インデックスへ
前へ 次へ

【手乗り】武装錬金萌えスレPart41【チャイナ】より

暮れの銀成郵便局

(萌えスレに投下したSSのうち、もっとも好評を博した作品。
秋水とまひろのカップリングはやはりお気に入り)



「ゆうメイト」というモノがある。
郵便局が非常勤で雇っている配達人の総称だ。
さて、このゆうメイトは、年末から年始にかけてよく雇われる。
賢明な読者諸氏ならばお気づきだろう。そう、年賀状を配るが為に雇われる。
郵便局のおじさんたちだけじゃ、膨大な年賀状は捌けない。
だからおじさんたちは間に合わせの労働力で間に合わせて
自分達は郵便局の二階で火鉢に当たって餅を食い、ワインを飲むのだ。

そのゆうメイトに、まひろが応募すると言い出した。
若宮千里は色をなして止めた。カズキも止めた。斗貴子はガムを食べた。
「ダメよまひろ、あなたじゃ犬に噛まれそうだし、道に迷いそう。危ないからやめなさい!」
「ビーフジャーキー持ってくから犬さん対策は万全よ! パンくず撒いて道しるべにしちゃうし!」
「スズメが食べちゃうからダメだまひろ。去年のオレはそれで迷って交番に保護されたんだぞ」
「されたんですか!? 霧の中じゃ何も迷わずあんなに」
千里の白い頬が少し赤くなった。くちゃくちゃとガムを噛みながら斗貴子は睨んだ。
「あんなにカッコ良かったのに」
「ベヤァーッ プッ!」
斗貴子はガムを吐いた。千里がカズキに話しかけたのが心底気に入らない。
剛太はそのガムを拾って食べた。体力が全快した。ファイナルファイトだ。
ちなみに河井沙織は持病の小児ぜん息で寝込んでいて、看病している大浜とロマンスが芽生えたり芽生えなかったり。
「えー、なんでか4万えんになったPSP買いたいし、お父さんたち頼るのもなんか悪いし」
「今は待ちなさい。今買ったら、値上がりさせてる悪徳業者が得をするだけよ」
「あ、そうなんだ。ちーちゃんは物知りだね」
「! そんな。い、いえ、私は六舛先輩から聞いただけですよ。本当。私は物知りなんかじゃ」
「ベヤァーz_ッ プッッ!!」
斗貴子はガムを吐いた。カズキが千里に話しかけたのが心底気に入らなくて、不安なのだ。
剛太はそのガムを拾って食べた。体力が全快した。
ちなみに沙織は大浜に、コアラのマーチを食べさせてあげたりあげなかったり。
その後説得は続いたが、まひろは頑として首を縦に振らない。千里は業を煮やした。
「ああもう、言っても聞かないなら私もついてく!」
「やた! ちーちんも参戦」
「じゃあ任せたちーちゃん。オレは補習があるからバイトはムリなんだ。
あと斗貴子さん、ガムを床に吐いちゃダメだよ。剛太も、腸が詰まるからガムは飲んじゃダメだ!」
「ペャプ!!!! ……うん」
ようやく話し掛けられた斗貴子は、ガムを吐き捨て、はにかみながらカズキと一緒に部屋を出た。
剛太はガムを拾って食べた。惨めだ。腸じゃなくて胸が詰まりそうで、その頃沙織は大浜が帰って寂しくて泣いていた。

まひろと千里はゆうメイトになった。
ただ、まひろで外勤(※1)が一杯になってしまったので、千里は内勤(※2)に回された。
面倒を見るべく応募した千里の当ては、外れた。

※1 手紙を配達する仕事。毎日毎日アリのように同じ景色をうろつくだけの仕事。
でも郵便屋さんは文句も言わずにこなしている。偉い! 感謝するべきだ。
※2 手紙を町別に区分けする仕事。そういう機械もあるにはあるが、最終的には手作業で分ける。
やはり最後にモノをいうは人のチカラ、人のチカラこそ無限なのだ! そして私は神の声を聞くのだ。

