめく観客。
「オ、オーガだっ」「地上最強の生物・・」 ジャック、渋川たちもその場所へ視線が釘付けになる。
そして・・。その男は闘技場へ飛び降りた。範馬勇次郎、降臨。勇次郎はゆっくり柳に言った。
「てめえの言う通りだ・・気が合いそうだな、柳とやらっ」 言葉とは裏腹に、勇次郎は殺気を放つ。
その殺気に当てられ、ブルブルと震える観客。ジャック、渋川、花山ですら、大量の汗が流れる。
だが、目の前にいるはずの柳は眉ひとつ動かさない。どころか、勇次郎に呼応して自らも殺気を放つ。
2つの強大な殺気が闘技場でスパークしている。勇次郎の刃物の様の闘気と、柳の魔物の様な妖気。
魔人2人。その殺気の前に、倒れる女性客すら出てきた。花山は思った。
(まさか、あの柳って野郎、タメとはな・・あの、範馬勇次郎と・・)

487 名前:486の続き:03/01/27 14:17 ID:OI+i0NoJ
「くくく・・、面白えっ、おめえ、本当に面白えっ・・食うぜっっ」 勇次郎がゆらり、と動く。
迎撃態勢を取る柳。慌てふためく光成。「いいぞー、やれっーー」 無責任な観客が騒ぐ。しかし。
怒声がその緊張を切り裂いた。「待てっ、範馬勇次郎っ、その男は私の獲物だっっ」 烈海王である。
まるで鬼神の様な顔で2人ににじみ寄る烈。しかし、勇次郎は烈を一瞥し、怒鳴りつける。
「すっこんでろっっ、2流どころが出る幕では無いわっ」 それを聞き、烈は怒る。「き、貴様っっ」
柳はそのやり取りをニヤニヤ見ている。そして勇次郎に言った。「ひとつ提案があるが、勇次郎君」
「私は烈くんに当然勝ち、そして第3試合の勝者にもいずれ勝つ・・そして」 一旦、言葉を切る。
「その後、改めて君に挑戦したい・・。その頃、私の武は君を超える高みに有る筈だ・・」
烈は怒る。「き、貴様、私に勝てるだとっっ」 柳は烈を無視し、勇次郎を睨む。しかし、勇次郎。
「そんな事、俺に関係ねえなっ・・俺は今、てめえを食うっ、邪魔するなら貴様も一緒にだ、烈っっ」
・・そして、鬼が烈海王と柳龍光に突進する。


 

488 名前:487の続き:03/01/27 14:22 ID:OI+i0NoJ
2人の獲物を狙う勇次郎。しかし、勇次郎の肩を、力強い手が引き止める。「てめえ・・邪魔するかっ」 
その手の主が言う。「残リノ試合ヲ邪魔スルノハ誰ニモ許サレナイ・・ドウシテモトイウノナラ・・」
チラリ、とその手の主が光成を見る。「コノ俺ガ・・相手ニナル・・」 勇次郎はその男に怒鳴る。
「てめえ、あの時に勝負は終わっているだろうが・・。汚れた顔を見せおって。消え失せいっっ」
しかし、その男。「アノ時ハ万全デ無カッタ・・ダガ、今ノ俺ハ、アノ時トハ全ク違ウゾ・・」 
柳がその様子を見、烈に言った。「くくく。どうやら、君の敗北の時が少し延びそうだよ・・。」
烈が柳に飛び掛ろうとする。それをその男が止める。「落チ着ケ、アノ2人ノ思ウ壷ニナル・・」
勇次郎は爆発寸前である。その男・・、ジャック・ハンマーが勇次郎の前に立ちふさがる。勇次郎が言う。
「いいだろう、ジャック・・。万全なら勝てるという勘違い、打ち砕いてやろう・・、柳とやら」
柳はすでに闘技場の出口へ歩き出している。その背中に勇次郎が言う。「てめえの提案、呑んでやる・・」
烈。怒りの表情のまま闘技場を去る。そして・・。ジャックが光成に言う。「イイナ、ゴ老公・・」
光成は満面の笑み。勇次郎に試合を壊されるのをジャックのお陰で避けられたのだ。そして叫ぶ。
「あたりまえじゃあ。特別試合じゃあ」 闘技場に残された2人の睨み合い。もうすぐ、ぶつかり合う2人。
特別試合、範馬勇次郎 対 ジャック・ハンマー、試合開始間近。

489 名前:パオ:03/01/27 14:29 ID:OI+i0NoJ
昨日かけなくてすいません。いや、書いたんですが、パソの不調かサーバの不調か
分からないけど書き込めなかった。お陰で、3レス50行をまるまる捨てた。
マンキってパソの調子が悪いの一杯ありますね、全く。
しかし、1日開けるとあっという間に落ちるな。駄スレの宿命か・・。
本当は、ぜんぜん予定ではなかったジャック対勇次郎を入れてみた。どうでしょう?




490 名前:マロン名無しさん:03/01/27 15:28 ID:???
>ジャック対勇次郎
キター!勇次郎にジャックがどこまで食い下がれるか(文字どおり)が見物です。乙〜

491 名前:488の続き :03/01/27 19:41 ID:OI+i0NoJ
控え室のモニターで勇次郎対ジャック戦の決定を知ったバキ。「馬鹿なっ、に・・にいさんっ」
梢江もモニターに釘付けになる。バキは控え室を飛び出した。梢江も後を追いかける。
・・・闘技場。試合まであとわずか。ジャックは、懐の小ビンをジッと見る。複雑な表情。
(コイツヲ使ウ事ニナレバ・・多分・・) その小ビンの中身。筋肉増強剤、ステロイドである。
しかも、バキとの決勝前に使った最強のラストドラッグ。闘技場内、隅の方の砂にそっと埋める。
相手は勇次郎である。骨延長でパワーアップしていると言え、生身のままでは適うまい。
しかし、これを使えば。今の自分は、過去のステロイド使用と究極トレーニング、そして骨延長の
影響で、パンパンに膨らんだ風船の様なものである。ラストドラッグを使えば崩壊が待つだろう。
チラリと小ビンの埋まった所を見る。いずれ、使用することになるだろう。それまで、生身のままで
どこまで勇次郎と闘えるか・・。・・、いよいよ試合開始が迫る。審判役の小坊主が中央に呼ぶ。
睨み合う勇次郎とジャック。小坊主の「武器の使用以外・・」という、いつものお題目が終わる。
開始線に戻る勇次郎とジャック。柵の前まで戻ったジャックの前に、バキが走ってきた。「にいさんっ」
バキはジャックを呼ぶ。しばらく見詰め合う兄弟。そのうち、梢江も到着した。バキがジャックに言う。
「に、兄さん、無茶だ、勇次郎と闘って・・」 勝てる訳がない、と言う言葉をギリギリ呑み込んだ。
例え兄弟であろうと、闘いに赴く戦士に言っていい言葉ではない。ジャックはバキに優しく言った。
「バキ、オマエニハ兄トシテ何モ出来ナカッタガ・・見届ケテクレ・・」 そして背を向け闘技場へ。
ジャックが背中を向け、梢江にも優しく声を掛ける。「梢絵チャン、バキトズット仲良クナ・・」
バキは涙が自然に溢れた。余りにも、その背中が似ていたからである。あの時の、シコルスキーと。
太鼓がドンと鳴る。審判が大きく叫ぶ。 「はじめいっっっ」


492 名前:パオ:03/01/27 20:00 ID:OI+i0NoJ
すみません、今日は体調良くないんでここまでで・・。
ようやく6〜7割終わったカンジ。2月はじめにはこの駄文の本編を
終わらせたいです。ツライ。でも、手抜きはしません・・。

493 名前:マロン名無しさん:03/01/27 21:51 ID:YO8Kb/qx
>>492
乙かれです。
このスレのファンはたくさんいるから、落ちそうになっても誰かしらがあげてくれると思われ、
無用な心配はせずに、ゆっくり頑張ってください。


494 名前:マロン名無しさん:03/01/28 05:13 ID:8FPvTaSo
>>492
お疲れ様です。

勇次郎って書き辛いだろうけど、頑張ってくださいね

495 名前:マロン名無しさん:03/01/28 10:37 ID:???
アゲッ!

496 名前:491の続き:03/01/28 16:02 ID:5J4Q4vph
医務室のドクター、鎬 紅葉。光成が、選手としての見地からも診る事の出来る医者として、
特別に今回に限り招聘した特別医である。そして、ジャックに骨延長手術を施した本人である。
紅葉も医務室のモニターを見て走り出す。闘技場へ。見てしまったのだ、小ビンを埋める所を。
(ジャック、君はまさか・・)あの日。ジャックの骨延長手術が成功し、彼が退院した日の事。
ジャックは、筋肉増強剤をわけてくれ、と紅葉に頼んだ。勿論、紅葉はそれを拒んだ、しかし。
「別ニ、使オウッテンジャナイ。自分へノ戒メノ為サ」 紅葉は瞬時にそれが嘘と分かった。
しかし、ジャックの有無を言わさぬその覚悟、決意・・。その顔が紅葉にノーと言わせなかった。
(君はまさか、この時の為に・・) ・・紅葉が到着した時、ジャックはダウンを奪われていた。

「はじめいっ」 その審判の言葉と同時に、試合は動く。ゆらり、とジャックが勇次郎に近づく。
前傾姿勢になり、左腕を天に突上げる。そのまま左拳は一瞬地に潜り、そのまま跳ね上がる。
勇次郎はその一瞬で全てを理解する。(確かに、おめえと俺の闘いの開始にふさわしいな・・)
最大トーナメント決勝前。勇次郎とジャックは一瞬、立合う。その時、ジャックが勇次郎に放った
攻撃が、この天を衝く左アッパーだった。その時は、勇次郎の顎寸前でジャックが拳を止めたが。
「他の奴ならともかく、俺にそんな攻撃はヌルいわっ」そう吼えると、勇次郎は前方に回転する。
「あ、あれは・・まさかっ」 バキは叫ぶ。少年時代、勇次郎と初めて立合った事が頭に浮かぶ。
その時の勝負、バキは勇次郎に無念無想の前方回転蹴りを放った。しかし、勇次郎は更にその上を
行き、バキの回転にあわせ、自らも前方に回転しバキの攻撃を破る。その時の勇次郎とダブる。
「にいさんっっ」バキが叫ぶより早く、ジャックは闘技場の砂地へ沈んでいた。顔を紅く染めて。
ジャックの左アッパーは空を切った。そして、勇次郎の前方回転蹴りがジャックへ叩き込まれたのだ。
実況が叫ぶ。「な、なんと、試合開始わずか2秒、ジャック・ハンマー選手、ダウ〜ンっ」 


497 名前:496の続き:03/01/28 16:52 ID:5J4Q4vph
(とんでもないのお、範馬勇次郎・・) 渋川が嘆息する。力の流れが見えねば出来る攻撃ではない。
起き上がろうとするジャック。その髪の毛を掴み、無理やり立たせる勇次郎。ブンっ、力任せに投げつける。
反対側の柵に激突するジャック。(ク・・マダイケル、コノ程度ナラ・・)チラリと頭に小ビンの事が浮かぶ。
しかし、今使えば、最後まではとても持たないだろう。少しでも、生身のままダメージを与えねば・・。
ジャックは立ち上がり、勇次郎に突進する。ライオンのように口を開け、噛み付きの態勢に入る。しかし。
勇次郎。ゆっくりとジャックへ歩き出す。両腕をダランと下ろしたまま。本部が叫ぶ。「逃げろ、ジャックっ」
しかしジャックは止まらない。無論、ジャックは超一流である。勇次郎のその姿に、危険はとうに感じている。
(ダガ、俺ハ) 今まで、鍛えつづけ、痛め続け、攻め続ける事で強くなり、勝ってきた。逃げる事は出来ない。
特に、範馬勇次郎を前にして。弟のバキが見ている前で。勇次郎に噛みかかるジャック。しかし、無情にも。
カッと、勇次郎の目が見開く。その瞬間、ジャックの体が捌かれる。宙を舞うジャック。そこへ、鬼の連撃。
再び、闘技場の砂にまみれるジャック。実況が叫ぶ。「開始40秒、ジャック・ハンマー選手、2度目のダウンッ」
渋川が首を振る。紅葉が目を瞑る。花山が視線を鋭くする。そして、バキが泣きそうな顔になる。本部が言う。
「御殿手・・琉球の秘伝武術。正中線に一切のブレが無いため、打ち込む隙は皆無。ジャックはもう・・」
バキは叫ぶ。「もういい、兄さん、止めにしよう・・」 しかし、ジャックは力強く立ち上り、勇次郎に言った。
「マダ、始マッタバカリダゼ、勇次郎・・コレカラダッ」 勇次郎は答える。「言うじゃねえか、劣性がっ」
そして、勇次郎はジャックに向けて歩き出した。例の、御殿手の歩法で。

498 名前:497の続き:03/01/28 18:35 ID:0hjeLdu9
勇次郎が「死」を携え歩いてくる。常人ならその場にへたり込んでしまうだろう。しかし、ジャック。
静かに目を瞑る。どうせ、このまま攻撃を仕掛ければカウンターを食らうのだ。ならば、いっその事。
そして、そのまま勇次郎を待つ。勇次郎が間合いに踏み込む。足技の間合い。更に踏み込む。
手技の間。勇次郎とジャックの距離は1メートルをきった。本部は叫ぶ。「怖くねえのかっ、おいっ」
勇次郎の歩みがピタリと止まる。そして吼える。「キサマ、劣性の分際でっ」そして攻撃を仕掛ける。
稲妻のような右ストレート。ジャックの顔面を襲う。しかし、ジャック。カッ、と目を見開く。
そして勇次郎の右をかわし、力任せの右フックをコメカミにぶちかます。そして、水月へ貫手一閃。
体が傾く勇次郎。そこへ、ヒザ蹴りの乱撃。更に追撃の。地を這い、天を衝く因縁の左アッパー。
今度は確実に勇次郎の下アゴを捉えた。宙に浮く勇次郎。更にジャックが間を置かず、襲い掛かる。
本部がうめく。「ジャックの奴・・、範馬勇次郎にあんな方法で攻撃させやがった・・」 
御殿手の勇次郎。そのにじり寄る死神をわざと懐へ入れる。お互い、無防備のまま対峙する。すると。
勇次郎の獣性、戦闘本能が自然に体を動かし、攻撃を仕掛ける。ジャックは逆にカウンターを取る。


 


499 名前:498の続き:03/01/28 18:36 ID:0hjeLdu9
渋川は唸る。「成功したからいいものの・・危険なバクチじゃのう」しかし、バキはその言葉に思う。
相手は勇次郎である。危ないバクチを3つ4つ勝たねば、倒せる相手ではない。今、兄は一つ勝った。
しかし、バキの胸の不安は消えるどころか、どんどん増大していく。闘技場ではジャックが優勢である。
しかも、圧倒的に。完全な防御態勢に入った勇次郎を、拳で、蹴りで、肘で、ヒザで、攻め込んでいく。
ジャックの前蹴りが勇次郎の水月を捉える。10メートル先の、闘技場の柵まで吹き飛ばされる勇次郎。
柵がバリバリと砕ける。実況が叫ぶ。「2度ダウンを奪われたジャック選手、圧倒的な攻勢っ〜」
ジャックが勇次郎に叫ぶ。「終ワリダ、勇次郎ッ。今、俺ハ、オマエヲ超エルッッ」 しかし。
勇次郎は柵の前で不気味に笑う。その笑顔に、ジャックは容赦無い蹴りを叩き込む。何度も、何度も。
残念ながら。ジャックは強過ぎた。強過ぎた故に、禍禍しいものを勇次郎の背中に呼んでしまった。
勇次郎のシャツがバリバリと破れる。渋川たちに戦慄が走る。控え室の柳が、モニターを見て言った。
「やっとお出ましか・・。それが見たかったよ・・。ジャック君、ご苦労様。そしてさようなら・・」
ついに、出てしまった。勇次郎の背中に。死神、鬼の形相が。


500 名前:パオ:03/01/28 18:38 ID:0hjeLdu9
500げっと。よくここまできたなあ。ジャック対勇次郎は明日決着です。
その後はちゃんと烈対柳。この2試合はそんな長くないと思います。
空手対決が長すぎた。ま、主役のバキも結構長いと思いますが。また明日。

501 名前:山崎渉:03/01/28 19:45 ID:???
(^^)

502 名前:499の続き:03/01/28 23:39 ID:5J4Q4vph
鬼の正体。異常に発達した筋肉が形どる鬼の形相。戦場で数多の死体を造った怪物。
その死神が、ついに勇次郎の背中に現れた。ざわめく観客。「兄さん、休まず攻めろっ」
バキの声が粛とした闘技場に響く。しかし、ゆっくりと勇次郎は立ち上がる。微笑を浮かべ。
「ク、クアアッ」ジャックが勇次郎の顔面やボディに強烈な突き蹴りを入れる。しかし。
勇次郎は微動だにしない。立ったそのままの状態で、その攻撃を受け止める。そしてついに。
すうっ、と両腕が上がる。開手に構えた手を肩の高さにし、大きく体を開く。勇次郎本気の構え。
「に、逃げろ、兄さんっ」 バキの悲痛な叫び。その瞬間、勇次郎が動く。ジャックの猛攻の中。
シュッ、と風を裂く音。観客席のほうへ何かが飛んだ。「に、肉だあっ」ジャックの腕の筋肉。
たった勇次郎の一振りで、鍛え抜いたジャックの筋肉を削り取る。まさに、日本刀の切れ味。
紅葉は驚愕する。(弟より、はるかに・・)斬撃空手の第一人者の弟より鋭い手刀。更に連撃。
シュシュシュッ。観客には全く見えない。しかし、風の音がする度に、ジャックは斬り刻まれる。
渋川は唸る。「ガードそのものを切り裂いておる・・」林檎の皮むきの様に切り裂かれるジャック。
肉と鮮血が周囲に飛び散る。「くく、どうしたさっきの威勢はっ」 一方的に傾き始める試合。
ジャックは防戦一方である。攻撃したくとも、勇次郎の攻撃速度が速すぎ、その隙が出来ないのだ。
次第に、血は飛び散らなくなる。手刀から拳に攻撃が変わったのだ。つまり、殺しに掛かっている。
「駄目だ、兄さん、試合を止め・・」しかし、その時ジャックとバキの目が合った。兄の目は語る。
止めるな、と。止めたら許さない、と。・・・そして。鬼の連撃がついにジャックを吹き飛ばす。
ゴロゴロと転がるジャック。闘技場の全てが勝負あった、と思った。その時。ジャックの目の前に。
小ビンがあった。あの、悪魔のラストドラッグを封じた小ビンである。こんな所に埋めてはいない。
それが何故か、今、目の前にあった。まるで、ドラッグ自体が「俺を使え」、と言っている様に。

503 名前:502の続き:03/01/29 00:10 ID:vvy03tMp
ジャックは躊躇した。確かに、これを使えば、あのフルパワーの勇次郎に対抗出来るかも知れない。
だが。ほんの少しの時間、限界以上の能力を引き出せる代りに、後人生全てを捨てるかもしれない。
フッ、と自分を笑う。昔なら強くなれれば命は要らなかった筈。いつからこんなに俺は弱くなった。
多分、あれだ。そう。・・・。ジャックは目を閉じ思い出す。
バキや梢江達と過ごした数日間・・。あの平和な日々。初めて「家族」の暖かさを知ったから。
チラリ、とバキと梢江の方を見る。2人とも泣きながら俺を見ている。必死に声援を送っている。
ふん、俺を泣いて心配する人間がいるとはな。詰まらない感情のせいで弱くなった。迷いが出た。
オマエタチノセイダ。アリガトウ・・。そして、悪魔の薬をグイ、と飲み干した。
「し、勝負あ・・」 声をさえぎる様に、ジャックは立つ。勇次郎は闘技場を去ろうとしていた。
「ほーう。まだ、闘らせてくれるのか・・」 再び、勇次郎の背中に「鬼」が浮かび上がる。
間合いを一気に詰める勇次郎。そして、鬼の一撃。全てゼロコンマの動きである。しかし。
「がああっっ」鬼の貌を出した、フルパワーの勇次郎。その勇次郎の方が吹き飛ばされていた。
「き、貴様っ」まさか、この世に自分のフルパワーを跳ね返す男がいるとは・・。しかもそれは。
先程まで、自分が劣性と呼んでいた息子である。勇次郎のプライドはいちじるしく損なわれた。
ジャック。勇次郎を吹き飛ばした右ストレートの態勢のまま。その顔は、既に人の顔ではない。
まさに、闘神の様。全てをこの闘いに捧げた者の顔。紅葉は首を振って言った。
「使ってしまったのか・・悪魔の薬を・・。ジャック・ハンマー・・」

504 名前:マロン名無しさん:03/01/29 00:28 ID:???
今回ジャックはダイヤモンド化しないんでつか?

505 名前:503の続き:03/01/29 00:49 ID:vvy03tMp
「あ、悪魔の薬って・・」バキが紅葉に詰め寄る。紅葉は短く答えた。「君の、想像通りだ・・」
闘技場のジャック。体がプルプルと震えている。破裂寸前の爆薬の様である。ジャックが言った。
「勇次郎、今日、貴様ノ無敗モ終ワルッ、コノ俺ノ命ニヨッテナッ」 そして勇次郎に飛び掛る。
勇次郎。「貴様・・。劣性如きがほざくかあっっ」 迎え撃つ勇次郎。丁度、闘技場の真ん中で。
「み、見えん、全く・・」と本部。2人の攻防が、である。ただ、2人の周りで砂が渦巻いている。
風が遅れて唸る。2人の一発一発の蹴り、突きが音速を超えているのだ。見えよう筈がない。
バキ、渋川クラスで拳道のみが写るだけなのだ。2人の間にどれだけの攻撃が行き交っているのか?
「クアアアアアッ」「けえええええっ」攻撃は見えない。しかし、まるでフィルムの早回しの様に、
2人の体に傷が出来ていくのは分かる。鮮血は闘技場の砂を赤く染めている。・・・全くの五分。
しかし。少しづつ、ミリ単位で一方が一方を押し始めた。ジャックが勇次郎を押しているのである。
闘技場の真ん中から、わずかずつ、勇次郎の体が後ろに下がる。「な、なにいっ?」勇次郎は叫ぶ。
「い、イケる、兄さんっ」祈りにも似たバキの叫び。・・・しかし。ついに臨界点が来てしまう。
「グアアアアアアッ」 突然叫ぶジャック。そして・・。白目を剥き、その場に崩れ落ちた。
首を振る紅葉。泣き崩れる梢江。そして、勇次郎は吼える。「ケッ、ステロイド如きで・・」
「に、兄さん・・、良く闘ったよ・・」 闘技場の柵を越えようとするバキ。しかし。
「来ルナ、バキッ」 大量に血を吐きながら立ち上がるジャック。鼻や目からも血が噴き出る。
「で、でも、兄さんっ・・」闘技場の中へ入ろうとするバキ。しかし、ジャックは一喝する。
「来ルナ・・ソコカラ先ヘ一歩デモ入レバ・・兄弟ノ縁ヲ切ルッ」 そして、バキに笑い掛ける。
「良ク見テオケ。オマエノ、イツカ来ルソノ時ノ為ニ・・」 勇次郎を睨むジャック。そして言った。
「勇次郎・・。オマエノ最高ノ技デ来イ・・。俺ハ確カニ限界ダガ、半端ナ技デハ俺ハ倒センゾ・・」
バキはその言葉に理解した。兄は、見せようとしている。自分に、その技のタイミングを。命を賭けて。




506 名前:パオ:03/01/29 00:51 ID:vvy03tMp
504様>あれやると空手対決並に長くなるんで・・。すみません。
すいません。中途半端で。いきつけのマンキが一時終了なんで。また明日。


507 名前:マロン名無しさん:03/01/29 04:47 ID:???
感動した! 達人vsスペックからこの時間までぶっとおしで読ませてもらいました。
イタガキの変わりにあんたがストーリーテラーだったら…

パオさん、最後まで内容濃いの書いてくださいね。

508 名前:マロン名無しさん:03/01/29 13:34 ID:???
えーと、、、伊藤誠も間違ってるけど『優性』『劣性』っていうのは優れてる劣ってるではなくて
遺伝にしやすい遺伝子の事で、、、 こーゆー使い方は、、、、


509 名前:マロン名無しさん:03/01/29 15:03 ID:???
>508
パオさんフォローするわけじゃないけど、
その辺の勘違いってある意味とても「板垣」らしい気が。
…その「板垣」っぷりの究極の結果である、原作をある意味否定したこのスレで
それどうなのよ、的レスだとは思うけど。

510 名前:505の続き :03/01/29 17:08 ID:mDwLJRU/
(縁を切られたっていいっ、兄さんっ」 バキは柵を乗り越えようとする。しかし、バキを止める手が肩に圧し掛かる。
花山薫である。花山はバキの肩をその強力な握力でむんず、と掴み放さない。 「放せッ、花山さんッ」 しかし。
バキの頬に強烈な痛みが走る。花山のビンタである。そして言った。「目を離すな・・ヤツは」 そこで一呼吸する。
「弟であるオマエに・・」 それ以上、花山は言わなかった。任侠。その言葉に通ずるものを今のジャックに花山は見た。
そして、誰にも聞こえない声でポツリ、と言う。「羨ましいぜバキ・・良い兄貴もってな・・」 バキは涙目で兄を見る。
吼える鬼。「この俺の最高の技だと?死に損ないがッ、そんな死にてえかッ」ジャックは血を吐きながら、微動だにしない。
ジャックは勇次郎を挑発する。 「一発デ殺レル自信ハナイカ・・。コノ死ニ損ナイヲ。情ケナイナ、範馬勇次郎・・・」
その言葉を聞き、勇次郎から表情が消える。そして、再び背中の鬼の現出。「いい度胸じゃねえか、ジャック・・食うぜっ」
そして、両腕をスウッ、と天に上げる。観客が叫ぶ。「背中の、お、鬼がッ、な、哭いてるッ」 渋川たちも凝視する。
ジャックは静かに目を閉じる。そして・・。両腕を天を仰ぐように大きく広げる。バキは叫ぶ。 「あっ、あの時の・・」
バキの記憶がよみがえる。あの、ゴルゴダの丘のイエズス・キリストの様な美しく、哀しい姿。・・・友、シコルスキー。
ジャックは小さな声で微笑む。「良ク見テオイテクレ・・。全テ、オマエニ託ス・・」その声は小さすぎバキには届かない。
そしてついに、勇次郎が竜巻と化す。風を己の周りに従わせ、凶悪なコブシがジャックに突き刺さる。ズンッ。破滅の音。
バキは目を逸らさない。例え、兄に最悪の事態が遭ったとしても、目を逸らすのは許されない気がしたのだ。そして・・。
ゆっくり、ゆっくりとジャックは倒れる。バキ、紅葉が闘技場に飛び込む。梢江は泣いている。審判が大きく叫んだ。
 「勝負ありっっっ」
   

511 名前:510の続き:03/01/29 17:42 ID:mDwLJRU/
「兄さん、にいさんっ」 バキは兄に呼び掛ける。兄は何も答えない。勇次郎はその様子を一瞥する。
バキとジャックにとって幸運なのは、その場に紅葉が居た事である。心臓マッサージを繰り返す紅葉。
「紅葉さん、兄は・・」バキに微笑みかける紅葉。 「大丈夫。命に別状は・・」 ほっとするバキ。
その言葉を忌ま忌ましそうに聞く勇次郎。「ケッ、鎬、またてめえか・・また殺し損ねたじゃねえか」
その言葉に激高するバキ。「オ、オヤジッ、てめえ、自分の息子だろうがッ」勇次郎はその言葉を笑う。
「その下らぬ感情がある限り、おめえは一生俺の足元にも及ばねえっ、そこのそれを見て考えいっっ」
「そこのそれ」。倒れたジャック・ハンマーの事である。その言葉を聞き、飛び掛ろうとするバキ。
しかし、紅葉の一言。「バキくん、ジャックを運ぶよ・・」 担架で運ばれる兄。梢江もそばに居た。
勇次郎を睨みつつも、兄のそばに居ることを選ぶ。勇次郎はその様子を見、闘技場につばを吐き捨てる。
光成に叫ぶ勇次郎。 「光成よ、俺のイスを用意せいっっ、次の試合はそこそこ楽しめそうだ・・」
運ばれるジャックを見て渋川。(ぬしゃあ・・、短い時間とはいえ、あの鬼と並んだ。それは間違いない・・)
控え室モニターを見ていた柳。「勇次郎君も甘いねえ。人が死ぬ所は、私が見せてあげるしかないか・・」
控え室の烈。瞑想からカッ、と目を見開く。「そろそろか・・」
担架で運ばれるジャック。その横のバキと梢江。ジャックが意識を取り戻した。「に、兄さん・・」
そっとバキと梢江の手を取るジャック。そして、静かに2人の手を繋がせた。そして優しく笑う。
「バキ。勇次郎ハ、絆ヲ惰弱ト笑ウ。・・シカシ、多分、ソレコソガ・・奴ヲ倒セル唯一ノ・・」
クアッ、と血を吐くジャック。「ジャックさん、もうしゃべらないでっ」 梢江が泣いて止める。
「梢江チャン、弟ヲヨロシクナ・・」 そう言ってジャックは気を失い、救急車で運ばれて行った。
手を繋ぎ、泣きながら、ジャックの乗った救急車を、見えなくなるまで見送るバキと梢江。
バキは最後の兄の言葉を噛み締めていた。「絆」。兄との、友との、母との、そして愛する人との。
その思いを引き裂く笑い声。「下らないナ。全く下らねエッ」・・ビスケット・オリバがそこに居た。



512 名前:パオ:03/01/29 17:48 ID:mDwLJRU/
507様>ありがとうございます。そう言ってくれると本当嬉しいよ・・。ものすごく疲れるから、このスレ。
508様>えー。さすがにメンデルの法則位は知っているので、「兎」のその言葉の間違いも知っておりました。
    でも、他にしっくりくる言葉が無いんですね。思いつかなかった。で、わざとこの言葉使いました。
    ホントですよ。
    すみません、今日、明日と忙しいんで、少なくてすみません・・明日も少ないです・・。

513 名前:マロン名無しさん:03/01/30 00:45 ID:/m5D7Ixe
原作ではとうに、忘れられてしまった「絆」というテーマ。(ドイルと克巳くらいか)
それを忠実に描いてるのが、まったくもって素晴らしい。
ジャックといい、シコルスキー(こっちでは「シコル」なんて呼べない)といい、
一時期ヘタレそうになっても、最後にはこれだけの存在感あるキャラにしてしまうのだから
言う事ないです。
これからも頑張ってください。

しかし「劣勢が!」ってのは、いかにも勇次郎とか言いそうな台詞だw

514 名前:511の続き:03/01/30 10:33 ID:7DFN66eJ
ビスケット・オリバ。この男を、どう表現したらよいだろうか。笑顔の下の限りない暴虐。
愛嬌を振り撒きながら、次の瞬間、目に映るもの全てを皆殺しにしそうな薄気味悪さ。
さほど身長は高くないが、狂暴な筋肉の圧倒的な存在感。知的な仮面の下の冷酷・冷血。
そう、まるで「死の壁」である。ブツかれば必ず死ぬ。自転車でトレーラーに突っ込む様に。
「下らないナ。全く下らねエッ」 オリバはそう言って腹を抱えて笑う。心底可笑しそうに。
「バキクン、君は本当ニオーガの息子かイ?あんな劣性の兄に同情しちゃってサっ」
オリバを睨むバキ。飛び掛ろうとしたが、何故か肉体が動かない。肉体は知っているのだ。
自分より圧倒的に強い者への「恐怖」を。「くっ、てめえ・・」バキはそう言ったきりである。
しかし。梢江。オリバの前に立ち、睨みつける。バキは叫ぶ。「バカ、逃げろ梢江ちゃんっっ」
パンッ。乾いた音が辺りに響く。梢江がオリバの頬を張ったのだ。思い切り。そして叫んだ。
「あ・・、あなたには、兄弟の絆が分からないの?家族の気持ちが分からないのっっ?」
オリバ。見下した笑いを浮かべながら頬を撫でる。そして、好色そうに笑う。
「梢江ちゃんカ・・。良い名前ダ。気の強い女は大好きダ・・。バキクンの後、遊ぼうカ・・」
「オ、オリバ、てめえっ」バキは凄む。しかし、オリバは梢江をニヤニヤ見詰めたままである。


515 名前:514の続き:03/01/30 10:34 ID:7DFN66eJ
梢江は涙を溜めながら、必死でオリバを睨む。オリバはゆっくり言った。
「ヨシ、俺の女にしてやるヨ・・。バキクンは、もうすぐ女も抱けない体になるからネ・・」
「オリバァッッ」バキは叫び、オリバの顔面に思い切りコブシを叩き込む。しかし。
オリバの顔は一ミリも動かない。コブシは頬にめり込んだままである。オリバは笑って言う。
「慌てるナ・・。もう1時間すれバ嫌でモ闘る事になル。しかし、これが君のパンチカ・・」
巨大な首周り。その太い首がバキのパンチを吸収する。全く効いていない。オリバは梢江に言う。
「心配すんナ、梢江ちゃン・・。俺と寝れバ、一晩でバキクンの事を忘れさせてやるヨ・・」
そして、大きく笑いながら、バキ達の前を去った。残されたバキと梢江。梢江がバキに聞く。
「バキ君・・勝てるよね?」真剣な目で見る梢江。だが、バキはその問いに何も言えなかった。
・・・・・第2試合、烈 海王対柳 龍光、試合開始まで後5分。

516 名前:515の続き:03/01/30 11:01 ID:7DFN66eJ
(おまえは誰にも負けんのだよ・・。それだけの物を、ワシはお前に伝えてある)
師、劉海王の言葉が脳裏に浮かぶ。自分は、中国拳法の代表である。己一人の闘いではない。
4000年の歴史を背負っている。相手が暗殺拳の使い手と云えど、負けるわけにはいかない。
(柳、龍光・・)忌まわしい出逢いから、何度この男の顔を思い浮かべ、歯噛みしたか。
今日。全ての借りを返す。最悪、殺める事になっても構わない。その時には一切躊躇しない。
それ程、中国拳法を嘗めた罪は重い。怒りを体中から発散させる烈。その時、ドアが開いた。
「ノック無しでスマンのう、烈」 烈が控え室に入った男を見る。「何のようだ、シブカワ」
その男は、達人・渋川剛気。ゆっくりと口を開く。「陣中見舞いじゃよ、それに・・」
「特等席で、お主と柳の試合を見たくてのう。セコンド、ちゅうやつじゃ」そういって笑う。
烈。渋川の呑気さに緊張が解ける。「フン・・、助言は無用だぞ」 渋川は笑って頷く。
烈。心の中で渋川に感謝する。「本当は自分が決着を付けたいだろうに・・すまない、シブカワ」
・・・一方、柳 龍光の控え室。全く緊張はしていない。ただ、自分の「仕事」をするだけである。
(ふん、やれやれ。烈くんなどの事より、やらなくてはいけない事が沢山出来そうだね・・)
烈との死合いはノーダメージでさっさと片付ける。そして、第三試合の勝者と闘う。そして・・。
あの男に辿り着く。地上最強の生物、範馬勇次郎に。
・・両者の思惑が絡み合いながら、ついに、第2試合の開始の時刻が訪れた。闘技場で大きく声がする。
「白虎の方角より、烈 海王選手、入場っっっ」
 

517 名前:パオ:03/01/30 11:06 ID:7DFN66eJ
第2試合は夜から書き始めます。後、513様、過分な言葉ありがとうございます。
しかし、柳、毒手を本部に斬られちゃいましたね。そこまで堕ちたか。
ここの柳は、板垣先生の柳がヘタレればヘタレるほど強くなります。
作用反作用の法則、ってやつっすね。では、また次回。

518 名前:マロン名無しさん:03/01/30 13:41 ID:???
>517
俺もチャンピオン読んで、そうなるような気がしますた…
ああこりゃパオさんご立腹だろうな、張り切っちゃうだろうなって。
頑張れ烈先生!瞬殺されたら許さないぞ!なんちて。

何はともあれ今回もグッジョブを有難うございます。
少々ベタかもしれないけど、オリバ、柳に負けぬ「悪」っぷりでステキだ…
ちなみに、ジャックは死ぬかと思ってました。

519 名前:マロン名無しさん:03/01/30 16:33 ID:1clR+dJG
とりあえずのage

520 名前:マロン名無しさん:03/01/30 21:27 ID:???
age

521 名前:マロン名無しさん:03/01/30 23:28 ID:2El59vrl
この正統派ヒロインは、一体誰ですか?
ある漫画の超絶ブサイクアマと同姓同名なんですが、別人ですよねw

522 名前:516の続き:03/01/31 06:47 ID:8y/s9SzH
烈海王の入場。威風辺りを払う、堂々たる姿。しかし、その顔は殺気立ち、決意の様なものを秘める。
闘技場の隅に立つ烈。隣に渋川が立つ。上着の中国服を脱ぐ烈。筋肉が見事に盛り上げる。しかし。
「お、おい、烈の奴、体に全く汗を掻いてないぜっ?」 観客がそれを見て騒ぐ。
通常、選手はうっすら汗をかいて入場する。ウォームアップの為、軽く体を動かし、暖めるからだ。
しかし、烈。全く体は冷たいまま。観客が呆れる。「おいおい、烈っ。やる気はあんのかあっ?」
烈。目を閉じ、胸の前で掌を拝む様に合わせる。そして、大きく深呼吸。「クウッーー、ハーーッ」
観客がまた騒ぐ。「お、おい、烈の体が・・」 烈が深呼吸するたびに、彼の肉体に変化が現れる。
 一呼吸目。体がうっすら濡れ始める。   二呼吸目。体に沢山の血管が浮かび上がる。
 三呼吸目。体から滝のように汗が流れる。 四呼吸目。体からモウモウと湯気が立ち上がる。
そして、カッ、と目を見開き、気合を放つ。「噴ッツッ」 全身の汗が、花火の様に辺りに飛び散る。
柵近くの観客たちに汗がかかる。そして、烈の汗は消え、ピンク色に上気した筋肉がキラキラ輝く。
柵近くの観客はわめく。「すっげえっ、でも、次からは勘弁してくれっっ」 烈の視線が鋭くなる。
渋川が呟く。「おいでなすったか・・」 観客が騒ぐ。「またかよっ、いつの間に来たんだ、あいつ?」
そこに柳龍光は立っていた。闘技場反対側の隅。観客が烈に気を取られている隙に。幽鬼の様に。
柳の殺気が急激に増大する。いや、殺気というより妖気であろうか。会場の様相が一変する。
「なんだか寒いっ・・」「なんだよ、あいつ、怖え・・」「あんなのに勝てんのかよ、烈の奴?」
そして柳は烈に笑い掛ける。死神の様に。ゆっくり、静かに言葉を放つ。
「良かったね、烈くん、見せ場があって・・。死合いが始まれば、あるのは私の独壇場だからね・・」
憎しみすら込めた視線で柳を睨む烈。そして、審判に導かれ、両者闘技場の中央へ。

523 名前:522の続き:03/01/31 07:31 ID:8y/s9SzH
花山はその様子を見て思う。(格は、やはり柳って奴の方が上か・・)
放たれる烈の殺気。しかし柳はそれを涼風の様に受け流す。正に、柳に風である。
中央で睨みあう両者。審判の「武器以外・・」のお題目など、2人に全く届いていない。
烈。「貴様は今日、中国拳法4000年の歴史の凄みを知ることになるッ。後悔の中でなッ」
柳。「くくく。笑わせてくれるね。とても君はそんなに長生きしてる様に見えないが?」
「何いッ、愚弄するか、貴様ッ」烈は叫ぶ。しかし、柳の視線は最早、烈を向いていない。
その柳の視線の先。特別席、光成の隣。範馬勇次郎である。勇次郎と柳の視線がぶつかる。
勇次郎はニヤリ、と笑う。ポツリと柳は言う。「烈くんに構ってやれる時間はもう無いよ・・」


524 名前:523の続き:03/01/31 07:31 ID:8y/s9SzH
審判が2人を開始線の位置まで促す。そこで、烈はある事に気づく。柳の右手の毒手。それが。
「き、貴様、その皮手袋を外せッ」 烈は柳を怒鳴る。しかし、柳は涼しい顔で答える。
「これを外すかどうかは私が決める・・。君次第だよ、烈くん?」 セコンドの渋川が烈に言う。
「烈、あれを柳が外す前に勝負を決めちまえ」 しかし、烈は渋川の言葉を無視している。
渋川は思う。(烈の性格からするとそうじゃろう。しかし、柳は毒手を使うと使わないとでは)
渋川の心配をよそに、審判が試合開始を大きく告げる。    「はじめいっっっ」
怒りの形相で柳に突っ込む烈。「アホウ、気負い過ぎじゃ、烈ッッツ」 渋川は叫ぶ。柳は笑う。
信じられない速度で烈と柳の間合いが詰まる。正に、疾風である。そして、攻撃可能な間合いへ。
烈の先制攻撃。毒手を使わぬと見ての、あの「神速の突き」である。克巳と渋川を葬った技。
以前、この突きを後ろに飛んでダメージを軽減させた柳。しかし・・。笑いを浮かべたまま前へ。
そして、間合いをツブし、威力がゼロの時に十字受けで捌く。「な、何いッ」驚愕する烈。
笑う柳。「ククッ、この私に使い古された技を使うとは。この技は50回以上は見たよ・・」
烈は意味が分からない。柳にこの突きを見せたのは、最初の立合いと渋川戦の時だけのはずだ。
そして、柳のヒザ蹴り、右の顔面突きが烈に決まる。立ち技の達人の烈に、ダメージは少ない。
しかし、柳は言う。「シュミレーション通りだな。悪いが、君に毒手は必要無いらしい・・」
柳はわざと毒手を使わないでいる。戦力を隠す為に。いずれ来る、範馬勇次郎との立合いの為に。

525 名前:パオ:03/01/31 07:42 ID:8y/s9SzH
朝イチの書き込み。少なくてスイマセン。また夜書きます。明日にはこの試合終わそう。
518様>ベタなところはわざとものすごくベタにしてあります。特に、バキオリバの決戦前と
    試合はベタベタです。少年漫画の王道を意識してます。
521様>この梢江は、「アニメ版バキ」の梢江をイメージしてます。可愛いよ、あっちの梢江。
    初めてビデオでこの前見たけど。梢江とシコルは、バキが格上のオリバに対抗する為の
    鍵のキャラに設定してます。第三試合ベタベタの予定。
  では、また次回御見文お願いします。

526 名前:マロン名無しさん:03/01/31 07:47 ID:9rVYLGBU
http://www.kenmon.net/

これってアリ?







