インデックスへ
次へ

【お兄ちゃん】武装錬金萌えスレPart24【よろしく】より

戦士・斗貴子 ネコになる

(3種混合ワクチンっていまは4種混合なんでしたっけ)



「大変だ戦士・斗貴子! 捨て猫が好きなホムンクルスが
暗躍してるらしいから、大至急、俺がとある筋から入手した
この黒ネコスーツを着て段ボールに入り待ち伏せしてくれ!」
「なんですって───────ッ!?
そんなのネコを入れた段ボールを監視してればいいじゃないですか!
どこのアホがそんなのに引っかかるんですか!?」
「だが、昨日はセキセイインコ好きなホムンクルスを
戦士・カズキがセキセイインコの格好で捕まえたぞ? ちなみに格好はそのままだ」
「うわぁ… こんな露骨に怪しいモノに引っかかったのか…」
「何を隠そうオレはインコの達人だぁ! 
オジイサンハヤマニシバカリニ オバアサンハカワヘセンタクニイキマシタ」
「テレビでやってる芸達者なインコの真似か? 真似なんだな!
ちょ、ちょっと可愛いぞ… じゃなくて、戦士長がやればいいじゃないですか!」
「そうしたいのは山々だが、俺はバニーガールが好きなホムンクルスを」
「バニーになっておびきだすのですかぁ! ああそうですか私に胸がないから無理とっ!」
「違う! 趣 味 だ ッ !!!」
「趣味!?」
「ええいわかりましたよ! ホムンクルスブチ撒けてさっさとあなたの部下をやめた方が良いって!」
そういうと斗貴子さんは黒ネコスーツを手に取り、町へ走っていった。…着替えはどこでするんだろう。

暗い路地裏。スーツを着て、段ボールの中で一人佇む斗貴子さん。
しかし困った。どうも黒ネコスーツがびっしりと体に密着して蒸し暑い。
むずむずするネコミミの付け根をかくと、首につけた鈴が涼やかな音を立てた。
しかし暑いのは収まらない。斗貴子さんはだんだんイライラしてきた。
さっさとホムンクルス来い。来てさっさとブチ撒けられろ。
人 目 に つ か な い か ら 好 き な だ け ブ チ 撒 け て や る 。
「鳴き真似すれば来るか…? …知り合いに見られるコトもないだろうし…まぁいいか  …にゃあ にゃあぁ〜」
ぎこちなく鳴き真似をしてみると、だが、これが意外に上出来だ。
気分を良くして、段ボールの縁に肉球を模した手袋など置きつつ、更ににゃあにゃあ鳴いていると
「あら〜? こっちからネコちゃんの鳴き声が…」
(早坂桜花!? くそぅいい感じになってきたのに… ではなく見られれば何を言われるか!)
慌てて段ボールに身を潜める。別に任務の途中と言えば済むのだが。

「確かこの辺りから可愛い黒ネコさんの声がしたような♪」
なんだか色々見透かしてるって調子で桜花がやってきた。
迫ってくる足音に、ああ来るな見るなそのまま帰れとヒザを抱えながら斗貴子さんは思った。
「あら〜 気のせいかしら? ああそうそう、これは独り言ですけど
昨日、捨てられていた大きなセキセイインコクンとデートしましたよ〜」
「フ──ッ!」
足に処刑鎌を生やして、しっぽをタワシのように膨らませた黒ネコが、段ボールから飛び出してきたが
早坂桜花はさらりと避けて、「お仕事頑張ってくださいね〜」とニコニコ笑いながら帰っていった。
「誰が好き好んで… えと ああ…そうだ! あんな変な格好してるカズキとデートなんかするなぁ! 
趣味悪いぞ! い、いや「変な格好してる」のを選んだコトに対してだが……」
なんだかモヤモヤした気分で段ボールに戻ると、鳴き真似を再開した。

「む〜ん…? 子猫ちゃんの鳴き声がする〜
Drバタフライからは「もうこれ以上拾ってくるな」って言われてるけど見てみよう〜」
ヒタヒタと歩いてくる気配に、斗貴子さんは身構えた。
目に入ったのは、ムーンフェイスだ。
「おや? これはこれはまた可愛い子猫ちゃんだ」
指をパチン!としながらムーンフェイスは呟いた。
「けど残念。アジトはもう子猫ちゃんでいっぱいだから拾えないんだよ」
「…なぁ、ネコ好きのホムンクルスとは貴様のことか?」
「イエス! ザッツ月(ライト)!」
色々な意味で斗貴子さんは少し頭を抱えて、そしてムーンフェイスに襲い掛かった。
「じゃあ死ね! それじゃなくても死ね!」
しかしムーンフェイスはタイーンと跳躍して
「江戸屋小猫みたいに鳴き真似上手かったよ〜」と言い残し、逃げていった。
「喜んでいいのか悪いのか… おや、コレは?」
段ボールの前にへたり込む斗貴子さんの前に、ムーンフェイスが残したらしい書置きがあった。
(そうそう、本物の子猫ちゃんを見つけたら、去勢手術をするコトをオススメするよ。
去勢すれば、ネコエイズにかかったり、不幸な境遇で生まれる野良猫さんが減るし
市から1割程度だけど補助金も出るよ! あと、お金があれば三種混合ワクチンも……)
「いつの間に書いたんだ!? まぁホムンクルスの割には良いコト書いてるが…」
そんなこんなでネコの話、おしまい。



次へ
インデックスへ