喜び勇んで自転車置き場の方へ歩くまひろを見送る千里。
落胆の彼女に、「じゃあコレ着て仕事してくれ」と事務服が渡された。
本来、ゆうメイトに制服はない。緑色のジャンパーを羽織るだけだ。
しかしそれはちょっと不足しているから、内勤の者は事務服を着用するコトになった。
というコトを、長いボサボサ髪で恐ろしくガッチリした体格の事務員は言った。
なんだか猟師っぽい外見だ。千里は一生懸命見上げながらそう思った。
「本当は俺も外勤が良かったが、ま、こうなっては仕方あるまい。共に頑張ろう」
事務員とばかり思っていたが、どうも彼もゆうメイトらしい。
しかし事務服がよく似合っている。冬場なのに半そでなのがワイルドで格好よい。
「戦部」と名札をしていて、名前どおりだなぁ…と千里は妙に感心した。
ちなみに彼もPSPを買う為にバイトを始めた。たまにはホム以外を食べたい。

「おや」
「おお、秋水先輩」
自転車置き場には秋水がいた。聞けば、生活の為に半年前から務めているらしい。
「というコトで、君を指導させてもらう。宜しく」
「ハイ。こちらこそ!」
ヘルメットの下の元気を見ながら秋水は、事故に遭わないようしっかり教えなくてはと思った。
そして自転車を走らせ、配達順路や家のポストの位置を細ごまと教えていく。
まひろはボケてはいるが素直で飲み込みが早く、秋水もそれに答えるよう熱心に教えるので
和やかな空気が二人の間に流れ、全てが順調に行くように思えた。
楽しそうな人間を嫌う秋水が、他愛もない会話で笑い合えるほど順調で幸せな時間だった。
しかし配達順路の最後の家、犬飼の家の前。
大事件が起こった。
デスレイビーズ(以下、AとBとする)が鉄の門扉をブチ破り二人に向かってきたのだ。
Aと秋水が組み合うその横を、Bがすり抜けまひろに飛び掛かる。
「危ない! 伏せてやりすごんだ!」
「大丈夫! 私は動物使いの達人だし、武装錬金にだって心が通じ合うはず!」
まひろはのん気な仕草でビーフジャーキーをBに差し出した。
がぶ! ぎゃあっしまったあいたたた! まひろの指が噛まれ秋水は血相を変えた。

状況が状況だけに仕方ない。武装錬金!

ソードサムライXの発動がてらAの頭蓋を叩き割り、返す刀の逆胴でBを真っ二つ。
速攻で倒したのが幸いしたのか、指の傷は軽かった。
しかし現われた犬飼はなんら反省の色はなく、秋水を憤慨させるには充分だった。
掴みかかる秋水! 虚勢を張る犬飼! 帰宅したブラボーの服に口紅の跡を見つけた千歳!
状況は一触即発だ。
「私は大丈夫だから。ちょっとかすっただけだし、秋水先輩の言うコト聞かなかったせいだから。ねっ」
「だがそれでも俺は、コイツは…!」
「毒島にファンタのグレープ買うから金貸……オイコラ、カタギに迷惑かけてんじゃねェぞ負け犬! 謝れ! あほ!」
「ゲゲェーッ火渡戦士長! ごめんなさいー」
まひろの取りなしと、金の無心にきた火渡の一喝でその場はなんとか治まった。
しかしその後、応急処置をする秋水は無言のままで、まひろも二の句が継げなくなった。
気まずいまま二人は郵便局に戻り、そして
「すまない」
と別れ際に言った秋水の声が、しばらくまひろの耳から離れなかった。

業務が終わり、がらんどうな休憩室で戦部は一人、迷っていた。
動物型、植物型、人間型、近距離パワー型、円山お手製、どの弁当を喰うべきか。
そこへ千里とまひろが入ってきた。
「バカ。だから私は心配したのよ。カスリ傷で済んだから良かったけど」
怒りながら、千里はまひろの指に包帯を巻き始める。
ちらちらと戦部の耳に届く会話は、母子のそれにやや近い。