527 名前:マロン名無しさん :03/01/31 12:25 ID:QklOT8nP
凄い面白いし、感動するけど、キャラのイメージが固まりすぎって
感じもしますね。
これを読んで板垣はやっぱり凄いと思った。
まあ、パロディじゃキャラの設定増やせないからしかたないか。
楽しみにしてるんでがんばって下さい。

528 名前:524の続き:03/01/31 20:11 ID:8y/s9SzH
観客がざわめく。渋川の顔に汗が浮かぶ。花山の視線が厳しくなる。そして、光成。
彼の顔は真っ青に蒼ざめている。彼が最強と信じて疑わない、地下闘技場戦士たち。
その、四強(バキ・ジャック・烈・渋川)の一角、烈海王。その烈が、翻弄されている。
死刑囚、柳龍光に。観客のざわめきが大きくなる。「あの柳っての、どこまで強いんだッ」
・・・烈の攻撃は疾風の様に速く、稲妻の様に強い。しかし、柳にそれは当たらない。
烈の攻撃をまるで予見しているが如く、ヒラリヒラリとかわしていく。熟練の闘牛士の様に。
次第に、烈、渋川の顔に焦りが浮かぶ。柳は自ら攻撃を仕掛けてないのである。

「なあ、このままどっかに・・、逃げちゃおうか?」 バキの控え室。バキの梢江への一言。
梢江は耳を疑った。バキが闘いを逃げる。恋人としては喜ぶべき言葉かもしれない。でも。
「俺たちって・・あんまり遊びに行った事ないじゃない。普通の恋人同士みたいにさ」
わざとだろうか。バキは陽気に喋りだす。しかし、梢江は見た。バキの体が震えているのを。
「遊園地行ったり、映画行ったりさ。目的地なんか関係なく、ブラブラしたりしてさ・・」
楽しそうに、手振りを加えながら話すバキ。しかし、その目は決して梢江を見ようとしない。
最大トーナメント。その時、梢江はバキを諭し、闘いを止めてくれる様に頼んだ。しかし、
バキの母への、そして父への思いは固く、彼は闘いの場を選んだ。でも、今は。
ビスケット・オリバ。その底なしの狂気を、梢江も間近で見た。バキが恐れるのも分かる。
あの男はなんの良心の呵責無く、人を殺せるであろう。素人の梢江にも分かる桁違いの強さ。
そんな男とバキが闘う。気も狂わんばかりの恐怖であろう。だけど、それでも。
きっとあの男は、バキを倒せば必ず言葉通り私を犯しに来る。だけど、それでも。
バキは立ち上がる。 「よし、決まりだ、行こうッ」・・しかし、やはり梢の目は見ない。
梢江はバキの前に立つ。まっすぐバキを見つめる。バキはその視線から目を逸らしてしまう。
梢江は言った。「わたし、バキ君とならどこに行ってもいい。でも・・それでいいの?」

529 名前:528の続き:03/01/31 20:45 ID:8y/s9SzH
バキは梢江の目を見ないまま、声を張り上げる。「だって・・、相手は殺人鬼だぜ?」
梢江の周りをうろつき始める。「殺されるか、どこかをおかしくされるか・・無事じゃすまないッ」
「しかも・・、俺よりずっと強い・・、君は俺を殺したいのかよッ」バキは初めて梢江の目を見る。
梢江は涙を目に一杯溜め、ポツリ、と言う。「ジャックさん・・、シコルスキーさん・・」
バキはハッとする。勿論、片時も忘れたことは無い。考えないようにしていただけだ。
バキは再び梢江から目を逸らす。「だって、俺が負けたら、君がオリバに・・君を心配して」 
嘘だ。ただ、自分が逃げたいのを梢江のため、と言う理由付けしているに過ぎない。
バキは、その自分の卑怯さに気付いているから、梢江の目を見ることが出来ないのである。
ジャックの試合の時、シコルスキーの事を話した時、梢江は泣いていた。自分の事の様に。
「わたしなら大丈夫・・、信じているから。バキ君が絶対勝つって、信じているから」
梢江は泣きながら言う。それでもバキは。 「で、でも・・、梢江ちゃん・・やっぱり・・」
その時。パンッ、とバキの頬に小さな痛みが走る。平手打ち。梢江の精一杯の暴力だろうか。
梢江の涙が止まらない。泣きながらバキにしがみつく。ごめんなさい、と何度も言いながら。
バキは自分を責める。自分の弱さが、ここまで愛しい人を追い詰めてしまったから。
バキの耳に梢江のか細い声が響く。その声にバキは救われ、恐怖が溶けて行く様な気がした。
「フレー、ふ・・れぇ・・ばーき・・」バキは梢江を抱きしめる。試合の時間まで、このままで。
「梢江ちゃん・・、オリバとの闘い・・セコンドについてくれるかい?君じゃないと駄目なんだ・・」
梢江は小さく頷く。それだけで、何かが確実にバキへ伝わった。

烈海王対柳龍光。死合いはついに動き出す。大技である発剄、ワンインチパンチが決まったのである。
烈海王の、ではない。柳龍光の繰り出したワンインチパンチが、である。

530 名前:529の続き:03/01/31 21:54 ID:8y/s9SzH
烈の阿修羅の如き攻撃は続く。手刀、掌、拳、指突。まるで手が四本にでも増えたかの様な
手技の連続。そして、変幻自在の足技が柳を間断なく襲う。しかし、柳には当たらない。
(やはり・・、読んでおる。烈の攻撃を、技が出される瞬間、全て・・) 渋川がうめく。
「くくく、烈くん、無駄な努力ご苦労さま・・」 そう言うと柳は反撃に転ずる。
いや、反撃と言うよりも、烈の攻撃の隙間をぬって自らも攻撃する。つまりは、カウンター。
烈の地を這う下段廻し蹴り。柳、それをかわし顔面へヒザ蹴り。烈の顔面掌打連撃。
柳、かわしてボディへ前蹴り。烈、顔面右ヒジ打→左バックブロー→左ヒザ蹴り→右中段横蹴り。
この高速四連コンビネーションですら、柳を捕らえる事は出来ない。柳がニヤリ、と笑う。
「そろそろこちらから行くよ・・。この技の実験台は君にこそふさわしいッ」 スッ、と柳の拳。
高速で烈に近づき、烈の体、ピタリ3センチ前で止まる。烈は一瞬驚愕する。(出来るはずは・・)
そこで、柳のコブシは爆発的に加速する。ワンインチパンチ。中国拳法で、発剄と呼ばれる技。
「く、くううッッ」 烈は体をひねり、直撃を避ける。しかし、脇腹からポタポタ血が流れる。



531 名前:530の続き:03/01/31 21:55 ID:8y/s9SzH
だが。その時この死合い初めて、柳に隙が出来る。烈の蹴りが柳の顔を襲う。柳の頬をかすめる。
「流石だね、烈クン。本家本元だけの事はある」 柳は笑う。烈は屈辱に顔を朱に染める。
(あ、あの技を体得するのに、私が何年かかったと・・) 俺の秘技の一つを、この男は苦も無く。
渋川は首を振る。(恐るべき武才よな・・烈、やはりお主でも・・勝てぬか ・・) その時、柳。
「フン、一発もらってしまったか・・やはり、自ら予定に無い攻撃を仕掛けてはいかんな・・」
その言葉。渋川はピンと来る。そうか。いくらなんでも、柳は烈の攻撃を避け過ぎる。完璧な迄に。
やはり、攻撃を既に柳は体験しているのだ。あの、バキ対烈戦の時と同じ、リアルシャドーで。
達人・渋川の脳裏に浮かぶ、リアルシャドーを狂わせる方法。あれなら。烈のあれならば。
特別席の光成と勇次郎。光成は嘆く。「あの柳の攻撃の予測、あれさえなんとかなれば・・」
勇次郎は既に見破っている。 「光成よ、あるぜ。あの柳の鉄壁の防御を崩す方法は・・」
渋川は悩む。その方法を烈に伝えるべきか。あの気位の高い烈が、素直に言う事を聞くか・・。
「烈、その柳の鉄壁の防御はッ」 渋川は叫ぶ。烈と目が合った。そして烈は言う。
「安心しろ、シブカワ。リアルシャドーだろう、バキと同じ」 一呼吸置き、続ける烈。
「柳よ・・。タネが分かれば貴様は終わりだ。その完璧な予測、こなごなにしてやろう・・」
 烈海王、猛反撃開始である。


532 名前:パオ:03/01/31 22:06 ID:8y/s9SzH
つまんねえから早く止めろよ、という幻聴が聞こえる中、ようやく終わりが見えてきた。
但し、サイの目の出目次第では「柳編」をやらねばなりますまい。烈先生ガンバレ。
しかし、今回のカキコミは特に辛かった。何が辛いって、打ってて恥ずかしかった。529>が。
蛸はキライなんで、最初は全く出すつもりは無かったけど、バキオリバの伏線で出さなくちゃ
いけなくなった。人生、どうなるか分からないもんですな。やはり、国民年金は払わんといかんのう。
527様、全ては私の力の無さっす。ごめんなさい。でも、こういうの書くと板垣先生のスゴさがわかる。
ところでバキスレの俺さんはもう逃げちゃったのかな。寂しいな。では、また明日。


533 名前:名無しんぼ@お腹いっぱい:03/01/31 22:13 ID:???
おもしれえから終わりまで続けてくれよ、という声を送るぜ!
SS書く才能があるよパオ師父。内容、概ね楽しんでる。
辛いと思うけど完結まで頑張ってくれ、俺は応援しか出来ないけどな!(苦笑)

534 名前:マロン名無しさん :03/01/31 23:23 ID:???
このSSに登場する彼女は、日頃我々が忌み嫌う蛸江ではない。
我らが主人公範馬バキにとってかけがえのない最愛の女性であり、
そして彼らグラップラーたちの闘う意味と意思を理解し、見守り、励まし支える
我々が待ち飢望んでいた愛すべきヒロイン、松本梢江だ。
パオさん。よくぞ彼女をこの物語にふさわしい存在に生まれ変わらせてくれた。感謝。
…でもここまで正統派だとやっぱり少し照れるなあ(照

何はともあれ烈先生、待望の反撃開始〜〜ッ!!名勝負、期待してます。

535 名前:マロン名無しさん:03/02/01 10:48 ID:???
ほんとに毎日たのしみにしてるわけで、
とても面白いわけで、
でも読者は応援しかできないわけで、
んじゃ応援しかないなら応援するかということで、
初カキコなわけで。

がんばれ!読んでるよ!おもろいよ!

536 名前:マロン名無しさん:03/02/01 21:01 ID:tO6e93hG
パオさんご本人じゃなくても誰かこの傑作ストーリーをサイトにまとめて
くれないかな・・ 挿絵付きで。あ、もちろんパオさんの許可得てからね。
にしても、ホント面白い。板垣の感想、聞いてみたいよ。

537 名前:531の続き:03/02/01 23:09 ID:Lp5240lO
「そ、そうか、その方法があったかッ」 本部は叫ぶ。目の前の烈を見てである。ゆらり。烈の動き。
今までの剛拳・神速の動きとは違う、女性の舞の様な優しい攻撃の型。ゆっくりした体捌き。太極拳。
あろう事か、烈は目すら瞑っている。積極的な攻撃から、全ての変化に対応する水の様な流れる動きへ。
柳への対応だけではない。周りと一体化し、全ての「流れ」と同化する。その流れの中、攻撃に転じる。
柳の顔色が初めて変わる。烈にすら最早、次の攻撃は分からないのだ。柳には予測出来るわけが無い。
全ての烈の動きは流れの中にて。烈自身で無く、死合いそのものが決めるのだ。烈の次の攻撃を。
烈の右上段蹴りがゆっくり柳を襲う。烈は目を瞑ったまま。まるでハエが止まりそうなスピードの蹴り。
しかし、急にその蹴りのスピードが跳ね上がる。クンッ。柳のガードが遅れる。ついに、烈の攻撃が。
実況が叫ぶ。「ク、クリーンヒット〜ッ、烈の攻撃がこの試合初めて、クリーンヒット〜〜ッッ」
「くッ、れ、烈ッ」 柳が歯噛みをする。今まで、自分の独壇場だった死合い。しかし状況は一変する。
柳に蹴りのダメージは少ない。太極拳は状況に合わせる動きなので、烈本来の攻撃力には及ばない。
しかし、その微力なれど絶大なる威力の太極拳により、少しずつ、本来の実力差が現れ出す。
柳が攻撃に転じる。右足の下段廻し蹴りから、左の空掌による顔面突きのコンビネーション。だが。
ゆるり、と空気のように下段をかわす烈。柳の空掌が顔面を襲う。「入った」、柳は思った。
だが烈はそれを首をかしげただけでかわす。まるで、空掌の方が烈の顔を押しのけた様に。
バランスを崩す柳。烈、カッ、と目を見開く。そして、強烈なヒジが柳の顔面へ。鼻血がしぶく柳。
そして、急に烈の動きが変わる。いや、本来の超攻撃型の烈に戻ったのだ。そして、烈の四連拳。
鼻頂、上アゴ、心臓、そして水月。克巳の「正中線四連突き」並みの威力。力無く崩れ落ちる柳。



538 名前:537の続き:03/02/01 23:10 ID:Lp5240lO
砂の上をゴロゴロと転がり、距離を取る柳。最早その顔に当初の余裕は無い。烈が柳へ怒鳴る。
「覚悟するがいいッ、貴様は中国拳法を嘗めたッッ」 ・・しかし、柳はその烈を冷笑する。
「ククク。毒手無しのハンデ付きで優勢に立った位で調子にのりおって・・。後悔するぞ・・」
ついに、右手の皮手袋をはずす柳。毒手開放。柳は更に、烈に言う。
「見せてやろう、真の殺法を。味あわせてやろう、中国拳法4000年の歴史にも無い地獄をなッ」
その言葉を受けて烈。冷静に言う。静かな怒りを込めて。
「ハンデ付きだと、笑わせるなッ。手の内を隠していたのは、わたしも同じ事だ・・」
そして、カンフーシューズを脱ぐ。素足。拳法家の烈が靴を脱ぐ。即ち、グラブを外したのだ。
渋川はうめく。(ついにお互い本気になりおった・・どちらの戦力が上か、烈か、それとも柳か・・)

539 名前:538の続き:03/02/02 00:01 ID:hoVHHQD5
2人の構えが変わる。烈。今までの手技を主体にした構えから、足技主体の構えへ。
体を真横にし、左足を大きく前へ。右足を後ろへ。大きく股を開く。それに対し、柳。
右の毒手をまっすぐ前へ。掌を大きく開く。まるでライオンの爪の様。半身に構える。
無論、左の空掌も腹の脇につけ、迎撃態勢万端である。・・間合いを取り、動かない2人。
本部が言う。「ま、まるで真剣の立合いじゃねえかッ」観客が騒ぐ。「どっちが強えんだッ」
5秒・・10秒。観客から、最早声は出ない。2人の雰囲気に呑まれているのだ。静寂。
しかし、突然柳が叫ぶ。「フハハハハッ、最高だ、烈、貴様は最高だッッ」 柳が仕掛ける。
毒手。その右手を大きくブンッ、と振りかぶる。一傷でもかすれば、致命傷になる危険な右。
(貴様は素晴らしい。仕留める為に毒手を使った事は多々あれど、追い込まれ使わされるとはな)
柳の毒手が間断無く烈を襲う。烈は避ける。この手に傷つけられる訳にはいかないのだ。
柳は思う。(私が敗北を求める理由・・) 自分は天才である。そして、無敵無敗を誇る。だが。
それでも、現時点で範馬勇次郎には及ぶまい。この素晴らしい男を踏み台に、勇次郎へ辿り着く。
その為には。(自分は挫折も修羅場も知らぬ)天才ゆえ、師匠もすぐに超えた。師の腕も奪った。
無敵ゆえ、誰も自分を追い詰めることは無かった。そう、達人と呼ばれる渋川剛気でさえも。
(烈、貴様なら)自分に教えてくれるかも知れない。挫折と修羅場を。自分に足りぬモノを。
恐怖を。敗北を。いや、結果的に最後には自分が勝つ。おまえは私を落としてくれれば良い。
敗北の淵まで。そしてそれを超え、貴様に勝利したとき、私の武は勇次郎を超える高みに・・。
・・柳の毒手が烈を追尾する。しかし、烈。稲妻の如き体捌きで、ついに、柳の背後に廻る。
そして、烈の右上段蹴りが柳の顔を襲う。だが、右足は耳のそばでピタリ、と止まる。
烈の足の指が、まるで手の指の様に自在に動く。その指が柳の左耳をむんず、と掴む。
「覇ッツッ」烈がその場で大きくバク転をする。耳を掴んだまま。引きずられる柳。そして。
ビチリッ、という気持ち悪い音。観客が悲鳴を上げる。柳の耳が引き千切られ、烈の足元へ。




540 名前:539の続き:03/02/02 00:29 ID:hoVHHQD5
激痛に耳を押さえる柳。そこへついに、烈の本家本元のワンインチパンチが決まる。
血を吐き、吹き飛ぶ柳。柳の予想外。(え・・?私は・・このまま・・負けるの・・か?)
まさか。最後には自分が勝つ。貴様の役割は、私に敗北感と恐怖を与えるだけのはず、烈。
再び襲い掛かる柳。毒手を振りかざしながら。しかし、そこに冷静さは無い。完全に烈の手の内。
烈。足元の柳の左耳を足の指で掴み、それを柳に蹴り投げる。柳の顔面へ命中する耳。
一瞬出来た柳の隙を烈は逃さない。一気に間合いに踏み込み、怒涛のラッシュが始まる。
(まさか・・)烈の中指一本拳、柳の顔面へ。(この男は・・)柳、避けきれず左目が潰れる。
(私より・・)柳反撃の空掌。烈のわき腹へ。(強いのか・・)烈のわき腹にピタリと吸い付く。
真空手。ピタリと吸い付いた空掌を、無理やり引き剥がす。ベリベリと烈の皮と肉が剥がされる。
「クハハハ、空掌にはこういう使い方もあるのだ。貴様如きが、私に勝てるはずは無いッッ」
しかし烈。そのわき腹の傷を全く気にせず、攻撃する。それも烈最強の、「神域の突き」である。
柳の胸へ完璧に決まる。観客席まで吹き飛ぶ柳。今まで決まらなかった究極の突きが、ついに。
ふらふらになりながらも立ち上がる柳。そして、自分の甘さと弱さを痛感する。
(わ・・、私は結局、自分に都合のいい敗北を求めていた・・偽物の敗北を・・これが、本物・・)
いや、負けたくない、まだ、負けてなどいない。私にはやはり勝利しか似合わない。
チラリと特別席の勇次郎を見る。しかし、特別試合前の自分に興味を持っていた勇次郎はいない。
退屈そうに、自分を蔑んで見ているだけである。 (は、範馬勇次郎ッ・・キサマッ)
そして最後の意地を見せ、闘技場に舞い戻った。




541 名前:パオ:03/02/02 00:36 ID:hoVHHQD5
皆様方、暖かいお言葉ありがとうございます。多分、日本中に20人くらいはこのスレの
ファンがいると思いますんで、最後まで頑張ります。お礼といっては何ですが、ちょっと多めに
書きました。烈柳、自分で思ってたより随分長くなったな・・。
読み辛くて申し訳無いっす。パオは空白を勿体無いと思ってしまうので、必要以上に一行の
文字数が多くなる。癖なので直りません。しかし、最初のころに比べて行数も多いですな。
たまに8行位なのは、長文エラーで2つにわけたやつです。  では、また明日。

542 名前:マロン名無しさん:03/02/02 00:54 ID:???
       _______
      /, - 、      ,. - 、\
    / / __  `ー-‐'´ __ ヽ.ヽ
.    !./   `ヽ、__,.ノ´    ヽ !
    l |.  ̄ ̄\   / ̄ ̄ | |
   r‐ヽ -─。;    :‐。‐-,  /r‐、
    {.l_!|  `二/    ヽ二´  :!|f l.}   いやいや……
.   !._l| r一 {      } ー-、 |!_;リ
     | |.   `ー---‐'   | !     感服したよ
.   /!   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |\
 ,..イ:::::::l.    =====     !:::::::i:、._  パオくん……!
´:::::|::::::::::|ヽ、_        _,.イ::::::::::!:::::
:::::::|:::::::::::|  \ ̄ ̄ ̄ ̄/ |:::::::::::|:::::
:::::::!::::::::::::!    \.  /   :|::::::::::::|:::::
::::::|::::::::::::::l.      ><     |:::::::::::::!::::
::::::!:::::::::::::::l   /!;;;;;;l\   l::::::::::::::|::::
::::::|::::::::::::::::l /   〉;;〈.  \ l:::::::::::::::|::::

バキファンなら誰もがここを見ているはずだ
20人と言わず何百人はいると思っておくれ。
プレッシャーをかけるわけじゃないが
これからも頑張っておくれ。
私はその姿を応援する者だ

543 名前:マロン名無しさん:03/02/02 00:57 ID:???
一言。今夜は最高。

544 名前:バキスレの567は俺さん :03/02/02 01:41 ID:???
>ところでバキスレの俺さんはもう逃げちゃったのかな。寂しいな。

いえいえ、ちょっと込み入った仕事が立て込んでてね。
パオ氏のは緊張感もあるし、名作の予感がびんびん伝わってくるよ。
柳とオリバにちゃんとした敗北(オリバは自由かな?)を用意出来たら名作決定だな。

「逃げた」と思われるのもシャクなんで、俺も書いちゃうぞ。w

545 名前:バキスレの567は俺さん :03/02/02 01:51 ID:???
『黒帯研究会編12』

稲城は今日も道場の隅に座っている。 もちろん、腰には柔らかそうなクッションを充てている。
「稲城さん、ちょっと組み手でもやりませんか?」
黒帯の1人が軽い気持ちで誘った。
その瞬間、黒帯は自らの背後に恐るべき殺気を感じた。
振り返る黒帯。 黒帯が殺気の主を認めた次の瞬間には、その黒帯の正中線に存在する4つの
急所が破壊されていた。 愚地克己である。
つい先日もジャガッタに失礼の言のあった黒帯を退会に追い込んでいる。
いかなる理由があろうとも、客人に失礼な態度は許さない。 そんな強い意志が感じられた。
その証拠に、黒帯を1名葬った克己であったが、稲城に対しては低姿勢である。

「稲城さん、お気を悪くしないで下さい」
「もちろんさ。 今日は朝から殊の外、背骨の調子が悪くてね。 いや、こちらこそこんな
体勢のままですまない」
殺伐とした道場に爽やかな風が吹き抜ける。 2人の笑顔には屈託がない。 しかし、そんな
空気も長くは続かなかった。

「ハーイ、私はミスターギバープダ」
顔に派手なペイントを施した西洋人が入り口に立っている。
「〜〜〜〜〜ッッッ!!」
克己の全身に恐怖が突き抜ける。 恐怖が強烈なストレスとなって、克己の毛根にダメージ
を与える。
今の克己にとっては、客人の中でも外人は別格なのだ。


546 名前:バキスレの567は俺さん:03/02/02 02:12 ID:???
『黒帯研究会編13』

「ハハハ、そんな深刻な顔をしないでくレヨ。 アメリカンジョークに決まってるだロ」
克己は入り口に飛んで行く。 もちろん、低姿勢だ。
マイク・クインの足下にかしづいて、靴ヒモをほどく。
そんな克己の低姿勢な態度を黒帯研究会の者達は誇らし気に見つめている。

「この道場は土足厳禁なんですよ」

顔を上げた克己は驚愕する。 クインの背後にもう1人大男が立っていたのだ。
「ヘイ、マイク。 ジャパニーズ道場に入る時は、靴を脱ぐのは常識だゼ」

リチャード・フィルスである。 何が気に食わないのか、恐ろしい目つきをしている。
その様子を見て、克己はオロオロとせずにはいられない。 
2人の間の空気が歪む。
間に挟まれた克己は当然低姿勢である。

いきなりフィルスに殴り掛かるマイク・クイン。
「俺はギバープは金輪際、やらねぇと決めたんだヨッッ!!!」
フィルスのアゴに右ストレートがクリーンヒットする。
しかし、フィルスの身体は舞わない。
「適量ダ! 俺も二度と舞わない、と決めているのサ」

この後、2人の死闘が低姿勢の克己の前で繰り広げられるのだが、本編とは関係ない。
よって、割愛させて頂く事を、お許し願いたい。


547 名前:バキスレの567は俺さん:03/02/02 02:16 ID:???
『黒帯研究会編14』

ボロボロの2人。
リチャード・フィルスとマイク・クイン。 甲乙つけがたい名勝負であった。
2人の視線が交錯する。 お互いが言葉には出さないが、死闘を称え合っているのだろう。
奇妙な友情が生まれつつあった。

克己はそんな2人を見て、胸に熱いものが込み上げてくるのを押さえる事ができない。
黒帯研究会の者達も同様であった。 垂れ目がちの稲城は壁際で煮干しを食べている。

しかし、なごやかな空気が一気に変容する。
奇妙な集団、5〜6人の男達が入ってきた。 良く見ると、黒帯のメンバー達である。
しかしながら、目つきがどこかおかしい。
5〜6人の中の1人は鞄を持っている。 いわゆるマジソンバッグというヤツである。

道場の中央にその鞄を置いた。 そして男はおもむろにジッパーを開ける。
すると、何と中から1人のアジア人が顔を出したのだ。

克己も、黒帯も、我々も、その男を知っている。

「ジャガッ・・タ・・さん・・・」

克己が声にならない声をあげる。
たった今、目の前で西洋人2人が派手な死闘を繰り広げたのだ。 それだけでも、克己は
相当な精神ダメージを被っている。
そこにきて、更にアジア人。 低姿勢をとるスキもない。

「口内裂傷2、スリ傷4、打撲1、出血1、軽い打ち身6。 まだ始まったばかりという所か」

そう言って、ジャガッタがもぞもぞと鞄から這い出てきた。


548 名前:マロン名無しさん:03/02/02 04:27 ID:Y+/fVd4i
このストーリーで同人作っていいっすか?

549 名前:マロン名無しさん:03/02/02 10:14 ID:???
>「ハーイ、私はミスターギバープダ」
567さん、私を爆笑死させるおつもりか!

550 名前:マロン名無しさん:03/02/02 10:47 ID:hoVHHQD5
闘技場に力無く歩み戻る柳龍光。もう、その姿に死神の様な妖気は感じない。烈は柳に言う。
「柳龍光よ。わたし以上の豊穣なる才気を持つ貴様が、何故これほどの遅れを取るのか・・」
柳は奇声を発しながら、烈に毒手を振りかざす。烈は軽くかわす。最早構えすら取っていない。
「それだろうな。磨いた五体以外の何ものかに頼みを置く」 烈、かわした後、蹴りを柳の腹へ。
うずくまる柳。更に烈の言葉は続く。 「そんな性根が技を曇らせる・・」 柳の目が屈辱に染まる。
いつ倒れてもおかしくない柳。されどまだ、毒手を前に構えを取る。殺法家の矜持か。烈は叫ぶ。
「まだ分からんかッ。貴様はその・・卑劣に仕込んだ右手に頼っている。もはや救い難いッ」
烈の「神域の突き」。毒手も空掌も関係無い。最早、そんなもの通用しない。烈は柳に突っ込む。
烈の予測通りであろう。毒手や空掌が烈の体を傷つける前に、「神域の突き」が柳に突き刺さり、
それで死合いは終わるだろう。烈の圧倒的な勝利にて。柳が「毒手」や「空掌」だけならば。
実力はこの時点では、一枚、烈の方が上手であった。一撃で終わらせず、じっくりと攻め込めば
100%、烈の勝利であった。しかし、烈の自分のほうが実力が上、という油断。柳に対する怒り。
この2つが烈の最後の勝負所の読みを狂わせる。いや、柳の勝利への執念の方が勝ったのか。
柳の最後の「隠し玉」の技により、数秒後にこの試合は大勢を決する事になる。・・それは。
地下闘技場第2試合、烈海王対柳龍光、柳龍光、勝利。





551 名前:パオ:03/02/02 10:54 ID:hoVHHQD5
あ、コテハン欄に「540の続き」と書くの忘れた。すいません。
後、バキスレの567は俺さん 、大変申し訳ございません。
ところでバキスレの俺さんはもう逃げちゃったのかな
 ↑大変失礼な表記だ。本当すいません。でも、お世辞じゃなく相変わらず面白い。
  続き書いてくれて本当嬉しいです。最後までお願いします。
とりあえず1レスだけすみません。夜には烈柳決着。サイコロ、3が出ちゃったよ。 
 

552 名前:マロン名無しさん:03/02/02 11:18 ID:M9vQ5wPf
ひィッ!烈が負けたッ!?

553 名前:パオ:03/02/02 11:27 ID:hoVHHQD5
このスレと関係無いっすが、今週のバキの本部が柳をぶった切る見開き。迫力です。
しかし、なんとなく「バガボンド」に似てますな。このページを読んで思い出した事。
板垣恵介先生と「バガボンド」井上雄彦先生のある雑誌での対談。その中のエピソードの一つに爆笑。
お二人は、ある大物漫画家のパーティで初対面したらしい。そこで、板垣氏の井上氏への挨拶がなんと。
「てめえ、しこたま儲けやがってッ。ぶっ殺してやるッ」・・真顔で言ったらしい。繰り返すが初対面。
板垣氏、見事なオスである。年下とは言え、売れっ子漫画家に初対面で「ぶっ殺す」。素晴らしい。
余人は真似出来まい。板垣氏だから許される一言。まるで漫画のイメージ通りである。
「板垣恵介が板垣恵介を演じている」ようだ。間違い無く読んでるな、矢沢永吉著「成り上がり」。
この一昔前の、本宮ひろしの漫画の主人公のような行動を知り、板垣恵介先生自身のファンになりました。
しかし、これが現時点でもっと売れてる、ワンピースの尾田氏なら本当に殴るんだろうか。見てみてえ。
200億以上儲けたと言われる鳥山氏なら、「転蓮華」でも仕掛けるんだろうか。やって欲しい。
板垣氏以外がそんな事いったら、「お客様の中に精神科の先生はいらっしゃいませんか」状態だな。凄え。
・・・ダラダラすみません。夜、続き頑張ります。

554 名前:マロン名無しさん:03/02/02 15:15 ID:nFjq+jq+
えぇぇぇぇ!烈ぅぅぅ!!!

555 名前:マロン名無しさん:03/02/02 15:23 ID:???
>>550
くう〜〜…ッ
ここで切るか〜隠し玉って何だ〜〜〜
気になってしゃーないです!

