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【遊ぶのでしたら】武装錬金萌えスレ36【お早めに】より

浦島秋水

(秋水主役はネタか良い話に二分化するので困る。こっちはネタ方向)



昔々ある所に、姉に逃げられ一人で母親を養っている漁師がいました。
名前は秋水。
見たカンジはカッコいいのですが、いかんせん姉の影を引きずる社会不適合なシスコンなので漁師をしています。
漁師は市場で魚を売る時しか人と話さないので楽なのです。
姉に裏切られ人生に疲れている秋水には楽なのです。
「ケケケーッ! うまそうな亀だヨ!」
「喰わせろォ〜〜ッ!」
「ヒャッホウ!」
ある日秋水がいつものように漁に出ると、浜辺で化け物たちが亀をいじめていました。
「やだ食べないでー タコさん取ってくるからー」
亀はのん気な調子です。
秋水は一瞬係わり合いになるのはどうかと思ったが、シンプルな性格体が自然に動いていたッ!
「ケーッ!」「グワー」「ヒャッホウ!」
とりあえず手持ちの竿(ロッドリョーシX)で逆胴をかますと、化け物たちは死にました。
「助けてくれてありがとー! お礼に竜宮城へ行こうよ」
「嫌だ。俺は今から魚を取って生活費を稼がなくてはならない。
稼がなくば俺は死ぬし、崩れかけている母さんも死ぬ」
その瀬戸際にどうして遠くへ行けましょう。
秋水の口から出る言葉はヘビーですが、しかし、亀は天然なので分かりません。
「いいからいいから! ちーちんさーちゃんも来てー!」
仲間を呼ぶと、秋水を無理矢理竜宮城に引きずり込みました。

竜宮城。
乙姫さまは秋水を見るなり、嬉しそうに声を張り上げました。
「臓物をブチ撒けろォォォ!」
実は以前、秋水が釣り上げたマグロが、乙姫さまとストロベリーなマグロだったのです。
カズキマグロです。
マグロがいなくなってからというもの、乙姫さまは悲嘆にくれる一方でした。
毎日毎日部屋に閉じこもり、枕を臓物で濡らす毎日です。
「先輩、元気出してください。俺がいるじゃないっスか!」
と慰めてくれたヒラメの消息も不明です。

そんなこんなで鬱屈した女の情念が、秋水を見るなり爆発したワケです。
乙姫さまは足に刃物を装着して、猛然と秋水に襲い掛かりました。
秋水にしてみれば全ては生活の為にやっているコトであり
また、今日一日の生活費をフイにさせられたというのに
おかゆの一杯も出ない状況なので、スイッチが入っちゃいました。
「勝つ! 俺はここで負けるワケにはいかない!」
社会の最底辺にいるクセに今さら勝ちも負けもないような気もしますが
秋水は竿を片手に乙姫さまに向かいました。正当防衛です。

秋水は生き延びました。
途中、亀が何をトチ狂ったか「乙姫さまスベスベー!」と抱きついたり
秋水に売られた後、どうにか諦めずに市場から逃げ出してきたマグロの説得により
乙姫さまの攻撃や怒りをどうにかをやり過ごせたのです。

「マグロ! キミってヤツはどうして私に心配ばかりかけるんだ!」
「ゴメン乙姫さん! ついうっかり…でも戻ってこれたのは乙姫さんがいたからだよ!」
「バカ! バカ!」

マグロとの再会を喜ぶ乙姫さまですが、枕を濡らした臓物たちは蘇りません。
ヒラメの消息も相変わらず不明のままです。

秋水はというと亀におかゆを作ってもらい、どうにか飢えをしのぎました。
そしてサバの声真似やら何やらを見た後、どっさりのおかゆと箱を貰って帰りました。

「母さん、今日は魚釣れなかったけどおかゆをもらってきたよ。
そうだ、箱貰ったけど何が入っているんだろうね?」
物言わぬ母に秋水が優しく語りかけながら箱を開けると、あたりに煙が立ち込めました。
それが晴れた後、母親を見た秋水は驚きました。
「お母さんが…くずれちゃった」
元々です。終わり。



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