「うん。ビーフジャーキーより秋水先輩を信じるべきだった。私が悪いよね」
西日に照らされる顔はしょんぼりしている。
いつもなら「ドッグフードにするべきだった!」「そういう問題じゃない!」
てな応酬が繰り広げられる所だが、それがないのは余程こたえたせいだろう。
「秋水先輩、『すまない』って謝って、行っちゃった。すごく辛そうだった」
「まひろにもだけど、きっと」
千里はくいくいっと包帯を結んだ。戦部は円山お手製の弁当に決め、フタを開けた。
アメリカザリガニの死体がぎっしり詰まっていた。
戦部は笑った。笑うしかない。だって大好物だもん。
「カズキ先輩に申し訳が立たないって思ってるせいよ」
「あ… 秋水先輩もお兄ちゃんが好きだから?」
好き、という単語にしまっているモノがちくちくして、千里はちょっと黙った。
バリバリッ! グシャ! ゴゼン! ゲキセン!! アリスイ! ンワン! ダーランドォォッ!!
アメリカザリガニ。略してメリカザリガ。それを食う音は無茶苦茶だ。
しかし戦部はそれでも気を遣っている。戦部はまだ16さいだから。

千里は何も聞いちゃいない。

「違うよ。カズキ先輩を見る目が違うから違うよ。尊敬と感謝の目をしてる。
うん。目が違うから。好きな人を見る目は…斗貴子先輩も………同じだよ」
「同じって、ダレと? ……あたっ」
なぜか千里はまひろの頭を軽くはたいた。
まひろには顔が赤く見えたが、それはきっと太陽のせいだろう。
「と、とにかくケガを早く治して、マジメに頑張りなさい! そうじゃないと秋水先輩も気が重いよ」
「うん。頑張る。両方頑張る」
まひろはコクコクと頷いて、頭の中で配達順路を反復した。

カスリ傷で騒いでる彼女たちの気持ちは、戦部には分からない。
そう、物体に溶け込めても人の輪には全く溶け込めない根来のように…………

そして何日かたった。
まひろの傷はすっかり直り、道も覚えてスイスイ郵便を配れるようになった。
千里と戦部も少し仲良くなった。ある時、聞いた。
「戦部さん、なんでヘンなものばかり食べるのですか?」
「能率を高める為さ。俺はここに来て新しく発見したが
事務の仕事の時は消しゴムのカス、ハガキの区分けの時は切れたワゴムというように
仕事にちなんだモノを食べると不思議と能率が上がるらしい。
ちなみにこの近くにロッテリやってあるだろ?」
「ハンバーガーのお店ですね。ハンバーガーは食べるんですか?」
「いや、トレーだ」
「ああ、ハンバーガーを乗せてるプラスチックの」
千里はあまり驚かない。ハガキをちょいちょいっと区分けした。
「あれは中々旨かった。
いくらか聞いたら、店員は泣きながら『無料にするので持ち帰ってください』と言った。
アレだな。水と同じらしい。知り合いもいたし今度また行こうと思っている」
話していて千里は時々思うが、戦部もちょっとズレている。まひろっぽくて嫌いではないが。
「でもお腹に悪くありませんか? 良かったら一度、私がお弁当作りましょうか?」
戦部は少し考えた。まともな食事を知っていたほうが、ヘンなモノを食べる興奮も増しそうだ。
「じゃあ頼む。だが、あまり力は入れなくていいぞ。俺の場合、食べるのは趣味だからな」
「ハイハイ。まあ、あまり期待しないで待ってて下さいね」
と、みんながみんな、それぞれ馴染んでいる。