556 名前:マロン名無しさん:03/02/02 16:54 ID:???
つうか、>>550は今週の本編を受けたネタでしょ(出来はいいけど)
パオ氏の記名がないもの。

557 名前:マロン名無しさん:03/02/02 17:15 ID:???
>556
お前さんは>551を256回ぐらい音読してください。

558 名前:550の続き:03/02/02 23:00 ID:hoVHHQD5
「敗北」が柳の眼前に迫る。絶望的な威力を秘めた烈の「神域の突き」。今の自分にこれは耐えられない。
(ま、負けるのは・・耐えられん・・)今まで、全てのわがままを通してきた。それは自分が無敗だったから。
自分の圧倒的な力により、我を通してきた。娑婆でも、刑務所でも、道場でも、闇社会でも・・。しかし。
敗れてしまえば・・。自分より強い男を認めてしまえば・・。闘いに身を置き、数々の非道を行った自分は・・。
(く、せ、せめて、相討ちに・・) 烈の「神域の突き」が胸元に迫る。毒手でその腕を傷付けようとする柳。
絶妙のタイミング。もう少し、後、数ミリで烈の腕に傷が・・。その時。クンッ、と間合いに入った烈の腕。
急にスピードが跳ね上がる。まるで、ターボが掛かったように、神速が更に超神速の極みへと。グシャリ。
柳のアバラが砕ける。そのまま、後ろへ吹き飛ばされれば、最早自分は、二度と起き上ることは出来まい。
しかし。柳の執念か、それとも才気故か。インパクトの瞬間、烈は「終わった」と確信した。だが、柳の天才は。




559 名前:550の続き:03/02/02 23:01 ID:hoVHHQD5
「ぬうっ?」 烈はその奇妙な感覚に思わず声を出す。突きが入った柳の体に、烈の肉体が吸い寄せられるのだ。
今まで烈の勝利を確信し、見ていた渋川が声を上げる。「あ、あれは・・ワシの合気柔術・・」 次の瞬間。
突きを放っていた筈の烈の体が、空中に浮き上がる。(こ、これは・・シブカワの・・)空中で逆さまになる烈。
柳はとっさに毒手を放つ。(ここで決めねば、私は絶対にこの男には・・) 右腕の毒手がシュンッ、とうなる。
しかし、烈。やはり技量は柳の上を行く。空中に放り投げられ、逆さまになりながらも、柳の毒手を完璧に。
パシッ。まるで真剣白刃取りの様に、両手の掌で受け止める。「終わりだッ、悪あがきはよせ、柳ッ」 叫ぶ烈。
そして毒手を挟みながら、逆さまの状態で柳の顔面へつま先蹴りを放つ。直撃し、真っ赤に染まる柳の顔面。
烈の「神域の突き」発動からここまで、わずか0.5秒ほどの出来事である。蹴りを受け、ゆっくり倒れる柳。
しかし。 (い、いやだ、負けたく、負けたく無いッ) 子供の様な純粋な願い。カッ、と目を見開く柳。
弾倉に残った最後の弾薬。柳に既に意識は無い。ただ、執念のみがその左手を動かした。空掌、真空手。
両手をふさがれ、空中で蹴りを放ちバランスを崩した烈。その顔に、ふんわりと柳の空掌が覆いかぶさる。
(く、まさか、毒手はこの為のフェイント・・?) いや。柳にそんな戦略は無かった。ただ、必死。
そして、烈の体が闘技場の砂地へ落ちる頃。・・・フッ、と烈の周りは暗黒に包まれた。


560 名前:559の続き:03/02/02 23:30 ID:hoVHHQD5
目の前に烈が倒れている。一方、自分は放心状態。何が起こったのか自分でも分からない。
しかし。目の前に烈が倒れている、という現実。これが今の自分に取って全てである。
過程などどうでもいい。そして、柳はその一瞬の攻防を少しづつ思い出す。(・・そうだ)
渋川流の投げ。あれが無ければ、自分は間違い無く、この烈に・・。ゆっくり立ち上がる柳。
範馬勇次郎が見ているのだ。いつまでも呆けている訳にはいかない。そして、渋川の方を見る。
(烈ゥ、ワシがもし柳と立合ってなけりゃあ・・) おまえが勝っていた。渋川は天を仰ぐ。
「ククク、持つべきものは良い友人だねえ、渋川。君の技が無ければ、私はきっと・・」
勝てなかった。それは口が裂けても言えない。「勝ちは決まっているにせよ、更に苦戦していた」
渋川は柳を睨む。渋川は正直、立っている事すら限界である。しかし、それを表には出せない。
「遊んでしまったねえ、少し。もっと早くに毒手を出せば、すぐに片付いたのに・・」
精一杯の強がりである。範馬勇次郎に、弱みを見せる訳にはいかない。しかし、その時である。
ゆらり。足元の烈が立ち上がる。(バ、馬鹿な・・もう完全に体を動かす事は出来ない筈だ・・)
柳は恐ろしい。今、烈の打撃を一撃でも食らえば、自分は終わる。完全に。しかし、烈は既に。
(やはり・・意識は・・、無いな・・) 胸を撫で下ろす柳。無論、それを表には出さない。
意識の無い烈。しかし、口唇はある言葉を浮かべている。渋川はそれがすぐに分かった。
(シブカワ、後は頼んだ) 声を出せない状態のまま、確かにくちびるはそう伝えている。
「ククク、死に損ないが、てこずらせおって」 柳の毒手がスッ、と天に伸びる。手刀の形。
まるで、柳自体が一本の日本刀の様である。殺気、妖気。完全に、試合前の柳に戻っている。
「や、止めい、止めさせい、審判ッッ」 光成と渋川が叫ぶ。「し、勝負・・」しかし、柳。
審判の言葉が終わる前に、シュンッ、と毒手を振り下ろす。顔から太ももまで、一直線に。
 (おまえは誰にも負けんのだよ・・。それだけの物を、ワシはお前に伝えてある)
烈の頭に、その言葉が浮かぶ。そして、完全な暗黒へ。   「勝負ありっっっっ」

561 名前:マロン名無しさん:03/02/02 23:45 ID:0oSEKbfW
あぁぁぁぁ・・・

562 名前:560の続き:03/02/02 23:50 ID:hoVHHQD5
(ククク、勝った。苦戦はしたにせよ、私の武は、これで更なる高みへ・・)
ズキン。 柳の肉体は悲鳴を上げる。 (クッ、早く、休息と治療を取らねば・・)
・・担架で運ばれていく烈。渋川が横に付き添う。毒手と空掌。2つを食らったのだ。
重傷であろう。しかし。烈の口唇が動く。まるで、渋川に何かを伝えるかの様に。
(・・そうか。烈よ) 渋川にはその言葉がはっきりと分かった。そして、決意を固める。
(案ずるな・・シブカワ。アンタの方が・・強い。ずっと) 烈の口唇はそう言っていた。
運ばれていく烈。渋川は黙って見送る。着いて行っても、自分にはしてやれることが無い。
柳は渋川に言う。「渋川よ。一週間後の夜8時、新宿公園だ。第三試合の勝者に伝えろ・・」
そう言ってふらふらと闘技場を後にする。最後に、チラリ、と範馬勇次郎に目を向ける。
目が合う。しかし、勇次郎は、飽きたおもちゃを見るような目。柳は屈辱に顔を歪める。
(いいだろう、範馬勇次郎。その高みで待っておれ。第三試合の勝者に勝ち、貴様に並ぶ・・)
・・・そして柳龍光は闇へ消えた。一方、渋川剛気。(・・一週間後)その言葉を噛み締めた。

563 名前:マロン名無しさん:03/02/03 00:02 ID:Eml/16aX
このままラストまで一直線かと思いきや、なんか分からなくなってきましたな。
「一週間後」に渋川先生がどう動くのかが気になります。
しかし、烈が負けるとは思わなかった。恐るべきは、サイコロ。

564 名前:562の続き:03/02/03 00:14 ID:14+1dvCJ
バキの控え室。静かに、抱きしめ合う2人。しかし、ついに決戦の時が近づく。
梢江を静かに離すバキ。しばらく見詰め合う2人。梢江はおずおず、バキに聞く。
「バキ君・・勝てるよね?私、信じてるからッ」 その言葉には答えないバキ。
「ごめん、梢江ちゃん、着替えるから、あっち向いてて」 「ご、ごめんなさいッ」
顔を真っ赤にして、「回れ右」をする少女。しばらくして。「着替え終わったよ」
少年の方へ再び振り向く少女。そこには、先程の優しい顔の少年はいない。戦士の顔。
一瞬、見惚れて声が出ない。その少女に、少年は優しく語り始める。
「分かったことがあるんだ・・。兄さんの試合と、シコルスキーさんの背中を見て・・」
少女は真剣に聞く。「俺の求める強さ。オヤジと同じ位の、でもオヤジと全く違う強さ・・」
少年はそこで、少女に背中を向ける。まるで、自分の弱さを隠す様に。震えている背中。
「梢江ちゃん。オリバは・・強い。勝てるなんて言えない。・・でも、これだけは約束する」
少年の背中から震えが止まる。そして、少年は少女に、優しく力強い声ではっきりと誓う。
「俺は・・自分からは絶対に倒れない・・。何度倒されたって立ち上がってやるッッ」
少年の背中が大きく見える。・・そして。その少年の隣に、見知らぬ外国人が立っている。
優しい笑顔を浮かべ、梢江を見て小さくうなずく。まるで、「大丈夫」と言っている様に。
錯覚だろうか。いや、この逢った事の無い外国人の名前を、きっと自分は知っている。
少年の背中と外国人の笑顔を見た時。少女は確信する。根拠なんて無い。理由なんて無い。
それでも。(バキ君は、きっと、きっと・・)・・少女の顔に、今日初めて笑顔が浮かんだ。
・・・地下闘技場決戦、最終対決まで、あとわずか。

565 名前:マロン名無しさん:03/02/03 00:19 ID:???
おつです。
いやー、烈死んじゃうかと思いましたよ。
これからもがんばってください。

566 名前:パオ:03/02/03 00:29 ID:14+1dvCJ
すみません。多分非難ごうごうだろうな、と思いつつもサイの目に従いました。
3が出た時には、「今のは練習」と思ってやり直そうとしたんすが、やっぱね。
昔、ヤクザの賭場で勝ち過ぎた時、脅されてね。後ろにドスを刺されながら。
その時3・5の丁で俺の勝ちだったんですが、ヤクザが4・5の半だろ、ってね。
その時こう言ってやったんだ。カッコ良く。
「例え世界中の全ての国々を支配する権力者でも・・、ねじまげれねえんだっ・・
 自分が死ぬことと・・博打の出た目はよ・・丁だっっ」・・てね。
そんな言葉を吐いた以上、振りなおしは出来ません。私も烈が勝つ方が楽なんですが。
・・・すみません、長々とウソついて。でも、サイで3が出たのは本当。では、明日。

567 名前:パオ:03/02/03 14:44 ID:WLupcTyu
烈は「柳編」(短いけど)で再登場しますんで。また夜書きます。ネタの方かも知れないが。
とりあえずage

568 名前: :03/02/03 16:05 ID:6jQRrhE/
烈が負けるのはショックだけど後の展開とか考えるとこの方が面白そうですね。
ここで柳が負けちゃったら死刑囚編じゃなくなっちゃうし。
とにかく面白かったです。残りもがんばってくださいね

569 名前:マロン名無しさん:03/02/03 19:09 ID:???
面白かったけど、それとは別に柳が1ランクヘタレた気もする。
格闘士側を立てると、その分死刑囚側がヘタレるのは宿命なのだろうか。

まあ、続きを楽しみに待ってます。

570 名前:マロン名無しさん:03/02/03 19:26 ID:???
確かに勇次郎・オリバとは全く異質の柳という
強者をもっと見たかった気もした。

571 名前:マロン名無しさん:03/02/03 21:33 ID:9HQoLQbT
一応つっこんどくと566はアカギの名言

572 名前:マロン名無しさん:03/02/04 00:03 ID:???
花山にぎりぎり勝った克巳、って感じ。
次は負けそう>柳

573 名前:ぎゃく ◆xk.9FGYAkU :03/02/04 03:41 ID:???
そのあと吸血麻雀の誘いをうけたんですか?

574 名前:564の続き:03/02/04 07:54 ID:pyTvxJJK
独歩控え室。モニターを見ていた独歩、克巳、夏江、加藤、末堂。克巳が言う。
「いよいよですね、父さん」 独歩はよっこらしょ、と立ち上がる。そして言った。
「克巳、加藤、末堂、ここはいいから近くで見てこいや。オイラァ病院に行くからよ」
「父さん、病院なら俺も一緒に・・」 独歩はそれを制する。そして静かに言う。
「克巳、おめえは俺より軽症だろう。おめえらにゃあ、付き添いなんかより大切なモンがある」
そして独歩はまたモニターを見詰める。独り言の様に静かに言う。
「あそこに・・おめえらの目標がいる。特に、愚地流・愚地克巳、おめえにゃあな・・」
静かにうなずく克巳。加藤、末堂も真剣な眼差しになる。独歩は夏江を見て、豪快に笑う。
「それによ、久し振りに夫婦水入らずにしてくれや。なあ、夏江」 顔を赤くする夏江。
克巳、加藤、末堂は独歩に「押忍」と十字を切り、独歩控え室を後にする。独歩はつぶやく。
「もう、本当に・・オイラの時代じゃなくなっちまうんだな・・克巳よう、あとは任せたぜ」
そして独歩は夏江と病院に歩き出す。少しの寂しさと、大きな達成感を顔に浮かべながら。

「白虎の方角、ビスケット・オリバ選手、入場ッ」 観客がどよめく。大きな期待を込めて。
「オリバってどんな闘いするんだッ」 「本当にチャンピオンのバキと闘りあえんのかよッ」
ビスケット・オリバ。ゆっくり、ゆっくりと入場する。柳の様な周りを威圧する入場ではない。
むしろ、微笑ながらの静かな入場。しかし、肉の要塞とも言える筋肉が、何か息苦しくさせる。
「どんな腕周りだよ・・」 駆け付けた加藤が言う。自分の鍛え抜いた筈の腕の倍は太い。
そして、ついに。「青龍の方角、範馬刃牙選手、入場ッ」 いっそう大きくなる歓声。
観客は、普段のバキの明るく派手な入場パフォーマンスを期待しているのだ。しかしバキは。
まっすぐ視線を上げながら、静かに入場してくる。傍らには愛らしい少女をセコンドに置いて。
観客は野次る。「おいおいバキ、余裕だなッ。彼女連れなんてよッ」 しかしバキは反応しない。
そのバキの真剣な表情、悲壮な決意、覚悟の様なものの前に、ついに観客はシン、と静まり返る。
バキ、オリバが闘技場中央で向かい合う。ついに開始されるのだ。闘技場最終決戦が。


575 名前:574の続き:03/02/04 08:40 ID:pyTvxJJK
対峙する2人。ニヤニヤと笑うオリバ。汗を浮かべるバキ。オリバが梢江を見て笑う。
「偉いナ君ハ。ちゃんト貢ぎ物ヲ持って来たかイ」 バキの頬を優しく撫でるオリバ。
その手を払いのけるバキ。オリバは饒舌である。機嫌よく喋る。試合前と思えない。
「そノ心使いに免じテ、再起不能は勘弁してやル。入院4ヶ月位にしてやるヨ。ところデ」
オリバはそこで言葉を止め、バキを見る。そしてバキにとって、信じられない言葉が出た。
「シコルスキーっていうロシアの人、しってるかイ?死刑判決ヲ受けタ、悪〜い奴ダ」
「なッ??」 バキは一瞬その言葉を失う。 「て、てめえ、シコルスキーさんに・・」
「あア、ブチ殺してやったヨ、この正義の鉄拳でなアッ」 オリバは豪快に笑う。震えるバキ。
横では、審判がいつもの試合前の説明をしている。しかしバキにはその言葉は一切聞こえない。
オリバは嘲笑する。「弱かったなア、アイツ。あんな弱え奴、俺ハ生まれテ初めて見たゼッ」
(・・・殺す) バキの目の色が変わる。巨凶の血が目覚めたのである。オリバは更に続ける。
「似合わねえ事言ってたナ、アイツ。お友達のバキ君の為ニ、援護射撃するんだとヨッ」
ゲラゲラ笑うオリバ。しかし、その言葉を聞きバキは全てを理解する。(・・そうか、それで)
3日前に見たあの夢。シコルスは全てを託したのだ。友であるバキの為に勝てない闘いをして。
(・・シコルスキーさん) 審判に促がされ、開始線まで戻る。梢江が心配そうにバキを見る。
「梢江ちゃん、俺はこれから・・鬼になる。それも、自分から・・。でも、ちゃんと帰るから」
そして、梢江にニコリ、と笑う。梢江はうなずく。そして、ついに。  「はじめいっっっ」
猛然とダッシュするバキ。間合いが詰まる。そして、前方へ大きく一回転。胴回し回転蹴り。
虚を突かれたオリバ。闘技場の端で「はじめ」の声で振り返った瞬間、バキの足が飛んでくる。
「??ッ」 顔にめり込むバキの足刀。胴回し回転蹴り、クリーンヒット。更に追撃の連打。
柵に釘付けになったオリバへ、突き蹴りをダースの単位で叩き込む。オリバ、為す術無し。
「オイ、決めちまうぜ、バキの野郎ッ」 加藤が叫ぶ。崩れ落ちるオリバ。バキはオリバに叫ぶ。
「てめえみたいなクズ野郎より、シコルスキーさんの方が100倍強えよッッッ」


576 名前:パオ:03/02/04 08:46 ID:pyTvxJJK
2レスのみでスイマセン。次はもう少し書きます。なかなかネタ書けんな。
柳について。サイで3が出た時に、当初、柳は圧倒的に烈に勝つ予定でしたが、
(柳は本当にケタ違いの強さにするつもりだった、勇次郎並みの)
烈先生ファンの抗議が怖くて止めました。で、「実力は烈が上、勝負は柳の勝ち」
にしたんすけど・・。難しいですな。
ではまた。今日中に書けるか明日になるかは分かりませんが・・。

577 名前:bloom:03/02/04 09:08 ID:u1+RKGCf
http://www.agemasukudasai.com/bloom/

578 名前:名無しんぼ@お腹いっぱい:03/02/04 17:59 ID:???
早ければそろそろ新作アップかな?パオさん頑張れ

579 名前:番外編:03/02/04 19:40 ID:XhJnwP/v
地上最強の生物対地上最傲慢生物 1
 光成は心浮かれている。前回、「地上最規格外生物」江田島平八を持ってすら、敗北を
与えられなかった「地上最強の生物」範馬勇次郎。その男が、今日敗れるかもしれない。
しかも、今日の対決は格闘技ではない。なんと、「料理対決」である。しかも相手は。
「地上最傲慢生物」と呼ばれるあの男である。ある意味、勇次郎より偉そうなおっさんである。
この話を勇次郎にした時、光成は死を覚悟した。「死」を賭けてでも交渉したい大一番だった。
「いいぜ、光成よ・・、あの偉そうなじじいの得意分野で潰してやる。料理対決だッッッ」
そしてその男。「勇次郎如き山猿風情が吹き上がりおって・・至高のメニュー、見せてやるわッ」
ルールは、3本勝負である。スープ・肉料理(メインディッシュ)・デザート。2本取った方の勝ち。
光成のリムジンは勝負会場へと急ぐ。程なく、会場である「美食倶楽部」へ到着。光成は会員である。
バキや梢江、山岡士郎とゆう子夫妻、渋川にジャック・ハンマー、富井副部長に快楽亭ブラックと、
なんだか全く整合性の無いメンツが並ぶ。審査員は唐山陶人先生と他、名無し数名である。
ついに。「地上最強の生物」範馬勇次郎がヘリコプターに乗って現れる。しかも、50メートル上から。
「ヒョイッ」と飛び降りる。ズズン。オーガ、美食倶楽部に降臨。派手な登場だが料理勝負である。
今の登場になんの意味があったのだろうか。 「おい、あの偉そうなオヤジはまだかっ」
自分の事を棚に上げ吼える勇次郎。そこへついに「地上最傲慢生物」が総会屋の様な笑いで登場である。
「ワハハ。きおったか、こわっぱが。豚や猿の分際で私に料理勝負とはいい度胸だっっ」
地上最傲慢生物、海原雄山登場。地上最強の料理対決、スタート。


580 名前:番外編 579の続き:03/02/04 20:34 ID:XhJnwP/v
地上最強の生物対地上最傲慢生物 2
 海原雄山の「至高のメニュー」と範馬勇次郎の「絶望のメニュー」。決着を付ける時は来た。
「えー、料理は至高のメニューを食べ終わった後、絶望のメニューに出していただき・・」
審判の声に、海原雄山は猛然と抗議する。さすがは雄山、お願いなのに偉そうな態度である。
「待てい、この牛や豚がっ。出すのは私の方が後だ。こちらには勝ちパターンがあるのだッッ」
さすがは百戦錬磨の雄山である。彼は長い「究極のメニュー」との対決で見切っているのだ。
即ち、【こういう料理勝負は、先に料理出したほうが90%負ける】、と言う事を。
散々雄山がゴネた末、1本目は先に雄山、2本目は勇次郎、3本目は一緒に出すことに決まった。
なんでも世の中ゴネたもん勝ち、と言う事であろうか。プロ野球の年俸もゴネりゃ結構上がるし。
いろいろすったもんだの挙句、ようやく料理勝負スタートである。しかし、さすがは雄山である。
なんか、勇次郎がおとなしく見えるのである。わがままのスケールが違うと言う感じだ。
審査員から試合の注意がある。勿論、2人とも聞いていない。小坊主が叫ぶ。 「はじめいっっっ」
 

581 名前:番外編 580の続き:03/02/04 20:35 ID:XhJnwP/v
地上最強の生物対地上最傲慢生物 2
  まずはスープ対決。雄山の先制である。審査員の前に雄山の料理が並ぶ。審査員が驚く。
・・緑色の液体。ワキガの様な匂い。いっせいに引く審査員。「海原先生、これは?」
「わっはっは、驚いたか貧乏人どもめっ。これぞ至高のスープ、仏跳躇っ(ファッチューチョン)」
死ぬ思いで口にする審査員。呑まないと雄山に何を言われるか分からないからだ。・・しかし。
・・意外とウマイ。体がポカポカ温かくなる。久しぶりに前が膨らんできた。審査員が聞く。
「せ、先生、私4年ぶりに春が帰ってきました。こ、これは何がはいっているのですかっ?」
「フハハ。私もこのスープを呑んで義理の娘と毎晩励んでおるッ」 思わず、ゆう子を見る山岡。
「そのスープには、朝鮮人参、干しアワビ、私もよく知らない草、得体の知れない動物・・」
戦慄する審査員。しかし、審査委員長の唐山陶人先生は、涼しい顔で雄山に聞く。
「雄山よ。このスープ、それだけではあるまい。何やら懐かしい味がするぞい・・」
さっと口調が変わる雄山。人によって態度を変える、これこそ成功の秘訣であろうか。
「さすがわが師、恐れ入ります。隠し味に「味の素」と「ハイミー」を気が狂う程入れました」
会場がざわめく。日本人は必ず味の素に帰る。見事な料理。これでは、流石の範馬勇次郎も・・。
「フン、調理場借りるぜッ」 雄山の前に存在感の無い勇次郎、起死回生なるか。「な、何ッッ」
バキが叫ぶ。早くも、勇次郎の背中に「鬼の貌」が浮かんでいる。バキは2つの疑問が湧いた。
(最初から鬼にならないと勝てないのか、あの海原雄山ってジジイは・・) そして。
(料理対決に筋肉の面って効果あるの?)である。・・いよいよ、勇次郎の攻撃が始まる。


582 名前:無視してイイヨ:03/02/04 20:54 ID:???
夜、道を歩いていた柳。
列を倒し、気分は上々である。
と、人気のない林の側を通りかかったその時…
「…ッ!」
上からの気配に、柳は思わず上を見上げた。

ガッッッ

空中からの蹴りをなんとか受け止める柳。
しかし、蹴りは一撃では終わらなかった。
(なッ…空中での連続蹴りだと!?しかも、私の体をそのまま踏み台にしてッ!)
幾度となく繰り返される空中蹴りに、反撃もできないまま柳の体は崩れていく。
(…く、空中の敵ヘの反撃…これほど難しいとは……だがッ)

ガシィッ

ついに、毒手が襲撃者の足首を捕らえた。
そして、そのまま引きずり倒そうとするが、襲撃者は信じられない体制から柳の襟元を掴み、
反対に柳の方がバランスを崩すはめになってしまう。
だが、さすがに毒手は効いたようで、それ以上の追撃はできなかったようだ。

「くっ……空中からの連続蹴り。そして、あの体制からこちらの襟を掴むとは…
 素晴らしいバランス感覚だ……」
「フッ、大したことではない。完成された格闘技の使い手にとっては、造作もないことだ」

かつて敗れた天内の技を吸収し、


             山  本  登  場  !




583 名前:番外編 581の続き:03/02/04 21:09 ID:XhJnwP/v
地上最強の生物対地上最傲慢生物 4
 会場がざわめく。「地上最強の生物」範馬勇次郎の料理。どんなものが出来るのか。出来てしまうのか。
いや、その前にヤツに料理なんて出来るのか。不安とそれ以上の恐怖が支配する中、勇次郎の皿が出される。
「絶望のメニュー」のスープ。なんか黄色い。なんか目にしみる酸っぱい匂い。なんか変な湯気が立ってる。
審査員が勇次郎に聞く。「あ、あの範馬氏、この料理はどういう・・」勇次郎は怒鳴る。「さっさと食えッ」
命には変えられない。泣きながら食べる審査員。嫌いな給食のおかずを無理やり食べさせられる小学生の様だ。
・・意外とウマイ。体がポカポカ温かくなる。久しぶりに前が膨らんできた。審査員が聞く。
「は、範馬氏、私4年ぶりに春が帰ってきました。こ、これは一体何なんですか?」 勇次郎は笑って言う。
「ククク。最大トーナメント、バキ対ジャック、汗、涙、小便の闘いの聖水だッ 」 戦慄する審査員。
・・ついに、倒れる審査員が出て来た。無事な審査員も家族に遺言状を書いている。とりあえず、審査に入る。
・・審査の結果発表のときが来た。審査員が言う。「・・絶望のメニュー、範馬勇次郎氏の勝ちと致しますッ」
雄山が怒鳴る。「何いッ、味の分からぬ牛や豚がッ。店主を呼べ、店主をッ」 無視して理由を話す審査員。
「えー、両方とも未知の味、出来れば一生未知のままでいたい味でしたが、味は互角、両方ともキショかった。
 しかし、勇次郎氏は審査員を2名、KO致しました。その破壊力をとって絶望のメニューの勝ちとします」
笑う勇次郎。キレる雄山。「こ、この海原雄山を愚弄しよって・・」 (来なきゃ良かった)と審査員。
「ククク、雄山、もう後がないぜ・・」 「黙れ山猿がッ、次は私が後攻めだ。よってこっちが必ず勝つッ」
第2ラウンド、肉料理対決へなだれ込む勇次郎と雄山。2人は燃えているが、会場の人はこう思っている。
(死んでもあいつらの料理は食いたくねえ)、と。


584 名前:パオ:03/02/04 21:15 ID:XhJnwP/v
582様>これバキ本スレで見たことあるような・・。
しかし、失敗。「地上最強の生物対地上最傲慢生物」、大失敗。企画倒れ。
思いつきだけで勇次郎と雄山を闘わせて見た。塾長対雄山が結構評判良かったんで。
なんでも大物闘わせればいいってもんじゃないな。反省。しかも、結構長い。
書いたものはしょうがないから最後まで書きますが。読み飛ばしたって下さい。
本編、今までが巧く行き過ぎただけ。パオの本当のレベルってこんなもん。
明日で終わらせます、このネタ。しかし、つまんねえ・・。


585 名前:582:03/02/04 21:21 ID:???
>>584
そうですかぃ?
さっき、思いつきで作ったんだが。

あー、『山 本 登 場 !』ってトコはパクったけど。
本スレのはドイルを担いで海の上を歩く山本…だっけ?

586 名前:マロン名無しさん:03/02/04 23:59 ID:???
>>579-584
いや、私の負けだ。
確かにネタ自体はこの間の本部のに比べると負けるけど、なんだか勢いで笑わされたよ。
最傲慢で料理勝負って言うからカカカカカーッのアイツが出てくるかと思ってたら、
そうだよ、雄山だよ。元祖傲慢料理人だよ。忘れかけてた。
最近の雄山はすっかり丸くなっちゃったからなあ…勇次郎もこうなりませんように。
まあとにかく、終息間近な本編の息抜き気分でネタ書き、楽しんでくだされ。
こちらも無責任に楽しむから。

関係ないけど>>584読んでたら、読んだばかりの無敵看板娘2巻が頭に浮かびますた。
(料理勝負で、ライバルがヒロインの激マズ料理を食ってそのまま倒れるが、
 「料理で人を倒した」と何故かヒロインが勝利者扱い…というエピソードがあった)

587 名前:マロン名無しさん:03/02/05 00:40 ID:HU02xclc
オリバ対バキは?

588 名前:マロン名無しさん:03/02/05 00:50 ID:hvZ5zzfq
サイヤク

589 名前:マロン名無しさん:03/02/05 08:58 ID:ofkUQgjp
じらして盛り上げてみるテスツ

590 名前:bloom:03/02/05 09:05 ID:vAsVkefa
http://www.agemasukudasai.com/bloom/

591 名前:マロン名無しさん:03/02/05 09:29 ID:???
初めて見た、(・∀・)イイ!!
記念マキコ

592 名前:パオ:03/02/05 10:22 ID:9p8PioYV
586様>失敗と思いつつも書き始めたものは決着つけねば。今日中に終わらせます。
587様>明日より再開。 バキオリバ→柳編→勇次郎編→エピローグの予定。
588様>すみませぬ。ま、時間稼ぎというのもあります。パオはバトルはラストの方から
589様 作ります。 例・愚地対決の場合、菩薩拳の相撃ち→独歩を克巳がオンブ、とか
    残りのバトルは3試合位ですが、ラストは全て決まってるけど途中がまだ・・。
    バキオリバを練ってるところっす。ごめんなさい。
591様>ありがとうございます。私が代表して言うことではないけど、お礼をいいます。
 ・・すみません、午後には番外編決着つけます。明日、本編開始っす。お楽しみに。


593 名前:無視してイイヨ:03/02/05 14:30 ID:???
「完成された格闘技……なるほど、聞いた事がある。
 あの範馬バキをして『バランスがいい』と言わしめ、
 オーガですらその名を知っていると言う男…」
「そう、私の名は山本稔。人は私のことをこう呼ぶ……」

「――『バランス』と!」

その言葉とともに、一気に間合いを詰める山本…いや、バランス。
(なに!? 右足首を毒手で掴んだ。走れるはずが…ハッ?)
右足を地面についた瞬間、毒手のダメージで体がバランスを崩す前に、
左足を前にだしてバランスを保つ。再び右足を前に…

「どうした?あの烈海王を倒した空師、柳龍光ともあろう人が、
 この程度で驚いていては……『最凶』の名が泣くぞ」
バランスは、柳の目前で左足一本で跳躍すると、柳の肩の上に両手を置き、
そのまま倒立して見せた。
「くっ、おのれ……ハァッ!」
どこからともなく日本刀を取り出し、バランスへ向けて振るう柳!
しかし、倒立状態からジャンプされて避けられてしまう。
左足一本で着地するバランス。柳はその隙を逃さず、再度刀を振るった!
しかし……ッ!


594 名前:無視してイイヨ:03/02/05 14:30 ID:???

「〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
(ふ、振り下ろした刀の上に飛び乗っただと!?)

    な ん と い う バ ラ ン ス !

「さて、今度は私の番だ!」

日本刀の上から跳躍し、首筋を蹴る!
「がッ…!!」
体制を崩した柳に追い討ちをかけるように、エルボードロップ!
「グハッ! 〜〜〜〜〜ッ!」
のた打ち回る柳を見下ろし、さらに駄目押しの天内蹴りをするべくジャンプ!

バキッ  バギッ  グキッ  バシッ  ビシッ

(ぐッ…右足にダメージを負っているとは思えんッ!
 『バランス』……これほどまでとはッ!)
急所へのダメージは何とか防いでいるが、もはや立ち上がることすら難しい。
もはやこれまでか、そう思った時…!

595 名前:無視してイイヨ 終わり:03/02/05 14:31 ID:???
ぐらり。
「……!?」
(この私がバランスを…?)
(…崩れたッ!)
一瞬の隙をつき、毒手が唸る。
そして次の瞬間、バランスは左足首を毒手に捕らわれ、地面に倒されていた。


「どうやら時間切れのようですな。この毒手の毒が効いてきたようで」
「そうか、先ほどから右足がおかしいと感じていたが…それが噂の毒手…」
「そう。そして今、左足首も捕らえた。もはや立つ事もかなわぬはず」
「………」
「山本さん、『バランス』の名に恥じぬ戦いぶり、見事でした。だがこれで――」

パンッ

「……ッ」
「――終わりですな」

左手の空掌で倒されるバランス。
柳は止めを刺すことなく、その場を去った。


           山  本  敗  北  !



596 名前:マロン名無しさん:03/02/05 16:02 ID:JLwlKGoy
地上最強の生物対地上最傲慢生物 5
第2ラウンド肉料理対決。勇次郎の先制である。血の気が引く審査員の前に、恐怖の時がやって来る。
目の前に置かれる大皿。審査員は残り5人である。既に、2人は三途の川で死神と闘っている最中である。
震える審査員のうち一人が勇次郎に聞く。 「きょ、きょれは?」 上手く喋れない。最早拷問である。
「手」 短く答える勇次郎。大皿の上には人の手首がデン、と置かれている。半狂乱の審査員。「て?」
勇次郎は面倒臭そうに答える。「舎弟の解説者が切り落とした柳、って奴の毒手だ。さっさと食えッッ」
「で、でもドクチュって・・」 既に小便をたらしてる審査員もいる。勇次郎は爽やかに答える。
「心配すんなッ、ちゃんと蛸汁ソースで中和してある」 恐々口にする審査員。断れば100%死ぬからだ。
・・・この世のものとも思えない味である。いっておくが誉め言葉では無い。「もう、勘弁してくれッ」
審査員が庭へ逃げ出す。それを逃す勇次郎ではない。審査員の背中へ、必殺の勇次郎パンチが決まる。
何故か観客にいた王大人。ゆっくりと首を振る。「死亡確認・・」 ついに死者を出した究極料理対決。
そんな小さな事よりも、いよいよ、我らが海原雄山の出番である。


597 名前:マロン名無しさん:03/02/05 16:05 ID:JLwlKGoy
地上最強の生物対地上最傲慢生物 6
料理とは格闘技であろうか。ついに死者を出してしまった。だが、雄山、勇次郎とも全く気にしていない。
しかし、そんな軽いアクシデントと関係無く、雄山の肉料理の番である。相変わらず偉そうに吼える雄山。
「甘いわッ、勇次郎ッ!素材の持ち味を全く活かしておらんッ」 さっきの敗戦など彼の頭には既に無い。
至高の肉料理が出される。否、出された、と言うより「連れてきた」と言う方が正しいか。・・牛、である。
いや、肉料理なので全然おかしくないのだが、生きたままの牛なのである。審査員の目の前でモーと鳴く。
審査員一人一人にナタが渡される。気ィ狂いそうな審査員。「か、海原先生、これは・・」 雄山は笑う。
「フハハッ。愚問だな、愚民がッ。素材を活かす、生きたままの肉を食すのが一番良いに決まっておるッ」
気が狂った様にナタを振り回し、牛の肉を削り取る審査員。牛より雄山のほうがズッと怖いのだ。
牛に頭を蹴られ、更に病院送りが2人増える。正に地獄絵図。料理勝負というより、アウシュビッツの様。
・・ついに審査発表。「至高のメニュー、海原雄山氏の勝ちと致しますッ」 笑う雄山。怒る勇次郎。
「グハハ、愚民にも知恵は有ると見えるッ」 「死にてえのか、納得する理由を言えッ、審査員ッ」
「・・・お2人の料理には共通点がありました。それは、まともに食えない、と言うことです。しかし」
緊張。勝負の緊張では無い。審査員の死への緊張である。「・・ヘタレが移りそうで柳の肉は食えません」
満場から拍手。勇次郎は何も言えない。その理由なら、反論し様が無いのである。・・そしてついに。
最終戦、デザート対決へ。現在、お互い1勝1敗。蛇足ながら、審査員、残り2人。  

 

598 名前:いっこうにかまわん!!:03/02/05 16:09 ID:+PdVhNi/
     _  _ _
    l[》'《|l   ヽl| 
     i| lノノリノ)))〉    
  .‐、_!! !(l ゚ ヮ゚ノl| あう〜っ
  ヒ(_i| |Ll]つ[.]..]O
  ドキドキ

599 名前:597の続き:03/02/05 16:34 ID:JLwlKGoy
地上最強の生物対地上最傲慢生物 7
睨み合う雄山と勇次郎。最早、この2人を止めることなどアメリカ大統領でも不可能だろう。
「この俺と五分とは・・やるじゃねえか、ジジイッ」「サルがッ、店主を呼べい、店主をッ」
既に凡人の理解を超えたやり取りである。審査員の脳裏に、走馬灯の様に思い出が浮かぶ。
そして。地獄の三丁目、デザート決戦。2つの皿は同時に出される。大きい皿と小さい皿。
大きいのが勇次郎。小さいのが雄山である。両方とも銀のフタがしてあり、中身は分らない。
フタを持つ審査員2人の手が震える。今、自分は自ら地獄のフタを開けようとしている。
頼みの陶人先生はとっくに遺産狙いの若い奥さんと避難している。まずは、小さい皿のフタ。
大丈夫だ、舌きり雀も小さいほうは宝だったからな・・。自分に言い聞かす審査員。パカッ。
フタを開けると、そこには・・。柿。貧乏臭い柿がひとつ。審査員は心底ホッとする。
柿なら大丈夫だ。まさか、トリカブトが仕込まれている訳でもあるまい・・。雄山は笑う。
「ワハハ。驚いたか、愚民め。近来のゴテゴテしたデザートなど愚の極み。真の食通は・・」
得意げになり、いつまでも偉そうにウンチク垂れる雄山。忌々しそうな勇次郎。
だが、恐怖から開放された安心感からか、言ってはならない一言をつい言ってしまう。
「な〜にが至高だよ・・ま〜たお約束のハッタリとうそ臭い説教だよ・・」凍りつく場内。
今更、口を押さえる審査員。鬼神の様な顔になる雄山。 「こ、この腐れ愚民がッッ」
退場させられる審査員。しかし、観客達は、口には出せないが全員、心で拍手をする。
「みんな思ってたけど誰も言えなかった事」なのだ。それを雄山本人を目の前にして言うとは。
ある意味英雄である。ちなみに、この審査員の家は2日後、原因不明の不審火により全焼する。
・・そしていよいよ。最後の皿、範馬勇次郎の皿のフタが開く。



600 名前:マロン名無しさん:03/02/05 16:35 ID:MyYwwrWj
http://bbs.1oku.com/bbs/bbs.phtml?id=kkgogo
★管理人オススメ★

601 名前:599の続き:03/02/05 17:14 ID:JLwlKGoy
地上最強の生物対地上最傲慢生物 8
審査員は残り1名。最後の審判を自分がする。責任重大である。それより、生きて帰れるのか。
目の前の勇次郎の大皿。デカい。人がまるまる入りそうな位だ。意を決し、フタを開ける。
パカッ。場内全員が驚愕する。・・なんと、本当に人が入っているのである。 「ひいいッッ」
悲鳴を上げる審査員。最早、料理対決とは思えない。・・女体盛り。裸の女の周りの数々のフルーツ。
観客席にて。ふと、自分の隣をみるバキ。そこには、梢江がいない。・・しかし、あの皿のところに。
その皿の上の女。まるで田舎の指名のかからないソープ嬢の様。しかし、異様に堂々として股を開く。
勇次郎が叫ぶ。「範馬勇次郎特製、フルーツ女体盛り蛸汁仕立て、だッッ」 ・・シンとする場内。
山岡はゆっくり首を振る。雄山は顔面蒼白である。小坊主は大きく叫ぶ。   「勝負ありッッッ」
 









602 名前:599の続き:03/02/05 17:19 ID:JLwlKGoy
地上最強の生物対地上最傲慢生物 最終回
・・審査員の説明の余地はあるまい。ハッキリ言って反則ギリギリである。いや、実際反則であろう。
この世にデザートに限らず、この料理に勝てる料理が存在するだろうか。皿の上の梢江は誇らしげだ。
・・・2勝1敗、勇次郎の「絶望のメニュー」の勝利。内容は圧勝である。勇次郎は雄山に勝ち誇る。
「クク、得意分野でこれとは・・、ガッカリしたぜ、雄山よ」 だが、相変わらず雄山は偉そうである。
「やかましいッッ、勝ちを譲ってやったに決まっておるだろうがッ」それを聞きついに勇次郎がキレる。
「面白えッ、ジジイ、てめえ、食うぜッッ」 ・・しかし。雄山は。勇次郎をまっすぐ見据えて吼える。
「食うだとッ、山猿がッ、ゲスな根性をさらけだしおって・・」 自分を棚に上げ、言葉を続ける雄山。
「この海原雄山、天が下に恐れるものいっさいなし!ただ自らの芸術を完璧ならん事を追求するのみ!」
 雄山の目がカッと見開かれる。なんと、あの範馬勇次郎が気圧されている。そして、最後に一喝する。
「貴様ごとき、地上最強の生物とぬかして、わがまま放題の寄生虫が何を出来るか、やってみろッッ」
 見ていた人間が心の中でいっせいにツッ込む。わがままはあんたのが上だよ、と。しかし、勇次郎。
 ケッ。そういうと背中を向け、ヘリコプターに歩き出す。(オヤジ、次が本当の決着だぜ・・)
 背中がそう語る。・・勝負には勝っても、「わがまま」で負けたのである。そして、海原雄山。
 「中川よ、座興は終わった。車を出せいッ。何、渋滞だと、バカに車を持たせるなッ」 
  範馬勇次郎、各界大物対決。一勝一分け。この男の無敗伝説は続く・・。

603 名前:パオ:03/02/05 17:22 ID:JLwlKGoy
すいません、未完成なネタで9レスも使ってしまった・・。
明日から、柳編ラストまでは一気に行きます。残りレスが心配になってきた・・。
ま、多分余るでしょう。全く関係無い変なレスが大量に来ない限り。

604 名前:マロン名無しさん:03/02/05 18:39 ID:???
雄山良かたよ

605 名前:マロン名無しさん:03/02/06 06:45 ID:???
雄山カコイイ
次はタフのおとんと勇次郎の対決キボヌ

606 名前:575の続き:03/02/06 09:42 ID:RP2Hctmh
「てめえみたいなクズ野郎より、シコルスキーさんの方が100倍強えよッッッ」
バキの悲痛な声が闘技場内に響き渡る。更に、倒れたオリバに追撃の蹴り。審判が叫ぼうとする。
「し、勝負あ・・」 しかし。オリバはその声をさえぎる様に、ぬうっ、と立ち上がる。
そしてため息をしながら、体についた砂をパンパンと払う。バキは動けない。余りに自然なのだ。
まるで自分の攻撃など無かった様に。オリバは特別席の勇次郎に叫ぶ。「勇次郎、お気の毒ダ・・」
そして首を振る。「お前さんノ息子ハ、残念ながラ弱ク下らなク、育っちまっタみたいだゼ・・」
そしてバキを見る。「不意打ちとハ勇ましいガ、君はもうサードギアといっタ所だろウ。私ハ・・」
相変わらず陽気なオリバ。だが、その陽気に狂気がブレンドされていく。バキに震えが走る。
「やット今かラローギアに入れるヨ・・。エンジンの空吹かしガ終わってネ・・」 オリバの顔。
先ほど何ダースもバキの攻撃を受け、流血していた顔。しかし、今は血が止まっている。アドレナリン。
強烈に分泌されたアドレナリンにより、肉体の損傷をふさぐ。つまり、ついに戦闘態勢が整ったのだ。
オリバの右足が動く。ブンッ。単純な前蹴り。スピードも遅い。バキは難なく蹴りを十字受けで止める。
「??ッ」驚愕するバキ。その蹴りは受け止めた。しかし、自分は闘技場の端から真ん中へ移動している。
足元の砂地には、バキの足跡が引き摺られた様に5メートル以上も連なっている。つまり吹き飛ばされた。
余りのパワーの差。オリバが闘技場中央へズンズン歩いて来る。勿論ノーガードで。バキは必死に攻撃する。
バキの・・。正拳が顔面を捉える。ハイキックが鼓膜を襲う。貫手がボディを刺す。ひじがアゴに炸裂する。
しかし・・。全く・・。通用しない。まるで、子供が父親にダダをコネている様にしか見えない。圧倒的。
絶望的なパワーと肉体の差。オリバは笑う。「マッサージは済んだかイ?じゃ、チップをあげなくちゃナ」



607 名前:606の続き:03/02/06 10:16 ID:RP2Hctmh
オリバがスッ、と右拳を脇に引く。そして、クンッ、と前に突き出す。さして力を入れた様に見えない。
バキはボディに食らう。闘技場戦士は一撃では倒せはしない。まして自分はチャンピオンである。・・え?え?
カクン。体が折れ曲がる。えッ?えッ?力が抜ける。そして、そのままゆっくりと砂に体を預ける。実況が叫ぶ。
「あっ〜とッ、範馬刃牙、ボディブロー1発でダウンッッ、なんと開始30秒たらずだぁッッ」 ざわめく場内。
加藤が叫ぶ。「冗談だろッ、バキッ、さっさと立てッッ」 渋川達の顔が厳しくなる。あのオリバという男・・。
通用しない。全く、今まで自分達の学んだセオリーが。ただ単純なパワーと肉体だけで、バキをまさか・・。
立ち上がるバキ。肉体のダメージは無い。だが、心にガクガクと震えが走る。「せ、せりゃあッ」突進するバキ。
速く、早く決めないと・・。スピードはバキが上である。オリバの懐へ入り、太ももを踏み台に首の上にまたがる。
そして両足を首に巻き付ける。烈の転蓮華。横に転がり、一回転すれば完成である。だが。オリバは微動だにしない。
首が異常に張り、血管が浮き上がる。ただそれだけである。首の筋力だけでバキを支えている。そしてニンマリ笑う。
「子供っぽいな、君ハ。いい年しテ肩車して欲しいのかイ?」 首に絡みついたバキの足を強引に難無く引き剥がす。
片手で足を持ったまま、オリバはグルングルンとバキをブン回す。プロレスで言うジャイアントスイングに近い。
20回転程した所でパッと手を放す。まるでホームランボールの様に柵へ一直線に飛んでいくバキ。だが、この程度で
平衡感覚を無くすバキでは無い。柵にぶつかる瞬間、その柵を蹴り返し、反動でまた来た道を飛び帰る。そして。
ガキッッ。オリバの顔面へバキの飛び蹴りが炸裂する。しかし、これもオリバはガードもせず、顔面で受け切っている。
しかし。オリバは一瞬、クラリ、と揺れる。流石のオリバも完全にダメージ吸収する事は出来ない。ニヤリと笑うオリバ。
「面白イ。腐ってモオーガの息子という事カ。じゃ、そろそろサードギア辺りニ上げてみようカ・・」





608 名前:パオ:03/02/06 10:32 ID:RP2Hctmh
とほほ。今週号の「バキ」を読んでの柳の感想である。とほほのほ。
前回、毒手ブッタ斬られたのが彼のどん底だと思っていた。まさか2段底だったとは。
無人の野を行く鬼神の如きヘタレっぷり。やはり死刑囚はヘタレるから死刑囚なのか。
それを何とかするのがパオの役目だろ、と言われても、このヘタレは私の想像を絶している。
何か遠い、手の届かない所へ行ってしまった様だ。ここで書いてても先入観がなあ・・。
柳編どうしよう。柳なんて最初からいなかった事にするか。トラックにでも轢いてもらうか。
いや、やはりこのスレ自体無理だったか・・。いや、最後まで書きますけどね。でもとほほ。
話は変わって勇次郎対大物勝負。実は3部作っす。今考えたんですが。不評でもやるぞ、次。
最後の敵はすごいっす。塾長よりはるかに強く、雄山よりずっと大物。いつかやります。では、また。

609 名前:ひろ:03/02/06 20:42 ID:ftMX2lHL
パオさん 応援してます!
がんばってください

610 名前:マロン名無しさん:03/02/06 21:52 ID:???
原作者よりプロ意識に溢れてるな。

611 名前:マロン名無しさん:03/02/06 23:03 ID:fXRQHdqQ
オリバ強すぎッ!
バキ、勝てンのかッッ!?
っていうか、勝つの??

612 名前:マロン名無しさん:03/02/06 23:44 ID:???
原作の最凶死刑囚・・・最も運が悪いから最凶

バオの最凶死刑囚・・・最も凶悪だから最凶

613 名前:607の続き:03/02/07 06:19 ID:RHZW06pZ
ジャック・烈達の応急処置が終わり、救急車に後の治療を任せ、闘技場に戻った特別医、鎬紅葉。
渋川達に軽く挨拶を交わした後、闘技場に目を向ける。 (とんでもない肉体だ・・突然変異なのか?)
医者として肉体の全てを知り尽くし、闘技者としてそれを実践している紅葉ですら、目の前にある
人体は想像の規格外である。今、闘技場の最近席には、世界でもトップクラスの戦士が集まっている。
渋川、克巳、花山、紅葉、他3名。しかし、この文句無しの強豪達が霞むほど、目の前のオリバという男は。
本部が叫ぶ。「バキがまた吹き飛されやがったッ」 ・・・闘技場ではバキがもてあそばれている。
・・・腕刀。プロレスで言うラリアットの様な技。地下闘技場では見たこともない様な、単純極まりない技。
しかし、無遠慮に出された技が、ガードの上からでもダメージを与え、バキを吹き飛ばす。上機嫌のオリバ。
「おいおイ、お客さんいるんだゼ。楽しませてやれヨッ」 髪を掴んで引きずり起こす。ボディへ一撃。
血を吐くバキ。「汚ねえナッ」 バキを放り投げる。「詰まんねエ・・少しギアを上げたらこれかヨ・・」
バキは立ち上がる。ダメージの蓄積を感じながら。 (打撃が効かねえんなら・・) 指の形を変える。
狙いは首の横。その下を走る紐。紐切り。それを切断する。視界さえ奪えば、勝機はやって来る筈・・。
相変わらずノーガードで近づくオリバ。隙だらけである。ヒュンッ。バキの右2本指貫手がオリバを襲う。
・・・しかし、その首は余りに太く、肉の下の神経まで届かない。「なッ?」 首から少し血が出ただけ。
オリバが不審な顔で言う。 「な〜にやってんダ?君ハ?」 そしてブンッ、という音。オリバの右拳。
バキの顔がひしゃげる。ついに、オリバの凶拳が顔面へクリーンヒット。実況が大きく叫ぶ。 
「範馬刃牙、ダウン、2度目のダウ〜ンッッ」 

614 名前:608の続き:03/02/07 06:53 ID:RHZW06pZ
オリバはバキを見下ろしている。攻撃を加えようともしない。・・・まるで興味を無くした様に。
「・・弱エ。全く弱すぎル。まるであのシコルスキーってロシアの人みたいニ、ゴミの様ニ弱いナッッ」
オリバのその言葉に激高するバキ。 「何だとッッ」 すぐさま立ち上がり、飛び掛ろうとするバキ。
・・しかし。その時。バキの脳裏に何故か懐かしい声がする。その声は優しくバキを諭す。
(・・友ノ為ニ心ノ底カラ怒ル。君ノ素晴ラシイ所ダガ・・冷静ニナレ。オリバの術中ニハマルダケダ。
  言葉モ兵法ダ・・。焦ルナ。ジックリト、攻メレバイイ・・) その言葉に自分を取り戻すバキ。
(・・そうだね。ありがとう、シコルスキーさん・・) 友に感謝するバキ。そしてオリバに叫ぶ。
「オリバッ、必ずてめえを倒してみせるッッ」 クスクスと笑うオリバ。笑いながら、ブンッ。ブンッ。
オリバの豪打が唸る。まるで扇風機の様に、両腕を振り回す。セオリーも何も無い。隙だらけである。
しかし、その豪打を一発でも受ければ致命傷に成ってしまうであろう。自分の攻撃力への絶対の自信。
防御は肉体の耐久力だけでいい。全ての攻撃を受けきれる自身はある。・・オリバのその絶対の自信。
・・攻防とも完璧と言えるオリバに弱点があるとすれば、この自分の強さの絶対の自信であろうか。
・・・バキは友の言葉により冷静になっている。オリバのテレフォンパンチなど、全て見えている。
大振りのパンチをかいくぐり、自分のパンチをオリバのアゴへ。蹴りを太ももへ。ヒジを顔面へ・・。
(チッ、うっとうしいナッ) オリバにとっては蚊が刺した様な攻撃かも知れない。だがこれでいい。
少しずつ、少しずつでいい。オリバの心を乱せればいい。心乱れたその時こそ、逆転の一撃を・・。
・・幾多の攻撃を加えただろう。明らかにオリバは苛立っている。バキの小さな、小さな攻撃に。そして。
「こんナ攻撃効かねエんだヨ、うっとうしイッ」 オリバは狂った様に叫び、突進する。・・チャンス。
紅葉が叫ぶ。「あ、あれは私のッ」 打震。人体への水分への打撃。それが今、オリバの顔面へ直撃する。
・・・目から鼻から口から出血するオリバ。初めてのオリバへのダメージ。しかしオリバは倒れない。
バキは構える。左拳を脇に。右手を前に。・・・バキの最終兵器、剛体術の構えである。

615 名前:パオ:03/02/07 07:02 ID:RHZW06pZ
2レスですみません、夜また書きます。バキオリバ明日で終わるかな?
いつもこの駄文に応援ありがとうございます。最後までは責任持って書きます。
では、また夜に。基本的に毎日更新しますので。時間バラバラですが。

616 名前:マロン名無しさん:03/02/07 09:13 ID:7Sbu+hdi
>>パオ様、いつもチャンピオン連載のヘタレ本編の100000000000000000000000倍
楽しみに読ましてもらってます。で・・でも、ここで切られたら・・・・あぁぁぁ〜〜〜〜っっ
夜勤明けで寝なきゃイカンのに気になって寝れないでありますぅぅっっっ!!

617 名前:bloom:03/02/07 09:27 ID:aFvbLo2S
http://www.agemasukudasai.com/bloom/

618 名前:614の続き:03/02/07 23:38 ID:SCy5pPbD
剛体術。インパクトの瞬間、体の全関節を固定させる。成功すれば体重全てを拳に載せる事が出来る。
バキの体重65キロ。例えるならば、65キロの鉄球を、高速で相手に叩きつける威力となる。
バキは自らの最強技を構え、狙いを定める。水月。そこ一点に照準を合わせる。ミスは許されない。
もしかすると、最初で最後のチャンスかも知れないのだ。この一撃に全てを賭ける。しかし、オリバ。
不敵に笑う。(・・知っている?この、剛体術をッ) バキは直感する。オリバは初めて防御に回る。
右腕で顔の前をガード。左腕で鳩尾と金的をガード。そして太い肉体を小さく丸める。完全防御態勢。
末堂がつぶやく。「まるで筋肉の要塞だ・・」 だが、その鉄壁のガード。一点だけ急所がガラ空き。
それは・・左胸。ちょうど心臓の位置。右腕で胸より上を、左腕で腹より下を完全に守っているが、
何故か人体最高の急所である、心臓のみガラ空きである。まるで、「打って来い」と言わんばかりに。
一瞬躊躇するバキ。剛体術を心臓の真上に打てば、いくらあのオリバとは言え、死にかねない。
・・しかしバキ、ついに意を決する。相手は友を殺した男である。何より、このチャンスを逃せば・・。
「どうしタバキ君、打ってこないのかイ?」 オリバは挑発する。この期に及んでなお、絶対の自信。
「つりゃあああッッッツ」 バキの剛体術が発動する。軌道はまっすぐ心臓へ向かう。左拳が唸る。
ズンッ。バキの全てを賭けた、65キロの鉄球と化した左拳。それが間違いなく心臓へ突き刺さった。
加藤と末堂が騒ぐ。「よっしゃあ、ハラハラさせやがってッ」 だが、渋川達は厳しい顔のままである。
鎬紅葉。(心臓なのに喀血が少なすぎる・・) 闘技場のオリバは防御の態勢から動かない。しかし。
オリバは笑い出す。口から血を吐きながら。「くくク。惜しいナ、バキ君・・」 ゆっくり防御を解く。
「心臓ニ、プレートを仕込んであル・・。君の必殺技はお見通しダ。世界中ノ情報ヲ覗けるんでネ・・」
そして特別席の勇次郎に振り向き、ゆっくり言う。「もういいよナ、勇次郎・・殺しちゃってもヨ・・」

619 名前:618の続き:03/02/08 00:21 ID:otiXTxva
自分の最高最強の技、剛体術。それをまともに食らって目の前の男は笑っている。
バキの心が何か黒いモノに侵食されていく。恐怖。試合前に梢江が消してくれた物。
それがジワジワと広がっていく。(勝てねえ・・) その言葉をバキは必死に振り払う。
もう一度、もう一度剛体術を食らわせれば・・。構えを取るバキ。オリバは笑っている。
今度はガードすらしない。両手をブランとさせたままである。 (舐めやがって・・)
「つりゃああッッ」 2度目の剛体術。しかしオリバ。その巨体から信じられない速度。
バキの拳はオリバの腹の横、脇の下をすり抜けていく。(ば、馬鹿なッ、かわされた?)
「舐められたもんダ。同じ技を2度使うとハ。私は頭脳モ、USAナンバー1だヨ・・」
そしてオリバは攻撃に転ずる。髪の毛をムンズと掴み、張り手を数発。気が遠くなるバキ。
「君にハ、随分いじめられちゃっタからナ。地獄見せてやるヨ。ギアを最高に入れてナッ」
髪を掴んだまま、思いきりバキを投げつける。バキはボールの様に飛び、観客席に飛び込む。
「おいおい、バキがいくら軽量だからって・・」 加藤は叫ぶ。人としてありえないパワー。
「何いってやがル。今からダ、俺の100%ハ・・」騒めく観客。まだ本気でなかったのか。
会場の真中で仁王立ちするオリバ。勇次郎が笑う。 「やっとか。遊び過ぎだぜオリバ・・」
その時、観客はオリバの肉体の変化に気付く。「あいつ、また太くなってないか、腕が・・」


620 名前:619の続き:03/02/08 00:39 ID:otiXTxva
変化。オリバの肉体が明らかに、先程のそれと変化していく。観客の目にも分かる程に。
今まででも有り得なかった太さのオリバの腕。その腕が一回り太く、大きくなっている。
パンプアップ。肉体を充実させ、筋肉を活性化する行為。それをあの男は自分の意思で・・。
観客の驚きは続く。「か、顔が・・」まるでメロンの表面の様に、オリバの顔に血管が浮かぶ。
いや、顔だけではない。腕、腹、太もも、肉体のありとあらゆる場所の血管が浮かび上がる。
オリバの目に今までの陽気さは無い。赤く暗く、血走っている。まるで悪魔か死神の様に。
「まるでジャックの・・」 紅葉はうめく。最大トーナメント決勝、ジャックのマックシング。
それにそっくりなのである。しかし、この男に薬物を使った様子は無い。自分の力のみで?
オリバの頭脳。脳内麻薬物質、エンドルフィンの大量発生。血液中のアドレナリンの異常分泌。
その2つがオリバを変えていく。いや、本来の自分を目覚めさせた、と言った方が良いだろうか。
バキがよろよろ観客席から帰還する。目には既に覇気は無い。変わったオリバを見て恐怖する。
「クハハ、おかえりバキ君・・、これが私のマックスギアダ・・少し位ハ楽しませてくれヨ・・」
そう言って短距離ダッシュのクラウチングスタートの構えを取る。そして、バキへ向けダッシュする。
通常、格闘技のタックルは相手を寝技に持ち込むための物である。だが、オリバのそれは純粋である。
まるで、アメフトやラグビーのタックル、いや相撲の立合いに近いか。ただ、敵を吹き飛ばす目的の。
(速いッッ)一気にバキとの間合いが詰まる。前のオリバは、パワーは怪物でもスピードは無かった。
しかし、今は自分と同じか、もしかするとそれ以上? 「ぐぁああッ」 オリバのタックルが決まる。
吹き飛ばされるバキ。ただの体当たりで尋常で無いダメージ。まるで4トントラックに轢かれた様な。
血を吐きうずくまるバキ。オリバは見下ろして言う。 「つまらン。もう殺しちゃうカ・・」


621 名前:パオ:03/02/08 00:43 ID:otiXTxva
明日に終わるかな、バキオリバ。多分大丈夫だと思うが・・。
しかしオリバ、スーパーサイヤ人になッちゃった・・。こんな筈では・・。
また明日よろしくお願いします。

622 名前:マロン名無しさん:03/02/08 01:07 ID:ueJBXEhd
はやく続きを・・・

623 名前:パオ:03/02/08 10:17 ID:8milUbW9
すみません夜にまた書きます。とりあえず倉庫に行かない様にageます。

624 名前: :03/02/08 17:30 ID:w3bG4Prm
激励age

625 名前:620の続き:03/02/08 19:50 ID:q79HUE8S
オリバは完全にバキを圧倒している。技、スピードで今までは分があったバキ。その為なんとか闘えていた。
だがそれすらも。・・うずくまったバキを引きずり起こすオリバ。そしてオリバの凶拳がうなる。加藤が叫ぶ。
「な、三連拳だとッッ」 顔面・ボディ・脇腹。ジャブ→ボディアッパー→ボディフック。一呼吸で繰り出す。
流れる様な動き。先程までのパワフルだが単発の攻撃では無い。パワー・スピード・テクニック・タイミング。
全てに文句の付けようが無い。失神しそうになるバキ。しかしオリバは許さない。ビンタでバキを張り付ける。
「おいおイ、俺ヲ本気ニさせたんダ、失神KOなんて許さないゼ・・」 ニヤリと笑う。楽しんでいる。虐殺を。
グイッ。オリバが片腕でバキの首を掴み、天高く持ち上げる。片手でのネックハンギングツリー。息が苦しい。
首を締めるオリバの手を離そうともがくバキ。だがオリバはビクともしない。やがて体中から力が抜けそうになる。
すると、オリバはパッ、と手を放す。ベタンと砂地へ落ちるバキ。「このまマ落ちちまっタ方が良かったかイ?」
嬲り殺し。オリバはバキを失神寸前まで責め上げ、あえてその間際で攻撃を止める。ねずみをいたぶる猫の様に。
バキは砂地にヘタリ込み、オリバを見上げたまま少しずつ後ずさる。恐怖、恐慌。観客席の花山達をみつめる。
(ダメダ、カテナイ、ハナヤマサンシブカワセンセイダレデモイイ、タスケテシニタクナイコロサレルタスケテッ)
そんな絶叫が口元までせり上がる。もう少しでその言葉を口にしまいそうになる。しかし、ギリギリのところで。
脳裏に浮かんでくる。シコルスキーとの約束。ジャックの背中。そして、梢江の涙。・・・ソレダケハ、デキナイ。
例えこの怪物に勝てなくても、逃げ出す真似だけは出来ない。バキの顔付きが戻る。・・しかし。絶対的な力の差。
バキの顔面に火花が散る。オリバのサッカーボールキック。バキは正しくボールの様に、ゴロゴロと転がっていく。
だが、逆にこれはチャンスでもある。オリバとの距離が出来たのだ。つかみ合いで適わないなら、打撃で突破口を。
剛体術はかわされた。打震もみすみすオリバは食らうまい。だが、これなら。かわすことの出来ない音速拳ならば。
  

626 名前:625の続き:03/02/08 20:32 ID:q79HUE8S
オリバはズンズン間合いを詰める。(いいぞ、調子に乗って近づいて来いッ)バキは狙う。かわせぬ技、音速拳を。
距離が縮む。5m、4m、3m。(まだだ、まだ・・) オリバは世界中の情報を知る男。この技も知っていよう。
油断し、絶対にかわせぬ距離まで誘い込まなければ・・。そしてついに、後2メートルに。バキが少し前に出れば、
完全なる手技の間合いである。そこで初めて構える。オリバは声を出す。「ホウ。面白イ・・」 そして更に前へ。
「今だぁッッ」 音速拳が一呼吸の間に、ダースの単位でうなる。シパンッシパパパパパパパパンッッシパパパッ。
何十発放っただろうか。バキの両手の動きが止まる。肩で息をする。オリバはグラリ、とヒザをついた。・・だが。
「銃が小さすぎるゼ、バキ・・」 オリバは笑う。「ヒイイッ」 恐怖で女の様な声を上げるバキ。オリバは語る。
「ショットガンじゃ私を獲れんヨ・・大型の猛獣をショットガンでは仕留められんようにネ・・」 凍りつくバキ。
オリバは嘲笑しながらゆっくり右腕を構える。「100%と言っただロ?」その巨体から信じられない速度の突き。
先程のテレフォンでは無い。本格的なブローが、バキの水月に突き刺さる。あたる瞬間、咄嗟に後ろに体を引いた。
それでもアバラが悲鳴を上げる。もしまともに食らっていたら、アバラが折れ、内臓に突き刺さっていただろう。
「終わらせるカ。君はツマラン」ついにオリバのラッシュが始まる。バキは万策尽きている。ガードしか出来ない。
だが、オリバの絶望的な攻撃力のパンチは、ガードの上からもバキの命を削り取る。少しづつガードが落ちるバキ。
・・最早、誰の目のも勝敗は明らかである。特別席の光成は近くの小坊主に伝える。「もう・・止めさせい・・・」
苦渋の決断。ジャック、烈の2人に続いてチャンピオンさえも。判定を審判に伝えようと走り出す小坊主。しかし。
「余計な事をするんじゃねえッッ、光成ッッ」 勇次郎は叫ぶ。 「し、しかし、バキが死んでしまうぞ・・」
勇次郎は笑う。鬼の様に。「こんな程度で死ぬ奴ぁ、この範馬勇次郎の息子じゃねえッ、何の興味も無いわッッ」
・・・闘技場では、いよいよ死刑宣告。オリバが最終攻撃に入ろうとしている。



627 名前:マロン名無しさん:03/02/08 20:32 ID:???
パオマンセー

628 名前:626の続き:03/02/08 21:04 ID:q79HUE8S
既にバキに闘う力は残っていない。立ち上がる事すらも出来ない。体力より気力が無いのだ。
オリバの足元にうずくまるバキ。最早、小さく丸まり、体をガードするのが精一杯である。
オリバはバキに唾を吐き捨てる。「もう少し遊べるかと思ヤ・・。下らねエおもちゃダ・・」
体を亀の様に丸めるバキを、無理やり引きずる。そのまま闘技場の中央へ。オリバは笑う。
「最後くらイ、お客さん楽しませろヨ。花火みたいにヨ・・」 最後。その言葉の意味が、
バキの心に強烈に圧し掛かる。この男の言う最後は、文字通り最後なのだろう。人生の。
そして。ついにオリバが「最後」に向けて動き出す。バキを無理矢理に立たせ、自分の目に前に。
向かい合わせになるバキとオリバ。 「心配すんナ。梢江は俺が面倒見てやるからヨ・・」
オリバはニヤリと笑うと、真上、空中にバキを放り投げる。人体が垂直に、天を目指し飛んでいく。
5メートル以上飛び上がるバキ。 「バ、馬鹿な、人間をあそこまで飛ばせるかよッ」 騒ぐ観客。
頂点を折り返し、ゆっくり地上へ戻るバキ。しかし、そのまま優しく落とすオリバではない。
「死ネッッ」 そう叫ぶと、空中で制御の利かないバキの顔面へ、天を突き下げるアッパーを放つ。
顔面が異常にひしゃげる。ゆっくり落ちてきた筈のバキの体は、もう一度空中へ跳ね上がる。
今度は激しく縦回転でグルグルと回りながら。血を辺りに撒き散らして、ネズミ花火の様に。
ポキン。バキの肉体と精神の、決定的な何かが折れる音がした。そして回転しながら地上へ戻る。
ドスン。だが、一度で地上に戻れない。大きくバウンドした後、ゴロゴロと転がる。そして安定した。
バキの目から生気が失せていく。少しずつ観客の声援が遠くなる。手足がビリビリとしびれ出す。
・・そして何も見えない、何も聞こえない暗闇の沼に、バキはズブズブと沈み始めた。

629 名前:パオ:03/02/08 21:11 ID:q79HUE8S
なんだかんだでバキオリバも長くなるなあ。明日決着すると思いますが。
その後、闘技場編エピローグ。そのあと柳編。
その後勇次郎大物対決最終戦、「地上最強の生物対宇宙最強実力者」。
そして勇次郎編、で最後、エピローグで終わりと。・・まだ結構あるなあ。
ところでサーバ重過ぎ。  では、また明日。夜更新予定っす。

630 名前:マロン名無しさん:03/02/08 23:08 ID:YVxzr1vV
明日かよぅ。すぐすぐ!

631 名前:マロン名無しさん:03/02/08 23:35 ID:???
えっ!まだ終わりじゃないの?じゃぁこの後に・・・

632 名前:628の続き:03/02/09 10:26 ID:9jgAqc/d
目の前には砂の壁。(そうか、ダウンしたんだ、俺・・)体を動かそうとする。ピクリともしない。
(まあいいや。どうせ、立ったとしても・・)勝てない。立てば嬲り殺しの地獄が待っているだけ。
少しずつ意識が遠くなる。目の前が真っ暗闇になる。暗黒。その暗黒の中心に自分だけ1人ぼっち。
(死ぬのかな、俺・・)不思議に恐怖は無い。いや、逆に安らぎすら感じる。このまま闇に溶けよう。
闘いなんて苦しいことなんて止めて、このまま・・。そしてバキはゆっくり目を閉じる。しかし。
「立テ」・・どこかで声が聞こえる。その声に何故か懐かしさと感謝を感じる。声は強く大きくなる。
「ドウシタ、何故シッカリト立チ上ガラナイ?」 ふと目の前を見る。ここは確かに闘技場のはず。
確かにオリバが立っていた場所に、懐かしい男が立っている。バキはその男を見て泣きそうになる。
「・・・さんッ」 その男は厳しい顔で叱咤する。「コノママ終ワル気カ。立テ。ソシテ闘エッ」
バキは首を振る。「駄目だよ。オリバは強過ぎる・・。俺では絶対適わない。殺されるだけだ・・」
暗闇の中2人きり。バキは泣きそうである。その男は厳しい顔で立っている。バキはその男に言う。
「ゴメン。約束、守れなかったよ・・。仇も取れない。アイツは強過ぎる・・とても適わない・・」
その男の目が哀しそうにゆがむ。そして言う。「死ンダ人間トノ約束ナンテドウデモイイ。デモ・・」
その男は観客席を指差す。そこには・・。両手を絡み合わせ、目を閉じ、涙を流して祈る少女の姿。
「梢江・・」 梢江は必死に祈る。そういえば、試合中に梢江の声は聞こえなかった。まさかずっと?
「アノ少女ノ、オマエノ無事ト勝利ヲ必死デ祈ル姿・・。オマエハ無駄ニスルノカ。俺ハソンナ男ニ」
その男・・、シコルスキーの目から厳しさが消え、優しくなる。そしてバキへ語る。友情を込めて。
「負ケタ覚エハ無イ。マシテ、友ニ持ッタ覚エハナ・・。」バキは思い出す。梢江との大切な約束を。
試合前に言った言葉を。 (俺は自分からは絶対倒れない。何度倒されたって立ちあがってやる)
そして立ちあがろうとする。最後の、出来るかどうか分からない技に全てを賭ける為に。


633 名前:632の続き:03/02/09 10:59 ID:9jgAqc/d
重力が何倍にも増えた様に体が重い。頭にキンキンと鋭痛が走る。目の焦点が定まらない。
耳鳴りが止まらない。アバラがギシギシ悲鳴を上げる。腕がビリビリ痺れる。足に力が入らない。
心臓はバクバクと破裂を起こしそうだ。肉体の中で、無事な所はひとつも残っていない。しかし。
それでもバキはありったけの力を集め、立ちあがろうとする。梢江とシコルスキーとの約束の為に。
自分自身の全てを賭けて。逆転の可能性を秘めた、出来るか分からない、最後の攻撃をする為に。
体が少しずつ持ちあがる。それと同時に、少しずつ回りの闇が晴れていく。シコルスキーは言う。
「ソレデイイ。例エ世界中ガ負ケルト思ッテイテモ、俺トジャック、ソシテ梢江ッテ子ダケハ、
 最後マデオマエガ勝ツト信ジテイル・・」  ・・そう言い残すと、闇の中へ消えてしまった。

「まさカ、すぐニ立ち上がるとはナ・・」 目の前のオリバが驚いている。その言葉にバキも驚く。
何十分も寝ていたつもりだった。いや、友が叱咤してくれなければ、ずっと寝ているつもりだった。
(ありがとう、シコルスキーさん、あなたにもらったチャンス、絶対無駄にしないッ) 誓うバキ。
そしてオリバに言う。決意を込めて。「オリバ、俺にはもう最後の攻撃の力しか残っちゃいない・・」
オリバが笑う。「最後の攻撃?いままデ散々攻撃ヲ仕掛けテ無駄だったのニ、また無駄ナ努力かイ?」
バキはオリバを睨む。「この技は、俺の友シコルスキーさんへ捧げる技だ・・てめえを倒してなッッ」
オリバは愉快そうに笑う。「クハハ。あの弱っちょろいロシア人カ。その技も無駄に終わりそうダッ」
「何度も言わせるな・・てめえみたいなクズ野郎より、シコルスキーさんの方が100倍強えよ・・」
そして構える。バキの最終攻撃。・・・音速拳の構え。観客がざわめく。構えを見て、ではない。
バキの背中。そこについに・・浮かび上がる。範馬の巨凶の証。筋肉の形相。鬼の貌が。

634 名前:パオ:03/02/09 11:12 ID:9jgAqc/d
すみません。また夜か明日に書きます。今度こそバキオリバ決着します。なんか延びまくり。
もう少し私のタイピングが早ければいいんすが。ところで、関係無いことで申し訳ないんすが。
夢枕先生に文体が似てる、というレスに対し、信者です、わざと文体似せてます、言いましたが。
夢枕先生のオールスターズのバトルを書いて欲しい、とどこかでレスがありましたが。
ごめんなさい。本当は夢枕先生の作品は飢狼伝5巻までを読んだくらいです。全然信者じゃない。
文体も夢枕先生意識してない。実は他の方の文章を真似してます。それは、故・ナンシー関さま。
だから文章キチキチなんす。もし夢枕先生のキャラ対決が見たい、とリクエストあっても書けない。
知らないから。いままでうそついてすみません。では、また次回。

635 名前: :03/02/09 11:28 ID:R4LF3NLM
嘘をつく理由がわからんが、、、、別に大した問題でもないのでage

636 名前:マロン名無しさん:03/02/09 23:30 ID:uPmdCp78
あげとくぜ。

637 名前:633の続き:03/02/09 23:58 ID:P51Izmrx
「で、出やがった・・」 本部が震える。筋肉の形相、鬼の貌。その禍禍しさに場内は揺らぐ。
(しかし・・バキよ。例え鬼が出ても、音速拳で) 奴を、あのオリバを倒せるのか。渋川は思う。
オリバは不敵に笑う。「音速拳は流石ニかわせねエ・・しかモ勇次郎ト同じ肉体ニなっちまったカ」
そして、体を丸める。右腕と左腕で前面を完全にガードする。まるで巌の様な鉄壁さ。オリバは言う。
「さア、最後の勝負ダ。来なヨ。その最後ノ希望、受け潰してやるヨ・・」 バキは深呼吸をひとつ。
そして、チラリと梢江の方を見る。祈る梢江。(梢江ちゃん、本当にこれで最後だ・・ありがとう・・)
観客が叫ぶ。「鬼が、背中の鬼が哭いてるッ」まるで勇次郎のブンなぐりの様に。そして、ついに発動。
足の親指から始まる関節の連動。親指から手首まで8箇所同時加速が生む、音速拳。避けられぬコブシ。
しかし、これだけではオリバは倒せない。「つえりゃやあああッッ」 バキの肉体がミシミシきしむ。
インパクトの瞬間。体中の全ての関節を固定する。そして、音速のコブシが65キロの鉄球に変わる。
音速拳の速さと剛体術の威力。その2つの力の前に、オリバの腕のガードは弾け飛ぶ。更に追撃の拳。
2発目。水月に突き刺さる。3発目。心臓を襲い、オリバの仕込んだプレートがミシリ、ときしむ。
4発目。更に心臓へ連激。プレートを完全に破壊した感触。(あと一発、あと一発食らわせれば・・)
背中だけでなく、バキの顔にも「鬼」が浮かぶ。もう一発、音速剛体術を心臓に叩き込めば、確実に。
折れたプレートが心臓に突き刺さり、オリバは死ぬ。バキには分かる。躊躇なく叩き込もうとするバキ。
だがその時。肩に懐かしい手が掛かる。自分はこの手と闘った事がある。憎しみではなく、尊敬の中で。
(モウイイ。ソコマデダ・・)バキは構わず叩き込もうとする。(こいつはあなたを殺した。許せない)
そして音速の発動。しかし、オリバの胸、手前数ミリで、その声が拳を止める。優しくささやく様に。
(オマエニ憎シミハ似合ワナイ・・。俺ノ様ニ道ヲ誤ルナ。オマエノ帰リヲ待ツ人ガイルノダロウ・・」



638 名前:マロン名無しさん:03/02/09 23:58 ID:JLoNhoOK
原作でもこれくらい強いオリバが拝めるといいな。

639 名前:637の続き:03/02/10 00:23 ID:mmibSmwK
その声に我に返る。巨凶に呪われた鬼から範馬刃牙へ。梢江を見る。そうだ。俺には待ってる人がいる。
(最後までありがとう、シコルスキーさん・・)そしてゆっくりと構えを解く。オリバは大量に血を吐いた。
克巳は驚く。「馬鹿なッ。音速・・剛体術・・4連撃だと・・」 花山、本部、加藤、末堂は絶句している。
紅葉が叫ぶ。「ありえない。音速拳と剛体術を同時発動させるなんて・・それを可能にするのが、鬼の形相・・」
渋川がうなる。「あれは避けられん。防ぎようも無い。そして、耐えられん・・」  バキは力尽き崩れ落ちる。
オリバ。血を吐いた後、しばらく微動だにしない。しかし、やがて大きく笑い出す。「クハハハハハハハハッ」
加藤が叫ぶ。「馬鹿な、あれで倒せねえのかよ・・」 バキはもう動けない。その場にうずくまったままである。
オリバが言う。「卑怯だゼ、バキ・・。2人、いや、3人掛かりなんてヨ・・」 バキはその言葉に驚く。
こいつにも、シコルスキーさんの言葉が。梢江ちゃんの祈りが分かっていたのか。オリバ続ける。血を吐きながら。
「絆・・人の繋がりカ・・。絶対の自由ニ邪魔と思イ、とうに捨てたものニ・・こうも打ちひしがれるとはナ・・」
オリバの目から邪気が無くなる。曇りの無い優しい目に変わる。やっと気付いたのだろうか。自由より大切な物に。
「見事ダ・・おまえノ勝ちダ、範馬刃牙・・」 そしてオリバは倒れる。ゆっくり、まるで巨木が倒れる様に。
闘技場を包む一瞬の静寂。その静けさを、審判の声が引き裂く。   「勝負ありッッッツ」

640 名前:られ:03/02/10 00:27 ID:Bp26rVBx
れ゛け

641 名前:パオ:03/02/10 00:28 ID:mmibSmwK
明日は闘技場編エピローグをやります。なんかレスが余りそうなんで、「柳編」
柳対達人戦前にもう一戦柳に闘ってもらおうかな、と。もう一人キャラ出すかも。
ではまた明日。失礼します。

642 名前:マロン名無しさん:03/02/10 00:36 ID:D9JB8E2E
うむ、良かった。

643 名前:マロン名無しさん:03/02/10 00:39 ID:CHebj5Gm
オリバイイ!!