そんなある日、配達を今までで一番早く終わらせたまひろは
「あ!」
「…あ」
郵便局の近くの十字路で秋水と遭遇した。
秋水は非常に困った。無論、あれからまひろに会うのは初めてだ。
というより、意識して避けていた。郵便配達をいつもより早く終わらせて、いつもより早く帰っていた。
言ってしまえば不幸な事故で、一応謝りはしたが負い目は消えず
かと言って明るく接するのは無責任な気がして、まひろを避けていた。
「そんな気にしてないわよ。第一、秋水クンが助けたからカスリ傷で済んだのよ。
え、私だったらどうするって? んー… お詫びにメロンパンでもあげて、しばらくしたら忘れちゃう。
だってカスリ傷でしょ。忘れた方がお互いの為なのよ」
と(千里から顛末を聞いた)桜花などは笑って諭しはしたが、しかしバツの悪さは変わらない。
腹黒い桜花と違って、秋水は生真面目なのだ。
戸惑いつつさりげなく見た指には、包帯も傷痕も残っていない。そこだけはホっとした。
「お久しぶり!」
「久しぶり。仕事には慣れた?」
ああ、なんてつまらない会話を選んだんだと秋水は思った。
出自と前歴ゆえにこんな気まずい状況は初めてで、選ぶべき話題が分からない。
「うん。秋水先輩が教えてくれたおかげで、もうすっかり慣れたよー ありがとう」
「それは良かった。今日は早く終わったみたいだね」
「うん。秋水先輩はどうだった?」
「今日はちょっと……」
担当する郵便物が何故か、未使用の官製はがきと封筒の束になっていた。
慌てて郵便局に戻り、郵便物を入れ直して走っていたら、今度は自転車がパンク。
仕方なく彼は徒歩で自転車を引きながら、郵便物を配った。
当然、配り終えるのはいつもより遅くなる。

まひろと遭遇したのはそのせいで、どうも説明しづらくて、秋水は黙った。
それっきりで会話が途切れた。二人は棒立ちのまま固まってしまった。
郵便屋たちを、通行人たちは指差し、ヒソヒソと話し始めた。
マズイ。今度は町のさらし者にしてしまう。秋水は焦った。
まひろの名誉の為、恥の上塗りは避けたい。だが逃げるワケにもいかない。
何か有効な話題はないか。
そうだ、武藤だって諦めるな先輩と言っていた。
だから諦めるな俺。諦めるな俺───!!
その不屈と焦燥の魂が、秋水の口に意外な言葉を叫ばせた。
「メロンパン!」
秋水は叫んだ後、世界の終わりが来たように固まった。何を言い出している秋水。
彼は剣道で気合をよく発するから、声はよく透って、大きい。それが災いした。
取り巻く通行人の耳をいやというほど叩き、精一杯こらえた笑い声が漏れる。
「はい!?」
「い、いや、メロンパンでも食べないか! 渋茶と結構合う!」
取り乱した美形に耐えかねたのか、通行人はみな一様に腹を抱えた。
どうして路上でこんな面白いショーを見なくちゃいけないんだ。無料だが高すぎる。
何人かはよたよたとその場を離れ、やがて遠くの方から大爆笑が響いた。
「メロッ、メロンパンと渋茶は合わないだろ!」「メロンパン! メロンパーン! メロンパァァン!」
残った通行人の全ては、離れた者を恨んだ。この状況で繰り返されては窒息死する。
「そのっ、とりあえず郵便局へ戻るぞッ」
「は、はい!」
真っ赤になった秋水は自転車で走り出し、まひろも一生懸命、追った。
そして十字路では凄まじい笑い声が巻き起こった。