644 名前:マロン名無しさん:03/02/10 00:45 ID:3ml5nNE2
まじおもろいな。俺の頭に、バキとオリバの闘ってる情景がありありと浮かぶ
リアルシャドー。

645 名前:マロン名無しさん:03/02/10 00:58 ID:???
強いオリバをありがとう!

646 名前:マロン名無しさん:03/02/10 01:28 ID:YM7i9Sg4
アリガトォォォォ!
サイコ−−だァァァ!

647 名前:マロン名無しさん:03/02/10 01:30 ID:???
熱いバキをアリガトォォ!

648 名前:板垣:03/02/10 01:54 ID:???
>背中だけでなく、バキの顔にも「鬼」が浮かぶ。

コレダ!!

649 名前:マロン名無しさん:03/02/10 02:46 ID:???
で、このスレではバキが次回で最終回なのは外出でつ




か?

650 名前:マロン名無しさん:03/02/10 04:22 ID:???
>>649
とってもガセです。

651 名前:639の続き:03/02/10 17:22 ID:mmibSmwK
 【闘技場編エピローグ シコルスキー】
大歓声が座り込んだバキと倒れたオリバを包む。(勝ったのか?本当に・・)バキは半信半疑である。
ボンヤリ中空を見る。意識が遠のきそうだ。・・やがて。幻覚だろうか。中空に懐かしい姿が浮かぶ。
(ヤッタナ。サスガ俺ヲ倒シタ男。俺ノ自慢ノトモダチダ・・)その言葉にバキは泣きそうになり叫ぶ。
(シコルスキーさんッ、俺・・) 何故か声は出ない。しかし、言葉は2人に確実に伝わっている。
シコルスキーは微笑を浮かべたまま言う。 (ソロソロ、本当ニ行カナクチャ・・) 優しい眼差しで。
バキはその言葉にビクリ、とする。(待って、俺、恩を受けっぱなしだ。何一つ俺は返せないまま・・)
その言葉にシコルスキーは満面の笑顔を浮かべる。しばらく見詰め合い、彼はようやく口を開く。
(馬鹿。モウ、オマエニハ、イッパイ大切ナ物、モラッテイル。コレ以上、持チキレナイヨ・・)
シコルスキーの周りをまぶしい光が包む。まるで星の光を集めた様に。バキは手を伸ばすが届かない。
(本当ニサヨナラダ、バキ・・)ゆっくりと光に消えていくシコルスキー。暖かい笑顔を浮かべながら。
最後。シコルスキーが完全に消える寸前。2人の唇が動く。だが、その言葉はお互いにもう伝わらない。
バキとシコルスキー、伝わらなかった最後の言葉。偶然にも、2人の最後の言葉は同じ言葉であった。
・・・・ありがとう、と。
しばらくシコルスキーの消えた中空を見つめるバキ。・・すると空からポトポトしずくが落ちてきた。
「良かったね、シコルスキーさん・・」 涙でクチャクチャになった顔で迎えにきた梢江である。
バキは梢江に尋ねる。「君にも・・」 コクンとうなずく梢江。「私に微笑んでくれた。優しく・・」
バキと梢江。2人でしばらく中空を見つめる。3日前、暗闇に向かって歩いていったシコルスキー。
それが今度は光に包まれ消えていった。まるで全てを許されたかの様に。笑顔を浮かべたまま。
・・・オリバに勝ったことより、その事がバキは何十倍も嬉しかった。  


652 名前:651の続き:03/02/10 17:45 ID:mmibSmwK
 【闘技場編エピローグ 渋川剛気】
「ちくしょう、やりやがったな、バキの野郎ッ」 加藤が叫ぶ。渋川剛気は静かに場内を見つめる。
そして克巳、花山たちに向かって言った。「大変じゃな、お主達も・・。あんなのが上にいるとな」
そしてニカリ、と笑う。「独歩は見事に幕を引いたのう。自分の武を次代に引き継ぎおった・・・」
克巳はそれを聞き、渋川に問う。妙な予感がしたのである。 「渋川先生、あなたまさか・・」
渋川はその言葉に答えず、皆を闘技場へ追い払う。「ほれ、偉大なチャンピオンの所へいかんかいッ」
闘技場へ走り行く克巳、紅葉達。残されたのは渋川と花山だけである。渋川は思う。
(もう、わしらの時代じゃない。そうじゃろう、独歩・・)武道家に引退は無い。これは引退では無い。
言うなれば、継承。次代への。独歩は自分の空手、コブシを託すことで克巳へ継承した。ならば自分は。
渋川は大歓声の闘技場から、ゆっくり背を向け歩き出す。花山が聞く。 「じいさん、帰るのかい?」
振り返る渋川。そして言った。 「花山さん、アンタはええ男だが、敬語くらい覚えた方がエエのう」
そして老獪に笑う。苦笑する花山。渋川の一本勝ち、であろうか。喧騒の会場を去り、渋川は思う。
バキ。克巳。花山。紅葉。加藤。末堂。そして烈。さらに沢山の若き獅子達。もう時代は動いている。
ワシら古い時代の武道家がいつまでも出張る時代ではは無い。独歩は次代の獅子に未来を託した。
ならば、自分は。古い、忌まわしい者を倒すことで次代へ意志を引き継ごう。ポツリ、と渋川は言う。
「もう・・ワシらの時代じゃないんじゃ。・・のう。柳、龍光よ・・」

653 名前:652の続き:03/02/10 18:20 ID:mmibSmwK
 【闘技場編エピローグ 範馬刃牙・勇次郎】
バキの周りに人が集まってくる。先程から自分を守る様に包んでくれる梢江。沢山の観客。
克巳、紅葉、加藤、末堂もやって来た。全員がバキの勝利を称えている。特別席の光成。
手を叩いて喜んでいる。烈・ジャックが敗れた後、最後の砦のバキが逆転勝利を収めたのだ。
喜びも当然であろう。「どうじゃ、勇次郎ッ」 隣の席の勇次郎に声を掛ける。・・いない。
席にいない。すると。闘技場の一人の観客が騒ぐ。「そ、空・・」全員その言葉に空を見る。
・・勇次郎が飛んでいる。そして。ズズズン。勇次郎、降臨。騒ぎは消え、静寂に包まれる。
緊張する場内。観客は動けない。克巳、加藤、末堂はバキを守る様に前に立つ。梢江は震える。
チラリ、と勇次郎は倒れたオリバを見る。紅葉がオリバの触診をしていたが、もう動けない。
「負け犬めッ、何回もあったチャンスを無駄にしよって・・2流がッ、消えうせいッッ」
そう言うとオリバの体を思い切り蹴りつける。吹き飛び、反対側の柵へ激突する。紅葉が叫ぶ。
「な、怪我人をッ」 勇次郎と目が合う。もう、それ以上の言葉を紅葉は出すことが出来ない。
バキは叫ぶ。「オ、オヤジてめえッ。ダチじゃなかったのかよッ」しかし勇次郎は笑って言う。
「立ち上がることも出来ないくせに吼えやがる・・憎むべき敵だろう?あのオリバ君は?」
そう言ってクスクス笑う。バキはその顔に、言いようの無い怒りが湧き上がる。勇次郎へ叫ぶ。
「オヤジ、俺はアンタの圧倒的な強さに憧れていた・・でも今は違う。アンタのその腐った強さ」
勇次郎は相変わらず笑う。バキは続ける。「アンタの強さと違う強さを俺は教えてもらった・・」
その言葉を聞き、勇次郎の表情が変わる。怒り。「つくづく・・救えぬガキだ、貴様はッッツ」
勇次郎の怒声に凍りつく場内。しかし、バキは落ち着いて言う。バキの中で何かが変わった。
「十日後だ、オヤジ・・十日後の午前零時。場所は、分かっているだろう?」 勇次郎が笑う。
「蚊トンボが獅子の振りをしよって・・。貴様には愛想が尽きたッ。十日後だな、殺してやるわッ」
・・十日後。バキと勇次郎の最終決戦。あの、母の命が哀しく消えた場所で。

654 名前:パオ:03/02/10 18:31 ID:mmibSmwK
クソ長い闘技場編も終わった。どうだったでしょう。少しでも楽しんでくれたら幸いです。
パオはもうふらふらっす。でも、バキオリバ好評みたいで良かった。救われるっす。
ところで、バキオリバの途中、シコルスがバキを叱咤するシーン。これどうだったかな。
正直、こういうの板垣先生は絶対やらないと思うので、入れようか迷った。
実際、あの場面はダイの大冒険のダイをバランが激励する所と、ファイナルファンタジー5の
ラストバトル前、「暁の4戦士、参上じゃい」をイメージしています。ジャンプっぽいっすね。
「こんなんバキじゃねえ」という方、ご容赦下さい。全てパオの力不足っす。
もう少しだけ続きます。お付き合いの程を。では、また明日。


655 名前:マロン名無しさん:03/02/10 18:37 ID:7J0g1Ga+
パオありがと。バキキャラを使って王道の展開にしてまとめると
こんなにイイ作品になるんだってことが改めて分かったよ。明日もがんがれ。


656 名前:マロン名無しさん:03/02/11 00:27 ID:vwEj2JjI
誰がなんと言おうとこのスレは君のモノなので文句は言えん。

657 名前:まも:03/02/11 02:34 ID:IU7+C/aD
りれけれけ

658 名前:マロン名無しさん:03/02/11 09:43 ID:t6hiCPMe
ぽんちゃい!ちゅわたなぁ!!!!

659 名前:マロン名無しさん:03/02/11 09:55 ID:SEV4vJXF
>正直、こういうの板垣先生は絶対やらないと思うので

だからこそ良い。
頑張れ

660 名前:マロン名無しさん:03/02/11 10:52 ID:eg/MIAXA
うんバキとは全然違うね。
バキキャラだけ使った少年ジャンプの漫画みたいだ。
世界観が違うから面白い云々以前だな。
それでも面白いんだが。

661 名前:653の続き:03/02/11 19:24 ID:Xd5APDA1
地下闘技場決戦の翌日。警視庁の応対室。そこで、園田警視正と小柄な男がコーヒーをすすっている。
死刑囚のファイルを睨みながら。小柄な男はポツリと言う。 「柳・・龍光か・・ビッグネームだな・・」
園田は目の前の男を観察する。自分より背丈は小さい。体重は30キロは下だろう。この男が本当に・・。
「他の死刑囚とこの男では・・比べ物にならん・・」 小柄な男は自分に言い聞かせる様に言った。
スペックは達人・渋川剛気が捕獲の後、オリバに収容された。ドリアンは花山と神心会の前に倒れる。
ドイルはヤクザの下部組織を壊滅させたため、ヒットマンに命を奪われる。シコルスキーはオリバが抹殺。
残りは・・死刑囚最強の男、柳龍光。しかし、オリバは昨日から入院している。柳にやられたのだろうか。
目の前の小柄な男。この男が日本政府の切り札として投入された。聞けばオリバ以上のビッグネームらしい。
しかし、本当にこの小さな男が・・。園田は警察柔道の猛者である。喧嘩なら誰にも負けない自信がある。
勿論、常識範囲内の相手に限り、だが。本当にこの男が俺より強いのか。細い首など簡単にヘシ折れそうだ。
ポツリ、と小柄な男は言う。「今のこのコーヒーの湯温・・摂氏78.9度・・」 園田は意味が分からない。
その男は続ける。「私ならこの液体でも・・あなたの眼膜を奪う武器になる・・」ゾクリ。急に寒気が走る。
「素人がプロに殺気など出さない方がいい・・私はこの部屋に入ったとき既に、あなたを20回殺してる・・」
園田はその言葉に悟る。この男は2人きりになった時既に、自分と闘った時のシュミレーションをしている。
そして、俺ではこの男を、どうする事も出来ないと結論を出しているのだ・・。園田はその男に詫びる。
「し、失礼しました・・。では正式に依頼致します。柳龍光の捕獲、引き受けていただけますか?」
その男はゆっくり言う。「あなたのもっと上から、既に依頼は受けている・・。軍人は上官命令は絶対でね」
その小柄な男。野村・・超軍人ガイアは力強くうなずいた。

662 名前:661の続き:03/02/11 19:52 ID:Xd5APDA1
闘技場決戦の3日後の夜。柳龍光は昂ぶっている。烈海王から受けた傷はまだ癒えていない。
しかし、ギリギリの修羅場を潜り抜け、難敵相手に勝利した達成感。それが柳を寝かさない。
辻斬り。手練の格闘家、武道家を昨日は2人、病院送りにした。血を見ないと眠れないのだ。
更に。昨日から視線を感じる。確実にプロのストーキング。自分が柔道の畑中公平を屠った時、
まるで品定めする様な視線を感じた。強い。確実に戦闘のプロである。自分を襲うタイミングを
計っている・・。今の柳はその視線が実に心地良い。ならば、今日も見せてやろう・・。
・・とある伝統派空手道場。そこに今日の獲物がいる。特等席で見ているがいい。私の技を・・。
道場から一人の空手家が出る。柳は男の前に立つ。「栗木・・拓次だな?遊んでもらおうか・・」
栗木はジッ、と柳を見る。「柳・・龍光か。最近暴れているらしいな。武道家を狙って・・」
柳はクク、と笑う。「私の事を知っていてそんな態度とは・・逃げないのかね?」 栗木は言う。
「勝てぬからといって背中を見せるのは空手家ではない・・特に貴様の様な腐った武道家にはな」
言うが早いか栗木の右手が懐から消える。伝統派空手の初弾。ボクサーのジャブと並ぶ最速の技。
しかし。柳は完全にその腕の伸びを見切っている。ほんの少しだけ後ろに下がっただけでかわす。
「なッ?」栗木は驚く。ランクが違う。柳は笑って両手を出す。「右手と左手、どっちがいい?」
「な、舐め・・」ゾクリ。叫んだ栗木を柳の殺気が射抜く。質問に答えねばおそらく殺される。
「み、右・・」栗木が泣きそうに答える。柳は笑う。「クジ運が悪いね・・」 そして毒手一閃。
「ヒャイイイッッ」 奇声を発し倒れる栗木。柳は栗木を一瞥し歩き出す。主賓を招待する為に。
(この近くに・・廃工場があったな・・) ・・視線の主、ガイアも柳を追う。ハントを行う為に。

663 名前:パオ:03/02/11 20:03 ID:Xd5APDA1
すみません、2レスで。しかも明日は忙しくて書けないかも。なるべく頑張りますが。
そのかわり木曜多めに書きますんで。柳とガイアの決着まで書けるといいな。
心苦しいお願いですが、もし私が明日書けない場合、ageて頂けないでしょうか。
スレッドナンバーが150以下になったらでいいです。申し訳ありません。パソ無いんで。
ところで。バキ本スレの不穏な噂は本当だろうか。もうすぐ最終回ってホント?
・・もし板垣先生のバキが本当に最終回なら、次スレで死刑囚編ネクストをやります。
確約は出来ませんけどね。辛いから。では、また明日かあさって。失礼します。

664 名前:マロン名無しさん:03/02/11 20:14 ID:???
決勝戦完結、お疲れ様ですた。
本編バキで描かれるべきだったのにうやむやにされたり、裏切られりしてきたテーマを
よくぞ最後まで描ききってくれました。感謝!!
そして…まさかこのスレで栗木師匠と再び出会わせてくれるなんて…!!
期待通りの大活躍(wwに爆笑&涙。再感謝!!!

665 名前:あげ:03/02/11 22:20 ID:???
>>664
ハゲドウ が、sageだけは同意出来んな

666 名前:マロン名無しさん:03/02/12 02:55 ID:???
了解age。

667 名前:番外編:03/02/12 08:30 ID:fVqUm08L
 地上最強の生物対宇宙最強実力者 1
地下闘技場。「地上最強の生物」範馬勇次郎が瞑想している。いつもの勇次郎らしくは無い。
いつもの彼ならば、傲慢な笑みを浮かべ余裕を全身ににじませている筈だ。だが、今日の対戦者。
今までの敵とは格が違う。なにせ「宇宙最強実力者」である。しかも、今回はルールに変更がある。
「全ての武器・道具の使用を認める」である。(今日、俺は負けるのかもしれねえ・・)
実況席にて。ゲストとして大物2人。江田島平八と海原雄山。勇次郎と激闘を演じた2人である。
「お2人にお聞きします。今日の試合の見所はどこですか?」 実況が江田島と雄山に聞く。
「ワシが男塾塾長江田島平八であるッッ」「この雄山に茶も出さんかッ、店主を呼べい、店主をッ」
・・実況席の周りに、多くの子供が集まる。今日の闘技場には子供が多い。今日の勇次郎の対戦者。
表向きは子供達のヒーローである。しかし、その実力は、この世を破壊し尽くしかねない力を持つ。
正に「宇宙最強実力者」。あの勇次郎とはいえ絶対勝てないだろう。なにせ相手は人間ですら無い。
「ロボ」である。闘技場に目を向けるバキ、渋川、本部達。・・急に、闘技場に子供達の歌が響く。
「あんなこといいな出来たらいいな」・・文章にすると男子中学生の妄想の様だが、その実力者の
テーマソングである。本部がガクガクと震えだす。「き・・来やがった・・」 闘技場内についに。
その実力者が姿を現す。毒々しく青く光るボディ。ライオンの様なひげ。敵に死を告げる死神の鈴。
口元には優しい笑みが浮かぶ。だが、だまされてはいけない。快楽殺人者はこんな笑みを見せるのだ。
(勝てるのか、こんな悪魔に・・)考えられないほど気弱な勇次郎。そしてその青い悪魔が口を開く。
「うふふ、こんにちは、僕ドラえもんです(by大山のぶ代)」 審判が叫ぶ。 「はじめいッッ」
・・・範馬勇次郎各界大物対決ファイナル。範馬勇次郎対ドラえもん、スタート。
 

668 名前:番外編 667の続き:03/02/12 08:58 ID:fVqUm08L
 地上最強の生物対宇宙最強実力者 2
勇次郎対ドラえもん。実は、この最強決戦前に、バキ軍団対ドラえもん軍団で各対決が行われた。
結果はバキ軍団全敗である。まず、第一試合。ジャイアン対ドリアンの「名前似てるよ歌唱力対決」。
リサイタルで日々鍛えられたジャイアンの前にドリアン惜敗。第2試合。出来杉クン対カツミン。
「エリート対決」。最早ハゲ頭のカツミンに、エリートの風格は無かった。出来杉クン圧勝である。
第三試合。スネ夫対徳川光成の「富豪対決」。日本を動かす事の出来る光成の圧勝かと思われたが、
高級メロンを独り占めで食べることの出来るスネ夫に軍配が上がる。そして、「お色気対決」。
勿論、ドラえもん側はしずかちゃんの入浴シーンである。小学生の頃、誰もが憧れたしずかのお色気。
対してバキ側。大型プロジェクターにバカと蛸江のせっくる映像が、延々3時間。正に生き地獄。
審査員は胸に熱いものが込み上げてきた。いっておくが感動ではない。トイレに駆け込む者が続出。
しずかちゃん圧勝。比べる方がおかしい勝ちっぷりである。だが蛸江は裁定にクレームをつける。氏ね。
・・・兎にも角にもバキ側の0勝4敗である。最後の切り札の勇次郎。しかし、相手はあの・・。
「はじめいッ」その言葉に勇次郎は突進する。先手必勝。この青い悪魔のペースにしては・・。しかし。
「ひ〜ら〜りマント〜(by大山のぶ代)」ピシャシャシャン(擬音)。道具を取り出し構えるドラえもん。
必殺の勇次郎パンチを振りかぶる勇次郎。既に背中の鬼は全快だ。だが。「な、何いッッ」 叫ぶ勇次郎。
確かにドラえもんへ向けて突っ込んだ自分の体。それが全く方向違いの場所へ飛ばされている。屈辱。
そして、それ以上の恐怖。ひらりマント。そのマントに触れた者はどんなモノも身をかわされてしまう。
渋川はうめく。(あのドラえもんとやら、ワシの合気よりはるかに・・) ある意味合気の理想形である。
渋川の合気は相手の力を跳ね返す。だが、ドラえもんのマントは力の方向を変えてしまうのだ。ごく自然に。
何度も突進しては違う場所で転げ回る勇次郎。本部はうなる。 (だ、駄目だ・・勝てねえ、勇次郎・・)


669 名前:パオ:03/02/12 09:01 ID:fVqUm08L
すみません、また未熟なネタで番外編をやってしまった・・。しかも、続く。
今日はもう書けないんで、明日になります。すみません。
イレギュラーで入れた柳ガイアが上手くまとまらなくて・・。ごめんなさい。

670 名前:マロン名無しさん:03/02/12 09:33 ID:TgvaJkZp
強すぎるぞ、ドラえもん!!
地球破壊爆弾で決着!!

P.S バキ最終回はガセネタです。安心してね、パオ

671 名前:マロン名無しさん:03/02/12 13:27 ID:Utv0db7x
こんな所でドラえもんとは、予想もしなかったぜ!

672 名前:マロン名無しさん:03/02/12 14:43 ID:???
>>671
末同

673 名前:マロン名無しさん:03/02/12 15:25 ID:???
フリーザが出てくると思った。
ドラえもんとは意外だった

674 名前:名無しんぼ@お腹いっぱい:03/02/12 17:32 ID:???
俺は板垣本人が来るかと思ってたYO…。
ヒ・ラ・リ・マ・ン・ト…見事な

675 名前:マロン名無しさん:03/02/12 18:32 ID:???
>674
俺は大物って事なんでマーダーライセンス牙の板垣総理だと信じて疑わなかった。
んでK助とかけてネタにするんだと思ってた。

676 名前:マロン名無しさん:03/02/12 21:08 ID:aQQji7fG
>>668
>だが蛸江は裁定にクレームをつける。氏ね。
藁た。

677 名前:マロン名無しさん:03/02/12 21:25 ID:dPkXSPBc
>口元には優しい笑みが浮かぶ。だが、だまされてはいけない。
>快楽殺人者はこんな笑みを見せるのだ。
ワラタ

678 名前:番外編 668の続き:03/02/13 10:17 ID:WTGiMgwL
 地上最強の生物対宇宙最強実力者 3
「あ・・あの勇次郎が・・遊ばれてやがる・・」 悪魔の道具、「ひらりマント」により何度も倒される勇次郎。
本部は目の前の光景が信じられない。ドラえもんはひらりマントを投げ捨てる。勇次郎は再度ドラえもんに突進する。
「石〜ころぼうし〜(by大山のぶ代)」 フッ。突然の前から姿を消すドラえもん。場内がざわめく。実況が叫ぶ。
「ど、どうしたこれはッッ、ドラえもん選手の姿が忽然と無くなりましたッ、ゲストのお2人はどう思いますかッ?」
「ワシが男塾塾長江田島平八であるッ」「ワハハ、鴨肉に血のソースなんぞッ。ワサビ醤油が一番だッ。愚民めッッ」
・・・石ころぼうし。このぼうしをかぶった者は、路上の石ころの様に気に留められなくなってしまう。バキは叫ぶ。
「ま、まるでガイアの環境利用闘法・・」 ガイアは砂ぼこりで身を消した。しかし、目の前にはほこりひとつ無い。
うろたえる勇次郎。こんな勇次郎は見たことが無い。更にドラえもんの追撃。「空〜気ピストル〜(by大山のぶ代)」
パン。そのドラえもんの言葉が聞こえると勇次郎の体が弾け飛ぶ。ぱんぱんぱん。連撃。人形の様に踊る勇次郎。 
・・バキはタオルを握り締める。いざとなったら、このタオルを投げる。オヤジが殺されるのは、俺は見たくない。
石ころぼうしと空気ピストルを投げ捨てるドラえもん。勇次郎の闘志はまだ衰えない。・・何度でも突進する勇次郎。
だが更にドラえもんは。「ソノウソ〜ホント〜(by大山のぶ代)」 この道具はあらゆる嘘を本当にしてしまう道具。
勇次郎に向かって叫ぶ。「勇次郎君は、自分で自分を殴らないッ(by大山のぶ代)」 急に突進を止める勇次郎。
そして。「な、何ィッ」叫ぶ勇次郎。自分のコブシで自分を攻撃しダウンしてしまったのだ。本部は言う。「駄目だ・・」


679 名前:番外編 678の続き:03/02/13 10:35 ID:WTGiMgwL
 地上最強の生物対宇宙最強実力者 3
加藤は叫ぶ。「無理だ、勝てねえよッ。未来の世界のネコ型ロボットだぜッ。どんなもんだい僕ドラえもんだぜッッ」
まだまだ強力な道具がいくらでもある。だが、ドラえもんは会場のチビッコの安全の為、危険な道具を使っていない。
(俺が・・手加減されている・・) 勇次郎にとって初めての経験。いっておくが童貞喪失の事では無い。敗北感。
ソノウソホントを投げ捨て、ノシノシと近づく青い悪魔。止めを刺すつもりか。・・・しかし。勇次郎にある予感。
(待てよ・・待て待て) ざわざわ。(これはひょっとすると・・) 突破口。このデッドの状態から勇次郎は。
完璧に思える青い悪魔。しかし、ただ一点・・。ドラえもんが近づく。そして地獄のポケットに手を入れる。その時。
「スモ〜ルライ〜・・(by大山のぶ代)」だが、勇次郎は最後まで許さない。「そこだッッ」勇次郎の手刀がうなる。
・・ポトリ。ドラえもんの手首が落ちる。凍りつく場内。そして、ついに。勇次郎の必殺「ブンなぐり」が決まる。
・・たった一つのドラえもんの弱点。それは「道具の名前を発表してみんなに見せる」事である。子供達のヒーロー。
それゆえ、チビッコ達へサービスせねばいけない矛盾。実力は圧倒的に宇宙一でも、真剣勝負したこと無い哀しさ。
「黙って仕掛ければヨロシイ」と、どこぞのヘタレ死刑囚も言っている。・・審判が大きく叫ぶ。 「勝負ありッッ」
・・範馬勇次郎各界大物対決、2勝1分け。今回のドラえもんからの勝利により、彼は「宇宙最強の生物」となる。
・・しかし。対決はこれでは終わらなかった。勇次郎の元へ、ある男から挑戦状が届いたのである。そう、あの男から。

680 名前:番外編 679の続き:03/02/13 11:08 ID:WTGiMgwL
 地上最強の生物対宇宙最強実力者 最終回
範馬勇次郎対ドラえもんから3日後の夜。とある空地。勇次郎が中央で仁王立ちをしている。
土管では小池さんがラーメンをススッている。つまり、この歴史的な一戦の証人は彼だけである。
そして。ある一人の男が姿を現す。勇次郎に言う。「待たせてしまったかな、範馬、勇次郎・・」
勇次郎はその男を一瞥する。みるみる怒りの形相に変わる。勇次郎の怒声が夜の闇を引き裂く。
「貴様ごときが・・。俺を呼びつけ、しかも遅れてくるなど・・。のび太のくせに生意気だッッ」
その男。なんと野比のび太である。勇次郎の目をまっすぐ見据える。そしてゆっくり口を開く。
「ドラえもんは重傷だ・・未来へ帰らなくてはならない・・君をそのままには出来ない・・」
「貴様ごときがッ」勇次郎が激高し突進する。のび太は倒れる。ケッ。勇次郎は帰ろうとする。
その足をのび太がつかむ。勇次郎が叫ぶ。 「て、てめえなんぞ、ドラえもん抜きで・・」
鬼の連撃がのび太に決まる。だがのび太は倒れない。地上最強、いや、いまや宇宙最強の生物に
ボロボロになりながら立ち向かう。勇次郎はゾンビの様なのび太に驚愕する。のび太が叫ぶ。
「勇次郎・・。ぼくだけの力できみに勝たないと・・ドラえもんが安心して・・帰れないんだっ」
勇次郎は殴りつける。「しったことかッッ」 それでものび太は何度でも勇次郎に立ち向かう。
ケッ。勇次郎はそこから立ち去る。どこかかすかな敗北感を感じながら。のび太は倒れたまま。
そこへ、勇次郎との対決でボロボロになったドラえもんが迎えにくる。「の、のび太くんッッ」
「かったよ、ぼく」自分の力で立ち上がる。「みたろ、ドラえもん。かったんだよ、あの勇次郎に」
抱き合うドラえもんとのび太。「ぼくひとりでかったんだよ。もう安心して帰れるだろ、ドラえもん」
その様子を遠くから眺める勇次郎。ポツリと言う。 「この勝負・・俺の負けかもしれんな・・」
翌朝。のび太の部屋からドラえもんは消えていた。ガランとした部屋。のび太は思う。
「ドラえもん・・君がいないと部屋が広いよ・・でもすぐ慣れると思うから・・心配するなよ、ドラえもん・・」


681 名前:パオ:03/02/13 11:13 ID:WTGiMgwL
昨日はすいません。また夜に柳編やります。でも柳編まとまんないよ、上手く。
ガイアなんて出すんじゃなかった。そもそも闘技場編でおわっときゃ良かった。
・・ところで、今回唐突にネタが入りましたが、急にネタが入るには、忙しいか、
本編が上手く書けないかです。今回両方でした。未完成なネタすみません・・。

682 名前:マロン名無しさん:03/02/13 11:18 ID:???
そのネタで締めてくるとは。
面白かったよ。

683 名前:マロン名無しさん:03/02/13 11:42 ID:???
のび太タフすぎw

684 名前:マロン名無しさん:03/02/13 14:18 ID:MBL+/cKC
のび太は神

685 名前:マロン名無しさん:03/02/13 16:29 ID:KVU++Ggk
板垣の勇次郎にもそういう人間愛みたいな感情がちょっとでもあればな・・・

686 名前:マロン名無しさん:03/02/13 16:30 ID:wXAj3di4
辞典の時のパオは嫌いだったが今は応援する。がんがれぱお

687 名前:マロン名無しさん:03/02/13 18:36 ID:nMbRtrcF
今まで言おう言おうと思って黙っていたけど・・・
もしかして、パオさんは一歩好きだったりしまつか?

688 名前:マロン名無しさん:03/02/13 19:43 ID:2DLx18lz
>>670
鼠→地球破壊爆弾
とかいくんかと思ってたがはずれた。

689 名前:パオ:03/02/13 22:32 ID:7NYlAYZx
申し訳ない。今日はどうあっても時間がない。明日必ず書きますんで。ごめんなさい。
こんなレスを書くためだけにマンキに来た。コーヒー飲んで10分で帰る。鬱。
あと、一歩は大好きです。マガジンで読んでるのは一歩だけ。
すみません、明日は多めに書くようにします。約束はできませんが。最近少し忙しい。
意外とドラえもん評判良いような。こんな対決書くの俺だけだろうな。我ながら下らない。

690 名前:マロン名無しさん:03/02/13 22:49 ID:???
パオ仕事忙しそうだな。まあ、やばくなりかけたら保守しとくな。
がむばってくだちいな。

691 名前:マロン名無しさん:03/02/13 23:22 ID:???
今まで言おう言おうと思って黙っていたけど・・・
もしかして、漏れはパオさん好きだったりしまつ
数日空こうが気長に待ってるんで、その代わり濃いの期待してるんで
がむばってくだちい。

692 名前:マロン名無しさん:03/02/14 01:09 ID:l7jyj3gk
漏れ、直リンでここに来たンでよく知らないんだが、パオってそんな有名人なの?>2chで

693 名前:マロン名無しさん:03/02/14 01:13 ID:bWB0n9Md
>>692
彼はこのスレ限定で神です。2chで有名ってわけじゃないと思う。

694 名前:マロン名無しさん:03/02/14 05:15 ID:JNafI6YI
すげーよパオさん
さっきこのスレ見つけたけど一気に全部読んじまった…
柳は強いしシコルスキーは男を上げたし…ほんとこんな死刑囚達が見たかった
パオさんの作品じゃないけど、ドリアンとドイルの過去編もよかったです

特に柳がいい、武道家とは違う種類の異質でかつ圧倒的な強さってのが良く現れてて
正直、もっと烈を圧倒しても良かったと思います
あと、ガイア如きには負けないで欲しい…

でわ、続編楽しみに待ってます(w

695 名前:パオ:03/02/14 22:09 ID:9DObYpGM
申し訳ない。本当に申し訳ない。今日も書けないっす。尋常じゃなく忙しい。
いや、仕事だけでなく私事も。義理事なのではずせない。本当すみません。
その代わり明日の夕方から少し余裕出来るんで、「柳編」はガイアと達人の間に
もう一戦入れます。ラスト間際でこんなハマルとは。すみません。
692様、全然有名じゃないすよ。ただ、「2ちゃんねる漫画用語辞典」というスレを
立てた時、1の立場を利用して好き勝手やり過ぎ、皆さんにご迷惑掛けました。
その時の自分の愚かしさゆえ、一時期少年漫画板で一番の嫌われ者だった。それだけっす。
もしこのスレを気に入っている方がいたらすみません。土日は気合入れて書きます。失礼。

696 名前:マロン名無しさん:03/02/14 23:10 ID:nJzYRNhW
パオさん、焦らないでください。
我々読者は非常に楽しませて頂いてます!

697 名前:マロン名無しさん:03/02/15 00:07 ID:???
バオさんの作品を楽しみにしていますが、
だからこそ、じっくり書いて欲しいと思っています。
忙しいときは、無理しないでね

698 名前:マロン名無しさん:03/02/15 09:46 ID:A3pzO0ST
っつーか誰かこの傑作をサイトにまとめようって香具師はおらんのか?
まぁその時はパオさんにも誤字含め改訂して頂けると2ch史に残る神決定なんだが

699 名前:マロン名無しさん:03/02/15 14:17 ID:???
パオさんが良ければやらせて頂きたいです。

700 名前:マロン名無しさん:03/02/15 14:31 ID:NLE1FKV+
>>698
私も激しく同感です。

701 名前:マロン名無しさん:03/02/15 15:37 ID:???
http://yamuchayamucha.hp.infoseek.co.jp/baki/bao.htm
すまんのぉ、今忙しくてコレが限界じゃ

っていうか、一番申し訳ないのは
全く関係のない二つのネタと混ぜてるって事か・・・

702 名前:662の続き:03/02/15 23:39 ID:mo8dff9g
(ククク、これは良い場所だな)廃墟と化した工場に潜入する柳。天井からぶら下がった大きな鎖。
中央に構える大型の機械。床にはガラス片などが散乱している。暗い。周りの様子がわかる程度。
しかしそれは常人においてである。柳は闇の世界の住人である。その暗さが心地よい。しかも。
(わかる・・。全ての様子が手に取るように)・・烈との死合い以来、妙な感覚が彼を包んでいる。
例えば。目の前の男がタバコを吸っている。ふと、柳は(コイツは5秒後に火を消す)と予感する。
すると1秒の狂い無く目の前の男はタバコを消すのだ。偶然でない。究極の先読み、見切り。それを。
柳は身に付けた。超人的な感性。神経が異常に研ぎ澄まされている。烈がくれた「恐怖」によって。
神経を聴覚に集中する。サクリ。ガイアの地を踏む音。ガイアは潜入術、無音殺人術のプロである。
その地を踏む音は決して人に捉えられる音ではない。だが柳は。「良く来てくれたね、私の為に・・」
!?まさか。偶然に決まっている。完璧に気配を消していた。今まで俺の侵入を看破した者などいない。
だが、この男、私のストーキングを気付いていた様子が有った。チラ、とこちらに視線を向けた事も。
だがありえない。偶然に決まっている。素人ならともかく、プロの俺が。あれだけの距離を取りながら。
柳。「昨日から尾行してくれたね。かなりの手練だ。名を聞かせてもらえるかな?」ガイアは驚く。
やはり、この男、最初から気付いて・・。ガイアは自分の甘さを痛感する。命令は捕獲せよ、だった。
確実に仕事を成すには、やはりストーキングから奇襲→捕獲、ではなく、狙撃をするべきであった。
最早気配を消しても無駄だろう。どうやら暗闇での戦闘は、この男の方が上の様だ。軍人の自分より。
ガイアは柳の目の前に姿を現す。 「野村・・。戦場ではガイアと呼ばれる。君を捕獲に来た・・」



703 名前:702の続き:03/02/16 00:18 ID:OxonA2yR
ガイア。その名を聞いて柳は喜ぶ。自分と同じビッグネーム。烈以来、ようやく「敵」に会えた。
今までのエサではなく。「ククク。お互い名前は良く聞くが・・ようやくお会いできたね・・ガイア君?」
戦闘態勢の柳。ガイアは答える。「出来れば会いたくなかったがね。挨拶だけですまないだろうからな」
ガイアは銃を携帯していない。環境利用闘法。それが彼の流儀である。武器は簡素なコマンドナイフ位。
その場、その場で武器を調達し、地形に合わせた戦術を紡ぐ。「大地の神」と言われる由縁である。
戦場で強いのは、腕力が強いことではない。相手の背後を取れる事。相手に気取られず、後ろから殺す事。
戦場は生き残った方が強いのである。そしてその闘いで自分は絶対の自信が有る。範馬勇次郎を除いてだが。
闇に同化し、柳と距離を取る。柳は最初の場所から動かない。最初に闇での戦闘はこの男の方が上と思った。
しかし、それは錯覚であろう。何故なら自分は「戦闘」のプロである。コマンドナイフを構える。柳を見る。
・・殺れる。隙だらけである。暗闇に目が慣れないのだろう。微動だにしない。柳との距離、約7メートル。
柳を中心に、ゆっくりと半円を描いて回る。柳の真後ろに立つガイア。後、5歩程前に出れば、首を斬れる。
パチン。一瞬、何が起ったか驚愕するガイア。顔に何か当たったのである。2発目。よく見るとガラス片。
床に落ちている物と同じである。まさか?確かに柳は背中を向け、目の前に立っている。この男が投げたのか?
「つまらん。噂に聞くガイアとは、このレベルか・・」 ガイアは悟る。やはり、闇の戦闘はこの男の方が。
柳は急にガイアの方へ振り向く。冷たい目で見据える柳。やはり見切られている。恐怖で総毛立つガイア。
「君に合わせてやってこれか・・ま、烈と闘う前に君と遊べば、もう少し持ったかもな・・」ゆっくり近づく柳。
ガイアは恐怖で動けない。圧倒的なランクの差。「選べ。右か、左か・・」両手を出す柳。死神の様に笑いながら。
ガイアは柳にあの男を重ねている。かって、手も足も出なかった範馬勇次郎である。柳。「選ばなければ殺す・・」
「ひ、左・・」ガイアは気弱な野村に戻っている。笑う柳。「君は、運がいい・・」・・・・そして空掌が唸った。


704 名前:パオ:03/02/16 00:28 ID:OxonA2yR
申し訳無い。あれだけ沢山書く、といってたった2レス。しかもガイア雑魚化。出来もひどい。
ただ、柳編はガイアの次、達人の前に闘う男がある意味主役です。次の闘いを期待して下さい。少しだけ。
日曜中には次の闘いを終わらせる様にします。相変わらず約束は出来ないですが。
さて、雑文に過分な評価ありがとうございます。ここの私のネタは、お好きに使って頂いて結構です。
でもサイトにまとめるんですか。恥ずかしいなあ。  では、また明日。明日は多目に書きたいなあ。

705 名前:マロン名無しさん:03/02/16 01:09 ID:e7wCdSO+
ドンマイ、パオさん。大丈夫。OKっす。

706 名前:マロン名無しさん:03/02/16 01:34 ID:???
ガイアが栗木御大と同じ扱いって…。
忙しいのは仕方ない。プロじゃないんだから休載もやむなしでは?

707 名前:マロン名無しさん:03/02/16 03:47 ID:???
ガイア、いいとこなしか…(このスレの)柳に負けるのはわかっていたけど…
本編の戦い方(砂まぶしたから見えないって…)があんまりだったから、
読んでいて思わず唸ってしまうような環境利用闘法を発揮するガイア、
そして、それすらを打ち破る柳を見たかったなあ。勝手言ってすみません。

次の闘い、無理して焦って納得いかないものウpするよりは、
少し遅れても一向にかまわんですので納得のいくのを書いてください。
どうせ本編にも待たされてるし(w 気長に待ちます。頑張ってください。

708 名前:703の続き:03/02/16 10:10 ID:OxonA2yR
倒れたガイアを見下ろす柳。自然と笑みがこぼれる。(・・烈、貴様は大変なプレゼントをくれたよ・・)
そしてゆっくりと歩き出す。悪魔の様に笑いながら。(細胞が全て覚醒している様だ・・) 自分の天才。
この世で最も純粋な武才。全て目醒めた様な気がする。烈海王、という最高の「敵」によって。
道の真ん中を堂々と歩く。目は赤く血走り、異様な殺気が彼を包む。道行く人はこの160cm程の男を避ける。
(この私ならば、バキなど)闘技場対決の第三試合の結果は知っている。柳の予想を覆し、バキが勝利した。
しかし敵ではない。注意すべきは鬼の形相、それだけである。自分ならば、鬼が覚醒する前に屠る事が出来る。
(あのオリバという男も情けない。せっかくいい実験材料と思ったのにな)柳はオリバを仮想・勇次郎と見ていた。
実験は息子でしよう。範馬の血と、自分の天才。どちらが上か。考えると心が踊る。勿論、バキに負ける気は無い。
バキを倒し、闘いを挑む。範馬勇次郎へ。この男に対しては今の自分でも正直、勝算は無い。だがこの男を越えねば。
(私の望む高みには辿り着けん)今まで、強くなる為に幾多の人間を殺してきた。「実験」で。高みを極める為に。
そして勇次郎を超えたとき、自分は全てを超える。その為にはまだ足りない。強者の血が。闘いが。実験が。
・・獲物を探し、さ迷い歩く柳。今日はもう一匹食おう。そして深夜。やっと獲物らしき者を見つける。柳は笑う。
(モノ足りん相手だが、贅沢はいえんか。それに、若いというのは、それだけでいいモルモットになる・・)
眼下の河原。そこに、数十台のバイクが止められている。50人以上の暴走族の若者。しかし、柳の目的は一人。
最大トーナメント。その闇ルートのビデオを柳は既に手に入れている。ボクシングヘビー級チャンプを破った男。
その男が暴走族の群れの真ん中にいる。地上最強の不良、柴千春である。

709 名前:マロン名無しさん:03/02/16 10:28 ID:???
このスレ、何気に『栗木』『ジャガッタ』『山本』の三大ネタキャラが全員出てるのな。

710 名前:708の続き:03/02/16 11:21 ID:OxonA2yR
集会の途中。特攻隊長・柴千春は大声でハッパを掛ける。「おるぁ、てめえらサツなんぞにイモ引くんじゃねえぞ」
これから族のメンバー54人を引き連れ、街を暴走する。千春の気合がビリビリと周りに響き渡る。しかし急に。
「うわあッッ」メンバーの一人が悲鳴を上げる。それに続き、あっという間に8人ほどの男がメンバーが地に伏す。
千春は叫ぶ。目の前に歩いて来た男に。「誰だてめえッ、何襲撃してやがるッッ」その男は異常な妖気を放って笑う。
「いけないねえ。社会のルールは守らなくては・・」柳龍光。隊員を蹴散らし笑う。千春以外は動けなくなってしまう。
千春は殴り掛かる。「家族イタぶってんじゃねえ、コラァ」 アイアン・マイケルに殴り勝った千春の拳。しかし柳は。
ゆっくりと構える。笑みを浮かべながら。千春の拳が迫る。柳はスッ、と20センチ身を引く。千春の拳。柳をかすめる。
ギリギリの見切り。しかし柳は余裕の笑み。「おるあッ」千春の蹴りが唸る。またも柳は15センチだけ首をかしげる。
柳の顔の横を通過する千春の足。まるで最初から蹴りの軌道がわかっていた様に。柳はニヤリ、と笑い、そして叫ぶ。
「素晴らしい・・分かるぞッ、相手の攻撃が全てッ。技が出された瞬間にッ」 そして千春にボディブローを叩き込む。
這いつくばる千春。見下ろしながら両手を見せ、柳は問い掛ける。「右と左・・どっちがいい?」ゾクリ。殺気、妖気。
凍りつく暴走族。動けない。ここにいる50人以上全て、この中年の小男に支配されている。しかし、ただ一人。千春。
「右も左も・・関係あるかいッ」・・そして殴り掛かる。メチャクチャに。基本も何も無い、ただの腕、足の振り回し。
だが、柳は喜ぶ。(これはイキがいい・・)自分の殺気。それを受けながらこの男は一番近くにいて、心が萎えない。
絶対的な力の差は分かる筈。それでもこの男は掛かってくる。(伊達に世界チャンプとの喧嘩に勝ったわけではない、か)
しかし柳に千春の攻撃は当らない。「先読み」。千春の眼球や、筋肉の動き等の起動モーションにより、全てを見切る。
千春はまるで一人でダンスを踊っている様だ。柳は鼻歌混じりに攻撃をかわす。バチバチ。千春の目の前に火花が散る。
千春の顔面に、柳のは上段蹴りが決まったのである。細身の体から信じられない威力。吹き飛び、ゴロゴロと転がる千春。



711 名前:710の続き:03/02/16 12:17 ID:OxonA2yR
「た、隊長ッ」隊員が叫ぶ。柳は辺りを見回す。「隊長さんは今からヒドい目にあうよ・・止めたければいつでもおいで・・」
まるで金縛りにあった様に、隊員達は動けない。「チ、畜生ッ、隊長がピンチなのに、足が震えて動かねえッ」 泣く隊員達。
千春はヨロヨロと立ち上がる。「ホウ」感心する柳。毒手も空掌も使ってないとは言え、自分の全力の蹴りが顔に入った筈だ。
「ジジイッ、これは俺とてめえのタイマンだ・・家族にゃ手ぇ出すなッ」叫びながら突進する千春。右ストレートが柳を狙う。
柳はその腕の伸びを完全に見切っている。スッ、とかわし、千春の胸に掌打を叩きこむ。再度吹き飛ぶ千春。柳は笑って言う。
「ジジイとはひどいね。柳龍光、という立派な名前があるというのに・・」 柳龍光。その名を聞き、千春はハッとする。
(死刑囚・・) ドリアンにやられた花山薫を見舞いにいった時。(死刑囚と事構えるな。おめえに言っても無駄だろうがな)
花山の言葉である。その時は押忍、と言って別れた。しかし、今は。(すいません花山さん・・家族守れんの、俺だけなんす)
そして立ち上がる。「おるあッッ」気合を入れて殴り掛かる。だが哀しいが柳に拳は届かない。「通用しないよ、何も・・」
柳は冷淡に言い、顔面へ正拳を叩き込む。鼻血が噴水の様に飛び出す。しかし千春は何度でも立ち向かう。
何回も。千春が柳に飛び掛る→全ての攻撃をかわし、反撃する柳→血を吐き吹き飛ぶ千春→立ち上がる千春、という繰り返し。
小一時間同じ作業が続いただろうか。千春はボロボロである。隊員は皆泣いている。柳は苛立つ。 「いい加減にしろッッ」
スッ。千春の胸、手前3センチに柳の拳が止まる。そして爆発的に加速するコブシ。ワンインチパンチ。烈から盗んだ技。
血を吐き、吹き飛ぶ千春。今度はピクリともしない。「雑魚がッ時間を取らせおってッ」その言葉。隊員の目に怒りが浮かぶ。
許せない。この男だけは許せない、と。柳は軽んじていた。才能も無いただの人間の、純粋な怒りを。

712 名前:711の続き:03/02/16 12:24 ID:OxonA2yR
「うわあッ」一人の隊員が柳に殴り掛かる。怒り。尊敬する千春を嬲り、侮辱した事。それが柳への恐怖の束縛を解いたのだ。
「ク、クズの分際でッ」柳はその隊員を殴りつける。気絶する隊員。しかし。「舐められてたまるかッ」 「隊長を守れッッ」
50人の隊員が次々に柳に飛び掛る。「クズどもがッ。貴様らなど千人いようがモノの数では無いッ」 柳は暴れ狂う。しかし。
隊員たちは何度吹き飛ばされ様が、起き上がり柳に向かっていく。血だらけになりながら。まるで全員が柴千春になった様に。
柳。50人の攻撃にも一切手傷は受けていない。彼に攻撃は当らない。しかし。(・・な、これはっ) 腕が震えているのだ。
ブルブルと。疲労では無い。(まさか、私がこんなクズどもに・・)恐怖。無敵の柳龍光が、確かに素人に恐怖を感じている。
「き、貴様らァァッツ」雑魚の分際で、私に恐怖を・・。怒りの柳。20人、30人。動けなくなった隊員が増えていく。やがて。 
柳の目の前に立っている人間はいなくなった。圧倒的な強さである。しかし、柳の手はまだ震えている。(・・バカな、私が)
呆然とし、立ち尽くす柳。その肩を、ポンと誰かが叩く。振り返る柳。「おるあッツ」 その瞬間、火花が飛んだ。頭突き。
千春のチョーパンが柳の顔へ突き刺さる。「てめえ、よくも家族をいたぶってくれたな・・」千春が鬼神の様に仁王立ちしていた。
更にチョーパンの追撃。「ゴルァッ」気合の千春。柳の鼻が潰れ、血が吹き出す。柳の手の震えが加速する。「き、貴様、まだッ」
千春の目は既に尋常で無い。「まだ、だと?家族殴られて寝ていられるかッッ」 千春の蹴りが唸る。素人丸出しの蹴りである。
しかし、柳はこれをかわせない。命中し、吹き飛ばされる。千春は叫ぶ。血だらけのまま。
「覚悟しろよッ、俺の家族イタブッてくれたんだからよッ」

713 名前:パオ:03/02/16 12:40 ID:OxonA2yR
申し分けないです。やはり、練り込んでないガイアを書き込んではいけなかった。
すみません。これからはもう少しまともになると思います。
あと、キャラの強さと活躍度合い何ですが、これはパオの好みです。すみません。
必然的にカツミンと達人は出番が多くなってしまった。死刑囚は最初の印象で決めてます。
刑務所脱走時、シコル、スペック、ドイルは烈・渋川以上、柳とドリアンにいたっては
マッキシングジャック以上の強さと思っていました。柳は強いと思ったがなァ。もう少し。
だから柳は最後まで残しました。夜に柳と柴ちゃん対決は終わらせます。では。

714 名前:マロン名無しさん:03/02/16 12:45 ID:???
おお…まさかここで柴千春が登場するとは…
完全に裏をかかれました(w

これで柳は、また一つ恐怖を知るわけですね
結果として強くなるのか弱くなるのか…
夜を楽しみに待ってまつ(`・ω・´)ムフー

715 名前:マロン名無しさん:03/02/16 16:27 ID:???
よきあの時代の原作以上の千春が・・・。
感動しました。
頑張れ!

716 名前:マロン名無しさん:03/02/16 17:03 ID:???
正直、だれかにガイア対柳を書き直して欲しい。結果は同じでも構わない。
ただ、ただ・・ただッ・・・!

も っ と ガ イ ア は カ ッ コ イ イ は ず だ ッ ッ ! ! !

717 名前:マロン名無しさん:03/02/16 17:07 ID:???
>>716
人格的にノムラ(もしくは他の人格)だったんだと、脳内補完(w
どうせなら続き物にして、本当にガイアに覚醒して再度挑戦するストーリーとか。

718 名前:マロン名無しさん:03/02/16 18:51 ID:???
>716-717のどちらのパターンでもいい。ガイアに対するフォローが欲しい。
別にガイア特別に好きってわけじゃないけど忙しさにかまけてどんどん
ストーリが適当になっていった(忙しさだけじゃない気もするが…)板垣と
同じ事やってたんでは何がなにやら…。

719 名前:マロン名無しさん:03/02/16 19:16 ID:HQWQKscm
このままではガイアが山本以下に!?
と、違う人が書いたのを承知であえて言ってみるテスト

720 名前:補完担当者:03/02/16 19:36 ID:???
>>703
ばん。

野村の頭蓋をぐずぐずにするはずだった空掌が、いきなり見えない何かにぶち当たったかのように
動きを止めた。

「ム!?」
その瞬間まで、己の絶対的な優位と野村の確実な敗北を信じて疑わなかった柳は、ほんのわずか
だが、表情を強張らせた。
見れば、己の左手が、野村の頭蓋があるべき位置から数センチ離れたところで静止している。
まるで、初めからそこが空掌の打撃点であったかのように。

そして、空掌を止めたものは-野村の右腕だった。
肩口から先が別の生き物のように、くの字に折り曲げられてガードを形成し、柳の恐るべき左手を
手首のあたりで堅固に受け止めている。

考えるより先に、柳の右手-毒手が唸った。
当初のイメージとはことなる止めの刺し方にはなるが、柳の心奧にある本能がそれを要求したのだ。
毒手が動き出したコンマ数秒後、柳は内心で舌打ちする。

…ち、予告どおりにいかぬとはな。

野村の左手は、毒手を遮る動作を見せない。
おそらくは、柳の切り返しが余りにも素早いので対応できないのだろう。
柳は、シナプスが許容しうる限りの速度で己の勝利再びを確信した。

…まあ、腐ってもガイア。土壇場で少しはやるようだが、これで…

ぱちん。

その瞬間、柳の視界が一挙に暗転した。

721 名前:補完担当者:03/02/16 19:54 ID:???
>>720
「ぬっ!」
眼球に吹き付けられた何か、その正体を確認する前に、柳の体が後ろに飛んだ。
当然、毒手は野村の生命を抉ることなどかなわぬままに空を切る。
立ったままの姿勢から、人間とは思えないような跳躍力で野村から2メートルばかり距離を
おいた柳は、素早く目のあたりを拭った。

何かが掌に刺さる感触と、奇妙に生暖かく、粘っこい液体の手触り。
それを感じ取った瞬間、柳は野村が何をしたか悟った。

…ガイアめ、私が投げたガラス片を!

おそらく、顔のどこかに刺さったガラス片を口に入れ、たっぷり唾液を含み、噛み砕いてから
柳目掛けて吐きつけたのだろう。
柳は、止めを刺そうとしたそのとき、けして野村から視線を外してはいなかった。
不意の反撃に備え、圧倒的な優位を確信しつつも、警戒は怠っていなかった。
それなのに。
野村は、怯えに染まりきった表情の中で、密かに反撃の手はずを整えていたのだ。
それも、柳が野村を屠らんとするまさにその瞬間に。

さらにバックステップで距離を取りながら、柳は視界を遮っていたものを完全に拭い去る。
咄嗟に顔をねじり、目を閉じていたため、すぐに視界は回復した。

野村は、顔を俯けたまま、いまだそこに立っていた。
だが、様子が明らかに先ほどとは異なる。
柳の実力に怯えきり、今まさに食われんとしていた小動物のごとき空気は、吹き散らされたかの
ように野村の周囲から消え去っていた。

俯いたままの野村が口を開いた。
「やれやれ、コイツはエンジンがかかりにくいから困るな・・・」
その口調からは、さきほどまでの弱々しさが完全になくなっていた。

722 名前:マロン名無しさん:03/02/16 19:59 ID:???
このSSを、ホムペにまとめてみようかな

723 名前:補完担当者:03/02/16 20:00 ID:???
横レス大変失礼いたしました。平にご容赦を>パオさん&スレ住人のみなさん

まあ、ガイアの見せ場が何もないというのはちょっと悲しかったので、
少しばかり付け加えさせていただいた次第です。
ちなみに、この後の展開はパオさんのストーリーどおり、ガイアの敗北となりますが、
あまり長くしすぎてもよくないので、この辺で切り上げることとさせていただきます。

要は、この後「本気を出したガイアとアクセルベタ踏みの柳のバトルが繰り広げられる」
ことをみなさんにお分かりいただければ、ということで・・・・・・。

スレ汚し失礼しました。それではROMに戻ります。

724 名前:722:03/02/16 21:16 ID:???
とりあえず、無断でこれだけ作ってみた。
パオさんがよければ全てまとめておきたいです

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Queen/1309/top.html

725 名前:722:03/02/16 21:31 ID:???
それと、まとめるさいにあたって
高2さんの部分カットしちゃっていいですか?

ナマ言ってすいませんけど、そのほうがいいと思って・・・

726 名前:マロン名無しさん:03/02/16 22:27 ID:e7wCdSO+
>>725
気持ちは分からんでもないが、なんか可哀想・・・・・。

727 名前:マロン名無しさん:03/02/16 22:41 ID:???
元々のスレの趣旨がリレー小説にしようという事だったからね。
それがバオの書いた文章があまりにも良いんでみんなバオ一人に任せるという流れになった。
なのでこのスレのまとめサイトを作るというのなら高2のやつも入れた方がより適切だとは思う。
ただまあこだわるほどの事でもないんで最終的にはあなたの一存でいいと思うよ。

728 名前:マロン名無しさん:03/02/16 22:44 ID:xTsf+gOv
パオさん>
半日かかって全部読みました
最近の場木は呼んでいませんが
非常に面白く読ませて頂きました
俺にはマンガよりこっちの方がオリジナルです
頑張ってラストまで書き綴って下さい

729 名前:722:03/02/16 23:07 ID:???
私は、パオさんのだけでまとめたいんですけど
それで見直してみると、シコルの強さを見せる場面が無くなってる・・・
うーん、どうしよう

730 名前:722:03/02/16 23:28 ID:???
贅沢ですけど、穴埋めとしてパオさんに
原作とまた違った猪狩VSシコルを書いてほしい・・・・・・・・・・・・・・・・・といってみるテスト




書いてほしいなぁ・・・

731 名前:マロン名無しさん:03/02/16 23:43 ID:???
>>722
高2のやつ使ってやれよ。
パオとくらべちゃさすがに落ちるが、それほど酷い出来でもないぞ。

732 名前:マロン名無しさん:03/02/16 23:52 ID:???
>>731
あの大男がよくわかんねえよな

733 名前:マロン名無しさん:03/02/17 00:31 ID:???
せめて、モデルになった奴だけでもばらしてくれてればよかったんだけどね

734 名前:マロン名無しさん:03/02/17 00:45 ID:???
>>733
外出だとは思うが、ボブ・サップではないかと。
それにしても、補完担当者のレス、えらい中途半端なところで終わってるな。
どうせなら柴編の冒頭まで書けばいいのに。

735 名前:マロン名無しさん:03/02/17 01:21 ID:uSHK0dDE
ここって、次スレ行くのかなあ。
というか、いってほしい。

736 名前:712の続き:03/02/17 03:22 ID:/TzsXxPq
(この私がこんなクズに・・) 柳の目に怒りが浮かぶ。だが、それ以上の恐怖で体が動かない。
千春はズンズン近付く。「おるあッッツ」 柳の顔へ何発も蹴りを叩き込む。柳は避けられない。
柳の天才的な「先読み」が、「恐怖」によって凌駕されている。柳の髪をつかみ、無理矢理立たせる千春。
「俺たちゃ不良かも知れねえ・・だが、てめえみたいに腐っちゃいねえッ」柳の顔面へめり込むコブシ。
柳の中にムクムク起き上がるモノがある。烈との死合いの時に感じたモノ。敗北感。右の皮手袋を見る柳。
(毒手・・空掌?この私がこんなガキに追い込まれて使うのか?) 出来ない。柳のプライドが許さない。
攻撃していた千春が宙を一回転する。柳の投げ、渋川流である。「ガキが、調子付きおってッ」叫ぶ柳。
何度も顔面を踏み付ける。「ああ、隊長ッッツ」 泣きながら叫ぶ隊員たち。柳は大きく深呼吸する。
「クオオオッッ、コッッ」 空手で言う息吹である。柳から先程の恐怖心が消える。腕の震えが消える。
「小僧がッツ殺してやるッ」 フラフラと立ち上がる千春の顔面に強烈なヒジを入れる。だが倒れない。
千春は隊員へ吼える。「心配すんなッ。こんなジジイとは気合と根性が違うぜッ」そして柳へ殴り掛かる。
(気合と根性・・そんなモノで私と・・)張り合えるのか。烈を倒し、ガイアを圧倒したこの天才の私に。
「うるアッツ」 再び攻撃を仕掛ける千春。しかし、柳は先程の「息吹」で冷静さを取り戻している。
「もう・・2度と君の攻撃は当たらないよ・・君が死ぬまでね・・」 恐るべき先読み。死神の復活である。

737 名前:736の続き:03/02/17 03:48 ID:/TzsXxPq
(もう大丈夫だ。こんなクズの攻撃が私に当たる訳は無いッ) 先程の恐怖。心の乱れ。
「息吹」は呼吸を整える為だけにあるのでは無い。精神面の動揺を鎮める効果も持つ。
完璧なる「先読み」。千春は必死で攻撃する。しかし、全くカスリもしない。そして柳。
ズン、とカウンターでボディへヒザを出す。更に延髄に手刀を入れる。崩れ落ちる千春。
「もう殺すよ、君は・・」 柳の構えが変わる。烈海王の「神域の突き」の型である。
ヒュン。千春の胸に柳の手刀が突き刺さる。10m以上吹き飛ぶ千春。血を吐きながら。
「ああッ隊長ッッ」 隊員は泣く。もう駄目だ。隊長が死んでしまう・・。柳は笑う。
「貴様らも私に刃向かってくれたね・・。大好きな隊長さんと同じ場所に送ってあげるよ」
「ギャアアッツ」 「ひいいッツ」 若者達の悲鳴が響く。地獄絵図。殺戮と暴虐の柳。
不意に。柳の後ろから殺気がする。「き、貴様、まだ・・」 ゆらりと千春が立っている。
「家族に・・手ぇ出す・・なって・・いっただろうがッツ」 滅茶苦茶に暴れる千春。
しかし柳の「先読み」の前に攻撃は全て空を切る。だが柳の胸にまた恐怖が湧き上がる。
(こ・・こいつ、死ぬのが怖く無いのか?」 無数の突き蹴り。ワンインチパンチ。
そして神域の突きまでまともに食らって、この男は立ち上がってくる。(倒せない・・?)
自分の肉体の技では倒せないというのか。毒手や空掌でも使わない限り。(み、認めんッ)
千春。全く当たらないパンチを必死で振り回す。おそらく、本当に死ぬまで。柳は叫ぶ。
「貴様ッツ、もう許さんッッ」 左手を二本指貫手の型にする。千春の攻撃をかわし、
その指を千春の右目に放り込む。ズブズブと柳の指が第2関節まで沈む。・・だが千春。
自分の目に柳の指が入った状態。そのまま、柳の左手の手首をつかむ。そしてニヤリと笑う。
「捕まえたぜ・・やっと。これなら、攻撃かわせねえだろ?」 そして柳の顔面がはじけた。



738 名前:パオ:03/02/17 04:06 ID:/TzsXxPq
皆様、ガイアは大変ご迷惑をお掛けしました。補完担当者様、申し訳ないです。
自分も本編全てが終わった後、もう一度書きたいと思います。レスに余裕があればですが。
722様、立派なサイトありがとうございます。いくらでもここの私のネタは使って下さい。
ですが、高2さんのを削除するのは反対です。高2さんが最初に協力してくれた時、
本当に嬉しかったから。彼とバキスレは俺さんは大事な協力者ですので、ご理解下さい。
では、また月曜夜位に更新します。失礼します。

739 名前:マロン名無しさん:03/02/17 05:18 ID:5+6jnjGk
バオさんありがとー
俺今日初めてこのスレ見つけて全部読んだけど
独歩VS克己でマジ涙目になったよ

740 名前:マロン名無しさん:03/02/17 05:20 ID:???
↑○パオ×バオっすね。失礼しました

741 名前:737の続き:03/02/17 09:37 ID:bWkyWGL/
「ゴルァッッ」 千春の鉄拳が唸る。柳の顔面を捕らえる。前歯を叩き折る。信じられない顔の柳。
(こ・・この男・・自分の命を囮にして私を捕らえたのか?) ガクガクと足が震える。千春の蓮撃。
「オラオラオラオラッッ」 相手の手首を捕らえた状態である。いくら柳の「先読み」が完璧でも、
全ての攻撃をかわす事は出来ない。滅茶苦茶にコブシを振り回すだけの攻撃が、柳の肉体を削っていく。
(負・・ける?この私が?こんなガキに?) 烈を超え、勇次郎に迫る力を手に入れた筈の自分。
毒手。その言葉が頭に浮かぶ。もうなりふり構っていられない。だが、右手には皮手袋がはまっている。
左手の指は千春の目玉にめり込んでおり、手首をつかまれている。この状態では手袋を外せない。
千春の攻撃は続く。顔の形が変形していく柳。敗北、その言葉が頭を過ぎる。「こ、小僧、これでどうだッ」
柳はそう叫ぶと、千春の目玉にめり込んだ指を、グチャグチャとかき回す。目の激痛は耐えられない・・筈。
一瞬、動きが止まる千春。柳は大きく笑う。「クハハハ、殺法家に歯向かった事を後悔したか、小僧ッツ」
しかしそれは柳の虚勢である。既に柳の心は恐怖と敗北感で包まれている。それを認めない為に笑うのだ。
指を目玉から抜こうとする柳。だが千春。激痛をモノともせず、つかんだ手首を放さない。ニッ、と笑う。
「つくづくダセえ野郎だな、てめえは・・。俺は特攻隊長、チームの父親だぜ・・」 そして千春は叫ぶ。
「父親ってのはな、家族守るためならいつでも死ねるんだ・・。目ん玉一個くらいナンボのもんじゃッツ」
隊員たちがその言葉に涙する。「隊長ッツ、もう少しっすッツ、このタイマン、絶対隊長の勝ちッスッ」
50人の隊員達の大千春コール。「チッハッル、チッハッル」その声に押されて千春の拳は更に加速する。
柳は少しずつ意識が遠くなる。(そうか・・もうすぐ負けるのか・・私は・・)

742 名前:741の続き:03/02/17 10:00 ID:bWkyWGL/
敗北。その言葉が柳の頭の中で大きくなる。それと同時に、意識が少しずつ遠のいていく。
(何故だ・・こんなガキに・・戦闘能力は私や烈の半分も無い男に・・)そんな疑問が沸く。
ガシッガシッ。千春のコブシが唸り続ける。ダメージは千春の方が酷い筈。なのに何故・・。
気概?根性?いや、もっと大きく強いモノだろう。先程この男は自分を父親と言っていた。
(カ・・ゾク・・アイ?)朦朧とした中そんな言葉が浮かぶ。自分が昔捨てたもの。駄目だ。
認められない。それを認めては、私は何の為に今まで殺戮の人生を歩んできたのか・・。
柳の目がカッ、と見開く。千春。「おうおう、死んだ奴が生き返ったか。また殺ってやるぜ」
柳は殴られる中、自分の右手を顔まで持ってくる。そして、皮手袋を噛み、無理矢理外す。
毒手開放。だが、今までの獲物の様に止めを刺すために毒手を使うので無い。使わされたのだ。
千春の顔を見る柳。 (烈・・?) 千春の顔と烈海王の顔が重なる。烈と闘った時の恐怖心。
それがよみがえる。柳は必死に毒手を振り払う。シュンッ。毒手が千春の胸を切り裂く。
「クアッ・・」 千春の目の前がグルグルと回る。「て、てめえ・・」 千春は崩れ落ちる。
柳。奇声を発しながら倒れた千春を蹴り潰す。「ガアアッ。死ねッ、死ねッ、死ねッ、死ねッツ」
ついに、千春。ピクリとも動かなくなる。毒が体を支配してしまったのだ。柳龍光、勝利である。
しかし。この直後。勝利した筈の柳に、「敗北」が待っていたのである。

743 名前:パオ:03/02/17 10:12 ID:bWkyWGL/
夜には柳千春は終わります。遅れ遅れですみません。739さん、応援ありがとうございます。
ホントこのスレのネタは辛いけど、もう少し頑張れます。そういう応援レスがあると。
厳しいご意見は多分、期待の裏返しだと思います。でも、なるべく暖かい目で見てね。
正直、気合入れすぎた「闘技場編」終わって少しユルユルでした。ガイアとか。
気合入れなおします。最後まで駄文にお付き合いの程を。では、夜に。

744 名前:マロン名無しさん:03/02/17 10:32 ID:???
目をつぶされてなお闘う奴ってのは何人かいたけど、それを反撃のチャンスにした
のはこの柴千春だけだろうな。
かっこいい。

745 名前:マロン名無しさん:03/02/17 11:44 ID:uSHK0dDE
まさか千春がここまでやるとは・・・。
原作の柳なら瞬殺されてるところだった。

746 名前:722:03/02/17 15:50 ID:???
すいません。パオさんの気持ちも考えないで
勝手なことを言って。わかりました。全部そのままのっけます

747 名前:722:03/02/17 16:18 ID:???
大男に名前つけたいなぁ・・・
勝手にボブサップにしちゃいましょうか?
あ、そういや舘岡ってのがいましたね・・・

748 名前:742の続き:03/02/17 18:45 ID:q6lFT29X
「た、隊長・・」 呆然とする50人の隊員。千春はもう動かない。顔面が青白く変質。わずかに意識がある程度。
柳。狂った様に千春を蹴り続ける。憎しみ。怒り。そして恐怖。その感情が柳から完全に冷静さを奪っている。
しかし。ゾクリ、と柳は背後から殺気を感じる。1人2人では無い。数十人の殺気。慌てて後ろを振り返る柳。
暴走族の若者達。その小さな殺気が50人以上の塊となって柳の殺気を圧倒する。驚愕する柳。一人の隊員が叫ぶ。
「俺は死んだっていいッツ、だけどてめえだけは必ず殺すッッ」 その一言が皮切り。 「隊長の仇を取れッツ」
ウワアッ、と気勢を上げ柳に飛び掛る50人。先程の「怒り」だけではない。「覚悟」。死んでもこの男だけは・・。
柳は恐怖しながらも毒手を振り回す。5人ほどの隊員が泡を吹き倒れる。しかし若者はひるまない。何人も特攻する。
やがて。柳の右腕に2人掛かりでぶら下がる。腰には2人、柳の動きを止めようとする若者。両足には各々2人づつ。
計8人。その人数が柳の身体にまとわりつく。「き、貴様らクズの分際でッツ。殺されたいのかッツ」 柳は叫ぶ。
だが。その8人は怯まない。柳は彼らの目を見て確信する。差し違え。自分の身を犠牲にして私を倒そうとしている。
烈や千春に感じた以上の恐怖が柳を襲う。無力で世間からうとまれる若者達が、最強に近い柳に真の恐怖を与えている。
柳がクズと断じた若者達の目。既に生者のそれで無い。死を覚悟した人間の目。死者にどんな攻撃が通じるというのか。
柳は恐怖し、後悔する。(わ、私はもしや、絶対に触れてはいけないモノに触れてしまったのか・・) 無敵の柳龍光。
しかし、今の彼にそんな風格は無い。完全なる敗者の目。しかも、相手は烈でも勇次郎でもない、ただの若者達。
必死にもがく柳。しかし恐怖により体の動きが鈍い。・・そして、瀕死の柴千春。地面に這いつくばったまま、柳に言う。
「ジジイ・・。俺ァ、おめえみたいな・・弱え奴ぁ・・始めて・・見たぜ・・」 その一言を残し千春は意識が無くなる。
・・・弱い?この私が?地上最強が目の前にあるこの私が?・・柳が始めて言われたその言葉。彼の胸の内を深くエグった。




749 名前:748の続き:03/02/17 19:16 ID:q6lFT29X
柳の体にまとわりつく8人の若者。8人とも年長者である。その中の一人が、若い隊員へ叫ぶ。柳はその言葉、耳を疑う。
「おい、矢吹ッツ、このチャンス逃したらコイツを倒せねえッツ。俺らごと、ナナハンをコイツにブチかませッツ」
矢吹、と呼ばれた若い隊員はうろたえる。「で、でも冨樫センパイ、そんな事したら、先輩達が・・」 首を振る矢吹。
冨樫、と言う年長の隊員は矢吹を怒鳴る。「馬鹿野郎ッツ、千春さんの何見てたんだ、てめえっ」そして言葉を続ける。
「俺たちゃ家族だ・・そして俺たち先輩は兄貴よ・・弟たちの為に体張るの当たり前だろうがッ」 ニヤリと笑う冨樫。
「いつも千春さんのマネしてた、おめえなら分かる筈だ・・俺たちは大丈夫。来週の集会は休むかも知んねえがな」
矢吹はその言葉を聞き覚悟を決める。近くの最も大きなナナハンに乗り、エンジンを掛ける。柳はガクガクと震え出す。
(・・本気だ。私を殺すために、自分の身を犠牲にしようと・・) 怖い。恐ろしい。怖い。恐ろしい。怖い・・・。
「ガアアアアッッ」 発狂した様な声を上げる柳。そして、本能的に出した技がまとわり付く8人を弾き飛ばす。渋川流。
その、対多人数用の「崩し」。しかし、8人はなおも柳を捕らえ様とにじり寄る。「ヒイイイイッッ」柳の女の様な悲鳴。
おそらく、彼が人生の中で初めて上げる敗北の証し。・・そして。柳は。「うわあああッ」その場から走り出す。全力で。
逃走。最高の武才を持つ柳龍光が、敵に背中を見せながら。しかも、素人の若者達相手に。今まで全ての強豪を屠った男が。
・・・・数分後。ベンチに座り涙を流す柳龍光の姿。 (敗北・・この私が・・素人相手に・・完全に・・負けた・・)
柳龍光。達人・渋川剛気との、長年に渡る決着の時が近付く。


750 名前:パオ:03/02/17 19:22 ID:q6lFT29X
柳ヘタレちゃった。エヘッ。でも、私としては千春を出すと決めた時にこの展開は決めていた。
まあ、実はバキ烈花山独歩より、達人千春カツミンの方が好きなんで。ひいきが文面に出てしまいます。
ごめんなさい。水曜日くらいまでに「柳編」終わるといいなあ。ではまた明日。
 PS 族の隊員たちの名前などについては全く他意はございません。白々しいか・・。

751 名前:飛来けん:03/02/17 19:27 ID:RFmLI6aU
そして千春はウンコと改名。ウンコはバキを銃で射殺。それはとてもチンコな映像だったと、バキは語る!!