「で、その後どうなったの?」
翌日、帰り道で千里はまひろに聞いた。
「公園で一緒にメロンパン食べた。でもやっぱり渋茶とは合わないね」
まひろの話によると、大体こうだったらしい。
「すまない。俺はウソをついた」
と秋水も顔をしかめて、しかめても妙にカッコ良かったので、まひろは笑った。
秋水もつられて、珍しく声を上げて笑った。
「秋水先輩の笑い声ってちょっと可愛いんだよ。桜花先輩と双子だからかな」
「さぁ」
千里には皆目見当もつかない。秋水の笑い声なんて、桜花でも聞いたコトがあるかどうか。
「その後ね、もう夕方だからって寄宿舎まで送ってくれたんだ。
あ、でもその途中で買い物したんだけど、買い物袋を持ってくれたの! 優しいよね!」
「いや、同意を求められても……」
ノロケ話を聞かされているようで、千里はどうもムズ痒い。
実を言うと昨日、秋水の郵便物を新品のハガキや封筒の束にすりかえたのは千里なのだ。
どうも秋水は、まひろを避けるために素早く郵便配達を終えているフシがあったので
郵便物をすりかえて、彼を一度郵便局に戻して、一刻でも遅く配り終えるように仕向けた。
その結果、秋水とまひろは遭遇して、ギクシャクを改善した。
(すりかえる為に、寒い朝なのに私は一時間も早く出勤したのよ)
なのにその結果がコレだ。能天気なノロケ話を聞かされている。
「あとね、剣道の話とかいろいろしたよ。ロッテリやにも寄ったよ。戦部さんがトレー食べてた」
「また食べてたのあの人。私がせっかく……」
千里は損をした気分になった。
ちなみに自転車をパンクさせたのは御前だ。
理由は千里と同じだが、まぁこっちは趣味なので、桜花は別に損をしていない。

歩いていると、ブラボーが歌いながらフラフラしていた。
「こーころも、からだも、ぜんぶ千歳だけのものー ねむ、れ、ないのぉー
せつないしげき、おーないろんっあいみっしゅー」
彼は、電車でつけられた口紅を千歳に詰問された挙句、涙目の彼女に
「あなたは私だけのモノなの。違う? あなたは私だけのモノなの。違う?」
「あなたは私だけのモノなの。違う? あなたは私だけのモノなの。違う?」
「あなたは私だけのモノなの。違う? あなたは私だけのモノなの。違う?」
「あなたは私だけのモノなの。違う? あなたは私だけのモノなの。違う?」
三日三晩ずっと耳元で囁き続けられたのだ。台所でもトイレでも風呂でもベッドでも。
だからおかしくなった。

「きっとやぶれるむてきなぼうぎょ しるばーすきーん 
声も吐息も死線も破れる仕草も千歳しだいーーーーあいして…あいして……
ああああああああ!! 耳がー! 耳がー! どうしろっていうんだ父さん! 答えてよ父さん!」
そんな彼を見ながら、千里は「この人よりは損してない!」と言い聞かせた。

「ところで、ちーちん」
まひろの呼びかけに、千里はちょっとカチンときた。
「なに? 私は今せっかく、社会の最底辺を見るコトでかろうじて損をしていないと
自分に言い聞かせている真っ最中なのよ。ノロケ話は悪いけどもう止めて。
不幸な時に幸福な話をされると壊れちゃう。地味なポジションだけど私だって幸せになる権利があるハズよ」
「え、えと。帰るときに戦部さんから何か渡されてたけど、アレはなーに?」
「お弁当箱よ! あの人、ヘンなモノばかり食べるから心配になって
ほら、どうせ私は自分でお弁当作ってるでしょ、そのついでに作ってあげたの! 悪い!?」
「悪くはないよ。うん。私も秋水先輩に作ろうかなーって」
「いいけど、戦部さんと違って秋水先輩は味に敏感そうだから、気をつけなさい。
私は楽よ。戦部さんなんかは、ちょっと焦げた卵焼きとかもおいしいって言ってくれるし
水加減間違えたお米だって、趣があるとか言ってくれるのよ。趣って。古風なのがまた……」
今度はまひろが黙った。似たようなモノではないか。

そんな感じで、銀成郵便局の年は暮れていく。終わり。



前へ 次へ
インデックスへ