752 名前:マロン名無しさん:03/02/17 19:43 ID:???
>>750
>族の名前
本人達より男気あふれててイイ!

753 名前:マロン名無しさん:03/02/17 22:12 ID:???
へたれたか・・・。
ここからどう終局されるか見もの。
がむばれ

754 名前:マロン名無しさん:03/02/17 22:40 ID:???
ここで一皮…むけないかなぁ
このまま達人と戦ったら瞬殺されそうだけど
どうまとめるんだろう…

755 名前:マロン名無しさん:03/02/17 23:29 ID:???
柳がこうなるとは全く予測していなかった。が、不思議といい感じだ。
あえて達人やオリバのような強者ではなく、特に強くも何ともない
だけど負けも死も恐れない普通の兄ちゃんたちに、最強クラスの柳が敗れてしまう
てのは、ある意味凄く意義のある展開ではなかろか。
柳はこのまま終わってくれてもいいし、ドリアンのように最後の最後に悟って、
達人戦で最後の一皮剥けを果してくれてもいい。今は待つのみ。

756 名前:マロン名無しさん:03/02/17 23:36 ID:???
でも勇次郎ならそんな千春達を「アホウが」の一言で瞬殺しちゃうんだろなあ。
やっぱり勇次郎>>>>>決して越えられない壁>>>>>柳なんだなあ。

757 名前:マロン名無しさん:03/02/18 00:04 ID:???
すいません。スペックのサイドストーリーを思いついたんですが……。
今ここに書き込みするのはまずいですかね?
(スレの容量ものこり少ないし、なにより本筋がやたら盛り上がってるし)

758 名前:722:03/02/18 00:20 ID:???
腕相撲までアップしました。

パオさん、柳VS千春とても面白いです。
千春のキャラをまんま生かした感じで最高です。
がんばってください

759 名前:マロン名無しさん:03/02/18 00:21 ID:???
今回もすげー良かった。ただ、逆に千春みたいな精神力が最強クラスの奴を
圧倒的な実力でボコボコにして「精神力だけでは決して超えられない壁がある」
みたいなのを演出するのも面白かったと思う。>756みたいに。

760 名前:722:03/02/18 00:26 ID:???
あ、あと高2さんのはバラバラになってたんで、
最初に書かれた時から全部つなげてまとめました。

それと、文章に統一感を出すように、勝手に改行とかの編集をしてみました。

761 名前:マロン名無しさん:03/02/18 01:27 ID:???
>>757
気持ちはわかるが、いまはやめとけ。
スレの容量もあるし、何よりパオの話の腰を折ってしまうからな。

762 名前:パオ:03/02/18 06:42 ID:2TxKt7ie
夜更新します。ところで、スレの容量ってあとどれ位だろうか。多分今のペースだと
終わりが1000なら楽勝、900で多少余裕あるかな?850なら危ないんだが。
結構文章量多いですからな、ここ。

763 名前:マロン名無しさん:03/02/18 10:01 ID:cTilNgNB
>>762
おいおいパオさん、こんな良スレ黙ってたってpart2が出来るから心配しなさんな。
むしろ、このスレ内で完結したとしても、続編を希望するスレ、新しい題材でおねだりする
スレ、感想スレなんかが乱立しちまう事の方が心配だよ。

764 名前:マロン名無しさん:03/02/18 11:36 ID:???
>>762
スレの容量なんだが、現在440KBだ。
で、普通496KBをこえると警告が出て、512KBで書き込み不可能になるから、
あと72KB残っていることになる。

ちなみに、パオのレスは長いもので大体1レスあたり2KBだから、このペースでうpしつづけた
場合、36レスが限界ということになるかな?
即興の計算なんで間違ってたらスンマソ。

765 名前:764:03/02/18 11:40 ID:???
もちろん、この36レスというのはパオのネタだけを対象にして計算した数字だから、
感想レスなどを含めていない。(つまり、実際はもっとパオのネタレス数が少なくなる
可能性がある)
だから、個人的な意見としては次スレ立てたほうがいいと思うが。

766 名前:722:03/02/18 17:30 ID:???
シコルVSバキまでと、番外編を少しアップしました。


767 名前:マロン名無しさん:03/02/18 19:14 ID:z5ORoJcc
パオってかわいそうなやつだね。誰も期待してないよこんな糞スレ。
からかわれてるのわかんないのかね。真性厨房市ね



768 名前:マロン名無しさん:03/02/18 19:14 ID:z5ORoJcc
/ ̄ ̄ ̄ ̄\         パオだけど俺はイケテル男だよ。
   (  人____)     多分、俺に実際に会ったら、君らは俺を
    |ミ/  ー◎-◎-)    オタクとは思わないだろうね。
   (6     (_ _) )    俺の友人はけっこうワル入ってる奴ばっかりだし、
  _| ∴ ノ  3 ノ    俺もちょっとワルっぽいかもな。
 (__/\_____ノ     髪はロン毛だけど、前髪だけ茶色にしてる。
 / (   ||      ||     服は、最近流行のファッションとは一味
[]__| |  GC命 ヽ    違ってて、独自のスタイルを作ってるぜ!
|[] |__|__ ___)   まあ、周りに流されてるだけの馬鹿が
 \_(__)三三三[□]三)   してるファッションではないわけだ。
  /(_)\::::::::::::::::::::::::::|   サングラスかけて街あるってると、
 |よどばし|::::::::/::::::::/    友人に、悪党って良く言われるしな。
 (_____):::::/::::::::/     アメリカの不良みたいな感じだ。
     (___[]_[]    ロック系とも言うかな?
気にしないで下さい。身障の友達が書きこみました。・・と。


769 名前:マロン名無しさん:03/02/18 19:17 ID:z5ORoJcc
ブヒ〜ブヒ〜
                 _,,,,,,,,,,,,,_
パオ⇒             _,r;;^::::::::::  `''ー、_
                  ,r';;;;;;:::::::::::::::::::::   `''i、
                 ,/;;;;::::::::::::::::::::::::     `i、
             ,i;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::        ゙i、
               ,i;;;::::::::::::::::::::::::::::       ゙l
            |;:::::::::::::::::::::::,--.       ゙l
            l゙  :: :: ::::://゙,~'‘'''''rュ,_    .|
           丿 : : ::::::::;;;|/ l゙,i、   ゙'゙l,!、 ,,,,l゙
       /゚'く二ト.  : :: :.|.|.| ケ'     `'゙l,,!"、
       ゙l,、 `'-i山、    ." `       |,,レ″
          ,,ノ-、ヽ,,、 `''-,,、           |'゙l
      .,/` ,,-ニ二ニニニミ\、          ,/''''゙
     /  ,x'',レ'° ,,,,,_`'゙li,,,,j,、      .'У
    ./  .,/’,/`     `',,,,- `'-、   .'゙t'''″          ,,,,,,,_
    、  ,i´ 丿    `'''ー-,,,,"''-,,、\..,--'"              /.,,-_~゙'ー-,,,,、
   /  / 丿      '''ー-二. `'‐ ,┼‐''┓       lニ,―l/ └''''i、 .,/
   .l゙ 丿 ./ ¬-,,,,_、         `イ   ゙l            ,グ′   (_ノ
  │ │ ,i´     ~゙''''''、       \,、.|          ,r'゙/      /
  │ │丿      -vrミ,,,,,¬ー`''''''''"''〜\.|       `゙'テ      .l゙
  ," │ l゙       .,/′           `゙゙l_ .,-'''"゙゙\,,,〜     ノ
 .l゙ │./゙l,、.l,    ,i´              `'''~゙゙ ̄^''vヽ,゙゙'i、   _,i´
 l゙ / ,l゙ |"ヽ `-,、 丿              _,,-‐│.r‐'''"''│‘' `'i、.,/`
 |│/ |-、゙l、 `                 -'"^   .| .゙l    )  ヽ〆




770 名前:マロン名無しさん:03/02/18 19:19 ID:z5ORoJcc
パオの一年†
花見:一人でやるのは寂しい。マンガ板でキモオタ仲間と寂しく雑談。
GW:行く場所も行く相手もいない。ゲーハー板でキモオタ仲間と寂しく雑談。
海、プール:一人で行くのは気がひける。ゲーハー板でキモオタ仲間と寂しく(略
花火、祭:一人で行くのはさびしい。ゲーハー板でキモオタ仲間と(略
クリスマス:一年でもっとも嫌なイベント。ゲーハー板でキモオタ(略
カウントダウン:家でさびしく。ゲーハー板で(略
年賀状:あまりの少なさに鬱に。店からしか来ない。ゲーハー板(略
初詣:一人さびしく。神様にお願いするもシカトされ、ゲーハー(略
バレンタイン:もう慣れました。ゲ(略
誕生日:生まれたことを悔やむ日。(略
.__________
|| // //         |
||    / ̄ ̄ ̄ ̄\ . |    / ̄ ̄ ̄ ̄\身障の友達・・(ブツブツ
||   (  人____) |   (          )
||     |ミ/  ー◎-◎-)|   (ヽミ        |
||    (6    ゜(_ _) )|.  ( 6)        |
||  __| ∴ ノ  3  )|  (∴ \____ノ_
|| (_/.\_____ノ |   >--(っ___□__)
|| / (   ))    ))ヽ|  (  ))     |三| ヾ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |  ||========[]===|)
                    |_||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
                  (_)\|三三三三三|
                   (:::::::::::::::::::::y:::::::::ノ)\
                    |:::::::::::::::::::::|:::::::::|   |


771 名前:マロン名無しさん:03/02/18 19:22 ID:z5ORoJcc
  /:\              /:\.           
      /::::  \            /:::::: \.          パ オ
      l::::::   \          ,ノ::::::   \         も
      |:::::::::    \ .__,,,,―--ー‐´       \.        う
..     |:::::::::::::::::..                   \       ダ
     |:::: .           ,,ヾ,,,.;;' .,,.r.:,==、-、.  ヽ..      メ
    /         ,,.;;;;;;;;;  ;人; ;: ,;l.:.:.{ * .} );,  ヽ     ぽ
    /       ,.;;-'ニニヾ;;、:;ヽ;;  ヽ, ゙ヽ,:.:`--'.,..//゙   ゙、.    ・
   .!     ゙ ;>'",..--、  ゙i;, l;;゙;::;)   `'ヽ `゙"゙ヽ;::.゙i,    l.    ・
   |     / /.:.{ * } ,./,.;:,,,;;;;;;;    ;;._` ;;;; : ヾ;;;゙i,.  ゙i    ・
   |    i |::.:::.:`--'シノ-‐''"´ _,   (;;;:;;))\,;;;,.. ゙i;;;:!.  l.   ・
    .!:,:,: ;;;;:;,l ;;:゙`-==' ,ィ"..   i:(⌒`-‐'"l;;;:! _,.-'" ,._ヾi;;ヽ;.:|
    l;';';';:;;;;;;:;:..   |;;:l,. ,. ,. ,:;/ `_,,,..--‐''"´ _,..,へヾ 〉 ;!:!  |\
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772 名前:マロン名無しさん:03/02/18 19:24 ID:z5ORoJcc
,. -‐'' "  ̄ `'''‐-、
         /   ェ-‐'-‐`''ヽ、、rヽ、
        /   z' ̄      `゙ ``ヽ
        ,'   ァ`              !
         !   r' ,.-‐- 、     ・   _i   パオはここで死ぬ

       |   Z   , ;'ニ`'‐、   ,r'_ヽ. !
        f''ヽ,/     '´ ・ `   {i'´.` ,'
      //ri     `ー ''"     ヽー' l
      l ヽノ l          ,.、 ノ  .|
      ヽ 、 >! u            i|
      /r\__,|         '_二二'_  /l
  __  r' 〉 ,.! :::、       、´  ̄ ̄,. /´
ノ  ``'"__i- / ::::.ヽ       ̄ ̄  /
   '´ _`/  ::::  \          /
  ,. ‐'" 、‐'′   :::..   ヽ、    __,.ノ
/     \    :::.      ̄/
        \   :::..   / /
         `ヽ、‐-、   ∧


773 名前:マロン名無しさん:03/02/18 19:35 ID:???
>>767-772
死ね。厨房は2度とここに来るな。









774 名前:マロン名無しさん:03/02/18 20:38 ID:???
>>762〜772
アホガキは消えてくださいね^^


775 名前:マロン名無しさん:03/02/18 21:00 ID:???
>>773-774
釣られてるんじゃねえよ阿呆どもが。

776 名前:749の続き:03/02/18 21:46 ID:EdSOFF8g
闘技場対決より4日目の午後、とある総合病院。共に退院しようとする兄弟の姿があった。
範馬刃牙とジャック・ハンマーである。松本梢江が笑顔で出迎える。「大丈夫ですか、お兄さん?」
ジャックに問い掛ける。何時の間にか呼び方が「ジャックさん」から「お兄さん」に変わっている。
ジャックは正直、退院できる程は回復していない。バキ同様、医者が驚くほどの回復力を見せたが、
勇次郎と薬によるダメージが大き過ぎたのだ。しかし、無理矢理退院してきた。バキの為である。
この3日間、バキとジャックは隣り合うベッドで色々な事を語り合った。子供の頃の楽しい思い出。
母親自慢。トレーニングの方法。ありとあらゆる事を。その話の輪に梢江も加わる。幸せな時間。
自然と梢江は「お兄さん」と呼ぶ様になる。だが、3人の会話の中に触れられない話題があった。
父親。範馬勇次郎の事。そして、やがて訪れる勇次郎との最終決戦の話。・・退院の時が来た。
ほぼ全快したバキに対し、ジャックはまだ数週間入院が必要、と医者が告げた。しかしジャック。
・・ここにいるより、信じられる者の近くにいる方が直りが早い、と医者のいう事を聞かずに退院。
全てバキの為である。そう、勇次郎との決戦の為である。いざという時、バキの盾になる為である。
・・バキがジャックに言う。「兄さん、少し病室に寄って行きたいんだけど」ジャックはうなずく。
現在、この病院にはバキの知己が2人入院している。愚地親子も要入院であったが、それを辞退し、
神心会と縁の深い医者にかかることになった。独歩と克巳は比較的に軽傷だった、という事もある。
梢江をロビーで待たせ、その病室にバキとジャックは歩いていく。この大会で最も重傷を負った男。
烈海王の病室である。

777 名前:750の続き:03/02/18 22:20 ID:EdSOFF8g
「バキさんとジャックか・・」 烈海王の病室を訪ねると先客がいた。渋川剛気である。
「渋川先生・・烈は?」バキが聞く。渋川は首を振る。「相変わらず、意識は戻らんな」
肉体は全快に近い。だが、毒手の影響により意識が戻らない。渋川は毎日見舞いに来る。
渋川は一瞬、バキに3日後に迫った柳との立合いの事を話した方が良いか、と思う。
自分よりバキの方が勝算が高いだろう。自分は2度、柳に敗れている。勝てるとは思えない。
しかしそれを渋川は結局口にはしなかった。武道家の矜持。勝たなくても良い。相打ちで。
それに、これは自分が決着を付けねばいけない事だ。なァ、烈よ・・。そして柳よ・・。
バキ達は病室を出た。ジャックがポツリと言う。「ジイサンノ目・・。俺ト闘ッタ時ノ・・」
ジャックは感じていた。覚悟。戦場へ向かう者の目。だが、バキにその言葉は聞こえなかった。
「兄さん、もうひとつ寄りたい部屋があるんだ・・」・・その病室。ビスケット・オリバの病室。
オリバ。バキの顔を見ても驚かない。代わりに、ニカリ、と大きく笑う。いい笑顔。邪気は無い。
そして言った。「・・夢にネ、出て来たヨ、あのロシア人ガ」シコルスキー。バキの顔が変わる。
笑いながらオリバは続ける。「胸を張っテ威張るんダ。俺の言ったことが当たったろう、っテ」
バキは意味が分からない。オリバは照れた顔で言う。「・・やっぱりバキが勝っただろうっテ」
一瞬、静寂が病室を包む。プッ。バキが吹き出す。そして。3人の大きな笑い声が周りに響いた。
オリバ。ポツリ、と言う。「俺ハ、君だけでなク、シコルスキー君にモ負けたんだナ・・」
そして、バキに言う。「・・いつカ必ズ謝るヨ。俺ハ地獄デ、彼ハ天国かも知れないけド・・」
バキ。心の中でシコルスキーに言う。(許してやってもいいよな、シコルスキーさん・・)
シコルスキーの顔を思い浮かべるバキ。・・・その顔は、確かに笑っていた。



778 名前:パオ:03/02/18 22:26 ID:EdSOFF8g
何だよ、これ・・。見た時正直切れそうになったよ。ただでさえ残りメモリ少ないのに・・。
俺の事が嫌いなのは仕方ない。辞典の時とか確かにウザかったかも知れない。
でも、もう2度と止めてくれ、頼む。このスレを楽しみにしてる方も少しだがいるのだ。
正直、明日書けるかどうか厳しいから柳達人までいきたかったけど・・。すみません。
次スレ突入確実か・・。つらい。

779 名前:パオ:03/02/18 22:45 ID:EdSOFF8g
あと、757さま。どうぞ、スペックのサイドストーリー書いて下さい。
楽しみにしてます。やはり色々な人が色々な物を書いた方が面白いと思うし。
バカのおかげで正直今日、書く気が失せました。すみません。テンションがね・・。
明日は忙しくて書けないかもしれないです。出来るだけなんとかしたいですが。
木曜は割合時間あるんで結構書けると思います。目標、柳編を終わらせる事。
バキスレは俺さんも復活してくれないかなあ。個人的にファンなんだ、あの人の文。
パオ、覚悟できました。バカのお陰で。次スレも頑張ります。・・ネタもうないけど。
でも767さんはもう出ないでね。本当に。

780 名前:757:03/02/18 22:52 ID:???
>>779
おお、これはありがたいお言葉を。
ではさっそく・・・・・と参りたいところですが、実はかなり長い代物になりそうで
今から欝だったりしてます。
舞台設定は1950年代で、おそらくスペックが30歳台くらいのころのお話ですが、
そういう説明をためしにメモ帳に書くだけでもう3〜4レス分。我ながら本気でビックリしました。

本筋に関係ない私のネタでスレを埋め立ててしまったら、それこそ袋叩きを頂戴しそうな・・・・。
というわけで、次スレが立ってからということにいたしたく思います。いや本当に。

781 名前:マロン名無しさん:03/02/18 23:03 ID:???
まぁまぁ、そんなに馬鹿にかまってやるな。>パオ
今あなたの書いてるものは間違いなく面白いし、ここに感想書き込んでいる人間の
他にも続きを楽しみにしてる人がきっとそりゃあ沢山いるんだから、下らんもん
にカリカリせずどっしり構えてりゃいいと思う。
>>757
おお、期待sage。

782 名前:マロン名無しさん:03/02/19 00:15 ID:???
名スレに煽り、荒らしはつきもの
気にするほうが損ですよん

783 名前:マロン名無しさん:03/02/19 03:42 ID:???
そうそう。気にする必要は全くないっす。

784 名前:パオ:03/02/19 06:53 ID:R+yFtUTn
暖かいお言葉ありがとうございます。なんとか少しでも夜書けるようにします。柳戦の直前までは。
明日,柳編終わると思いますが。明日は割合沢山時間あるから。
やっぱりこのスレで終わるほうがきれいだろうなあ。もう一直線だからそんなかかんないと思うけど。
次スレがあればリザーバーに回りたいと思います。あんまり私がでしゃばるにはやっぱり良くないと。
では夜に。下にあると探せないんであげます。すみません。

785 名前:マロン名無しさん:03/02/19 07:33 ID:???
>>784
かちゅ〜しゃ等、2ch閲覧用ブラウザを入れるんだ。
閲覧済みのスレはわざわざ探す必要がなくなるし、何より鯖への負担が減る。

786 名前:マロン名無しさん:03/02/19 10:22 ID:???
>785
パオ氏は確か漫画喫茶とかから書いてるはずなので、それは無理では?

787 名前:マロン名無しさん:03/02/19 18:34 ID:Y5LuZzWb
基地外パオの基地外スレはここでつか?削除依頼出しまつた 市ねパオ

788 名前:下平犬 ◆N6ANALLovE :03/02/19 19:14 ID:8E2eabZs
パオの書いてる文は面白いんだけど
パオ自身のコメントがうざい。
何度も何度も明日までに終わらせるんでみたいなこと言いやがって。

789 名前:マロン名無しさん:03/02/19 19:14 ID:???




≫パオ
煽りがむかつくかもしれないが、切れるなよ。
頭のいかにも悪そうな煽りはたった一人だが、続きを待ってる奴は何人もいる。
それを忘れるな。




がんばれ、パオ。

790 名前:マロン名無しさん:03/02/19 19:40 ID:i6oXQf3N
個人名で荒らしがくるのは有名人のしるし!すでにぱおさんは板垣に並び越えたので、うざい奴も集まってくる。前向きに頑張って下さい!応援してます!

791 名前:植芝クイズ正解の433:03/02/19 19:56 ID:???
「お好きなバトル」のリクエスト権を所有してる433です。
パオさんお疲れさまです。

そろそろ物語も終盤にさしかかってきたのでリクエストのほうを。

当初は「タフ」のガルシアとジャックによる科学vs薬物という
サイバーな対決を思い描いてたんですが、オーガとの対決で
炸裂しまくったジャックの魅力におなかイパーイになってしまったので
この一戦は自分のなかで留保しますた。

んで、考えた末の結論。

「羆を拳で屠る男」鷹村守を地下闘技場に参戦させてください。

自分もパオさんも大好きな漫画から選んでみますた。
相手は誰でもいいです。天内悠とかだったら噛みあうかと思うけど
それじゃ先の展開が読まれやすいかw

792 名前:ひろ:03/02/20 06:39 ID:YAhwJ5gZ
あげとくよ!

雑音に気にしないでがんばれ 

793 名前:777の続き:03/02/20 10:12 ID:99qcibKe
闘技場決戦より7日後の午後4時、新宿公園。柳龍光と渋川剛気の決戦まで、後4時間。
柳はベンチに腰掛けている。生気は無い。4日前。自分は生まれて初めての敗北を喫した。
しかも、素人の暴走族相手に。この4日間、柳は自分の人生を振り返った。涙を流しながら。
(俺ァ、おめえみたいな弱え奴ぁ始めて見たぜ)・・千春の言葉が柳の胸を何度も去来する。
・・私は間違っていたのか?・・勿論、世間の尺度からすれば柳の生き方は外道である。だが。
柳は自分の生き方に自信を持っていた。世間のほとんどのは弱者である。だが自分は天才だ。
弱者に強者が合わせる必要は無い・・。そう思っていた。しかし、千春に弱いと喝破された。
そして、自分が弱者と笑う者達に敗北を与えられた。・・分からない。・・何故自分は負けた?
そもそも、自分は何の為に殺戮の人生を選んだ?武の道を進んだ?・・柳の目の前を子供が通る。
神心会、と胸に書かれた空手着を肩に担ぐ、10才くらいの子供。柳はふとその子に問い掛ける。 
「坊主、なんで痛いだけの空手なんかやる?もっと楽しい事、いくらでもあるだろう?」
子供はニッコリ笑って答える。「そんなの、強くなりたいからに決まってるだろッ、おじさん」
子供は元気良く走り去る。子供が何気なく言った言葉。柳には今まで受けたどんな攻撃よりも。
・・(そうか。私にも・・)確かにあった。勝ち負けなど関係無く、ただ強くなりたかった頃。
柳は狂った様に笑い転げる。そうか、答えはそんな簡単な事。いつから自分は曲がってしまった。
「強くなりたい」が「負けられない」にいつから変わった。ジッと右腕の皮手袋を見る。毒手。
・・・いつから自分は己の技と肉体でなく、こんなモノに頼るように。・・・そして、決戦の時。


794 名前:793の続き:03/02/20 10:35 ID:99qcibKe
闘技場決戦より7日後午後3時、総合病院。烈海王の病室。今日も、渋川剛気は見舞いに来た。
先客には愚地克巳がいた。渋川は克巳に聞く。「まだ、戻らんのか・・」 意識が、である。
「ええ。怪我の方は大分良いはずですが、毒のダメージが・・」 克巳は苦しそうに首を振る。
渋川。「すまんが、席を外してくれんか」 克巳は黙って退室する。妙な予感を感じながら。
「烈よ。もしかしたら今日が見舞い、最後になるかもしれんよ」 笑って烈に語り掛ける渋川。
「今夜8時だ。おまえさんと闘った場所で柳とやる・・ワシが昔、差し違えても止めておけば」
そして渋川は病室を出る。「スマンの・・それだけは言っておきたかった」 烈一人の病室。
烈の口唇がピクリ、と動く。声は出せないが、確かにこう言っていた。・・今夜8時、と。

渋川。自宅で風呂に入り体を清める。下着を新品と取り替える。弟子や家族に一筆したためる。
そして道場へ。2時間ほどボウ、と道場を眺める。様々な思い出がよみがえる。迷いが消える。
ゆっくりと道場生の名札が並ぶ所へ足を運ぶ。数十人の弟子の名。一番最初にある名札を取る。
渋川剛気、と書かれた札。その札を裏返し、元の場所へ戻す。・・・準備は全て済んだ。
現在、午後7時過ぎ。さあ、決戦の場、新宿公園へ。


795 名前:794の続き:03/02/20 10:57 ID:99qcibKe
コツコツとアスファルトに刻む、足音を踏みしめる度に。柳の姿が渋川の中で大きくなる。
渋川は2度柳に敗れている。本来、武道家の勝負は一度きりの筈である。命はひとつである。
つまり、自分は2度柳に殺されている事になる。怖くない、と言えば嘘になるだろう。
(そうかい、やっぱり出るだろうよ) 渋川の目の前。最大トーナメント準決勝前に見た門。
烈との闘いの最中にも見た「危険への門」。それが渋川の行く手を阻む。しかし渋川。
まっすぐ門へと近付く。出て当然だろう。自分は今から柳と差し違えに行くのだから。その時。
その門が。ひとりでにギイッ、と内側へ開いた。まるで渋川を招く様に。そして門の中の光景。
渋川は目を見張る。余りにも美しい。野山の上にある花畑。野菊やコスモスなどが一杯に咲く。
蝶も舞っている。その花畑の真ん中、一本の小道がまっすぐ伸びている。彼方へ。渋川は笑う。
(勝利への道か、あの世への門か・・行ってみなくてはわからんの。か〜ご〜め、か〜ご〜め)
達人はその門を越え、小道へと歩き出す。すると全てが消失し、新宿の夜の風景へ。そしてついに。
辿り着く。新宿公園。出会う、渋川剛気と柳龍光。柳はベンチでジッ、と毒手を見ていた。
「や、柳・・か?」 渋川は尋ねる。余りに弱弱しく見えたのだ。柳はゆっくり渋川に顔を向ける。
「そうか、おまえか、渋川・・。私の最後の相手は・・」そしてベンチから立ち上がる。戦闘態勢。
渋川も戦闘態勢に入る。しかし、ある柳の言葉が気に掛かる。(・・最後?最後じゃと・・)

796 名前:パオ:03/02/20 11:15 ID:99qcibKe
すみません。あと本編は2バトルだけなんで頑張ります。下平犬さんの言う事も正しい。
確かに、明日終わらせる、と言って終わったためしが無い。すみません。
ただ、言い訳をさせて頂ければ、1レス書くのに1時間以上掛かるのはザラにあるのね。
マンキ代、多分8万は超えてる。正直、色々な面で生活に支障が出てるのね、このスレ。
でも、面白い、と言ってくれてる方がいる以上、逃げる訳には行かない。人としてね。
毎日更新はツラい。次スレがあれば私は2軍で。ここで次スレ用のネタ書いときます。
「サイコロトーナメント」。8人から16人くらいの参加者でトーナメントをやろうかなと。
出場決定者はバキ、渋川、花山、陸奥九十九、そして433さま指定の鷹村は確定。残り数人は
いずれまた。グレート巽、ガルシアもいいかな。皆様も良ければ好きな人推薦して下さい。
で、勝敗、トーナメント組み合わせは全てサイコロで決める。勝負はガチガチのを書きますが、
一回戦でバキや九十九が敗れることもある。つまり、パオにも全く行方は分からない。全ては
サイコロの出目次第っす。あ、ごめん、一回戦第一試合だけ決めとく。バキ対花山。
205さんとの約束ですからね。他は全てサイコロ任せです。・・我ながら苦しみそうな企画だ。
どの道、次のスレが立ったらの話ですね。自分からは次スレ立てません。(ツラいもの)では、また夜に。



797 名前:マロン名無しさん:03/02/20 11:43 ID:???
松尾象山と独歩の対決キボヌ

798 名前:マロン名無しさん:03/02/20 11:56 ID:b2AYf52U
ってか、そこまで面白いか?これ。

799 名前:マロン名無しさん:03/02/20 12:01 ID:b2AYf52U
正直つまんない。

800 名前:マロン名無しさん:03/02/20 12:10 ID:???
>>798-799
批判している人間が少数しかいないのが、こいつのIDからも分かるな。

ということですよ、パオさん。
期待している人間とそうでない人間とは数が違います。

ちなみにわたしは期待している人間です。

801 名前:マロン名無しさん:03/02/20 13:28 ID:???
>>800
俺もだよう(松尾象山風に)
…こういうときsageるとIDの隠れるのがこのスレの辛ぇところよ。
まあ自作自演と煽りたい奴は煽っておけって感じ。
あと少しだ、パオ頑張れ。放り出したら恨んでやるからな。

ちなみに、久我重明先生のトーナメント参戦キボンヌ。

802 名前:マロン名無しさん:03/02/20 14:02 ID:q4qbxgBr
パオは多少ショボくてもいいからPCを買ったほうがいいと思うのは
漏れだけなんだろうか?
PC本体はアキバで5000円くらいのから売ってるし
回線も最近のADSLは月々3000〜4000で済む。

これからも長丁場になるだろうから(むしろ長丁場になる事きぼん)
マンキでは継続的に財政を圧迫する事必至だと思うのだがなぁ・・・・。

803 名前:マロン名無しさん:03/02/20 15:18 ID:???
8万あったらそこそこ快適なネト環境が整うよなぁ…。

804 名前:マロン名無しさん:03/02/20 16:03 ID:???
>>802-803
そこら辺のことは、パオさん自身も理解した上で
マンキを利用してるんじゃないの?

どういう理由があるのかは知らないけど、本人が考えた上で
そう言う結論を出してるんだから、それはそれで良いと思う。


で・・・パオさん
トーナメントにミスター・サタンを登場させられないでしょうか?

805 名前:マロン名無しさん:03/02/20 16:59 ID:XsBqfbC4
サイコロだからね。サタンに九十九が負けるかも知れないという緊張感。

806 名前:マロン名無しさん:03/02/20 17:16 ID:q4qbxgBr
さりげなくこのスレのファンなので
方法さえあればPC資金カンパしても良いとか言ってみるテスト・・・・。

807 名前:マロン名無しさん:03/02/20 17:24 ID:???
>>806
それはちょっと心酔しすぎでは


808 名前:マロン名無しさん:03/02/20 17:43 ID:???
「地下闘技場の王者」 範馬刃牙
「陸奥圓明流継承者」 陸奥九十九
「喧嘩師」 花山薫
「WBC世界ミドル級王者」鷹村守
「素手で瓦を14枚割る男」ミスター・サタン

こうして並べてみるとそれほど違和感を覚えないのが不思議w

809 名前:マロン名無しさん:03/02/20 17:56 ID:ePxHHJqI
>>808
勇次郎だったら小指で割ってしまうだろうけどな。

810 名前:マロン名無しさん:03/02/20 18:14 ID:???
>>805
パンピーレベルならサタンはそこそこ強かったはず
ちょっとした脇役程度になら勝てるかもしんない
(さすがに九十九に勝つのは無理だと思うけど)

>>806
ちと行き過ぎかな…
心酔してるってことはとどのつまり酔っ払ってるってことだし

距離感は大切だにょ

811 名前:マロン名無しさん:03/02/20 19:15 ID:???
>>808
どっかのスレであったけど、サタンは瓦を「割った」んじゃなくて「切った」と見れば
相当な強さに思えなくもない。

812 名前:722:03/02/20 20:00 ID:???
ジャックVS勇次郎までアップしました。

パオさん、漫画喫茶ってそんなに高いんですか?

813 名前:マロン名無しさん:03/02/20 20:13 ID:qHNU8liF
るろうに剣心の相楽左之助もしくは悠久山安慈参戦希望。

814 名前:マロン名無しさん:03/02/20 20:23 ID:qHNU8liF
安慈「二重の極みをまともに食らって微動だにしないだと!?」
九十九「強い、強いなぁ...。だけど、それじゃぁ完璧じゃない。」
九十九、コブシを安慈にピタリとつける(ニィッ)
飛田(解説)「虎砲っ...。」
安慈「な、なにっ?!」


815 名前:マロン名無しさん:03/02/20 20:57 ID:???
陸奥九十九と鷹村守。
だれこの人たち?



816 名前:マロン名無しさん:03/02/20 21:00 ID:???
パオさんじゃないけど、結構高いよ
近所にある漫喫だと、飯代、ドリンク代込みで1000円強
規定時間超えると延長料金取られるし
三ヶ月の間、毎晩行ってたらかなりの出費になると思う

817 名前:マロン名無しさん:03/02/20 21:11 ID:???
>>815
暗殺者と横浜銀蝿

818 名前:マロン名無しさん:03/02/20 21:31 ID:???
確かに似てるわなw>銀蝿と鷹村

819 名前:ふら〜り:03/02/20 22:04 ID:???
今までROMってましたが、私もパオさんの作品、大好き
ですよ〜。これからも頑張って頂きたいです……と、無責任
とは解っていますが応援してます♪

トーナメント、個人的には播磨灘に出て欲しいです!



820 名前:マロン名無しさん:03/02/20 22:58 ID:???
鉄拳チンミからもいくつか出してほしいなぁ

821 名前:バキスレの567は俺:03/02/21 01:59 ID:???
「もう良いんじゃないですかね、ジャガッタさん」
克己がおそるおそるジャガッタを諌める。
「そうですよ。 彼等だって、お互いに死闘を称え合っている訳だし・・・」
黒帯達も克己に続く。
ジャガッタ入った鞄を抱えてきた黒帯達の目つきは、相変わらずどこかおかしい。

「ジャァァァアアガッタァアア!!!!!」

ビリビリビリッッとジャガッタの大声が道場内に響き渡る。

「ジャガッタ・シャーマン・・・カ。 伝説の背骨登場、って事らしイ」
「曰く地上最背骨。 曰く縮んだ呪術師。 貴方を形容する言葉は枚挙にいとまがなイ」
フィルスとマイクがジャガッタを評する。

「フフフ。 地上最背骨は目の前だゼ」

変な光景であった。 2人の大男のアメリカ人に囲まれた1人のアジア人。
しかもそのアジア人の背は背骨が不自然に曲がり、彼等2人の膝下程の背丈しかない。
2人の大男が戦闘体勢を取る。

「ちょっと待って頂こうカ。 私は別に君達と闘うなどと言った覚えはなイ」
ジャガッタのその言葉に、道場内にいた黒帯達があっけに取られた。

822 名前:バキスレの567は俺 :03/02/21 02:00 ID:???
ごめん。↑は『黒帯研究会編15』でつ。

823 名前:バキスレの567は俺 :03/02/21 02:01 ID:???
『黒帯研究会編16』

地上最背骨の男が闘士2人を目の前にして闘わないとは?
人の身体を壊す事を至上の命題としてきた黒帯達にとって、ジャガッタの言葉は、
つぶさには信じられない言葉であった。
ただし道場内で2人、ジャガッタの言葉を歓迎した者がいた。

1人は克己。 克己は外人同士が争うのは特にどうとも思わない。 ただし、この
道場で闘われては困るのだ。 思わず目が泳ぐ。
克己は低姿勢を保ちつつも、どうやって3人の外人にお引き取り願おうか考えていた。
残念ながら克己の脳内は錯乱していて、良いアイデアが浮かばない。

そしてもう1人。 壁側に寄り掛かって座る男。
若干、目が垂れている、稲城文之信である。
座っている事すら辛そうだ。 今もかなりの箇所の骨が粉砕骨折しているのだろう。

稲城の視線はジャガッタを捉えて離さない。
視線が交錯する点は膝下なので、通常の人間だと座って視線を合わせない限り、2人の
間の歪んだ空気を体感する事は出来ない。
緊急事態の黒帯研究会。

ちなみに、本編とは直接関係はないが、道場の外では最近海外の刑務所から脱走した
5人の死刑囚が日本人や中国人達と闘っているらしい。

克己は色グロの中国人などを通して、噂には聞いていた。 5人の内1人が日本人だと
聞いた時は「日本人にも危険なヤツがいるのか?」と疑心暗鬼になった程だ。
死刑囚になる事も恐ろしいが、脱走とは・・・。 しかも5人も!
低姿勢の克己にはまるで別世界の出来事であった。


824 名前:バキスレの567は俺 :03/02/21 02:11 ID:???
お久しぶりでございます。
今後もたま〜には更新したいと思っています。w

しかし、単行本がないから、ネタ台詞がほとんど思い出せん。(泣)

PS:パオ氏、がんがれ〜。
逐一じゃないけど、楽しませてもらってまっセ〜。

825 名前:バキスレの567は俺 :03/02/21 02:13 ID:???
>逐一じゃないけど、

毎日スレを覗いている訳ではない、っていう意味です、一応。w

826 名前:マロン名無しさん:03/02/21 02:22 ID:???
バキスレの567は俺さん…

キタ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
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┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ゲホゲホッ・・・キ,キタ━━━━━┓
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┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(゚∀゚)━!!!

827 名前:マロン名無しさん:03/02/21 03:50 ID:???
おかえりテリーマン。

828 名前:マロン名無しさん:03/02/21 18:03 ID:YRFkjtxu
みぎゃああああああ

829 名前:マロン名無しさん:03/02/21 19:18 ID:???
ITEッ

830 名前:マロン名無しさん:03/02/21 19:21 ID:???
熱っ

831 名前:ふら〜り:03/02/21 22:43 ID:???
バキスレの567は俺さん……克己が可愛い♪

832 名前:795の続き:03/02/22 03:25 ID:4JbnQrjY
柳は渋川にゆっくりと言う。「バキ君かと思ったが・・。いや、私の最後の相手はやはりおまえがふさわしいか・・」
その目。凶手・柳龍光と呼ばれた面影は何処にも無い。邪悪に変わりないが、迷いの無い目。強さと弱さの同居した目。
以前の殺気と妖気に満ちた目で無い。渋川は開手を2つ胸の前に構えながら、柳に問うた。「何があった、柳・・?」
柳。毒手を皮手袋に封印する。渋川の目が一瞬怒りに染まる。舐められた、と。「そう言う意味じゃないよ、渋川・・」
柳は笑って制する。良い笑顔。その顔、渋川は一度も見たことは無い。この男の笑い顔は、見下した笑いばかりであった。
「渋川・・。私は負けたよ。それも、3度も・・」渋川は驚くが、納得する。この男の変容に。しかし、三度とは・・。
一度目の敗北。柴千春の家族愛。二度目の敗北。その柴の仲間の、人の為に己の死すら厭わない、凡人の捨て身の強さ。
そして三度目。無邪気な、それ故に柳の弱さを暴露した、あの子供の一言。・・今までの殺戮の人生を否定した一言。
「最後くらい・・毒手無しで闘ってみたいんだ。己の持てる力と技を尽くして。殺法家では無く、武道家としてな・・」
そして構える。その構えに殺戮者・柳龍光の禍禍しさは無い。一人の武道家の覚悟と決意があるだけである。渋川は思う。
(いい勝負が出来そうじゃ・・。しかし、柳、何故もう少し早く気付かなんだ・・)そこに。柳の突きがまっすぐ襲う。
烈海王の「神域の突き」。本家の烈にも負けぬ鋭さである。しかし渋川。前に一歩踏み込んで受ける。柳の突きが止まる。
突きの威力が最高になる寸前。その瞬間を見切り、その技の威力をそのまま跳ね返す。自分の力を少し上乗せして。合気。
達人・渋川剛気しか現在、完璧に使いこなせぬ技。己の技を鏡の様に反射され、後ろへ吹き飛ぶ柳。ゴロゴロと転がる。
渋川は言う。「ワシより遥かに上の才を持ちながら、毒手や人の技に頼ろうとする性根・・。それがお主を腐らせた・・」
柳は思う。(分かっているよ、今の私では勝てないのは・・やはり、もう遅いか・・殺戮の人生をやり直すのは・・)

833 名前:832の続き:03/02/22 04:15 ID:4JbnQrjY
立ち上がる柳。今度は全く構えない。まるで幽鬼の様に。渋川にゆらり、と近付く。殺気も気配も全く感じない。
(やはり天才よのお、柳・・) 渋川の合気。相手の「意」を感じ取り、その「意」に合わせ自分の技を繰り出す。
「後の先」の究極の完成型。相手に攻めさせ、その技を利用し自分の攻撃を極める。しかし今の柳は消している。
気配を。殺気を。己の意、欲を。ゆえにギリギリまで見切れない。技が発動し、その技の正体が分かるまで。柳。
右足が動く。ゆっくりと、渋川へ吸い寄せられる様に静かに。中段の位置。しかし、急にスピードが跳ね上がる。
ヒザを起点に内側に曲がり、渋川の側頭部を襲う。中段から上段への変化をつけた蹴り。ブラジリアン・キック。
渋川はスウェーでかわす。わずかに体勢が崩れる。その隙、柳は逃さない。3センチの間合い。ワンインチパンチ。
爆発的に加速するコブシ。渋川の胸にメリ込む。その刹那。渋川が柳の手首を取る。「甘いわ、柳ィッ」グルッ。
柳の体が渋川流の投げにより回転する。空中で逆さまになった柳のアゴをつかむ渋川。下は闘技場の砂ではない。
コンクリートである。1メートルの高さでも、まっ逆さまに自分の体重を加速させ、激突すれば勝負あり、であろう。
しかし柳。空掌が。柳の左手が渋川の顔を包もうとする。(や、やべえッツ) 渋川は柳のアゴを掴んだ手を放す。
空掌をかわす為に、大きく後ろへ跳び退く。頭を叩きつけるのは断念したが、渋川は空中の柳の顔面へ蹴りを出す。
ローキック。下段蹴り。地上スレスレ約5p程の攻防である。柳は顔面蹴りを両腕でブロック。そして地面へ落ちる。
柳がワンインチパンチを出してから、渋川の下段蹴りまで約1.5秒ほどの攻防。この攻防での両者のダメージは無い。
しかし、2人の顔に笑みが浮かぶ。天才・柳龍光と達人・渋川剛気。お互いがお互いのレベルにいる、と言う喜び。
自分のレベルについて来れる相手と闘う喜び。一瞬の油断が即、敗北に繋がるという、高レベルの闘いを出来る喜び。
柳は思う。(いつからだろう。こんな素晴らしい喜びを捨て、ただ勝つ為に卑劣な毒手に頼り始めたのは・・)





834 名前:833の続き:03/02/22 04:58 ID:4JbnQrjY
後悔。勿論、自分と対等に闘えるレベルの相手など渋川や烈位だろう。しかし、毒手に頼ってからはこんな緊張感は。
味わえなかった。自分は強くなりたくて、そして強い相手とこんな闘いをしたくて、武の道を歩いたのでは無かったか。
いつから即物的な勝利だけを望む様になった。技を磨く事を放棄して。こんな無様な男が何が「敗北を知りたい」だ。
・・そうか。わかったよ。渋川。そして烈。私の敗北はあの日より・・。この毒手を右手に仕込んだ時から、既に・・。

先生、あの503号室の患者さんが消えていますッ」 若い女の看護士が、担当医師へ慌てて報告する。503号室の患者。
烈海王。午後6時頃回診に行った時には、確かにその姿は在った。意識不明のままで。現在8時。たった2時間で何処へ?
騒然とする病院内。しかし、当の烈海王は。向かっている。満足に動けぬ体で、新宿公園へ。間に合え、と言いながら。
決着は私が付ける、シブカワ。その男だけは自分が下さねば、私は劉に。師匠に合わせる顔が無い。海王を名乗れない。
烈は確信している。渋川が勝つ事を。そして、烈の予想通り。公園では。・・・圧倒していた。渋川剛気が、柳龍光を。





835 名前:834の続き:03/02/22 04:59 ID:4JbnQrjY
地ベタに這いつくばる柳龍光。砂をつかみ、歯を食いしばっている。その数メートル先で柳を見下ろす渋川。圧倒的。
先程から何度も柳は渋川に攻撃を仕掛ける。空掌。ワンインチパンチ。神域の突き。無限の広がりを持つ突き蹴り。だが。
全て渋川の前に止められ、極められ、投げられ、跳ね返される。先程の一瞬の攻防。そこまでであった、互角なのは。
それより先は一方的。渋川が格の違いを見せ付けるかの様。柳はうめく。「何故だ、天才の私が凡人如きにこうも・・」
いや、その理由は自分にも分かっている。渋川がそれを見透かした様に柳に言う。「わかっとる筈じゃ、お主が一番・・」
そうだ。分かっている。しかし、それを認めるのは、自分の殺戮の人生を自ら否定する事に・・。渋川は喝破する。
「毒手。そんなモノに長年頼ったツケじゃ。その為に間合いが一歩、甘くなりよる・・」 その一歩。それが自分の弱さ。
チラリ、と右皮手袋を見る。使うか。・・いや。最後くらいは武人として闘いたい。そう、最後くらい。にじりよる渋川。
「終わらせようか。お主人との長年に渡る因縁。そして、お主の間違った生き方・・」 渋川の言葉に柳は震えが走る。
殺される。武道家同士の立合い。渋川は、殺される事も、殺す事も覚悟して来たのだろう。・・死ぬのか、俺は。その時。
「間に合ったな・・」そして怒声が闇を引き裂く。「シブカワ、その男は私の獲物だッッツ」・・・・烈海王、到着。



836 名前:パオ:03/02/22 05:05 ID:4JbnQrjY
すみません、昨日風邪でフラフラで・・。穴を開けてすみません。40度近く熱あった。
パソの事では皆さんにご迷惑掛けまして。パオは貧乏ですが、さすがに安いパソコン位は
買えます。でも、そうすると多分ネット中毒みたいになると思うので、家には置かない様に
してます。生活に影響すると思うから。多分、今の状態がずっと続く様な感じ。それはヤバい。
あと、バキスレは俺さま、おかえりなさい。またよろしくお願いします。では、失礼します。

837 名前:835の続き:03/02/22 20:51 ID:7aKQZ6hZ
「烈、お主・・」 渋川は絶句する。あの意識不明の状態を脱し、ここまで歩いてきたのか。なんという男。
烈。傍目から見てもボロボロである。肩で息をしている。体は震えている。今にも崩れそ落ちそうだ。
しかし、目。そのランランとした野獣の眼差しは、戦闘態勢にある烈海王そのままである。烈は渋川へ叫ぶ。
「シブカワッッ。アンタの長年の因縁も分かるが・・。譲ってくれ。その男は中国拳法を嘗めたッ」
(あの目、あの目だ・・。) 柳は烈の目に、自分が敗れた者達の目を重ね合わせる。即ち、熱。熱情。
千春の死んでも家族を守ると言う熱。暴走族の若者達の自分を犠牲にしても、千春の仇を取る、という熱。
そして、あの子供の強くなりたい、と言う情熱。柳は確信する。今の自分には無い、昔捨てた大切なモノ。
(冷たい天才よりも・・熱い三流の方が・・遥かに勝る、という事か・・) 柳は笑う。楽しそうに。
「クハハハッ、そうか、分かったよ、烈、渋川ッ、私こそが、この世で最も弱い敗北者、と言う事が・・」
毒手。その強烈な凶器、いや兵器に自分は逃げ込んだ。才能。その強大なる己の天才に、自分は溺れた。
少し前から分かりかけていた。それを柳は今、確信した。最高の才を持ちながら、最低の生き方をした自分。
(しかし、遅すぎた・・私は余りにも、人の死の上に自分を置きすぎた・・) ゆっくり深呼吸をする柳。
「渋川、烈・・。終わらせよう、全て・・。烈、まずは貴様だ・・」 そして、ゆっくり空掌を構える。
柳は確信している。「次」の渋川は、おそらく自分にはもう無い。それでいい。これ以上、恥の上塗りは・・。
烈も構える。おおきく左足を前に。右足を少し後ろへ。半身。左腕で体前面をガード。右腕を腰に構える。
右手の型は、正拳の握りから中指の第二関節だけが大きく飛び出る。正拳中指一本拳。渋川は烈に問う。
「大丈夫か・・」烈は答える。「案ずるな、シブカワ。一発分だけ力を残してある・・」烈の体の震えが止まる。
それを見て柳龍光。空掌を前に突進する。「烈、海王ッッッッツ」・・だが、空掌が烈を捕らえるより速く。
烈の全てを込めた突きが、柳の顔面に突き刺さり、柳は吹き飛んだ。


838 名前:837の続き:03/02/22 21:51 ID:7aKQZ6hZ
血を吐き散らしながら吹き飛ぶ柳。全ての力を使い果たし、その場に崩れ落ちる烈。渋川が駆け寄る。
空中を舞いながら柳。(見事だ、烈・・。これが本物の武人の突きか・・私には、出来ぬ・・)
想像を絶する鍛錬と集中。流した無限の汗と血。それのみが可能とする本物の技、武。違う、自分とは・・。
ズザッッ。地面に落ちる柳。(偽物、か・・)ただ才能だけでコピーした己の技。いや、偽物は技だけで無い。
己。自分自身。自分の人生。柳は心底楽しそうに笑う。そしてゆっくりと立ち上がる。身構える烈と渋川。
しかし、その立ち上がった姿の柳龍光には、既に殺気も闘気も無い。いぶかしむ烈と渋川。もう闘えないのか?
いや、ダメージなら遥かに烈の方が上の筈だ。渋川に妙な予感が走る。柳の目を見る。曇りの無い、穏やかな目。
「最後の最後で・・幸運だったよ、烈、渋川・・お前達の様な本物と立ち合えて・・」 そして微笑む。邪気は無い。
渋川はその微笑み、見たことがある。遠い昔、2人がまだ若い頃。ただ、強くなりたかっただけの、あの頃の笑顔・・。
柳。ゆっくりと右手の皮手袋を外す。毒手開放。渋川は叫ぶ。「まさか、止めいっッ、柳ィッ」 柳。笑顔のまま。
「渋川よ・・。ごめんだよ。十三階段の後、クソ小便にまみれた首吊りは・・」 ゆっくり毒手の指先を首筋につける。
柳に駆け寄ろうとする渋川。「私はお前達と違い、偽物の武道家だったが・・死に方ぐらい、好きに決めさせてくれ・・」

839 名前:838の続き:03/02/22 22:07 ID:7aKQZ6hZ
渋川が柳の毒手をつかもうとする。しかし、それより一瞬早く。プシュウ。鮮血。
頚動脈より大量の出血。柳流の切腹、であろうか。血の海の中、笑いながら、柳。
「憧れてたんだよ、渋川。武人らしい死に方、ってヤツに・・偽物のくせに、な・・」
そのまま倒れる。「や、柳ィッ、死ぬなあッ」渋川が応急手当を施そうとする。しかし。
烈。ゆっくり首を振る。(毒手で頚動脈を突き破ったのだ。もはや、間に合わぬ・・)
柳。地の海の中、渋川の手を握る。笑顔のままで。そして消え入りそうな声で渋川に。
「渋川よ・・楽しかったなあ・・昔は・・ただ、強くなりたくて・・一生懸命、練習して・・」
渋川がその言葉を制しようとする。「もういい、しゃべるな、柳ィッ」 だが柳は続ける。
「どこでどう・・私は・・間違えたのか・・もう一度、帰りたい・・あの頃に・・」そして、涙。
柳はその涙を最後に、動かなくなる。絶命。立ち尽くす烈。そしてポツリ、と言う。
「人間は・・生きてきた様にしか・・死ねぬ、という事か・・」 渋川。柳の死体を肩に担ぐ。
「烈・・。こんな奴でも・・。大事な武友、なんじゃ・・。手篤く、葬ってやらんとな・・」
そして歩き出す渋川。少しずつ小さくなる2人の姿。烈はその姿を見守りながら、心底思った。
(柳・・。それだけ素晴らしい才能と・・友を持ちながら・・哀れな男よ・・)

                       死刑囚最後の一人、柳龍光、リタイア。

840 名前:パオ:03/02/22 22:15 ID:7aKQZ6hZ
やっと柳も終わった・・。もう少しだ。はよ終わりたい。でも、バキオーガは迷っている。
多めに書くか、あっさり終わらせるか。ラストシーンは決まってるんですか。
なにか、板垣先生に失礼な気がする。バキオーガ書くの。
ところで、次スレ用の(あれば、の話しですが)サイコロトーナメントのうちの出場者の一人は
女性を予定してます。パオの好きな。    では、また。

841 名前:マロン名無しさん:03/02/22 22:56 ID:???
お…
おお……
最高だ、最高のラストだ……

842 名前: :03/02/23 09:34 ID:c1c8rW5j
保守アゲ♪

843 名前:マロン名無しさん:03/02/23 13:24 ID:???
最高だよ…あんた…

844 名前:マロン名無しさん:03/02/23 21:22 ID:cEoBpgoq
こーなると誰か絵描ける人に、これを漫画でまとめて欲しいのぅ。
もしやってもらえるなら、オレは買うぞ。

845 名前:マロン名無しさん:03/02/23 22:37 ID:???
>>844先ずはこの場面から、漫画化キボンヌ。
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1040997079/667-680n

846 名前:パオ:03/02/23 22:37 ID:IDzAbZO2
すみません、ほめて頂いてなんですが・・。風邪が直らない。家帰って薬飲んで寝ます。
これだけの為にマンキに来た。ラスト1戦残してこんなザマで申し訳ないです。
いくらなんでも今月中には終わると思いますが。  ごめんなさい。なんとか明日には。


847 名前:マロン名無しさん:03/02/23 23:19 ID:???
あんたの責任感に敬礼。
いつ逃げてもいいのに立派なもんだよ。
体は大事にしてくれ。

848 名前:マロン名無しさん:03/02/23 23:20 ID:???
素晴らしい・・・
最高だ、あなたは・・・

おれの中で侠立ちに匹敵する感動だ
正直泣けた・・・

849 名前:マロン名無しさん:03/02/23 23:53 ID:pLFWXYsS
近年まれに見る良スレだ。
最高に素晴らしい決着でしたが、バキ対オーガは止めてほすい

850 名前:マロン名無しさん:03/02/24 00:43 ID:???
>>846
この1文のために500円くらい・・・泣ける

851 名前:マロン名無しさん:03/02/24 01:34 ID:WBRBZqLK
あんた最高
本編見る気なくすわ
こんなゴツイの書かれたらさ…

852 名前:マロン名無しさん:03/02/24 01:53 ID:???
パオ風邪こじらせて氏ね 2ちゃんから消えろ 
大体このスレ、最初に死刑囚が満天に全員やられて終わったはずだろうが、クズ

853 名前: :03/02/24 06:10 ID:z8LMejqu
病人にそのれすはきついだろう。

854 名前:C.D:03/02/24 09:23 ID:nlhfcOQv
パオさん、いつも楽しく拝見させていただいています。これが始めての書き込みです。

ネット遊びに狂って一週間ほどの弱輩者ですが、初めてやってきた2ちゃんの
数々のスレを読み、飛び交う中傷、罵詈雑言、愛あるが故のとんでもない妄想の果てを
楽しみにしつつここまでやってきました。しかしここは良い意味で予想を裏切ってくれました。

パオさんのバキに対する読みの深さには感嘆します。何よりも人物描写。
特に最強という冠詞を海原雄山、ドラえもんにも見出したその慧眼ぶり。
漫喫で思わず吹き出しましたw

作品の素晴しさもさることながら応援している皆さんの感想にも暖かなものが伝わってきて
読んでいて気分が良いです。
無理をなされずご養生ください。

バキスレの567は俺さんの作品の暴走ぶりは正直言って自分のツボです♪
作品の間が空くのがもどかしくてたまりません。続きを大いに期待しています。

スレ汚し失礼しました。どうしても感想が書きたかったもので。それではこれにて。

855 名前:マロン名無しさん:03/02/24 11:22 ID:wcsFox7t
パオきもい!なんか小説はまだいいけどレスがきもすぎ。

856 名前:マロン名無しさん:03/02/24 14:14 ID:???
粘着失せろ

857 名前:マロン名無しさん:03/02/24 16:25 ID:???
作品と作者の人格は別物。
黙って作品を楽しめばいい。

858 名前:マロン名無しさん:03/02/24 16:56 ID:???
486KBか。バキオーガ編いけるかな?

859 名前:パオがんばれ!:03/02/24 17:05 ID:???
今日見つけて一気に読んだ。自分用に編集して残しとくよ…。

860 名前:マロン名無しさん:03/02/25 00:35 ID:???
>>852風邪こじらせて氏ね 2ちゃんから消えろ
大体、死刑囚が満点ごときにやられるわけが無いだろうが、クズ

861 名前:839の続き:03/02/25 02:02 ID:+cOpLFHP
闘技場決戦より9日後。範馬刃牙は少年時代の思い出が全て詰まった、あの懐かしい家に居た。
平屋一戸建ての古い家屋。家の周りに書かれた不良達の無数の落書き。必要最低限の部屋。
その部屋の片隅でボンヤリと座っているバキ。 (明日、オヤジと・・あの場所で・・) 
彼の思考は全く進まない。自分は少年時代の勇次郎との立合いより、遥かに強くなった、筈。
少年時代の自分は、全く手も足も出なかった。だが、今や自分は闘技場のチャンピオンである。
勝てないまでも、互角近い闘いは出来る、筈。そして、今日はこの場所へ。絶ちに来た。迷い。
考える。今までの闘いで、勇次郎に通ずるモノ、及ばないモノ。・・だが、迷いは更に深まっていく。
・・本当に通じるのかよ、俺なんかの力が・・。頭に浮かぶのはそんな事ばかりである。
確かに自分は強くなった。だが、相手は正真正銘の地上最強である。勇次郎の底は計り知れない。
そして、母親を殺した男である。息子の自分であろうと、刃向かう者には容赦しないであろう。
(・・殺しに来る?) おそらく。その時になれば勇次郎は躊躇なく自分にトドメを刺すであろう。
勝算の見込みは全く立たない。浮かぶのは不安と恐怖ばかりである。部屋の片隅で震えるバキ。
そのバキに、不意に後ろから声が掛かる。「やっぱり、ここに居た・・」 松本梢江が立っていた。
「梢江・・ちゃん」梢江はニコリ、と笑う。「梢江、でいいよ。バキくん、明日、お父さんと・・」
「ここに来れば、迷いが消えると思ったけどな・・。弱いな、俺は。ホラ」 梢江に手を見せるバキ。
ブルブルと震えている。「俺なんかが・・あの地上最強の男と・・」 優しくバキの手を握る梢江。
「私は・・いつも信じてるよ・・バキくんが勝つって。そしていつも祈ってる、バキくんの無事を・・」
バキの体の震えが自然に止まる。恐怖よりも強く、確かなモノのお陰で。そして梢江を愛しく見詰める。
2人の距離が縮む。唇が重なる。吐息が絡む。体温を与え合う。感情と感覚が溶け合い、混ざり合う。
・・その日、初めてバキと梢江は2人きりで一夜を過した。   勇次郎との最終決戦まで、あと少し。


862 名前:861の続き:03/02/25 02:59 ID:+cOpLFHP
闘技場決戦より10日後の午後2時。とある総合病院。ビスケット・オリバは荷物をまとめている。
退院。まだアバラ等にヒビ等は入っているが、オリバは元気一杯である。「よシ、帰るカ、園田」
園田は付き添いに来ている。「日本ニもっと滞在したかったガ、帰るヨ。色々良い経験もしたしナ」
・・何があった、コイツ。園田は不思議に思う。以前は陽気さの中に邪悪が潜んでいた。が、今は。
邪悪さは微塵も無い。十年来の友人の様に歓談しながら、病院内のロビーへ歩く。しかしそこに、鬼。
「ユ・・勇次郎・・」 オリバは驚く。勇次郎は笑う。「魅力が無くなっちまったな、オリバ・・」
そしてペッ、とツバを吐く。「こんな軟弱な奴を友人と言っちまうとは・・自分に腹が立つわッッ」
園田。異常な気配に怯みながらも、勇次郎の肩をつかむ。「ちょっとアンタ・・病院内で大声は・・」
オリバは園田を止めようとする。「ヤ、止めロ、園田ッツ」 勇次郎。「雑魚め、うっとうしいわッッ」
地上最強の張り手が園田を襲う。ゴロゴロと転がり、気を失う園田。色めき立つ病院内。騒ぐ患者達。
「ど、どうしたッツ」「警察呼べ、警察ッツ」 しかし勇次郎とオリバの異形は人を寄せ付けない。
「次はてめえだ・・地上最自由と呼ばれたてめえが・・敗北認めて病院暮らしたぁ・・恥を知れいッッ」


863 名前:862の続き:03/02/25 03:01 ID:+cOpLFHP
オリバ。荷物を勇次郎に放り投げる。そして突進。・・しかし。「グアアッ」 悲鳴と共にうずくまる。
勇次郎の右下段蹴り。普通、下段は太ももを狙うが、勇次郎は違う。狙いは左ヒザ。ヒザの皿を粉砕。
「どうしたオリバさんよ・・ほら、かかって来いよ・・」 両手を広げ挑発する勇次郎。悪魔の微笑み。
「クアアアッッ」 右足だけで踏み込み、タックルを敢行するオリバ。勇次郎の腰を強烈にクラッチする。
そのまま倒れ込み、寝技に持ちこめば勝機も・・。しかし相手は勇次郎である。 「アホウがッッツ」
ズプズブ。オリバの左耳の穴に、勇次郎の右手中指が沈み込む。根元まで。激痛に動きが一瞬止まるオリバ。
更に。左手親指を無造作に、オリバの右目に突っ込む。そして眼窩に指を引っ掛け、クラッチを引き剥がす。
「キャアアッッ」 病院内の女性患者が悲鳴を上げる。勿論、勇次郎は全く気にしない。オリバを投げ飛ばす。
吹き飛ぶオリバ。しかしヨロヨロ立ち上がる。そしてロビーの長椅子を持ち上げ、狂った様に振りまわす。
「殺ズ、勇次郎ッッ」しかし勇次郎は冷笑している。「そんな物に頼るとは・・下らねえな、地上最自由ッッ」
勇次郎の右腕がフッ、と消える。ズンッ。次の瞬間、勇次郎の右拳が、オリバの左胸に突き刺さっていた。
血を吐き倒れるオリバ。勇次郎は笑う。「良かったじゃねえか。お気に入りの日本滞在が伸びてよ・・」 
遠くで鳴るパトカーのサイレン。無論、勇次郎は気にもしない。堂々と正面玄関から去る。警察を蹴散らして。
(ククク。今夜か。バキ・・ちったあ美味そうに育ちやがったな・・)


864 名前:パオ ◆rQ8IySfmBE :03/02/25 03:09 ID:+cOpLFHP
色々と暖かい言葉ありがとうございます。風邪は少し良くなりました。死なんぞ。
あとトリップを付けてみた。上手く付けれたかな。トリップ付けない、なんていってすみません。
ボチボチラスト書いてきます。バキオーガは書いて欲しくないという方も当然いらっしゃる。でも。
もう散々本編でやるって書いたからなあ。板垣先生に申し訳無いと思うけど。うーん。 では、また。

865 名前:マロン名無しさん:03/02/25 03:18 ID:???
>>860
それ言ったら、克巳がドイルに勝てるわけがないじゃん。

866 名前:マロン名無しさん:03/02/25 04:53 ID:+pF3Jx4V
>>860
それなら本部が柳に勝てるはずもないな。

867 名前:マロン名無しさん:03/02/25 10:03 ID:UJ8mzu8G
いまさら言うのもあれだが、満点って誰?「宇宙へ行きたかーっ!」とか言ってる
漁師の娘じゃないよな? 

868 名前:マロン名無しさん:03/02/25 10:17 ID:???
>>865-866
んなこたあないだろ。発想が貧弱だな。

>>867
マジレスすると、以前チャンプで連載してた「満天の星」というボクシング漫画
の主人公、磯野満天の事。
もともとイチめられっこだったけど、ボクシングに出会って強くなり、
最後はフライ級世界チャンピオンになった。
つまりは一歩の劣化コピー。
得意技は「切れるパンチ」とコークスクリュー。

869 名前:マロン名無しさん:03/02/25 19:56 ID:Zwb/BlY2
「準備ハ出来タカ、バキ?」 ジャックがバキに問い掛ける。バキは黙ってうなずく。最終決戦。
対範馬勇次郎まで、残りわずか2時間を切る。目指すはあの、母の命が哀しく消えた場所、米軍基地。
光成が用意してくれた専用機にて、その場所を目指す、バキ、ジャック、梢江。機内に静かな緊張。
しかし、ジャックは思う。(闘技場カラ、マタコイツハ・・)強くなった。精神的にも、肉体的にも。
これならば、もしや。あの無敵の範馬勇次郎に・・。バキと梢江は何も言わず、座って手を握り合う。
(ソウダナ・・バキニハ、梢江チャン、シコルスキートノ繋ガリガ・・) 勇次郎が惰弱と笑うモノ。
絆。それこそがもしや、最強の力をも超える強さに・・。ジャックは微笑する。少し寂しげに。
(コイツハモウ、俺ノ協力ナゾ必要トシナイ男カモ知レンナ・・) 戦闘能力なら互角以上の自信はある。
だが、おそらく自分はバキにギリギリの所で適うまい。兄として嬉しく、ファイターとして寂しく・・。
「そろそろだね、兄さん」 バキが不意に口にする。ジャック・梢江にとって初めての場所である。
バキにとっては・・。もう2度と来たくなかったような。しかし、いつか必ず来ると予感していたような。
そんな場所である。光成専用機がゆっくり着陸態勢に入る。・・着陸完了。そして、ついにその場所へ。
バキ。ゆっくり辺りを見回す。感慨深い。「この場所で・・バキ君のお母さんは・・」 梢江はバキに聞く。
「ああ、最も愛した男に・・俺の親父、範馬勇次郎に殺された・・」 泣きそうな顔の梢江。無言のジャック。
30秒ほど黙って立ち尽くす3人。しかし、ジャックが静寂を破る。「バキ・・。今ハ、ウォームアップダ・・」
約束の時まで、対決の時まで、運命の時まで、後、30分程。闘技場のトランクスに履き替えるバキ。深呼吸。
そして、ゆっくり念入りに柔軟を始める。最早、ジタバタしても仕方が無い。自分を尽くすのみである。
・・そして午前零時。運命の時。上空より、軍用ヘリコプターが舞い降りてきた。




870 名前:パオ ◆v.smO/olzA :03/02/25 19:58 ID:Zwb/BlY2
申し訳ない。忙しくて1レスで。バキオーガはエンディングの一環なんで短いです。
明日はもう少し多めに書きますんで。では。

871 名前:パオ ◆rQ8IySfmBE :03/02/25 20:00 ID:Zwb/BlY2
ありゃ?以前とトリップが違う。大文字小文字間違えたか・・。こっちの方で。
つまらない事でレス消費してすみません。私、騙りが以前から多いんで・・。

872 名前:869の続き:03/02/26 11:11 ID:mBZa7T88
ゆっくりと。ゆっくりとヘリが地上に近付く。鋭い眼光で睨み付けるジャック。泣きそうな梢江。
バキは思いのほか鈴かな顔である。・・そして。着陸する軍用ヘリ。まず、一人。地上に降り立つ。
勇次郎の盟友、ストライダム。数瞬後。「キャッ」 思わず悲鳴を上げる梢江。ついにその男が。
「地上最強の生物」範馬勇次郎がそこに。梢江は悲鳴の後、その場にへたり込む。圧倒的威圧感。
生命力の弱い者は、その場にいるだけで体力を削り取られてしまうだろう。嵐の様な闘気、殺気。
ハキはジャックに言う。「兄さん・・梢江を安全な所へ」 その言葉にジャックは梢江を連れ、
10メートル程、距離を取る。ガクガクと震える梢江。(無理モナイ・・ヤハリ、連レテ来ルベキデハ)
無かっただろうか。バキがもし敗れれば、勇次郎はその後も暴れ狂い、この子にも危害を与えかねない。
以前、ここでバキと勇次郎が立合った時、バキだけで飽き足らず、その場にいた全ての人間を・・。
(ソレダケハ許サナイ。コノ命ヲ盾ニシテモ、コノ子ダケハ・・) 必ず守る。弟の一番大切な人間を。
今まで、兄として何もしてやれなかった。だが、この場所が、バキの為に命を使う時だろう・・。
無論、バキの勝利は信じている。しかし、相手は、あの・・・。
「ほう。今回は連れは2人だけか。前は団体さんでおいでなすったのによ・・」勇次郎は笑う。しかし。
梢江を見て顔から笑いが消える。(まさか・・似ている・・江珠?) いや、以前、闘技場で見た女だ。
「ふん、出来の悪い息子2人と女一匹か。どうやら退屈な夜になりそうだぜ・・」勇次郎は表情を戻す。
バキ。「今日、全ての決着を付けに来た・・。最も信頼出来る人間、4人に見守ってもらってな・・」
勇次郎。「4人だと?ククク、恐怖で気を違えおったか・・」 だが。ジャックと梢江には分かっていた。
残りの2人。母、朱沢江珠と友、シコルスキー。しばらく睨み合う勇次郎とバキ。やがて勇次郎が言う。
「どうしたバキ・・。間合いだぜ・・」 バキの肉体が勇次郎に向かって直進する。

873 名前:869の続き:03/02/26 11:46 ID:mBZa7T88
バキの右アッパー。勇次郎の下あごに吸い込まれる。正中線への貫手、前蹴り、正拳。ヒジ。
ダースの単位の連撃。勇次郎は全く防御しない。ただ打たれるがままである。しかし大きく笑う。
「ククク、大して変わっちゃいねえ。速さ・重さ・リズム・タイミング・・。ガキの頃と・・」
そして急に。バキの視界の前に火花が現れる。意識が途切れる。「バ、バキッッ」ジャックの叫び。
真上から勇次郎の声が聞こえる。「ケッ。成長しねえガキだ。まだ、劣性の方が歯応えあったぜ・・」
(俺・・いつの間にダウン・・)バキは状況がつかめない。 勇次郎のネリチャギ(カカト落とし)。
バキの視界の死角より、超高速の襲撃。バキは必死で立ち上がる。しかし、勇次郎、本気の構えが。
スゥゥ。ゆっくり両手を大きく広げる勇次郎。完全に攻撃だけに絞った、彼独自の雄大な構え。
バキは改めて自分に喝を入れる。(何やってんだ俺は。相手は勇次郎だ。最初からMAXじゃないと)
勇次郎である。例え闘技場チャンプの自分でも、力を温存しながらで闘りあえる相手ではないだろう。
(切り札を隠して勝てるような相手じゃないッ・・一瞬一瞬を、全力で・・) バキの目の色が変わる。
エンドルフィンが脳内に大量分泌。筋肉が異常に張りあがる。肉体がヒートし、汗が水蒸気となる。
ジャックがバキの背中を見て驚く。(イキナリ・・ソレガ出ルカ。確カニ、ソレデナクテハ・・)
闘り合えまい。その、筋肉の形相で無くては。鬼の貌。そして更にバキ。音速拳の構え。だが、違う。
勇次郎は大きく笑う。「クハハ。正しいぜ、バキ・・。この範馬勇次郎相手に、出し惜しみは出来ねえわな」
鬼の形相プラス、バキの最強技。そう、オリバを倒した音速剛体術連撃である。

874 名前:パオ ◆rQ8IySfmBE :03/02/26 11:51 ID:mBZa7T88
誤字多くてすみません。ついに警告出たね。このスレに収まらんか。

875 名前:マロン名無しさん:03/02/26 23:40 ID:gH9H5CzD
なんか勇次郎、それっぽくていいな

876 名前:873の続き:03/02/27 08:09 ID:vYSVuFkC
勇次郎。バキの音速剛体術連撃を見ても余裕の表情は変わらない。しかし。大きく開いた両腕が。スゥー、と真上に上がる。
笑いながら挑発する勇次郎。「いいぜ、来いよバキ・・」その勇次郎の構えを見て驚愕するジャック。「ア、アレハ・・」 
愚地独歩、ジャックハンマーを屠った勇次郎必殺の「ブンなぐり」。バキの最強技を、己の最大技で迎撃しようというのか。
おそらく、シャツに隠れた勇次郎の背中の鬼は、哭いているだろう。そして、バキの背中の鬼も今まさに哭いている。
(一発勝負カ・・。ドチラノ方ガ上カ・・) 真剣な眼差しで勇次郎を見据えるバキ。余裕の表情でバキを見下す勇次郎。
数秒の対峙。汗がダラダラ流れるジャックと梢江。沈黙。それをバキの決意を込めた声が破る。「いくぜ、勇次郎ッッツ」
ニヤリと笑う勇次郎。バキの音速拳、発動。拳が唸り、後からその発動音が響く。勇次郎。小型の竜巻と化す。大きく捻転。
ジャックと梢江の視界から、一瞬バキと勇次郎が消える。お互いの動きが速すぎ、2人の目に映らないのだ。・・そして。
次の瞬間2人が見たもの。・・血を吐きながら、地ベタにうずくまる範馬刃牙の姿。そしてうっすら口から血を吐きながら、
倣然とバキを見下ろす勇次郎。(ヤハリ、及バナカッタカ・・)ジャックは首を振る。しかし、勇次郎。内心驚愕する。
(コイツ・・全力の俺と、ここまで・・) 勇次郎の「ブンなぐり」。それをバキは、音速剛体術で相殺する。しかも。
相殺しきれず勇次郎のブンなぐりがバキを捕らえようとする。その瞬間。バキは本能的にバックステップで後ろに体を逃がす。
それゆえ。バキは絶命する事無く、目の前で転がっている。確かに、自分とジャックの闘いでバキはこの技を見た。しかし・・。
(甘っちょろいが、俺のガキというだけの事はあるか・・)勇次郎は笑う。大きく、楽しそうに。やがて、その大笑が止まる。
目の前で胸を抑え動けないバキに冷酷に言い放つ。
「バキよ・・。この範馬勇次郎に2度までも歯向かったんだ。まさか、生きて帰れるたあ、思わねえよなあ・・」

877 名前:876の続き:03/02/27 08:41 ID:vYSVuFkC
うずくまるバキの後頭部。ガキリ。勇次郎の鉄拳が打ち下ろされる。声も出せず、動かなくなるバキ。更に追撃。
ガキ、ガキッ。「クハハハハハハッッ」 実の息子を、これ以上無いような、楽しそうな顔で殴りつける勇次郎。
既にバキはピクリともしない。完全に気を失っている。ジャックが飛び掛り、勇次郎を制しようとする。
「ヤメロッ、殺ス気カッッ」 勇次郎。ジャックをチラリと見て。「あたりまえじゃねえか。てめえは次だッッ」



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